• 開催場所:スパ-フランコルシャン
  • 開催日:2026年06月06日(土) 〜 2026年06月06日(土)
【2026 FIM 世界耐久ロードレース選手権 EWC】Rd.2 スパ8時間

 ベルギー、首都ブリュッセルからドイツ国境方面へ150kmほど移動したスパ・フランコルシャンは、全長距離6.985km、高低差が約100m。山の地形を利用して建設されたサーキット。スパ8時間耐久は、毎年、金曜日にフリー走行と予選1回目、2回目、土曜日に決勝が開催される。スパ・ウェザーと呼ばれる、雨が降ったり止んだりの特有な天候で今年も始まった。約7キロある長いコースでは、ドライ、ウエット混在の難しい路面コンディションが今年も各チームを悩ませた。
 金曜日の現地時間9:00(日本時間16:00)から2時間行なわれる予定だったフリー走行は、セーフティーカー導入1回、赤旗中断2回、2回目の赤旗中断のまま約1時間半で終了した。フリープラクティスでトップタイムを記録したのは#1 YART Yamaha Official EWC Team(Yamaha,BS)で1分32秒489。2番手は#12 Yoshimura SERT Motul(Suzuki,BS)、3番手は#99 Elf Marc VDS Racing Team/KM99(Yamaha,BS)のブリヂストン勢トップ3、更にサポート全7チームがトップ10に入った。
 午前のフリー走行終了後、併催レースの走行やショーなどが行なわれ、サーキットはお祭りのような盛り上がりだった。現地時間13:35(日本時間20:35)からは予選1回目が行なわれた。予選は2回行なわれ、各チーム3名のライダーが走り、そのうち上位2名のライダーのベストラップで決勝グリッド順が決まる。

予選1回目

SVA_EWC26_20260605_101829-4_3mo.jpg 予選1回目、青腕章ライダーの時間帯は、ウエットパッチが残るトリッキーなドライコンディション。中盤、オイル漏れを伴い10台を超える転倒が発生、赤旗中断となった。このセッションでは#37 BMW MOTORRAD WORLD ENDURANCE TEAM(BMW,BS)のマーカス・ライターバーガーが2分18秒673を記録、唯一の2分18秒台でトップタイム。黄腕章ライダーでも、#37 BMWのスティーブン・オデンダールがただ一人2分18秒台の2分18秒988で#37 BMWがトップ。赤腕章ライダーも#37 BMWでマイケル・ファン・デル・マークが2分19秒450のトップタイムを記録し、予選1回目は全てのセッションで#37 BMWがトップだった。

予選2回目

SVA_EWC26_20260605_183845-3_3mo.jpg 予選1回目の赤旗中断などの影響で、予定時間よりも35分遅れて始まった予選2回目。開始直前に雨がぱらつき、場所によっては路面がウエットになった。現地時間17:10(日本時間24:10)から始まった青腕章ライダー予選は、#1 YARTのカレル・ハニカが2分30秒810でトップタイム。雨のため1回目のタイムを更新したライダーは居なかった。黄腕章ライダーの時間に入り、終盤、路面は通常のドライの状態へ近づいた。#37 BMWのオデンダールは2分18秒733を記録、1回目のタイムを更新してトップだった。赤腕章ライダーが始まっても、序盤はドライで、#37ファン・デル・マークが2分19秒633を記録。1回目のタイムは更新しなかったものの、このセッションのトップタイムとなった。
 総合では、#37 BMWはライターバーガー1回目とオデンダール2回目の記録で1番手。2番手は#1 YARTがハニカ1回目とマービン・フリッツ2回目のタイム合計で、トップとの差は0.530秒差だった。3番手は#5 TSRでコレンティン・ペロラリ、ダン・リンフッドの1回目タイムでトップとは0.687秒差の僅差だった。
 予選2回目が終わると、夜はピットウォークなどが行なわれ、B.B.Qを楽しむ人など、観客達が寒さも忘れる盛り上がりを見せた。

決勝

 6月6日(土)現地9:00(日本時間16:00)からは30分間のウオームアップ走行が行なわれた。このセッションでは#5 TSRがトップタイムだった。その後は、併催レースやピットウォークが行なわれ、観客も選手も暫くの間はリラックスした時間が流れた。

