【2023年全日本モトクロス選手権 Rd.4 中国大会TOHO Racing CUP IA1クラス】内田篤基と富田俊樹が両ヒートで2位と3位を分け合い、総合成績では同点ながら内田が2位！

今季の全日本モトクロス選手権シリーズは全9戦の設定。その第4戦中国大会TOHO Racing CUPは、広島県の世羅グリーンパーク弘楽園で開催された。
延期されて実質的な最終戦となった2021年11月下旬の第2戦以来、約1年半ぶりの全日本開催となった世羅グリーンパーク弘楽園は、尾道市街の北西方向約30kmとなる広島県南東部の山中にあり、自然の地形を活かしたアップ＆ダウンに富んだハイスピードかつダイナミックなコースとして知られている。基本的なレイアウトは2019年から継続されているが、各セクションのセッティングは変更。1コーナーの先に待ち構える名物のラムソンジャンプは、1周目のみ回避する設定で、この迂回区間はコース幅がかなり狭くなる。
梅雨時期の大会開催ながらまずまず天候に恵まれ、土曜日は曇り時々晴れで、日曜日は曇りのち晴れ。乾いて締まるとかなりハードパックになる弘楽園だが、事前の入念な整備により、普段と比べれば良好なドライコンディションで大会を迎えた。ただし日曜日午後の決勝ヒート2は、ハードパック化がだいぶ進んだ状況での走行となった。
たが、今大会は今季初めて30分＋1周の2ヒート制で競われた。ブリヂストン勢では、ヤマハファクトリーチームから参戦する#3 渡辺祐介（Yamaha,BS）が、開幕戦のケガにより今大会も欠場となった。

■決勝ヒートⅠ
#6 大倉由揮（Honda,BS）がホールショット。1周目中盤にかけ、ジェイ・ウィルソン（Yamaha,DL）と激しいトップ争いを繰り広げた。1周目は、先行したウィルソンを大倉や#8 内田篤基（Kawasaki,BS）、#4 大城魁之輔（Honda,BS）が追う展開。2周目に大城が内田をパスしたが、翌周に内田が再逆転を果たし、ウィルソンから4秒ほど遅れて大倉と内田と大城が三つ巴の2番手争いとなった。4周目になると、この3台に#1 富田俊樹（Yamaha,BS）も接近。まずは内田が大倉を抜いた。
大城は内田と大倉からやや離され、富田が逆転。その直後、大城は転倒リタイアに終わった。順位を上げた富田はそのまま大倉に迫り、5周目から接近戦に。富田は7周目に大倉を抜くと、2秒ほど先行していた内田を追った。大倉は大きく後退。11周目には内田と富田が接近戦となり、翌周に富田が逆転した。この段階で、トップのウィルソンは約7秒リード。レースは18周で終了となり、富田が2位、終盤に離された内田が3位、大倉は内田から完全に遅れて4位となった。

■決勝ヒートⅡ
ヒートⅠで転倒した#4 大城魁之輔（Honda,BS）は、負傷によりこのヒートを欠場。レースは、ホールショットを奪った#8 内田篤基（Kawasaki,BS）が、追い上げてきたジェイ・ウィルソン（Yamaha,DL）と1周目に激しいトップ争いを繰り広げ、これに#1 富田俊樹（Yamaha,BS）も加わって三つ巴のバトルとなった。しかしウィルソンが先行し、内田、富田、#6 大倉由揮（Honda,BS）らが続く展開。2周目、内田はウィルソンに2秒ほど離され、背後には富田が接近した。
ここは内田が順位を守ると、翌周には富田が内田から1秒ほど離され、大倉が肉迫。4周目以降、トップのウィルソンはリードを拡大し、2番手の内田も少しずつ富田を離した。富田と大倉の攻防は一進一退で、10周目に両者が再接近。翌周、大倉が勝負を仕掛けたが、富田と接触して転倒した。レース終盤、トップ3は完全に単独走行となり、4番手のままレースに復帰した大倉の背後には、4台の集団が接近。しかし最後まで大倉が順位を守り、内田が2位、富田が3位、大倉が4位となった。

●内田篤基（決勝ヒートⅠ／3位、ヒートⅡ／2位）
「リザルトとしては両ヒートを表彰台圏内でまとめることはできましたが、ヒートⅠはレース内容に良くない部分も多かったと感じています。序盤に大城魁之輔選手や大倉由揮選手とバトルすることになり、ここでかなりプッシュしたことで、レース後半の体力的な厳しさにつながってしまったと感じています。IA1は今季初めての30分＋1周だったので、レース時間が前戦より倍増したことも影響したのかもしれません。終盤に富田俊樹選手の逃げ切りを許してしまったことが反省点です」
「ヒートⅡは、ホールショットから1周目にジェイ・ウィルソン選手を抑えようと必死に走りました。やりあっている間に富田選手も接近。展開としてはヒートⅠと似た感じなので、またレース後半が厳しくなるかもしれないとも考えましたが、ウィルソン選手には今季ずっと、序盤から逃げられて楽に勝たれているので、ここで引いてしまったらいつもと違う展開にはならないと思って猛プッシュしました。結果的に、ヒートⅡは最後まで攻め続けることができたので、この点は良かったと思っています。タイヤは、散水作業の影響が多めに残っていたヒートⅠは、前後ともソフト路面用のBATTLECROSS X20をチョイス。ヒートⅡは、路面がだいぶカタくなってきていたので、ギリギリまで悩んだ挙句、前後ともにミディアム路面用のX31にしました。スタート位置に集合したら、フロントのみX20とか前後ともX20という選手もいて、選択はまちまちでしたが、最後までタレることなく攻められたので、自分の選択は間違っていなかったと確信しています」