カートのレースは世界中で行われています。
そうした「世界中のさまざまなレース」で多くのドライバーに使っていただくためのタイヤが、CIK公認タイヤです。タイヤメーカー各社からリリースされていますが、大きなレースの場合、多くはレース毎にメーカーが指定されていて、ワンメイクで用いられることになります。
世界の競技人口は大変な数にのぼります。そのドライバーの数だけドライビングスタイルも、カートのセットアップも存在する。さらには、サーキットのレイアウトや路面コンディションも多種多様。そういった使われ方に対応し、「条件を問わず誰もが性能を引き出せる」タイヤにすることこそが、CIK公認タイヤを開発する私たちの使命です。

今回新しくなったCIK公認タイヤのソフトのYLA、ミディアムのYLB、ハードのYLC、ウェットのYLPは、「ドライビングスタイルやコースの特性を問わず、誰もが性能を引き出せる」という特性を完全に備えながら、グリップ、コントロール性、耐摩耗性のすべてを、従来品に対して一段高い次元にレベルアップさせることを目標にして開発を進めてきました。
具体的には、カートのトップカテゴリーであるSUPER KFクラスのいわゆる「スペシャルタイヤ」の開発で培ったグリップ・コントロール性向上のテクノロジーをCIK公認タイヤにフィードバック。ベテランドライバーから若手ドライバーまで、幅広い世代のドライバーによるテストドライビングを繰り返して、ここ最近のカートの進化の方向性に適合させながら、ドライビングスタイルを問わず性能を発揮できるようチューニングしていきました。
最低重量が上がっているにもかかわらず、ラップタイムが以前と同等から速くなっていることからもわかるように、カートも年々少しずつ進化しています。たとえば、フレームの方向としては以前よりも剛性を高める方向に進化しています。これに合わせたタイヤを開発しようというとき、重要になるのはタイヤ自体の剛性のバランスの取り方です。バランスを取るにあたり、ピークグリップを高いところで維持しながら、高いトラクション性能とグリップ抜けのない操作性の幅の広いタイヤ、いわゆる「扱いやすい」タイヤに仕上げることに重点を置きました。
今回のCIK公認タイヤの開発コンセプトのほんの一面でしかありませんが、構造や形状などで剛性のバランスをとりながら、それにあわせてゴムをチューニングすることで、誰もが最新のカートの持つポテンシャルを引き出せるようにすることを狙いました。
もちろん、ドライタイヤと同様、ウェットタイヤもグリップ性能・コントロール性能などのトータル性能についても、従来品に対して、一段上の性能へと進化させています。開発中、降って欲しいと思うタイミングで必ず雨が降るわけではないので、コースに散水して走行するだけでなく、過去のテストやレースなどで集めてきたデータもフル活用。これまでもご好評いただいていた高いグリップとコントロール性能が、低温から高温までより幅広い温度域、乾き気味の路面からフルウェットの状態まで幅広いコンディションで発揮できるものに仕上がっています。
多くのドライバーがブリヂストンのカートタイヤでレーシングキャリアをスタートさせ、いまも世界中でトップドライバーとして活躍しています。
ブリヂストンが1997年から2010年までの14年にわたって参戦してきたF1でも、L.ハミルトン選手やJ.バトン選手、N.ロズベルグ選手、そして小林可夢偉選手など、ブリヂストンのタイヤとともにステップアップしてきたドライバーがたくさんいます。これは開発に携わる人間として、非常に誇らしく思っていますし、ぜひ彼らに続くドライバーが一人でも多く出てきてほしいと思っています。
私たちはこれからも、全てのドライバーが自らの力を100パーセント発揮することができ、そしてレース後に「使って良かった」と思えるタイヤを開発していきたいと思っています。