• 開催場所:セパンインターナショナルサーキット
  • 開催日:2019年12月11日(水) 〜 2019年12月14日(土)
2019-2020 FIM EWC Rd.2 セパン8時間:雨に翻弄された波乱のレースでYART YAMAHAが優勝!

2019-2020シーズン EWC 第2戦は初開催となるマレーシア・セパンインターナショナルサーキットで行われた。
この大会はEWC最終戦 鈴鹿8耐のトライアウトを兼ねており、参戦権を獲得する為に日本から10チームがエントリー。その中の8チームは全日本ロードレースや鈴鹿8耐でブリヂストンを装着してレースに参戦している。
BS勢でEWCに年間エントリーしているサポートチームは#5 F.C.C. TSR Honda Franceと#7 YART - YAMAHA。また今回のみのスポット参戦で大きな話題となっているのが#21 Yamaha Sepang Racing。今回の舞台であるセパンサーキットのチームでMoto-GPライダーのF.モルビデッリとH.シャーリン、WSBKライダーで鈴鹿8耐でもおなじみのM.ファンデルマークの3人が参戦、ブリヂストンタイヤを装着してレースに挑む。

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レースウィーク初日の水曜日は9:00~16:00に最初の走行となるプライベート走行が行われた。
若干雲が多く、時折強い日差しが出て路面温度は40℃以上まで上がる中、7時間の長いセッションでライダーが交代し、マシンセッティングを進めながらタイムを更新していく。
セッション中盤まででトップタイムを記録しているのはブリヂストンタイヤを装着する#5 F.C.C. TSR Honda France。2番手に#21 Yamaha Sepang Racingが続き、その差は僅か100分の1秒。
時間が経つにつれて雲が多くなり、気温が下がってきたところで雨がポツポツと降り出してきた。
徐々に雨は強くなって来て路面は完全にウエットに変化し、一部のライダーはウエットタイヤで走行するが、かなり強い雨が降ってきた所で赤旗が提示され、2時間弱を残しては中断となりこのままこのセッションは終了。
この後行われた2時間の公式フリープラクティスでは雨は止んだが路面はウエット。各車レインタイヤで周回を重ね、セッション後半に路面の水量がかなり少なくなった所でトップタイムを出したのは#21 Yamaha Sepang Racing。
そしてこの日最後の走行となるナイトプラクティスでは路面が徐々に変化していく難しいコンディション。更に辺りが暗くなってきたことで、路面が濡れているのか乾いて来ているのか分かり辛いとのライダーコメントが聞かれた。
セッション後半はドライタイヤで走行するライダーも出始め、トップタイムを出したのは全日本ロードレースにもスポット参戦していたBS勢の#88 Honda Asia-Dream Racing with SHOWAとなった。

