• 開催場所:Paul Ricard
  • 開催日:2024年09月14日(土) 〜 2024年09月15日(日)
【2024 FIM 世界耐久ロードレース選手権 EWC】Rd.4 ボルドール24時間 YOSHIMURA SERT MOTULが737周を走破し独走優勝で2024 EWCチャンピオンを獲得!

FIM世界耐久ロードレース選手権 EWCの2024年シーズンは、最終戦となる第4戦 ボルドール24時間を迎えた。
ここまでのレースでシリーズランキングのトップ争いはブリヂストンがタイヤを供給している2チームが僅差の戦いとなっており、昨年のチャンピオンチームである#1 YART ー YAMAHA (Ya,BS)と#12 Yoshimura SERT Motul (Su,BS)が1勝づつ挙げ、両チームはここまでの3レース全てで表彰台を獲得。
両チームのポイント差は#1 YART ー YAMAHAが116ポイント、#12 Yoshimura SERT Motulが110ポイントと僅か6ポイント。ランキング3位には#37BMW MOTORRAD WORLD ENDURANCE TEAM(BMW,DL) が72ポイントとトップから44ポイントの差があり、ランキング4位のチームまでは逆転チャンピオンの可能性を残しているが、実質BS勢2チームのタイトル争いと言える。

最終戦の舞台となるポール・リカールサーキットは「ミストラル」と呼ばれる約1.8kmの長いバックストレートを持ち、風向きが追い風となる時には340km/hを超える最高速を記録する事がある。
今大会ではレースウィークに入った火曜日のフリー走行時から、追い風となる方向に強風が吹き、ストレートでは軒並み速い最高速を記録するが、コーナーでは横風がライダー達を苦しめた。
また路面状況が悪く、ブリヂストンサポートチームのライダー達も安心したグリップを獲得する為のセッティングに集中。火曜日のフリープラクティスで上位のタイムを記録し、木曜日からの公式スケジュールに向けて準備を整えた。Poul Recard.jpg公式スケジュール開始となる9/14(木)は現地時間14:00から最初のセッションとなる2時間の公式フリープラクティスが行われた。
この日もポール・リカールサーキットでは強風が吹き、上空には青空が見えているが冷たい風の影響で気温は20℃に届かない状況。この厳しいコンディションの中で#37BMW MOTORRAD WORLD ENDURANCE TEAMはトップタイムをマーク。2番手に#1 YART ー YAMAHA、3番手に#5 F.C.C. TSR Honda France(Ho,BS)が続き、#12 Yoshimura SERT Motulは5番手でフリー走行を終えた。

