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ブリヂストンサポート カテゴリー全紹介! IndyCar Series

日本のモータースポーツ(四輪)には、“ハコ車代表”のSUPER GTと“フォーミュラカー代表”のスーパーフォーミュラという2つのトップカテゴリーがある。それらをアメリカに置き換えるなら、“ハコ車代表”がNASCAR、そして“フォーミュラカー代表”が、インディカー・シリーズということになる。

  • 佐藤 琢磨選手

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IndyCar Seriesとは?

シリーズの頂点に立つのは「インディ500」。毎年5月の第4週に開催される、伝統あるレースだ。第1回開催は1911年という歴史を誇り、その年の勝者にもファイアストンタイヤが装着されていた。そのインディ500は2011年に100周年を迎え、第1回開催以降、例年40万人以上の観衆を集めている。今年は、記念すべき「100回目」のインディ500となる。

この「インディ500」。一つのイベントとしては、他に類を見ない規模で毎年開催されている。例えば予選の方式を見ても、通常のインディカーのレースとはまったく異なる。まず予選は2回。予選1日目に1位〜9位までの「ファストナイン」進出者と、33位までの決勝進出者を選出する。「ポールデイ」と呼ばれる予選2日目は、前日の「ファストナイン」進出者がポールポジションを争い、それ以外の選手が予選10番手〜33番手のグリッドをかけて予選アタックを実施。2.5マイルのコースを4周した合計タイムによりグリッドが決定する。
なお、エントリー台数が33台を超える場合は予選2日目で、予選スピードが更新されるごとに最下位のドライバーがはじき出される「バンプアウト」が発生するが、2016年は33台のエントリーだったため、これは行われなかった。

その「インディ500」が開催されている間、インディアナポリスの街はレース一色となるようだ。例えば、あまりレースに興味のない人は自宅をレースファンに貸し出し、自分はそのレンタル料で旅行に出かけてしまうのだとか。「インディ500」とは、まさにアメリカのレースファンにとって、年に1度の特別なレースなのである。

インディカー・シリーズは、インディ500のほかにも南北アメリカを中心に、1周1マイル(約1.6km)のショートオーバル、1周2マイルから2.5マイル程度の超高速オーバル、ロードコース、そして市街地コースなどさまざまなコースを転戦し、2016年はアメリカ、カナダでの全16戦で年間王者を争う。

このようにバラエティあふれるコースでバトルが展開されるインディカー・シリーズだが、その中でも最大の特徴といえば、やはりオーバルコースとなるだろう。インディカーには、このオーバルをより速く、そしてスムーズに走るための工夫が施されている。それは「スタッガー」と呼ばれるセッティングのことだ。(後述)

オーバルコースは、左回りの周回のみで、クルマの旋回方向が固定される。ゆえに、マシンのセッティングを、はじめから左周り想定にしてあるのだ。具体的には「ディファレンシャルギアの固定」「左右で異なるサスペンション設定」そして、「左右で直径の異なるリアタイヤ」だ。これによりドライバーがステアリングを切らなくても、自然に左へと曲がっていく特性を持つクルマになるわけだ。

IndyCar Seriesのタイヤ

オーバルからロード、市街地とさまざまなコースがあるインディカー。もちろん、タイヤもそのような状況の変化に対応する必要がある。

左回りのオーバルコースでは、「スタッガー」と呼ばれる専用セッティングに合わせ、右側のリアタイヤの直径が、左側よりも大きくなっている。ステアリングを切り、フロントタイヤに舵角を与えると、走行抵抗が発生し、エンジン回転は落ちてしまう。そこで、できるだけフロントタイヤに舵角を与えないで、コーナーを回るために考えられたのが、この「スタッガー」だ。一般的な紙コップを想像してみよう。飲み口の方が、コップの底よりも直径が大きくなっているため、これを机の上で転がすと、勝手に旋回する。この原理をクルマに応用しているのだ。こうすることで、コーナー旋回中のステアリングを切る角度を減らし、なるべくエンジン回転を落とさずにコーナーを回り、次のストレートでのエンジン回転を稼いで、直線での速度の伸びに繋げることができるのだ(もちろん、ストレートでは、ドライバーは右にステアリングを若干切る事となるも、それによる走行抵抗は少ない)。


