- 開催場所:HSR九州
- 開催日:2024年04月21日(日) 〜 2024年04月21日(日)
全日本モトクロス選手権シリーズ第3戦は、熊本県のHSR九州で日曜日のワンデースケジュールにより開催された。当初予定されていた5月の第3戦中国大会が中止となり、その代替措置としてHSR九州大会を土日ダブルヘッダーに変更。前日の土曜日には、この第3戦と同じフォーマットで第2戦が開催され、全日本最高峰クラスとなるIA1は、どちらの大会も公式練習を兼ねた15分のタイムアタック予選、30分+1周の決勝ヒート1、15分+1周の決勝ヒート2が実施された。その舞台となったHSR九州は、ホンダの熊本製作所に隣接した複合モータースポーツ&研修施設。その一角にあるモトクロスコースは、阿蘇の外輪山を望むフラットな土地に設けられている。広いコース幅と超ハイスピードレイアウトを特徴としてきたが、2022年の改修によりテクニカル区間が増加。今大会も基本レイアウトは踏襲されたが、各部に仕様変更が加えられ、全体としてはコース幅が狭くなり、コーナーはフラットにセッティングされていた。本来の土質は阿蘇の噴火に由来する黒土だが、近年は山砂を搬入しながらメンテナンス。ただし今大会は、サンド質が目立つ区間はほぼなかった。土曜日の第2戦は、午後から降雨があったものの路面状況はそれほど悪くならず、スリッピーながら最後までドライに近いコンディション。しかし日曜日の第3戦は、タイムアタック予選の終了後あたりから強い雨が降り、その後に強烈な雨量となったことから、一気にマディコンディションと化した。とくに午後のレースは、深いワダチと水たまりが各所に発生し、最後はエンデューロレースのような状態となった。
■決勝ヒート1
30分+1周の決勝ヒート1では、スタート直後に#2 大倉由揮(Honda,BS)がジェイ・ウィルソン(Yamaha,DL)と激しいトップ争い。ここは先行を許したが、大倉は3番手で1周目をクリアした。オープニングラップから上位5台が抜け出す展開で、遅れた6番手には#6 大塚豪太(Honda,BS)が浮上してきた。4周目、ウィルソンが転倒により3番手後退。これでトップの横山遥希(Honda,DL)を約5秒差で追うことになった大倉は、その後に約3秒差まで近づいた。10周目、バックマーカーにラインを阻まれ、その差は約6秒に拡大。しかし翌周にトップの横山が転倒し、これで大倉はトップに躍り出た。横山は3番手まで後退し、これで2番手に順位を回復したウィルソンに対し、大倉は約7秒のアドバンテージ。12周目には、その差を1.5秒ほど縮められた。しかし13周目に、ウィルソンは再びクラッシュ。これにより最後は、大倉と横山の優勝争いとなった。そして、約8秒のリードを生かした大倉が、15周目のチェッカーまで逃げ切って勝利。全日本最高峰クラスでは自身初となる優勝を手に入れた。序盤にビクトル・アロンソ(Gasgas.DL)が転倒で後退したことで順位を上げた大塚が、単独走行を続けて5位フィニッシュ。#5 大城魁之輔(Yamaha,BS)は1周目13番手と出遅れたが、6位まで追い上げてゴールした。
■決勝ヒート2
15分+1周の超スプリントレースとなったヒート2は、スタート直後の1コーナーに3番手前後で飛び込もうとした#2 大倉由揮(Honda,BS)が、前転してクラッシュ。大倉は後続車に轢かれ、完全に遅れてレースに復帰した。ブリヂストン勢では、#5 大城魁之輔(Yamaha,BS)が6番手で1周目をクリア。2周目には、3番手だったジェイ・ウィルソン(Yamaha,DL)がスタックにより1分以上ロスし、これで大城は4番手に順位を上げた。翌周、大城は池谷優太(Honda,DL)の攻略に成功したかに思われたが、ウィルソンと同じ場所でスタック。こちらは約2分のロスで、20番手まで順位を落とした。さらに、4周目にはトップの横山遥希(Honda,DL)が転倒し、これで先頭に立ったビクトル・アロンソ(Gasgas,DL)も翌周にスタックし、同じ周にトップを狙った能塚智寛(Kawasaki,DL)が転倒リタイアとなるなど、完全なサバイバルレースに。そして#6 大塚豪太(Honda,BS)が6位、大倉が7位でゴールした。
●大倉由揮(決勝ヒート1/優勝、ヒート2/7位)
