• 開催場所:ブガッティ サーキット
  • 開催日:2025年04月19日(土) 〜 2025年04月20日(日)
【2025 FIM 世界耐久ロードレース選手権 EWC】Rd.1 ルマン24時間 不安定な天候と目まぐるしく変化する路面状況の中でYART-YAMAHAが優勝!

FIM EWC Rd.1ルマン24時間は、2輪世界耐久レースの開幕戦として今年もフランス、ルマン市にあるブカッティ・サーキットで始まった。
昨年度の年間チャンピオン#1 Yoshimura SERT Motul(Su,BS)、一昨年チャンピオン#7 YART-YAMAHA(Ya,BS)、3年前のチャンピオン#5 F.C.C. TSR Honda France(Ho,BS)の3チームを昨年までサポートしてきたブリヂストンは、今年新たに#11 Kawasaki Webike Trickstar(Ka, BS)と#37 BMW MOTORRADO World Endurance Team(BMW,BS)を加えた5チームをサポート。


2025 BSサポートチーム写真.jpg初戦となるルマン24時間は、4輪の耐久でも有名なルマン市、サルト・サーキット内に常設されている4.185kmのショートコース、ブカッティ・サーキットで毎年行われる。レースウィークに入った火曜日には、フリー走行が行なわれ、水曜日には毎年恒例のパレードがあり大勢のファンがルマン市内に詰めかけた。


JG9_0997-s70.jpg木曜日からは公式走行が始まり、現地10:00(日本時間17:00時差+7時間)から2時間のフリー走行が行なわれた。


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【予選1回目】
フリー走行の4時間後、4/17(木)現地時間16:00(日本時間23:00)から行なわれた予選1回目は、青腕章、黄腕章、赤腕章、緑腕章(リザーブライダー)の順で各20分ずつ計測が行なわれた。青腕章ライダーでトップに立ったのは#7 YARTのK.HANIKA。#1 Yoshimura G.BLACKも1分34秒台に載せたものの僅差の2番手。続いて行なわれた黄腕章ライダーのBS勢トップは、2番手のタイムをマークした#7 YART M.FRITZ。3番手には今シーズンからBSタイヤを装着する#37 BMW S.GUINTOLIが続いた。3人目となる赤腕章ライダーのセッションでは、#1 YoshimuraからD.LYNFOOTの代役として参戦する渥美心と今シーズンは#5 TSRからレギュラーライダーとして参戦する羽田大河の日本人ライダー二人がBSタイヤで出走。#1 Yoshimura 渥美心が1'35.187で赤腕章のトップに立ち存在感を示した。
予選1回目、総合トップに立ったのは、2人のライダーがセッションの首位を獲得した#7 YART。0.206秒差で続くのはチャンピオン#1 Yoshimura SERT。


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【予選2回目】
予選2回目は公式スケジュール2日目となる4/18(金)現地時間10:20(日本時間17:20)から、曇り空の下、再び20分間ずつで争われた。
青腕章ライダートップは、昨年N.CANEPAが樹立したコースレコードを上回る1'34.551をマークした#1 Yoshimura SERTのG.BLACK。続く黄腕章のセッションでは開始早々の赤旗中断、小雨など波乱があった中で、#7 YART M.FRITZがさらにコースレコードを更新する1'34.489で堂々の首位に立つ。前のセッションの影響で、5分遅れで始まった赤腕章ライダーの予選もトップは#7 YART、2番手#1 Yoshimura SERTの位置づけとなった。
全ての予選走行が終わり、各チーム上位2名のトップタイム平均では、#7 YARTが1分34秒663でトップ。2番手#1 Yoshimura SERTも1分34秒869と、この2チームのみが上位2名の平均タイムを1分34秒台に入れた。4番手には#37 BMWが入り、6番手#5 TSR、7番手#11 KWT。予選ではトップ7にBS勢が5台入り、決勝を迎えた。


