【2021年全日本モトクロス選手権 Rd.7 第59回MFJ-GPモトクロス大会 IA1クラス】 ヒート1で今季5勝目を挙げた山本鯨が、リードは1ポイントながらランキングトップ浮上！

第5戦近畿大会が中止されたことから、今季の全日本モトクロス選手権は全6戦のシリーズに。その5戦目となる第7戦が、第59回MFJ-GPモトクロス大会として宮城県のスポーツランドSUGOで開催された。
モトクロス以外にもロードレースやトライアル、エンデューロやスーパーモトの全日本選手権を開催する、複合モータースポーツ施設のスポーツランドSUGO。かつて実際に世界選手権が開催されたこともあるインターナショナルモトクロスコースは丘陵部に設けられ、アップ＆ダウンが豊富なレイアウトを特徴とする。コースは、以前と比べてタイトターンが多めとなった今季第4戦使用時の基本構成を踏襲しつつ、細部のセッティングが変更された。

各クラスの予選などが実施された土曜日は朝から強めの雨が降り、その後は晴れと曇りと雨が目まぐるしく変わる天候。それでも、路面コンディションが大きく崩れることはなく、ベストな状態がほぼ維持された。日曜日の天候は晴れ時々曇りで、最高気温は18℃。粘土質の路面は前日よりも柔らかく整備され、適切な散水作業などでベストな状態が保たれたが、その結果として深いワダチが多く発生し、この攻略も上位進出のカギとなった。
全日本最高峰クラスのIA1は、30分＋1周の2ヒート制。ディフェンディングチャンピオンの#1山本鯨（Honda,BS）は、前戦でポイントリーダーの渡辺祐介（Yamaha,DL）に2点差まで迫り、今大会での逆転を狙った。

■決勝ヒート1
#1山本鯨（Honda,BS）がホールショット。これに富田俊樹（Yamaha,DL）と能塚智寛（Kawasaki,DL）が続き、激しいトップ争いを繰り広げた。#6小島庸平（Honda,BS）も好スタートを決め、1周目は4番手。2周目に1台の先行を許したが、その後は前に離されながらも5番手をキープした。4周目、山本は能塚に抜かれて2番手後退。翌周にかけて再逆転を狙ったが能塚も譲らず、山本は背後でマークする戦略に切り替えた。
そしてレースが間もなく終盤を迎える10周目、山本が満を持して能塚を抜き、再びトップに立った。ここから能塚は一気に遅れ、代わりに富田が2番手。バックマーカーの影響などでラップタイムを少し落とす周もあったが、それでも山本は富田とのギャップを2秒前後に保った。そしてレースは16周でチェッカー。山本が今季5勝目を挙げた。小島は、一時7番手まで後退しながらも粘り、5位に入賞した。

■決勝ヒート2
このヒートでも、ホールショットを奪ったのは#1山本鯨（Honda,BS）。しかし1周目の途中で能塚智寛（Kawasaki,DL）の先行を許した。2周目、能塚が転倒して山本がトップに返り咲いたが、すぐにリスタートした能塚が背後に迫り、3周目に再び先行。山本の背後には富田俊樹（Yamaha,DL）も接近し、ヒート1に続いてこの3台がトップグループを形成して4番手以下を離していった。山本は能塚を無理には追わず、序盤の5周で両者のギャップは約3秒へと少し広がった。
レース中盤、山本の背後には富田が接近。9周目、山本は富田にパスされて3番手に後退した。翌周、能塚が3秒ほどラップタイムを落としたことで富田と山本が急接近。11周目に富田が能塚を抜き、山本も能塚の背後に迫った。しかし山本は富田に続くことができず、最後まで接近戦を演じるも3位でのゴールとなった。前戦終了時点でランキングトップだった渡辺祐介（Yamaha,DL）が8-4位とポイントを取りこぼし、これで山本はランキングトップ浮上。ただし富田に1点差で追われる状況で最終戦を迎える。

●山本鯨（決勝ヒート1／優勝、ヒート2／3位）
「土曜日に雨が降り、しかも1日の中で天候が目まぐるしく変化。日曜日は晴れで、前日に比べて路面は柔らかい傾向ながら次第に乾いていくという、著しくコンディションが変化する大会になりました。とはいえタイヤは、一貫してソフト。状況に合わせてライン取りを対応していく必要があったのですが、どのようなラインを選択してもタイヤの性能には安心感があり、高いポテンシャルを最初から最後まで発揮してくれたと思います。決勝のヒート1は、能塚智寛選手や富田俊樹選手とのトップ争いになりましたが、しっかりレースをコントロールして自分のものにできたと感じています。ヒート2は、走行が15時台。西日があまりにも眩しかったので、とくにレース前半はプッシュすることなく走りました。この時期の東北地方でこの時間帯にレースをするのは、危険だと感じました。ライダーは、走る向きによってはコースマーシャルのフラッグも路面もほとんど見えないような状況。しかも今回のコースはワダチが深く、安全ではないと感じました。それでも両ヒートを表彰台でまとめられたことには、満足しています。次はいよいよ最終戦。万全を期してレースに挑み、3年連続のシリーズタイトル獲得を必ず達成します」