「ヒート1で、ようやく勝つことができました。IA1に上がってからの2年間を含め、もう4年くらい優勝しておらず、もうこのまま勝てないのではないかと苦しんでいたのですが、支えてくださった方々のおかげで、ようやくここでIA1初優勝することができました。終盤は横山遥希選手に迫られ、かなり厳しい状況でしたが、昨年の第8戦ヒート2ではジェイ・ウィルソン選手が転倒で遅れるという同じような展開で自分の不甲斐なさから優勝を逃しており、今度こそチャンスを生かさないと本当に勝てないライダーになってしまうと、最後まで踏ん張りました。ヒート2は、スタート直後に前転して、後続車にも轢かれてしまい、立ち上がったときにはリタイアを考えるほどカラダに痛みがありました。でも、こういう酷い路面状況のレースは、最後まで走り続ければある程度はポイントを獲得できるはずと思い、最後まで諦めずレースを続けました。タイヤは、フロントは前日と同じソフト路面用のBATTLECROSS X20で、リアはマッド用のBATTLECROSS X10を選択。前日は路面が固く、タイムアタック予選の段階では意外と路面状況が悪くなかったので、午前中に実施されたヒート1でこれを使うのは賭けの部分もありましたが、ラインを外したときにこちらのほうが有利というのが選択理由。結果的には正しい判断だったと思います」
決勝
- 開催日:2024/04/21
- 決勝出走:21
- 完走:20
- (1.7km x 15laps = 25.5km)
順位 | No | ドライバー | タイヤ | チーム | マシン | シャシー | エンジン | 周回数 | Delay(Lap) | ベストタイム | ベストラップ | タイム |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 2 | 大倉 由揮 | BS | Honda Dream Racing Bells | CRF450R | ホンダ | 15 | 7 | 2:11.133 | 33:22.179 | ||
2 | 41 | 横山 遥希 | DL | HONDA DREAM RACING LG | CRF450R | ホンダ | 15 | 3 | 2:11.191 | 33:25.738 | ||
3 | 1 | J. ウイルソン | DL | YAMAHA FACTORY INNOVATION TEAM | YZ450FM | ヤマハ | 15 | 7 | 2:11.135 | 33:56.448 | ||
4 | 7 | 能塚 智寛 | DL | Team Kawasaki R&D | KX450SR | カワサキ | 15 | 3 | 2:15.233 | 34:58.784 | ||
5 | 6 | 大塚 豪太 | BS | T.E.SPORT | CRF450R | ホンダ | 15 | 9 | 2:17.127 | 35:14.476 | ||
6 | 5 | 大城 魁之輔 | BS | YSP浜松 with BABANASHOX | YZ450F | ヤマハ | 14 | 6 | 2:17.657 | 33:53.005 | ||
7 | 8 | 安原 志 | DL | 八尾カワサキ with ANNEX CLUB | KX450 | カワサキ | 14 | 5 | 2:20.901 | 34:13.169 | ||
8 | 35 | 神田橋 瞭 | DL | Team GANZ with ZEKURA | KX450 | カワサキ | 14 | 8 | 2:21.556 | 34:46.317 | ||
9 | 13 | 池谷 優太 | DL | TEAM HAMMER | CRF450R | ホンダ | 14 | 3 | 2:22.335 | 35:06.953 | ||
10 | 17 | 小林 大治朗 | DL | レーシングチーム鷹 | YZ450F | ヤマハ | 14 | 3 | 2:27.031 | 35:08.888 | ||
11 | 11 | 道脇 右京 | BS | TEAM KOHSAKA バイカーズステーション with CARVEK | CRF450R | ホンダ | 14 | 12 | 2:24.817 | 35:25.748 | ||
12 | 20 | 小川 孝平 | DL | Team ITOMO | YZ250 | ヤマハ | 14 | 2:26.917 | 35:30.44113 | |||
13 | 9 | 小方 誠 | DL | TEAM HAMMER | CRF450R | ホンダ | 14 | 3 | 2:21.761 | 33:47.247 | ||
14 | 19 | 西 元気 | BS | 秀明道場 | YZ450F | ヤマハ | 13 | 10 | 2:24.984 | 33:50.774 | ||
15 | 32 | 古賀 翼 | BS | ★MOTION RACING★ | CRF450R | ホンダ | 13 | 3 | 2:26.080 | 34:10.643 | ||
16 | 23 | 宗本 駿真 | DL | SP忠男広島 | YZ450F | ヤマハ | 13 | 7 | 2:30.064 | 35:44.505 | ||
17 | 34 | 土屋 元希 | IRC | 京都ボブキャット | KX450 | カワサキ | 13 | 6 | 2:30.927 | 36:20.114 | ||
18 | 38 | 尾崎 大二郎 | BS | YSP浜北大橋レーシング | YZ450F | ヤマハ | 12 | 6 | 2:32.381 | 35:17.966 | ||
