【2021年全日本ロードレース選手権 第1戦 もてぎ ST600 】

全日本ロードレース選手権2021シーズンのST600クラスは、ブリヂストンワンメイクレースになって7年目を迎える。
ディフェンディングチャンピオンの岡本裕生、昨年度はランキング2位の南本宗一郎はST1000クラスにステップアップ。替わってJ-GP3クラスから鈴木大空翔がST600クラスにはステップアップ。新たな戦いの構図が造られることになった。

予選日は曇りがちの空模様。セッション開始早々に1分53秒287とコースレコードを更新してリーダーボードのトップに立ったのは國峰啄磨。タイトル奪回をもくろむ一昨年のチャンピオン小山知良も早々にタイム出しをして、自身が持つコースレコードを更新して1分53秒500をたたき出す。30分間のタイムアタック。最後のタイムアタックも國峰が3周目にマークしたタイムに及ぶものは現れず、そのまま國峰がポールポジションを獲得。小山に次いで全日本3年目の若手、横山尚太が3番手フロントロウを獲得。また、4番手の荒川晃大、5番手の埜口遥希までの5人がコースレコードタイムを更新した。國峰は「ウイーク初日に転倒してメインマシンを壊してしまった。セカンドマシンは同じ仕様だけれど個体差があって、また最初からやり直す形になった。それがなければ、もっといけたかもしれない。決勝は悪いクセが出ないように冷静に戦いたい」とコメントを残した。

決勝日の天候は下り坂の予報。ST600クラスのスタートと同時に心配された雨粒が落ちてきた。そんな中で好スタートを切ってホールショットを奪ったのは小山。オープニングラップは小山、國峰、横山、埜口、荒川らが続き、9台が一列で周回を重ねる。後方では３台の多重クラッシュが発生。激しいオープニングラップになる。徐々に小山、國峰、横山、埜口のトップ4台が抜け出す。國峰と横山は順位を入れ替えながら激しい2位争いを展開。これを尻目に小山が逃げにかかる。10周目。國峰がラインを大きく外し、小山、横山、埜口、國峰の順に替わる。小山はなかなか逃げ切ることができない。11周目、今度は埜口が横山を捕らえて2番手浮上。必至に小山を追う。すると14周目、セカンド集団をリードしていた菅原陸が転倒。その同じ14周目、埜口が小山の前に出た。しかしすぐに小山が首位奪取。トップ争いの激化で遅れを取っていた國峰が横山の前に出ると、前の2台を猛追。そしてファイナルラップ。小山がスパートをかけて埜口を突き放す。埜口も精一杯アクセルを開けるが、その差は縮まらない。そしてそのまま小山が開幕戦を制し、埜口は全日本初表彰台を2位で飾り、國峰は3位でフィニッシュした。

●小山知良（予選2位／決勝1位）
「マシンが新型になったことでフロントフォークも新しくせざるを得ませんでした。その結果、フロントのフィーリングに苦しみました。金曜日の最後のセッションでやっと戦えるセッティングが見つかりました。開発にも携わった新型車でなんとしても勝ちたいと思っていました。レース後半は苦しかったのだけれど、どうやったらタイヤをつぶせるかとポジションを探っていたら、抜かれてしまったけれど、冷静に対処して抜き返すことができました。みんなの成長率がすごいけど、自分はどんどん退化するから、引き出しを増やしてテクニックに磨きをかけたいです」