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【予選1回目】
公式フリー走行終了後、現地時間17:20から各ライダーの予選1回目が行われた。
最初の走行となる青腕章ライダーの予選20分間。トップタイムを記録したのはフリー走行から好調を維持する#37 BMW MOTORRAD WORLD ENDURANCE TEAM。2番手以降に1秒以上の差を付ける1'51.810を記録。2ー3番手にタイトルを争うBS勢の#1 YART ー YAMAHAと#12 Yoshimura SERT Motul。#5 F.C.C. TSR Honda Franceは8番手で最初の予選が終了。
続いて黄腕章ライダーの予選が開始され、このセッションでも#37 BMWが1'52.288でトップタイムを記録。2番手に#1 YART ー YAMAHAがつけるが、1'53.712で約1.4秒と大きなギャップがある。その他のBS勢は#12 Yoshimura SERT Motulが5番手、#5 F.C.C. TSR Honda Franceは8番手で2人目の予選が終了した。
3人目となる赤腕章ライダーではに#1 YART ー YAMAHAが1'54,321でトップタイムをマークし、3番手に#5 F.C.C. TSR Honda France。タイトルを争う#12 Yoshimura SERT Motulは12番手とタイムが伸びず。
各チーム3人のライダーから速い2人の平均ラップタイム順で予選が決まり、1回目の予選終了時点での暫定トップは#37 BMW MOTORRAD WORLD ENDURANCE TEAM。2番手に#1 YART ー YAMAHA、3番手に#12 Yoshimura SERT Motulとランキングの上位3チームがトップ3を占めた。QP1.jpg【予選2回目】
公式スケジュール2日目となる9/13(金)は11:00から予選2回目がスタート。前日同様に風が強く、体感では気温が低く感じる状況。
最初の走行となる青腕章ライダーが次々とコースイン。セッションの半分が経過する頃、トップタイムは全日の予選1回目でもトップとなった#37 BMWで好調を維持。しかし予選終了間際にBS勢の#1 YART ー YAMAHAのN.Canepaが前日のタイムを更新する1'52.654を記録してこのセッションのトップに立って終了。その他のBS勢は#5 F.C.C. TSRが5番手、#12 Yoshimura SERTが7番手となっている。
2人目の黄腕章ライダーの予選では走行開始4分で赤旗が提示され、セッションが中断。走行再開となってからトップタイムを記録したのは#1 YARTのM.Fritz。このままトップでセッションを終えるかに思えたが、終了間際に#37 BMWがタイムを更新し、トップポジションを奪ったところで終了。3番手には#12 Yoshimura SERTがつけた。
3人目、赤腕章ライダーの予選セッションでは終盤に#333 HONDA VILTAÏS RACING(Ho,PI)がトップタイムとなる1'52.628を記録。2番手に#12 Yoshimura SERT Motul、3番手に#1 YART ー YAMAHA、4番手に#5 F.C.C. TSR Honda Franceと2~4番手をBS勢が占めた。QP2.jpg予選の全セッションが終了し、各チームの速いライダー2名のベストタイム平均でポールポジションを獲得したのは#37 BMW MOTORRAD WORLD ENDURANCE TEAM。#1 YART ー YAMAHA、#12 Yoshimura SERT Motulが2ー3番手となり、ランキング3チームがグリッド上位を占める形となった。4番手に#333 HONDA VILTAÏS RACING、#5 F.C.C. TSR Honda Franceは5番手からスタートとなった。

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【決勝レース】
9/14(土)は24時間の長いレースのスタート日。前日まで吹いていた強い風は治まり、強い日差しの下で現地時間15時(日本時間22時)から伝統のルマン式により、24時間のレースがスタート。
ホールショットは予選3番手からスタートした#12 Yoshimura SERT Motulが飛び出し1コーナーホールショットを奪う。#37 BMW MOTORRAD WORLD ENDURANCE TEAMが2番手で通過し、ランキングトップの#1 YART ー YAMAHAはやや出遅れてしまう。
レース序盤は#12 Yoshimura SERT、#37 BMW、#1 YARTに加え#4 TATI TEAM BERINGER RACING (Ho,PI)とBS勢の#5 F.C.C. TSRがトップ争いを展開。スタートから1時間を経過する頃には#5 F.C.C. TSR、#12 Yoshimura SERT、#4 TATI TEAMの3台が少し抜け出してきた。038766_Fim_Ewc_Bol_Dor_2024_Race_FCC TSR Honda France.jpg最初のピットインのタイミングで各車は給油とライダー交代を行う。しかしこの時間帯でランキングトップのBS勢 #1 YART ー YAMAHAにトラブルが発生。5分ほどのピット作業でコースに復帰するが40位前後まで後退。更にトップを走行していた#5 F.C.C. TSR Honda Franceにもトラブルが発生し、緊急ピットインとなってしまう。
これにより2時間経過時点では#12 Yoshimura SERT MOTUL、#37 BMW MOTORRAD WORLD ENDURANCE TEAが数秒差でトップ争いを展開。#333 HONDA VILTAÏS RACING、#99 KM 99(Ya,DL)と続く。
時間が経過して来るとトップ争いは#12 Yoshimura SERTと#37 BMWの2台に絞られ、約10~30秒と2台の差は変化しながらも周回を重ねて夜を迎える事となる。JG9_5712.jpg現地時間21時過ぎには陽が沈み、夜間の走行に突入すると徐々に気温も低下。スタートから6時間が経過した頃、序盤に順位を落としていた #1 YART ー YAMAHAは5位まで挽回。しかし#5 F.C.C. TSR Honda Franceはトラブルによるピット作業が長引き、20位以下のポジションを走行している。
1分以内の差を維持したまま周回するトップ2台に変化が出たのは10時間を過ぎた辺り。#37 BMW MOTORRAD WORLD ENDURANCE TEAMが#12 Yoshimura SERT MOTULの前に出て遂にトップが入れ替わる。
だがその後ライダー交代が行われ、トップの座を維持していた#37 BMWがハイサイドで転倒。ライダーはピットに戻るが修復作業に時間が掛かり、トップから5周遅れでレースに復帰。これにより#12 Yoshimura SERT MOTULが単独トップとなった。