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【決勝レース】
午前中に行われたウォームアップ走行では青空も見られたものの、グリッドに並ぶ為に各車コースインする頃から雨が降り始め、路面は完全にWetコンディション。Wetタイヤを履いた53台がスターティンググリッドに並び、15:00(日本時間22:00)にルマン式スタートが切られた。
真っ先に飛び出したのは#1 Yoshimura SERT Motul、2番手にP.Pスタートの#7 YART-YAMAHAが続く。一団となってタイトな3コーナーに進入するが、滑りやすいWet路面で早々に転倒者が出るなど、スタート直後から波乱が起きる長い24時間レースの幕開けとなる。
トップ#1 Yoshimura SERT、2番手#7 YARTで迎えたオープニングラップの最終コーナーでBS勢の#7 YARTがスリップダウンで転倒。すぐにレースに復帰するが17番手前後まで順位を落し、1周目は#1 Yoshimura SERT、#37 BMW、#5 TSRのトップ3、#11 KWTは5番手で通過。首位を走る#1 Yoshimura SERTだが5周目の6コーナーでスリップダウン。スタートからの数周で予選トップ2が転倒し、その他にも多数の転倒が出る波乱の序盤となる。
繰り上がりトップとなった#37 BMWは徐々に2番手以降を離し、2番手に#5 TSR、3番手は#77 WOJICK Racing Team EWC 77(Ho,PI)が周回を重ねる。オープニングラップで転倒のあった#7 YARTは徐々に順位を上げ、4番手まで挽回、#11 KWTは5番手。転倒し、順位を大きく落とした#1 Yoshimura SERTは修復後、レースに復帰すると34番手まで順位を回復し、最初の1時間が経過。
上位勢で#5 TSRと#77 WOJICK Racing Team EWC 77が共に最初のピットイン、その間に#37 BMWが単独トップとなり、数周後に行ったピット作業後、コースに復帰した時点でも後続を引き離したまま首位を維持。順調に周回を重ねていたが、2時間を迎える前に8コーナーで転倒してしまう。
これにより#5 F.C.C. TSR Honda Franceがトップに立ち、2番手には1周目の転倒から順位を回復してきた#7 YART。3番手には#11 KWTが走行と引き続きBS勢でトップ3を維持。レース開始から2時間を経過すると、路面は一部が乾き始め、ピット作業でDryタイヤに替えて走行するチームが増え始める。Photo1.jpgトップを走行していた#5 TSRもピットインの際にDryタイヤに替えてコースイン。しかしアウトラップ8コーナーでまだ濡れている路面に足元をすくわれ転倒。順位は変わらず、すぐに復帰できたものの、再び雨に見舞われ、ピットインしてDryタイヤからWetタイヤに戻す作業などのタイミングにより、#7 YARTとトップが入れ替わる。3番手にはここまで一度も転倒なく走行を続ける#11 KWT。5周目に転倒のあった#1 Yoshimura SERTは驚異的な追い上げで、この時点で4番手まで順位を挽回。転倒後、ピットでの修復作業を終えた#BMWも6番手まで挽回し、3時間経過時点ではBS勢がトップ6に5台が走行。
その後、徐々に雨が激しさを増し、コース上では転倒者が続出。4番手まで順位を回復していた#1 Yoshimura SERTも11コーナーで2回目の転倒を喫してしまう。
4時間を経過する頃には、#7 YART YAMAHAが123周でトップ、2番手に#11 Kawasaki Webike Trickstar、3番手に#5 F.C.C. TSR Honda Franceが約1周差で続き、#37 BMWはトップと約3周差で4番手。