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レースウィーク2日目の木曜日。この日は午前中に予選1回目、午後に予選2回目が行われ、予選総合結果の上位10台は日が沈んだ19:15から最終グリッドを決めるトップ10トライアルが行われる。
予選では青、黄、赤の腕章をつけたライダー順に20分間のタイム計測が行われる。9:30から行われた最初の予選でトップタイムは今回の注目チーム、#21 Yamaha Sepang RacingのMoto-GPライダー F.モルビデッリ。2番手には#5 F.C.C. TSR Honda France、#7 YART - YAMAHAは7番手。
次の黄腕章ライダーもYamaha Sepang Racingがトップでライダーは地元マレーシアのMoto-GPライダーH.シャーリン。TSRは5番手、YARTはF.マービンが2周目のタイムアタック中に転倒してしまい、タイム未計測となってしまった。
3人目の赤腕章ライダーでもYamaha Sepang RacingのM.ファンデルマークがトップとなり、全ライダーがトップを獲得する。
2番手はYART、3番手はTSRとブリヂストンチームがトップ3を占めた。
午後の予選2回目が行われた午後は気温・路面温度が上昇し、タイム更新は困難な状況で多くのライダーはタイムを更新することが出来ず。
走行したライダーの平均タイムで予選総合順位が決まり、トップ#21 Yamaha Sepang Racing、2番手に#5 F.C.C. TSR Honda France、3番手がYART - YAMAHA。YARTは転倒したM.フリッツは鎖骨を骨折し、決勝レース出場は不可能となりライダー2名の平均タイムとなっている。
またブリヂストンタイヤ装着チームの#88 Honda Asia-Dream Racing with SHOWAが健闘し9番手に入りトップ10トライアルへの進出を決めた。
日が沈んであたりが暗くなった19:15からトップ10トライアルが開始。鈴鹿8耐では2名のライダーが走行するが、今回はチームのベストタイムを出した1名のみで総合予選10番手のライダーから1人づつ、コースインして1周のウォームアップラップの後、1周のみのタイム計測を行い、最終グリッドが決定する。
BSライダーで2番手に出走した#88 Honda Asia-Dream Racing with SHOWAのS.チャントラが2'05.440でトップに立ち、その後から走行するライダーたちはこのタイムを更新できない。
9番手に出走した#5 F.C.C. TSR Honda FranceのJ.フックは後半区間までトップタイムを上回るペースだったが、ラップタイムは0.044秒遅れとわずかに届かず。
最後に出走した#21 Yamaha Sepang RacingのF.モルビデッリはコース半周まではわずかにトップタイムを上回るペース。その後の残り半周でトップタイムを大きく上回るペースで走行。ラップタイムは2'04.647と約0.8秒差をつけてポールポジションを獲得した。

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レースウィーク金曜日は終日4輪走行となっており、EWCの走行は行われず。1日開けて決勝が行われる土曜日は朝から雨が降りコース上はウエットコンデション。
決勝がスタートする13:00頃は雨が強く降り、1周のウォームアップ走行を行った結果、路面上の水量が多過ぎて危険との判断でスタートはディレイに。
待機する事、約2時間の15:00頃に再スタートのアナウンスがあり、全車再びコースインし一度グリッドに並ぶ。雨は少し弱くなっていたが、コース上の水量はまだ多い為、セーフティーカーの先導で数周し解除になった時にスタートとなるSCスタート方式となる。スローペースで数周するが解除にはならず、30分ほど走行した頃に再び雨が強くなり今度は赤旗中断。
再び天候の回復を待つ事になり、約2時間後の18:00に再スタートが決定。その頃には雨も少し弱くなりの後は徐々に止んでいく予報。
2度目のセーフティーカースタートでレースは再開され、解除になった瞬間から先頭を走っていた#21 Yamaha Sepang RacingのM.ファンデルマークが一気にペースを上げ後続を引き離す。
後方では#5 F.C.C. TSR Honda Franceが順位を上げ2番手に浮上。#7 YART - YAMAHAのN.カネパは何かあったのか序盤に順位を大きく落としてしまう。
#5 TSRは周回毎に#21 Yamaha Sepangとの差を詰め、数周後には接線のトップ争いに発展。この2台は後続よりペースが速く、3位以下を大きく引き離しながら周回。
しかしスタート再開から約30分後に最終コーナーでトップ争いに波乱が起きる。#5 M.ディメリオが#21 M.ファンデルマークのイン側に入ろうとした時に転倒、これに#21 M.ファンデルマークが巻き込まれ2台が同時に転倒してしまう。
#5 M.ディメリオはマシンをすぐに起こして再スタートしたものの、#21 M.ファンデルマークはダメージがあった為、そのままピットインしマシン修復に取り掛かる。
#5 TSRは転倒後もそのままトップをキープ。2番手との差は数秒ほどだったが、再び後続を大きく引き離し始めていく。後方でも転倒やマシントラブルでピットインするマシンが続出。雨によりコンディションが難しくなった状況で順位を落とすチームが多い中、その他BS勢は#88 Honda Asia-Dream Racing with SHOWAが3位を走行、序盤に遅れていた#7 YARTも5番手まで順位を回復。
1時間を過ぎた頃からピットインするマシンが出始めた。トップ#5 TSRも1時間10分ほどでピットイン。しかしライダーは交代せずM.ディメリオが継続。その数分後に#7 TARTもピットインし、こちらもN.カネパが継続でコースに復帰。
#5 F.C.C. TSR Honda Franceが徐々に独走態勢を固めていくと思われたが、1時間50分を経過した頃に再び#5 M.ディメリオが転倒するシーンがモニターに映し出された。今回はダメージがあり、コースに復帰するもそのままピットインし修復作業を行う事に。
これでトップに立ったのは徐々に順位を上げていた#7 YART - YAMAHAのN.カネパ。2番手は#71 SUZUKI JEG - KAGAYAMA(MI)、3番手にブリヂストン装着チームの#88 Honda Asia-Dream Racing with SHOWA。
残り1時間を切った後も上位に波乱が起きる。2番手を走行していた#71 SUZUKI JEG - KAGAYAMAが突然スローダウン。コースサイドにマシンを止めているシーンが映し出された。これで#88 Honda Asia-Dream Racingは2番手に浮上、BS勢の1-2位となる。
2時間30分が経過した頃に#7 YARTは最後のピットイン。最終スティントもライダー交代はせずN.カネパが最後まで走行することに。
#7 YART - YAMAHAは雨の影響で実質3時間となってしまったセパン8時間耐久レースを安全に走り切りトップでチェッカー。EWC初開催レースでの最初のウィナーとなった。
2番手は大健闘のBS勢#88 Honda Asia-Dream Racing with SHOWA。EWCチャンピオン奪還を狙っている#5 F.C.C. TSR Honda Franceは13位、序盤の転倒で順位を落とした#21 Yamaha Sepang Racingは7位まで順位を回復してゴールした。

