モータースポーツタイヤ情報

カート

基本性能の高さと、あらゆるドライビングに 忠実に応えられる柔軟性を 兼ね備えたタイヤに仕上がっている
よく言われることですが、タイヤは路面と接する唯一のパーツです。タイヤの性能をきちんと発揮して走れるようにすることが勝利への近道なのは、言うまでもないでしょう。 特に全日本カート選手権のKF2クラスなど、ワンメイクで争われるカテゴリーの場合、タイヤを使いこなすことの重要性はさらに高まります。なにしろ「全員が同じタイヤ」なのですから、自分に最も適した方法で、タイヤから少しでも多くのグリップを引き出すことができたほうがいいに決まっています。
タイヤ本来の性能がより幅広い条件で発揮される

今回、3年ぶりにモデルチェンジをするブリヂストンのCIK公認タイヤの開発ドライバーとしてめざしたのは、「グリップやコントロール性、耐摩耗性などの性能を引き上げる」ことと「タイヤ本来の性能を発揮できる領域を広げる」ことです。
どんなタイヤにも、本来の性能を発揮できる領域があります。すべての条件がぴったりと合致したときの性能を「100」として、砂が出ていたり、路面が荒れていたり、路面温度が低かったりすることで徐々に狭くなっていってしまいます。またドライビングスタイルの違いによっても変化するものです。
せっかくタイヤとしての基本性能を引き上げたのだから、これをできるだけ多様な条件で最大限に引き出せるようにできないか?というのがテストの際の重点項目になりました。
年間を通じ、高速コースから低速コースまで多くのサーキットでテストを行うのはもちろん、カートのセッティングやタイヤの内圧、ライン取りなど、あらゆる可能性を考えてテストを行いながら、条件を問わず高いグリップ性能、コントロール性能を発揮できるタイヤをつくりあげていきました。
「誰がどんなカートで、どんな路面コンディションで乗っても、必ず『ここぞ』というポイントが見つけられる」タイヤに仕上がったと自信を持っていますし、これこそがCIK公認タイヤに求められる特性であると思っています。

同じタイヤからより多くのものを引き出せるようにするには

この特性を実現するために、テストドライバーとして心がけたのは「グリップしないなら、なぜグリップしないのか?」「計算上では実現できているとされる性能が発揮できないのはなぜか?」を常に考えながら、ブリヂストンのエンジニアの方と解決策を探していく、ということでした。
これは私も先輩ドライバーから学んできたものですが、入門カテゴリーからステップアップしてきて、初めてハイグリップ系のタイヤを使うというドライバーは特に、こうした考えを常に念頭に置いて「タイヤと会話する」ことを心がけてみて欲しいと思います。最初にもお話ししたとおり、他のドライバーとタイヤが同じならば、できるだけ多くのものをそこから引き出すのが、勝利への近道だからです。

「タイヤと会話する」ための具体的な方法は、とにかく走り込んで自分の体に染みこませていくしかありませんが、このことを考えるときにいつも頭に思い浮かぶのは、かつて一緒にレースを戦っていたこともある小林可夢偉選手のことです。
彼の面白かったのは、ときに信じられないようなアプローチでカートを速く走らせようとしていたところです。セッティングなどでも、長くカートをやっていたら普通は考えないような──「言いたいことはわかるけれど、そんなことをしているドライバーはいないでしょう!?」というようなことまで、平気で試そうとする。
必ずしも試みがうまくいくことばかりではなかったようにも見えましたが、それでも「これ」と決めつけずに最善のポイントを探っていく姿勢は「見習わなくては」と思わされたものです。その後の彼の活躍は、そうした速さを引き出すための「創意工夫」と、きっと無関係ではないでしょう。
「何かがしっくり来ない」「もう少しグリップしてもよさそうなものなのに」と感じたら、これまでと違ったアプローチを試みてみるべきかもしれません。そうすることで、カートやタイヤへの理解もより深まっていくではないかと思います。

このタイヤでぜひ、自分の持ち味を十分にいかした走りを

KF2クラスで使われるミディアムタイヤは、従来の同スペックと比べても大きく進化していて、うまく使えればソフトタイヤにも迫るようなグリップを引き出すことができます。さらに、その性能が幅広い条件で発揮されるので、カートをセッティングしていくときにも、これまでの方法にとらわれず、できるだけ考えを柔軟に持つようにしていくことで、「自分にピッタリ」の走りを実現できるようになるはずです。
ぜひ、このタイヤで自分の持ち味を十分に活かした走りをめざしていってください。