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しかしトップを走行する#7 YARTにフロントタイヤの内圧が低下するトラブルが発生。緊急ピットインでタイヤ交換後、再びコースインするが、その間に#11 KWTがトップに立ち、#7 YARTは2番手でレースに復帰。その後は周回を重ねる毎に2台の差は縮まり、#7 YARTは#11 KWTを捉え再びトップとなる。
日が沈んでくると気温は徐々に下がり、雨は止んでいるものの、Wet路面の状態で夜間走行に入るが、スタートから6時間を超えると一部ライン上の路面が乾き始め、多くのチームはDryタイヤへ変更。しかし路面が乾いていないコーナーでの転倒も多く、順位を挽回していた#1 Yoshimura SERTも転倒してしまう。幸いダメージは少なく、そのまま走行は続けて16番手まで順位を回復。
トップ走行の#7 YARTは6時間半を超えて200周を走破。無転倒で走行する#11 KWTが2番手で続く。#37 BMWと#5 TSRはピット作業で順位が入れ替わる程の3番手争いを繰り広げ、上位をBS勢が占めている。
その後も路面はDry・Wetが混じるDumpコンディションの状況が続くが、レコードラインが概ね乾いてくる頃に、トップ4の#7 YART、#11 KWT、#37 BMW、#5 TSRもDryタイヤに交換。これによりトップ争いのペースが上がり始めるものの転倒者も多く、BS勢 の#1 Yoshimura SERTと#5 TSRも転倒してしまう。Photo2.jpgトップを争う#7 YARTと#11 KWTの2台の間隔は詰まり、ピットインのタイミングで順位が入れ替えがみられたが、#7 YARTが2回目の転倒。修復のためにピットインし、この間に#11 KWTに先を許すことになる。8時間経過時点でトップの#11 KWTには10ポイント、2番手復帰の#7 YARTに9ポイント、3番手を走行していた#37 BMWには8ポイント、5番手#5 TSRには6ポイントを獲得。#1 Yoshimuraは8時間経過の時点では28番手を走行している。
夜間走行に入ってからは雨も止み、400周を超えて走行するトップ2台の争いはしばらく小康状態が続く。レース時間の半分を折り返して13時間を経過すると、12コーナーで複数の転倒者が出て、今大会初のセーフティカーが導入となる。
14時間を超えると再び雨が降り出し、3番手を走行していた#5 TSRが再び転倒。約35分間のピット作業の間に#37 BMWが3番手に。15時間を経過すると、トップ#11 KWT、2番手#7 YART、3番手#37 BMWのBS勢トップ3になり、修復作業から戻った#5 TSRは7番手。複数の転倒から挽回中の#1 Yoshimura SERTは11番手まで再び順位を上げていた。Photo5.jpg空が明るくなってきた朝6:00(日本時間13:00)過ぎ、1台のマシンがエンジンブローで白煙を吹き、2回目のセーフティーカーが導入。コース清掃などの作業が行われ、約30分の作業後に解除となる。16時間経過時の順位は1番手#11 KWT、2番手#7 YART、3番手#37 BMW。#1 Yoshimura SERTは8番手まで順位を上げ、#5 TSRが11番手。16時間経過のポイントが#11 KWTに10、#7 YARTに9、#37 BMWに8、#1 Yoshimuraに5、#5 TSRに3が加算された。

レース後半に入ると上位勢に大きな順位の変動はなく、波乱の多いレースも残り4時間となる。残り約3時間半になる667周目、ここまで転倒はなかった#11 KWTが5コーナーで転倒。再スタート後もトップの順位は変わらず、走行を継続。2番手#7 YARTとの差はこの時点では2周だったが、#11 KWTはピットインの際にマシン修復作業を行い、トップ2台の差が縮まった。
#37 BMWは4番手、#1 Yoshimuraは6番手、#5 TSRは8番手まで順位を上げて、残り2時間を迎える。Photo4.jpg夜が明けてからも不安定だった空模様は、終盤に入ると再び雨が降り始め、残り1時間半を切ると路面はWetへ。続々と各チームはWetタイヤに交換。その中でWetタイヤに交換し、トップを走行していた#11 KWTが最終コーナーで痛恨の転倒。すぐにピットに戻り修復作業を行っている間に、#7 YARTが先頭に立つ。
残り時間が少なくなり、終盤の難しい路面コンディションの中、BS勢の#YART YAMAHAが最後まで慎重に走り切り、782周を走破しトップでチェッカー。大逆転で長いルマン24時間を優勝を飾った。
2位には#11 Kawasaki Webike Trickstarが入り、3位に#6 ERC Endurance #6(BMW,DL)が入った。一時はトップを快走した#37 BMW MOTORRADO World Endurance Teamは4位でチェッカー。#1 Yoshimura SERT Motulは度重なる転倒から6位まで挽回。#5 F.C.C. TSR Honda Franceは8位でゴールした。Photo3.jpg