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◆YART - YAMAHA代表 Mandy Kainz
初開催サーキットのレース、そして今シーズン2戦目で優勝することが出来てとてもハッピーです。レースは雨の影響で短いレース時間になってしまいましたが、タイヤ・チーム・ライダーたちはレースウィーク中に素晴らしい仕事をしてくれました。
レース序盤に電気系のトラブルが出てしまい順位を落としてしまったけど、ニッコロ(カネパ)は自身でマシンをコントロールし素晴らしい走りで順位を回復してくれました。全スティントをニッコロ一人で走らせるか迷いましたが、本人がコースコンディションの変化をよく知っているし、ピットイン時に本人と話し大丈夫だと確認したので、そのまま走ってもらいました。結果を見ればこの決断は正しかったと思います。この優勝でチャンピオンシップ争いにも追いついてきましたので、次のルマン24時間(4月開催)でも表彰台を目指したいと思います。

◆(株)ブリヂストン 日本タイヤモータースポーツ・広告・イベント推進部長 平沼茂久
雨で波乱のレースを制したYART - YAMAHAのライダーおよびチームスタッフの方々にお祝い申し上げます。
強い雨が降り、安全性優先で状況が良くなるまでディレイになった事でレース時間が短くなってしまったとはいえ、転倒のリスクが高いレースで安定して速いペースで無事に走り切った結果、優勝と素晴らしいレースだったと思います。また2位表彰台を獲得したHonda Asia-Dream Racing with SHOWAも粘り強い走りでYART - YAMAHAと共に1-2位を獲得してくれたことに感謝します。残念ながらF.C.C. TSR Honda FranceとYamaha Sepang Racingは転倒で順位を落としてしまいましたが、非常に速いペースで他を圧倒する走りを見せてくれました。今回のレースにはブリヂストンタイヤを使用頂いている日本チームも多く参戦し、来年の鈴鹿8耐参戦権を得られたことで、目標を達成されたことと思います。これからもレーシングタイヤの製品開発を進め、多くの方々のレースを足元から支えていけるよう、頑張って参りたいと思います。