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#12 Yoshimura SERT MOTULは8時間・16時間経過時が1位だったことで、2回の経過時間での獲得ポイントはポイントはフルポイントとなる20ポイントを獲得。この時点でランキングを争う#1 YART ー YAMAHAを逆転となった。
夜が明け、残り時間が少なくなってくると徐々に各チームへのトラブル発生が多くなってきた。BS勢の#5 F.C.C. TSR Honda Franceは19時間が経過し、残り5時間となった頃には7位まで順位を回復させた。だがその後、マシントラブルが発生したと思われ、コース脇でストップしている映像が映し出された。
再スタートする様子が無く、マシンは車でピットまで運ばれた後、メカニック達がトラブルの原因を探し出すが、修復不可と判断され、残念ながらリタイヤとなってしまう。038856_Fim_Ewc_Bol_Dor_2024_Race_FCC TSR Honda France.JPGまた3位を走行していた#333 HONDA VILTAÏS RACINGもマシンがストップ。ピットに戻った後にメカニック達が必至の復旧作業を行っている映像が映された。
残り時間が2時間を切る頃、順位を4位まで挽回してきたBS勢 #1 YART ー YAMAHAが3位を走行するSSTクラスの#18 TEAM18 SAPEURS POMPIERS CMS MOTOSTORE(Ya,DL)との差が1分を切り、さらに残り1時間30分頃には約40秒差まで短縮。ラップタイムの差から残り時間を考えると十分表彰台が獲得出来る状況まで両チームの差は詰まると、残り1時間となるまでに順位が入れ替わり、#1 YART ー YAMAHAはついに表彰台圏内まで挽回する事に成功。Last.jpg長い24時間のレース、マシンには過酷な条件となるポールリカールにおいて、トップを独走するBS勢 #12 Yoshimura SERT MOTULは大きなトラブル無く、24時間 737周を走破しトップでチェッカーを受け、同時に2024年シーズンのタイトルを獲得。ブリヂストンサポートチームの4年連続5回目のチャンピオン獲得となった。
2位には#99 KM99が7周遅れでゴール。トラブルを乗り越え、トップから16周遅れとなりながらもBS勢の#1 YART ー YAMAHAが3位表彰台を獲得した。

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◆加藤陽平 - Yoshimura SERT Motul チームディレクター
世界耐久選手権のタイトル獲得は、多くの方々の支えとチームの努力によって達成された結果で、皆様のお陰で有終の美を飾ることができました。その中でまずは、ヨシムラチューンのスズキGSX-R1000Rが素晴らしいバイクである事を証明でき、嬉しく思います。その卓越した性能と信頼性は、耐久レースの厳しい条件を乗り越えるための大きな力となり、我々の戦略と実力を最大限に引き出してくれました。またブリヂストンタイヤは条件の異なる様々なレースを通して安定したグリップと耐久性を提供してくれました。このタイヤの素晴らしいパフォーマンスがあったからこそ、私たちは最高の結果を達成することができました。また関係各社やチームの全員にも深い感謝の気持ちを伝えたいです。開発スタッフ、メカニック、協力会社の皆様、そして全てのサポートメンバーが、昼夜を問わず働き続け、この結果に繋がりました。その努力と献身がなければ、この勝利は実現しなかったでしょう。2024年の世界チャンピオン獲得に感謝し、今後もさらなる高みを目指して挑戦を続けていきますので、引き続きのご支援をどうぞよろしくお願いいたします。YSM_044933.jpg