レース結果

コース:ブガッティ サーキット

決勝

  • 開催日:2025/04/20
  • 決勝出走:53
  • 完走:39
  • (4.185km x 728laps = 3046.68km)
順位 No ドライバー タイヤ チーム マシン シャシー エンジン 周回数 Delay(Lap) ベストタイム ベストラップ タイム
1 7 K.ハニカ /M.フリッツ/J. オハロラン BS Bridgestone YART - YAMAHA YZF-R1 ヤマハ 782 625 01:37.290 24:00:11.469
2 11 R. ラモス アルバロ /M.D.メリオ/G.ルブラン BS Bridgestone Kawasaki Webike Trickstar ZX-10R カワサキ 782 744 01:36.922 24:01:49.359
3 6 I. ミハルヒク /K.フォレイ/D.チェカ DL ERC Endurance #6 M1000RR BMW 773 9 624 01:36.732 24:00:12.898
4 37 M.レイターバーガー /S.ギュントーリ/S. オデンダー BS Bridgestone BMW MOTORRAD WORLD ENDURANCE TEAM M1000RR BMW 772 10 621 01:36.978 24:01:05.161
5 24 I.ビニャーレス /M.ギネス/L. クレソン PI MAXXESS BY BMRT 3D ZX-10R カワサキ 761 21 591 01:38.292 24:01:10.711
6 1 G.ブラック /E.マッソン/渥美 心 BS Bridgestone YOSHIMURA SERT MOTUL GSX-R1000R スズキ 759 23 658 01:36.084 24:00:54.993
7 55 V. スチェット /G. レイモンド/J.ニゴン DL NATIONAL MOTOS HONDA FMA CBR1000RR-R ホンダ 755 27 649 01:40.031 24:01:23.547
8 5 A.ティシェ /C.ペロラリ/羽田 太河 BS Bridgestone F.C.C.TSR Honda France CBR1000RR-R ホンダ 750 32 596 01:36.758 24:01:24.222
9 8 N. トーニ /P. N. ロメロ バルボサ/A. トレド ロメロ PI Team Bolliger Switzerland #8 ZX-10R カワサキ 745 37 584 01:38.151 24:01:03.325
10 41 C.リーシュ /K.マンフレディ/石塚 健 DL Dafy-Rac 41- Honda CBR1000RR-R ホンダ 741 41 570 01:39.440 24:01:10.785
11 36 J.ウェストモーランド /D. ヴィエッティ ラムス/J. モーア DL 3ART BEST OF BIKE YZF-R1 ヤマハ 739 43 574 01:40.319 24:01:09.159
12 25 大久保 光 /渡辺 一樹/伊藤 元治/奥田 教介 DL TEAM ÉTOILE M1000RR BMW 732 50 606 01:38.996 24:01:16.456
13 99 R. ド プニエ /F. マリノ/J. グアノニ DL Elf Marc VDS Racing Team / KM99 YZF-R1 ヤマハ 731 51 592 01:37.043 24:00:13.196
14 33 G.アンティガ /D. サンチス/T. ニーヴ/D. サエス グティエレス DL TEAM 33 LOUIT APRIL MOTO ZX-10R カワサキ 730 52 691 01:38.349 24:00:46.217
15 53 M. シュミット /M. フェッツ/A. ラミア DL MANA-AU COMPETITION CBR1000RR-R ホンダ 728 54 532 01:40.188 24:01:36.365
16 18 B. ギテット /M. ペリゾッティ/A. サント ドミンゲス DL TEAM 18 POMPIERS IGOL CMS MOTOSTORE YZF-R1 ヤマハ 726 56 608 01:39.850 24:01:50.769
17 65 B. ウブル /D. ルービン/M. モリク PI Motobox Kremer Racing #65 YZF-R1 ヤマハ 726 56 609 01:41.816 24:01:58.494
18 72 L. カウチ /D. ダーレ/Q. ルブリエ/A. レピーヌ DL Junior Team LMS Suzuki GSX-R1000R スズキ 724 58 591 01:39.231 24:00:54.908
19 44 鳥羽 海渡 /G. ジャンニーニ/R. タンブリーニ/E. シントーニ DL HONDA NO LIMITS CBR1000RR-R ホンダ 723 59 656 01:38.552 24:00:34.511
20 56 C.ヘデリン /G. エリル トラレロ/M. ゴンザレス ロハス/C. ヴェルトハイゼン DL TEAM PLAYERS ZX-10R カワサキ 723 59 597 01:39.019 24:01:01.469