SVA_EWC26_20260606_130012-3_3mo.jpg 穏やかな天候の午前とは徐々に様相が変わり、スタートの現地時間13:00(日本時間20:00)ごろになると厚い雲がスパ・フランコルシャンを覆い始めた。気温も肌寒いほどになり、レース直前の緊迫感を一層高めた。ベルギー国歌斉唱など開会式の後、決勝参加の44台がサイティングラップを済ませた。緊張が走る中、ライダーが一斉に走り出すルマン式スタートでレースは始まった。スタート直後は混戦となり、#37 BMW、#12 Yoshimura、#5 TSRがトップを奪いあった。#1 YARTはスタートで遅れ、序盤は11番手まで順位を落とした。

10560447-2026-8-H-Spa-KAWASAKI WEBIKE TRICKSTAR FRA.jpg 10周目にはトップ10圏内を走行していた#76 AutoRace Ubeが転倒。13周目には#12 Yoshimuraも転倒。スタートから1時間は波乱が続いた。1時間経過を迎えるにあたり、トップを走行していた#37 BMWと#5 TSRは最初のピットイン。その間は、ピットストップを先に伸ばした#11 KWTが先頭に立った。スタートで遅れた#1 YARTもスタートから1時間を迎える頃には、3番手まで順位を回復。トップ#37 BMW、2番手#5 TSR、3番手#1 YART、4番手#11 KWT、5番手#99 KM99まで上位5台をブリヂストン勢が独占して1時間を経過した。

10560536-2026-8-H-Spa-YOSHIMURA SERT MOTUL .jpg スタートから2時間を迎えるまでには、トップの#37 BMWが徐々に後続を引き離しだす。この頃にはバックマーカーも増え、2番手#1 YART、3番手#11 KWTもそれぞれ3秒ほどのギャップが開き出した。序盤に転倒があった#12 Yoshimuraは2時間経過の時点で19番手。#76 AutoRace Ubeは27番手を走行していた。空模様は曇りのまま、場所によってはレインフラッグが振られ、ウエットにはならないものの、ウエットパッチは所々に点在する難しいコンディションが続く。3時間を経過する頃には、トップの#37 BMWは2番手#1 YARTとの差を約20秒まで広げた。#11 KWTは実質3番手、他の上位チームのピットインのタイミングの度にトップを走行する形になって行った。3時間経過時点でも、トップから5番手までは変わらず、ブリヂストン勢。序盤の転倒から#12 Yoshimuraは14番手まで順位を回復。#76 AutoRace Ubeは再スタート後、36番手まで順位を回復して走行を続けた。

DSC_6309.jpg 3時間を過ぎると、緑に覆われたスパ・フランコルシャンでは雨が降り出し、植物の色が輝き美しい景色が広がった。半面、ピットインのタイミングによっては、替えて間もないスリックタイヤを再びレインタイヤに替えるためにピットインを余儀なくされるチームもあった。#37 BMWはタイミングよくピット作業をこなし、折り返してすぐに100周を迎えた。#1 YARTは95周目に、#37 BMWがピットインするのと同時にピットイン。トップとの差が折り返し時点では約40秒になった。#1 YARTはスリックタイヤに交換したばかりで雨脚が強くなるなど、天候には恵まれなかった。監督のマンディ・カインツも、タイヤ交換、タイヤ選択については、くじ引きのようなものだから仕方がないと話していた。95周目は#11 KWTもピットイン。再び3番手でコースに戻った。#5 TSRは4番手。折り返す頃、一時4番手まで順位を上げていた#99 KM99は94周目にピットイン、トラブルを抱えマシンをガレージへ入れての長いピット作業となり、順位を落とした。序盤の転倒を挽回し続ける#12 Yoshimuraはレース2分の1を経過、9番手まで順位を回復。4時間経過時点では、トップ10にブリヂストン勢が5台となった。