また最近では、2009年からの新レギュレーションにより、ロードコースと市街地コースで開催のレースではプライマリー・タイヤに加え、よりコンパウンドが柔らかい、オルタネイト・タイヤを使用しなければならなくなった。

オルタネイト・タイヤは、柔らかい分当然グリップが高く、ラップタイムの向上が期待できる。しかし、その反面で耐久性が劣るというデメリットがある。それゆえこのオルタネイト・タイヤをどのようなタイミングで使用するかが、レースのカギとなるわけだ。 なお、この2種類のタイヤ。識別しやすいようにサイドウォールが色分けされている。真っ黒なプライマリー・タイヤは通称“ブラックタイヤ”。一方のオルタネイト・タイヤはサイドウォールが赤く染められ、通称“レッドタイヤ”と呼ばれている。

ブリヂストンとIndyCar Series

ブリヂストンが、アメリカのブランドであるファイアストンを買収したのが1988年。しかし当時、アメリカ市場においてファイアストンブランドの評判は、必ずしも好ましいものではなかった。そのイメージを向上させるためには、どうすればいいか……。そこでブリヂストンが取ったのが、アメリカ最高峰のレースにカムバックすることであった。
その目標のもと、すぐに日本の小平とアメリカのアクロンによるプロジェクトがスタートする。当初はアメリカ側と、日本側とで分担するコースを分け、情報交換を緊密に取りながら、開発を行った。アメリカ側が中速領域を担当し、日本側が低速と高速の領域を担当した。ここで活きたのが、グループCカーのタイヤ開発で培った高速耐久性とグリップ性能のノウハウだった。そうして1993年に開発をスタートしてから2年後の1995年シーズン。ついにファイアストンブランドは、アメリカ最高峰フォーミュラカーレースへの復帰を果たす。このときのユーザーはわずかに5人。しかし、それでも初年度から2勝を挙げ、「インディ500」でも、優勝まであと一歩と迫る活躍をしてみせるのである。

そして迎えた参戦2年目の1996年。アメリカのモータースポーツ界をゆるがす出来事が起こる。トップフォーミュラが分裂してしまうのだ。一方は、既存のCART(後のChamp Car)。そしてもうひとつは、「インディ500」を頂点とするインディ・レーシング・リーグ(IRL、現在のIndyCar Series)である。この事態に対し、ブリヂストンは両シリーズへのタイヤ供給を決断。
スーパースピードウェイとショートオーバルを使用するIRLでは、高速タイプを日本側で、低速タイプをアメリカ側が開発するという、分業体制で2シリーズに平等なサービスを提供した。

その後しばらく北米フォーミュラはこの2つのシリーズが共存するが、2003年にホンダとトヨタがCARTからIRLへの移籍表明を行うと、有力ドライバーやトップチームもこれに追随。北米トップフォーミュラの座は、一気にIRLが行うインディカー・シリーズへと移行していく。そして2008年シーズン、ついにChamp Car(CART)はIRLに吸収されてしまうのだ。

当初、インディカー・シリーズ用のタイヤ開発は日本とアメリカの分業であった。「インディ500」に代表される高速オーバルなどは日本が担当。アメリカ側はショートオーバルなど低速コース用タイヤを開発してきた。
しかし、徐々にアメリカ側の技術が向上していくことで、現在は「インディ500」参戦用タイヤの開発も、アメリカ側で行っている。

「インディ500」用タイヤの開発が、日本からアメリカに移った日。そのときのアメリカ側エンジニアの喜びようは尋常ではなかったそうだ。それほどまでにインディ500というレースは、アメリカのレース好きにとって特別なレース。そこで戦うこと、そして勝利することは、大きな意味を持っているのだ。
そしてその事実は、ブリヂストンがファイアストンの復活を北米トップフォーミュラへの参戦に賭けたことの正しさを、物語っていると言えよう。

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