【2023年全日本モトクロス選手権 Rd.6近畿大会 IA2クラス】横澤拓夢が今季2勝目を挙げ、ポイントランキングではトップと17点差まで急接近！

今季の全日本モトクロス選手権シリーズは、全9戦の設定。前戦から6週間というサマーインターバルが終わり、第6戦近畿大会が三重との県境に近い奈良県の名阪スポーツランドで実施された。
カートコースなども有する名阪スポーツランドのモトクロスコースは、サンド質の路面が大きな特徴となっている。コースは山の斜面に設けられていて、序盤および終盤を上段、中盤を谷側となる下段に配したレイアウト。そのため、とくにコース中盤には急なアップダウンも多くある。今大会では、同じく9月第2週に開催された昨年第4戦とほぼ同じレイアウトを使用。ただし、細部の仕様は見直された。

金曜日の雨により、各クラスの予選などが実施された土曜日は、かなり柔らかいセクションがある状態で公式練習がスタート。しかし水はけが良いサンド質や30℃まで上昇した気温の恩恵もあり、午後にはかなり回復した。決勝日は朝から目まぐるしく天候が変わり、曇りまたは晴れで昼ごろには一時降雨。ただし雨量はそれほど多くなく、ベストな路面コンディションが保たれた。
若手と中堅の選手が中心となるIA2クラスの決勝は、全日本IAクラスのスタンダードなフォーマットとなる30分＋1周の2ヒート制で競われた。

■決勝ヒート1
ホールショットの#5 横澤拓夢（Honda,BS）に、#11 阿久根芳仁（Kawasaki,BS）らが続いてレースがスタート。阿久根は2周目と3周目にひとつずつ順位を落とし、その背後には#18 池田凌（Kawasaki,BS）が迫った。レース序盤、横澤と鴨田翔（Kawasaki,DL）と浅井亮太（Yamaha,DL）が、4番手以下を引き離しつつ三つ巴のトップ争いを展開。この中で横澤はポジションを下げ、7周目には3番手となった。また後続では、前の周に池田が阿久根の攻略に成功した。
レースが後半に入ると、粘りの走りでトップ2を追い続けていた横澤のペースが落ち、2番手の浅井から約7秒差に、そしてその背後に近づいてきたのは、1周目9番手と出遅れていた#3 柳瀬大河（Honda,BS）だった。14周目、柳瀬が横澤を捉えて逆転に成功。さらに、翌周には池田も横澤の背後に迫ると、16周目にパッシングした。そしてレースは20周で終了。柳瀬が3位で表彰台に登壇し、池田が4位、横澤が5位、阿久根が6位入賞を果たした。

■決勝ヒート2
鴨田翔（Kawasaki,DL）を抜いて2周目に西條悠人（Kawasaki,DL）がトップに立ち、3周目には鴨田が6番手まで後退。1周目8番手の#5 横澤拓夢（Honda,BS）は4周目に#18 池田凌（Kawasaki,BS）を抜き、トップ争いでは浅井亮太（Yamaha,DL）が先行した。これで上位勢が浅井、西條、横澤、中島漱也（Yamaha,DL）の順になると、6周目には西條が集団から脱落し、横澤が2番手。ここから横澤は、3秒ほど先行していた浅井を猛追して9周目には接近戦に持ち込むと、13周目に逆転した。
翌周には、横澤や浅井と僅差の3番手にいた中島がコースアウトで3秒ほどタイムロス。横澤は、追いすがる浅井を2秒ほど離した。するとラスト2周となった19周目に、浅井が転倒。これでほぼ独走状態となった横澤が今季2勝目を挙げた。浅井の脱落で3番手に浮上した池田は、ゴール直前で鈴村英喜（Honda,DL）に並ばれて4位。ポイントリーダーのビクトル・アロンソ（Yamaha,DL）がリタイアと12位に終わったことから、ランキング2番手の横澤が17点差まで迫った。

●横澤拓夢（決勝ヒート1／5位、ヒート2／優勝）
「ヒート1は、最初からトップに立ったことで緊張し、後続のことなどを考えすぎて、自分の走りに集中できていませんでした。また、走ってみたらマシンのセットアップも完璧な状態ではなく、それも優勝を逃す要因のひとつになりました。そこでヒート2に向けて、リアサスのセットアップを変更。そもそも自分は、ヒート2のほうが好調なことは多いのですが、今大会もそれは変わらず、走りはじめたらとにかく“乗れている”という状態でした。スタートは全然決まらず、追い上げの展開でしたが、いい走りができたと思います。」
「タイヤは、フロントが軟質路面用のBATTLECROSS X20で、リアはサンドやマディの路面に適したX10。名阪スポーツランドなら、このセットが定番です。普段の練習走行だと、路面がもっとカタいときも多いのですが、そもそもカタいところは滑りやすいので、コーナーではやや柔らかいところを選んで走るのが正解だと思います。そうなると、やっぱりX10のほうが前に進んでくれるので有利。また、カタいところでもマシンが起きた状態なら、X10はグリップします。X20と同じくX10も意外とワイドレンジなので、安心して選べます。今大会の結果、ポイントランキングではトップのビクトル・アロンソ選手に急接近。全日本モトクロスなので、やっぱり日本人が勝つ姿を見たいファンも多いと思うし、シリーズ戦の楽しみは何よりチャンピオン争いにあると思うので、しぶとく強い走りで、シーズン終盤は盛り上げていきたいです」