【2021年全日本ロードレース選手権 第5戦 鈴鹿 ST600】ベテランと若手の優勝争い　貫禄の小山知良が鈴鹿初優勝

鈴鹿８耐とスケジュールを入れ替える形での開催となった第5戦は、木曜日から特別走行が始まった。初日を制したのは國峰啄磨。僅差の2番手が小山知良で、この二人だけが2分14秒台をマーク。二日目の合同走行は荒川晃大がトップ、國峰が2番手、阿部恵斗が3番手で続き、3人だけが2分13秒台という展開。

予想がつかない状況で突入した予選。まずは荒川が2分12秒978でリーダーボードのトップに立つ。小山は2分13秒075で追いかける。しかし逆転はなくそのまま終了。荒川が鈴鹿大会では3年連続ポールポジション獲得となった。小山は2番手。フロントロウ最後の席は前戦でクラス初優勝を飾った埜口遥希となった。荒川は予選後に「真夏の鈴鹿というのは今まで経験したことがない。気温が高いから去年のタイムを越えるのは難しいとは思っていた。今回気にしていたのはアベレージ。予選でも一発タイムを出した後はアベレージに集中していたけれど、満足できるレベルに達する前に走行時間が終わってしまった。ポールポジション獲得はうれしいが、決勝に対してはまだ準備不足」とコメント。そして決勝に向けては「朝のフリー走行で状況確認してアベレージをあげていきたい。決勝は小山選手や埜口選手などが来るだろうから、自分の力を信じてしっかり取り組みたい」と気合いを入れ直していた。

決勝日は朝から強い日差しが照りつけていた。しかし昼には天候が急変。不穏な雲が出てST600決勝直前に雨が降り出した。降ったりやんだり、日が出たりと全く読めない天候の中、スタート直前に雨脚が強まりスタートディレイに。雨はすぐにやんで日が差した。ウエット宣言が出され、2周減算の11周のレースとしてスタートが切られた。好スタートを決めたのは埜口。オープニングラップで小山が首位奪取。さらに荒川も埜口を捕らえて２番手浮上。小山を追いかける。小山、荒川、埜口の3台がトップ集団を形成。それを佐野優人、國峰、長尾健吾らが追いかける展開。2周目には荒川、小山、埜口の順に入れ替わる。しかしトップ3台の間隔は詰まったまま。5周目。再び小山が前に出る。後方では國峰、長尾、後退した兄に替わって上がってきた佐野勝人、阿部の4位争いが熾烈に。8周目に荒川が首位奪回。10周目には小山がトップの座を奪い返す。最終ラップ。小山が逃げる。荒川には埜口がサイドbyサイドの2位争いを挑む。この熾烈な2位争いを尻目に小山がトップでフィニッシュ。今季2勝目を飾ると共にランキングトップに再浮上。2位争いは最終勝負どころのシケインで黄旗が出ていたことで簡単に荒川に軍配。埜口は3位に甘んじたものの2戦連続の表彰台獲得となった。4位争いは長尾が制した。

小山知良（予選2位／決勝1位）
「レース前にコンディションが荒れてどうなるかと思ったけれど、ドライコンディションでできてよかったです。ウイーク入って調子はよかったけれど、レース後半のフロントに不安材料がありました。鈴鹿にはいい思い出がなく、優勝もないんです。最終ラップのバックストレートで抜かれて２位というのが多かった。21年目にして鈴鹿初優勝です。レース終盤は黄旗がところどころで出ていたので、２周前に前に出ようという作戦が勝因です」