【2023年全日本モトクロス選手権 Rd.2 腕時計のベルモンドCUP（関東大会） IA1クラス】開幕から2戦連続の3ヒート大会を、富田俊樹が3 / 2 / 2位でまとめて総合成績2位を獲得！

今季の全日本モトクロス選手権シリーズは、全9戦の設定。その第2戦が、「腕時計のベルモンドCUP」として埼玉県のウエストポイント オフロードヴィレッジで開催された。
コースは、荒川と入間川に挟まれた河川敷に設けられていて、アップダウンがほとんどなくタイトターンとジャンプが多くて幅が狭い、スーパークロス風のレイアウトを特徴としてきた。ただし、昨秋の全日本前に大幅なリニューアルが施され、以前とは逆の反時計回りにされると同時に、フラットな中高速セクションを追加。今大会は、そのレイアウトを基本的には踏襲したコースが用いられた。今大会のIA1、IA2、レディースクラスは、日曜日に予選と決勝をすべて実施する変則スケジュールを導入。エントリーが24台で予選落ちがないIA1クラスは、日曜日の朝に公式練習を兼ねた20分間のタイムアタック予選を実施して、決勝のスターティンググリッド選択順位を決めた。また決勝は、開幕戦に続いて15分＋1周の3ヒート制とされた。
天候は曇り時々雨。オフロードヴィレッジの路面は、乾けば締まってハードパックになるが、前日からの断続的な降雨により、朝の路面は水分を適度に含んだベストコンディションだった。正午ごろに20分間ほど雨が強めに降り、一時的に路面状況が悪化。しかし天候はすぐに回復し、ほどなくして路面状況も戻った。
なお最高峰クラスのIA1では、ヤマハのファクトリーチームから参戦する#3 渡辺祐介（Yamaha,BS）が、開幕戦のケガにより今大会を欠場した。

■決勝ヒート1
レースはジェイ・ウィルソン（Yamaha,DL）のホールショットで幕を開け、これに#6 大倉由揮（Honda,BS）や#1 富田俊樹（Yamaha,BS）、#4 大城魁之輔（Honda,BS）らが続いたが、1周目からウィルソンが大きくリードを拡大していった。大倉と富田が2番手争いを繰り広げ、3周目に富田が先行。翌周には大城も大倉のパッシングに成功した。レース中盤、富田と大城が2番手争いを繰り広げる一方で、大倉は#8 内田篤基（Kawasaki,BS）に迫られた。
しかし7周目あたりから、大倉がリズムを掴みペースを上げ、内田を引き離すと同時に3番手の大城に再び接近。これにより、レース終盤は富田と大城と大倉による三つ巴の2番手争いに発展した。そしてラスト2周となった10周目に、大城が富田をパス。レースはウィルソンが優勝し、最終ラップとなった11周目にベストラップタイムを叩き出して逃げ切った大城が2位、富田が3位、最後まで富田を追った大倉が4位、内田が5位となった。

■決勝ヒート2
再びホールショットを奪ったジェイ・ウィルソン（Yamaha,DL）が、コーナーの進入でオーバーランしてコースアウト。これにより#6 大倉由揮（Honda,BS）がトップに立ち、#1 富田俊樹（Yamaha,BS）や#8 内田篤基（Kawasaki,BS）、ウィルソン、#4 大城魁之輔（Honda,BS）が続いて1周目をクリアした。しかし、2周目に内田、翌周には富田と大倉がウィルソンに抜かれると、先行されたウィルソンに追従しようとした大倉がミスし、ここで富田と接触して大倉は転倒を喫した。
これにより、3周目の上位勢はウィルソン、富田、内田、大城、大倉のオーダーに。レース中盤、富田はトップのウィルソンに逃げられ、逆にその背後には内田が僅差で迫ったが、レース終盤になってギャップは再び2秒程度まで拡大した。内田の背後には大城と大倉が迫り、ラスト2周となった10周目に大倉が大城をパス。このバトルで、大城がやや遅れた。そしてレースはウィルソンが優勝。富田が2位、内田が3位、大倉が4位、大城が5位となった。

■決勝ヒート3
再びジェイ・ウィルソン（Yamaha,DL）がホールショット。#12 道脇右京（Honda,BS）や#1 富田俊樹（Yamaha,BS）、#8 内田篤基（Kawasaki,BS）、#6 大倉由揮（Honda,BS）、#4 大城魁之輔（Honda,BS）が追って1周目をクリアした。2周目、道脇が5番手まで順位を落とし、これで2番手に浮上した富田は、3秒ほど先行するウィルソンを追った。4～7周目にかけて、富田はウィルソンとほぼ互角のラップタイムをマーク。4秒ほどのギャップを保った。
レース中盤、このウィルソンと富田をはじめ、3番手の内田、4番手の大倉、4周目に道脇をパスした5番手の大城までは、それぞれが3～4秒ずつ間隔を開けて走行。淡々と周回が重ねられていった。そしてレースは、11周でチェッカー。ウィルソンが優勝し、富田は2位、内田は3位、大倉は4位、大城が5位となった。この結果、3ヒート総合成績では3位以内で成績をまとめた富田が2位を獲得。開幕戦に続き、内田が総合成績3位となった。

●富田俊樹（決勝ヒート1／3位、ヒート2／2位、ヒート3／2位）
「開幕戦と比べて、はるかにいいレースとなりました。今季は新型マシンでの参戦となり、もちろんシーズンオフの間に準備はしてきたのですが、実戦になってみて初めてわかったことも多く、それに対してこの1ヵ月間でチームが一丸となって取り組んでくれたことが大きかったと思います。結果的に、ウィルソン選手をこの大会で倒すことはできませんでしたが、走行を重ねるごとに得るものはあり、ヒート3は自分の中でベストの走りに、ようやく近づいてきた感覚がありました。開幕戦は、ラインを変えて試すことすら怖く、前を目指すという気持ちがまるでないような走りになってしまいましたが、今大会はマシンに対する信頼感がまるで違っていて、レースをしているという手応えがありました。時々雨が強く降る安定しない天候でしたが、タイヤは一貫してソフト路面用のBATTLECROSS X20をチョイス。レンジが非常に広く、よほど極端に路面状況が変化しない限りは対応できてしまうタイヤなので、迷うことすらありませんでした」