19 | 25 | 道脇 白龍 | BS | Team Kawasaki R&D | CRF450R | ホンダ | 12 | 5 | 2:47.805 | 35:51.480 | ||
20 | 33 | V. アロンソ | DL | Auto Brothers GASGAS JAPAN | MC450F | GASGAS | 11 | 2 | 2:17.226 | 26:31.546 |
決勝
- 開催日:2024/04/21
- 決勝出走:21
- 完走:18
- (1.7km x 8laps = 13.6km)
順位 | No | ドライバー | タイヤ | チーム | マシン | シャシー | エンジン | 周回数 | Delay(Lap) | ベストタイム | ベストラップ | タイム |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 41 | 横山 遥希 | DL | HONDA DREAM RACING LG | CRF450R | ホンダ | 8 | 3 | 2:22.450 | 19:24.887 | ||
2 | 8 | 安原 志 | DL | 八尾カワサキ with ANNEX CLUB | KX450 | カワサキ | 8 | 4 | 2:22.707 | 20:06.482 | ||
3 | 13 | 池谷 優太 | DL | TEAM HAMMER | CRF450R | ホンダ | 8 | 3 | 2:28.534 | 20:20.939 | ||
4 | 9 | 小方 誠 | DL | TEAM HAMMER | CRF450R | ホンダ | 8 | 4 | 2:29.231 | 20:29.742 | ||
5 | 35 | 神田橋 瞭 | DL | Team GANZ with ZEKURA | KX450 | カワサキ | 8 | 6 | 2:28.885 | 20:32.910 | ||
6 | 6 | 大塚 豪太 | BS | T.E.SPORT | CRF450R | ホンダ | 8 | 7 | 2:26.209 | 20:37.828 | ||
7 | 2 | 大倉 由揮 | BS | Honda Dream Racing Bells | CRF450R | ホンダ | 8 | 6 | 2:22.613 | 20:40.003 | ||
8 | 11 | 道脇 右京 | BS | TEAM KOHSAKA バイカーズステーション with CARVEK | CRF450R | ホンダ | 8 | 4 | 2:32.138 | 20:54.285 | ||
9 | 1 | J. ウイルソン | DL | YAMAHA FACTORY INNOVATION TEAM | YZ450FM | ヤマハ | 8 | 5 | 2:22.850 | 20:58.936 | ||
10 | 33 | V. アロンソ | DL | Auto Brothers GASGAS JAPAN | MC450F | GASGAS | 8 | 2 | 2:24.336 | 21:03.315 | ||
11 | 39 | 阿部 仁 | BS | Y's Racing with TRAS | YZ450F | ヤマハ | 8 | 6 | 2:37.669 | 21:30.229 | ||
12 | 20 | 小川 孝平 | DL | Team ITOMO | YZ250 | ヤマハ | 8 | 4 | 2:39.838 | 22:05.980 | ||
13 | 19 | 西 元気 | BS | 秀明道場 | YZ450F | ヤマハ | 7 | 5 | 2:31.022 | 19:29.597 | ||
14 | 5 | 大城 魁之輔 | BS | YSP浜松 with BABANASHOX | YZ450F | ヤマハ | 7 | 4 | 2:25.231 | 19:55.957 | ||
15 | 25 | 道脇 白龍 | BS | TEAM KOHSAKA with CARVEK | CRF450R | ホンダ | 7 | 4 | 2:45.078 | 20:01.776 | ||
16 | 32 | 古賀 翼 | BS | ★MOTION RACING★ | CRF450R | ホンダ | 7 | 2 | 2:43.386 | 20:03.892 | ||
17 | 23 | 宗本 駿真 | DL | SP忠男広島 | YZ450F | ヤマハ | 7 | 3 | 2:42.661 | 20:49.115 | ||
18 | 34 | 土屋 元希 | IRC | 京都ボブキャット | KX450 | カワサキ | 7 | 2 | 2:48.021 | 20:56.891 |