レース結果

コース:セパン

決勝

  • 開催日:2019/12/14
  • 決勝出走:50
  • 完走:45
  • (5.543km x 80laps = 443.44km)
順位 No ドライバー タイヤ チーム マシン シャシー エンジン 周回数 Delay(Lap) ベストタイム ベストラップ タイム
1 7 B.パークス/K.ハニカ/N.カネパ BS Bridgestone YART - YAMAHA YZF-R1 ヤマハ 80 49 2:18.616 05:50:03.837
2 88 Z.ザイディ/A.イズディハール/S. チャントラ BS Bridgestone Honda Asia-Dream Racing with SHOWA CBR1000RR ホンダ 80 55 2:20.692 05:51:53.459
3 37 I. ミハルヒク/M.レイターバーガー DL BMW MOTORRAD WORLD ENDURANCE TEAM S1000RR BMW 79 1 29 2:22.090 05:50:35.678
4 2 V.フィリップ/E.マッソン/G.ブラック DL Suzuki Endurance Racing Team GSX-R1000 スズキ 79 1 16 2:23.585 05:52:06.904
5 1 J. グアノニ/E.ニゴン/D.チェカ PI WEBIKE SRC KAWASAKI FRANCE ZX-10R カワサキ 78 2 64 2:23.081 05:50:43.776
6 21 F. モルビデリ/H. シャーリン/M.V.D.マーク BS Bridgestone Yamaha Sepang Racing YZF-R1 ヤマハ 78 2 67 2:17.817 05:51:11.394
7 48 A.S.カマルザマン/A. ノロディン/J.D.コスタ PI BMW Sepang Racing S1000RR BMW 78 2 17 2:23.039 05:51:23.846
8 36 M.ルシアーナ/M.ビーチェット/A.プランカッサグネ PI 3ART - MOTO TEAM 95 YZF-R1 ヤマハ 78 2 17 2:23.133 05:51:35.699
9 6 O.ジェジュク/R. ド プニエ/L.ロッシ PI Team ERC Endurance Panigale V4R ドゥカティ 78 2 77 2:24.227 05:51:36.192
10 73 関口 太郎/酒井 大作/名越 公助 BS Bridgestone Team Plusone S1000RR BMW 78 2 24 2:21.149 05:51:37.102
11 87 今野 由寛/C.セラー/M. シェリダン BS Bridgestone Team R2CL GSX-R1000 スズキ 78 2 53 2:24.541 05:51:54.570
12 5 J. フック/F.フォレイ/M.D.メリオ BS Bridgestone F.C.C.TSR Honda France CBR1000RR ホンダ 78 2 51 2:18.099 05:52:16.715
13 8 R.スタン/S.スチェット/N. ワラベン PI Bolliger Team Switzerland ZX-10R カワサキ 78 2 66 2:26.079 05:52:24.385
14 55 V. デビス/大久保 光 DL National Motos CBR1000RR ホンダ 77 3 71 2:24.787 05:50:23.449
15 90 D.ヴィンコン/J.ブーン/B.レワンドウスキィー PI Team LRP Poland S1000RR BMW 77 3 67 2:24.795 05:50:44.795
16 28 児玉 勇太/徳留 和樹 BS Bridgestone Team Kodama YZF-R1 ヤマハ 77 3 25 2:26.019 05:52:11.500
17 10 柳川 明/伊藤 和輝/井筒 仁康 BS Bridgestone KRP 三陽工業 & will raise RS-ITOH ZX-10R カワサキ 76 4 25 2:23.368 05:50:04.030
18 53 N. トーニ/V. ヴァルトネン/L. ヴァルシュヒューター PI Bertl K. Racing Team S1000RR BMW 76 4 62 2:23.910 05:50:07.864
19 333 F.アルト/F. マリノ/X. シメオン DL VRD IGOL PIERRET EXPERIENCES YZF-R1 ヤマハ 76 4 20 2:22.106 05:50:15.006
20 4 A.ティシェ/K.デニス/J.エンジョルラス DL Tati Team Beaujolais Racing ZX-10R カワサキ 76 4 74 2:27.753 05:51:18.569