10560158-2026-8-H-Spa-F.C.C. TSR HONDA FRANCE JPN.JPG 迎えた後半戦、ウエットとドライの混在のみならず、タイヤデブリなど路面状況は益々難しい状況となった。それにも関わらず、トップの#37 BMWは順調に120周を越えて、5時間を経過。2番手#1 YARTも長いスパのコース上、同一周回を走ってはいたが1分以上の差が開いた。3番手の走行を続ける#11 KWTは、残り3時間となる直前、グレゴリー・ルブランが激しいハイサイド転倒。幸い致命的なダメージはなく、レースを続けたがトップとの差は2周となった。4番手を走行していた#5 TSRは84周目にピットイン、マシントラブルで暫くピット作業を続けたが、無念のリタイアとなった。序盤は激しく順位を落とした#12 Yoshimuraは、遂に5番手まで挽回。マシントラブルから復帰の#99 KM99も8番手まで再び順位を取り戻した。2度の転倒に見舞われた#76 Auto Race Ubeは残り3時間で37番手を走行していた。

JG9_1785.jpg 疲労もたまり、集中力も途切れやすくなる時間帯、追い打ちをかけるように雨が激しくなり、故障車によりオイルが撒かれるなど、路面コンディションは困難を極めた。それでも#37 BMWは安定した走りでトップをキープ。ライダーチェンジ後の#37 BMWライダー達は、トップではあるけれど、とても難しい、大変な走行だと揃って話していた。天候に味方されなかった#1 YARTは残り2時間を迎え、ピット作業10回、トップの#37 BMWと3番手#11 KWTより2回多くピットインしていたが、2番手でトップを追った。3番手の#11 KWTもトップとは2周差、#1 YARTとは約1周半の差で走行を続けた。#12 Yoshimuraは残り2時間で4番手まで順位を取り戻した。#99 KM99は残り2時間で10番手に着け、ブリヂストン勢はトップ10に5台。#76 AutoRace Ubeは32番手まで上がった。

SVA_EWC26_20260606_190004-2_3mo.jpg 現地時間20:00(日本時間3:00)を迎える頃には、再び青空が広がり、日差しが明るくなった。レコードラインは完全ドライへと変化、場所によってウエットパッチが残る難解なコンディションとなった。トップは依然#37 BMW。2番手#1 YARTがこの1時間では30秒近く差を縮めた。#11 KWTはトップと2周差の3番手をキープ。この頃になると4番手#12 Yoshimuraが#11 KWTと同一周回まで追い上げた。マシントラブル後に再びトップ10へ戻った#99 KM99は8番手まで順位を上げて、残り1時間を迎えた。#76 AutoRace Ubeは30番手まで挽回。

SVA_EWC26_20260606_210116-9_3mo.jpg 日本の地形近くだと、樺太と同じくらいの緯度のベルギーでは、ゴールを迎える21:00(日本時間4:00)もまだ明るさが残っていた。ベルギーにチームの本拠地を構える#37 BMWは192周を走破し、悲願のトップチェッカーを受けた。予選から速さを保ち続け、見事ポールトゥーウィン。2位は、同じく192周、スタートと天候によるタイムロスで1分16秒079及ばなかった#1 YART。3位は激しい転倒にも関わらず、190周を走り遂げた#11 KWT。#12 Yoshimuraは序盤の転倒後、見事な追い上げで4位。#76 AutoRace Ubeは2度の転倒に見舞われたものの25位でチェッカー。残り1時間では8番手まで順位を上げていた#99 KM99は、ボ・ベンスナイダーが最後の1時間で激しく転倒。ピットで修理後、何とかコース復帰を果たし29位。

 この結果を受けて、年間チャンピオンシップは#1 YARTが90ポイントとなり首位をキープ、2番手は#12 Yoshimuraで69ポイント。3番手#37 BMWが68ポイントで1ポイント差。4番手は#11 KWTで63ポイント。EWCは年間4レース。残り2戦、次戦はいよいよ第3戦の鈴鹿8時間耐久が7月1日(水)に始まる。