レース結果

コース:Paul Ricard

決勝

  • 開催日:2024/09/15
  • 決勝出走:45
  • 完走:26
  • (5.771km x 737laps = 4253.227km)
順位 No ドライバー タイヤ チーム マシン シャシー エンジン 周回数 Delay(Lap) ベストタイム ベストラップ タイム
1 12 G.ブラック /E.マッソン/D. リンフッド BS Bridgestone YOSHIMURA SERT MOTUL GSX-R1000R スズキ 737 552 01:53.188 24:01:28.767
2 99 F. マリノ /R. ド プニエ/J. グアノニ DL KM99 YZF-R1 ヤマハ 730 7 89 01:53.487 24:02:19.639
3 1 N.カネパ /M.フリッツ/K.ハニカ BS Bridgestone YART - YAMAHA YZF-R1 ヤマハ 721 16 537 01:53.455 24:02:40.803
4 18 E. デ ラ ベガ /B. ギテット/M. ペリゾッティ/M.ギネス DL TEAM 18 SAPEURS POMPIERS CMS MOTOSTORE YZF-R1 ヤマハ 720 17 215 01:55.178 24:02:50.221
5 37 I. ミハルヒク /M.レイターバーガー/H. スーマー DL BMW MOTORRAD WORLD ENDURANCE TEAM M1000RR BMW 718 19 118 01:52.517 24:03:08.388
6 41 C.リーシュ /W. テッセル/M. レノーディン/D. ポンセ DL CHROMEBURNER RAC41 HONDA CBR1000RR-R ホンダ 716 21 144 01:54.448 24:03:17.458
7 27 T. ワード /T. オリバー/E. ラハティ DL TRT27 AZ MOTO CBR1000RR-R ホンダ 713 24 20 01:55.323 24:02:40.924
8 33 D. サンチス /G.アンティガ/S. サルタレッリ/M. グレゴリオ DL TEAM 33 LOUIT APRIL MOTO ZX-10R カワサキ 712 25 568 01:55.070 24:02:31.827
9 36 S. モライス /C.ケマー/D. ヴィエッティ ラムス/綿貫 舞空 DL 3ART BEST OF BIKE YZF-R1 ヤマハ 705 32 623 01:55.708 24:02:12.476
10 34 J. モーア /M. メルケルバーグ/C. コルトー/J. レノーチ DL JMA RACING ACTION BIKE GSX-R1000R スズキ 703 34 221 01:56.417 24:02:37.862
11 14 石塚 健 /C.バーグマン/M. チョイ DL MACO RACING Team YZF-R1 ヤマハ 702 35 586 01:56.230 24:02:00.384
12 77 A. ヴィレブスキ /K. クルゼミエン/J. クシミェチェク PI Wójcik Racing Team EWC 77 YZF-R1 ヤマハ 700 37 234 01:56.182 24:03:14.686
13 53 S. トゥルーブ /M. ミラレス ゴンサレス/G. モナヤ DL MANA-AU COMPETITION CBR1000RR-R ホンダ 698 39 529 01:55.829 24:01:48.290
14 72 G. カーボネル /D. ダーレ/V. フェレ/D.ミッレ DL Junior Team LMS Suzuki GSX-R1000R スズキ 697 40 509 01:57.099 24:02:35.855
15 119 A. ロディ パック /J. フォレイ/M. アルコバ エスピ/C. ディラー DL Slider Endurance CBR1000RR-R ホンダ 697 40 472 01:55.861 24:03:24.589
16 42 J. ボンネット /J. ワン チャン/N. ヴァスタ/C. ガルシア DL GREEN TEAM 42 LYCEE SAINTE CLAIRE YZF-R1 ヤマハ 695 42 124 01:57.497 24:03:27.595
17 55 S.スチェット /V. スチェット/G. レイモンド DL NATIONAL MOTOS HONDA CBR1000RR-R ホンダ 694 43 9 01:55.658 24:02:36.391
18 86 L. ビタリ /E.ブーロム/L. ド ヴレーシューヴェル/T. スミッツ DL PITLANE ENDURANCE - JP3 YZF-R1 ヤマハ 693 44 538 01:56.150 24:02:14.877
19 15 A. ラミア /T. ザエフェル/E.ダプイ/E. パリス DL Aprilia Le Mans 2 Roues RSV4 アプリリア 684 53 559 01:59.024 24:03:32.128
20 241 G. ブリュヤット /W. ウォールアート/D. エンリケス/A. クルーゾ DL AG RACING TEAM #241 CBR1000RR-R ホンダ 678 59 14 01:56.694 24:03:33.197