レース結果

コース:スパ-フランコルシャン

決勝

  • 開催日:2026/06/06
  • 決勝出走:44
  • 完走:41
  • (6.985km x 192laps = 1341.12km)
順位 No ドライバー タイヤ チーム マシン シャシー エンジン 周回数 Delay(Lap) ベストタイム ベストラップ タイム
1 37 M. レイターバーガー /S. オデンダー/M.V.D.マーク BS Bridgestone BMW MOTORRAD WORLD ENDURANCE TEAM M1000RR BMW 192 44 2:19.820 08:01:08.887
2 1 K. ハニカ /M. フリッツ/L. メルカド BS Bridgestone YART - YAMAHA YZF-R1 ヤマハ 192 9 2:20.041 08:02:24.966
3 11 R. ラモス アルバロ /C. ガマリノ/G. ルブラン BS Bridgestone Kawasaki Webike Trickstar ZX-10RR カワサキ 190 2 38 2:20.186 08:01:48.594
4 12 G. ブラック /E. マッソン/D. リンフッド BS Bridgestone YOSHIMURA SERT MOTUL GSX-R1000R スズキ 189 3 4 2:20.424 08:02:25.066
5 4 H. クレア /M.D. メリオ/I. ビニャーレス PI Tati team AVA6 racing CBR1000RR-R ホンダ 188 4 3 2:21.318 08:01:28.371
6 49 K. カリア /S. サルタレッリ/F. フェローニ DL Revo-M2 RSV4 アプリリア 186 6 2 2:21.895 08:01:24.589
7 77 O. グティエレス /J. トレス フェルナンデス/M. モリク DL Wójcik Racing Team #77 SST CBR1000RR-RSP ホンダ 186 6 38 2:22.423 08:03:02.117
8 65 M. スタファー /L. リーマン/D. ガイガー DL Motobox Kremer Racing by 321 YZF-R1 ヤマハ 185 7 109 2:23.112 08:01:39.711
9 18 B. ギテット /M. ペリゾッティ/M. アルコバ エスピ DL TEAM 18 POMPIERS IGOL CMS MOTOSTORE YZF-R1 ヤマハ 185 7 71 2:22.870 08:02:19.962
10 6 M. シュロッター /K. フォレイ/J.O. ヤーニグ DL ERC Endurance #6 M1000RR BMW 185 7 2 2:21.591 08:02:50.153
11 25 大久保 光 /伊藤 元治/鳥羽 海渡 DL TEAM ÉTOILE M1000RR BMW 183 9 5 2:21.852 08:02:21.591
12 90 E.ブーロム /S. モライス/D.ウェブ DL LRP Poland M1000RR BMW 183 9 2 2:21.888 08:03:12.421
13 9 G.アンティガ /C.ポンソン/C.リーシュ DL TEAM TECMAS - MINERVA OIL M1000RR BMW 181 11 5 2:22.318 08:03:09.208
14 24 D. サンチス マルチネス /R. タンブリーニ/M. グレゴリオ PI MAXXESS BY BMRT 3D ZX-10R カワサキ 181 11 70 2:21.819 08:03:12.386
15 8 N. トーニ /A. トレド ロメロ/X. アルティガス ロペス PI Team Bolliger Switzerland #8 ZX-10R カワサキ 180 12 7 2:21.983 08:01:25.547
16 119 J. ディアス コルベラ /A. ロディ パック/J. クレタロ DL Slider Endurance CBR1000RR-RSP ホンダ 180 12 8 2:23.413 08:01:58.600
17 36 L.マヒアス /L.アーベル/L. ド ヴレーシューヴェル DL 3ART Best Of Bike Hamaguchi YZF-R1 ヤマハ 178 14 36 2:23.612 08:01:52.451
18 27 T. ワード /T. オリバー/E. ラハティ DL TRT27 AZ MOTO CBR1000RR-RSP ホンダ 177 15 9 2:22.821 08:01:24.491
19 85 C. ナポリ /M. ティボールト/J. ピロ DL TEAM RACING 85 by A2M2 ZX-10R カワサキ 177 15 35 2:26.436 08:01:39.596
20 98 M. デレストレ /F. ミンチョーネ BS Bridgestone TEAM PMS99 YAM SERVICE YZF-R1 ヤマハ 176 16 56 2:27.571 08:01:12.163