【2023年全日本ロードレース選手権 第7戦 岡山 ST600】赤旗中断を挟んだ難しいレースを制した西村硝

全日本ロードレース選手権第７戦岡山はST600クラスにとって5レース目。開幕戦は井手翔太、2レース目は阿部恵斗、3レース目は西村硝、前戦は長尾健吾と、これまでに4人の勝者が誕生している。

【予選】40分間のアタック時間が設定された予選。鈴木光来、芳賀涼大、西村の1分35秒台での攻防でセッションがスタート。開始10分で西村が1分34秒836と、ついに1分34秒台に突入。すぐに長尾が1分34秒824で逆転と激しい予選となる。
レギュレーションで予選ではタイヤ1セットしか使用できないST600クラス。タイムアタックは1回のみが定石だ。しかし、セッション中盤に西村が1分34秒810と長尾のタイムを0.014秒上回ってリーダーボードのトップに返り咲く。西村はそのまま全日本初ポールポジションを獲得。長尾は2番手グリッド。阿部が3番手に入り、51ガレージがフロントロウ2席を獲得した。

西村は「全日本でポールポジションを取ったことがなかったから取りたかった。セッション中盤でのタイムアタックは特にリアタイヤがきつかったが、問題にならないほど調子がよかった」と満面の笑み。「決勝では逃げたいけれど、予選の様子を見ると混戦になるだろうから、最後まで気を抜かずに張りしたい」と語った。

【決勝】秋の気配が感じられ、日が傾くのが早くなった日曜日の岡山国際サーキット。ST600クラスがスタートすることには影が長くなっていた。オープニングラップを制したのはポールシッター西山硝。長尾、鈴木、阿部の4台でトップ争いを開始。その後方では小山知良を先頭に井手、伊達悠太、芳賀の4台がセカンド集団を形成。
3周目あたりではトップ集団とセカンド集団が合流。8台が長い列を作って周回を開始する。先頭集団が6周目に入った時点で転倒車があり赤旗中断となる。

改めて15周の周回数でクイックリスタートが切られる。西村が再び好スタートを切ってレースをリード。伊達、長尾、小山と続いて４台でトップ集団が形成される。すぐに阿部、井手も追いつき、赤旗前のように長い列が出来上がる。
3周目に伊達が首位奪取。4周目には西村がトップ奪回と激しい争い。ここについて行ったのが阿部、長尾、小山、井手。レース中盤に向けて小山が遅れ出し、ヤマハ車5台での争いに移行する。9周目、井手が単独転倒。同時に長尾が集団から遅れ、優勝争いは西村、伊達、阿部の３台に絞られる。

レース後半。西村が徐々にトップ独走体制に、伊達と阿部は激しい2位争いに移る。最終ラップには長尾も2位争いのテールにつけて三つ巴に。後方のバトルを尻目に西村は悠々とトップでチェッカー。2位争いには最終ラップで長尾も加わり３台でのバトルに。これを阿部が制し、伊達は3位表彰台を獲得した。

●西村硝（予選１位／決勝１位）
「最初のスタートはうまくいってホールショットを奪い、そのままペースを刻むことができました。燃料が減ったときに、さらにペースを上げられる状態だったので、今からかなと思ったところで赤旗中断になりました。でも2回目のスタートもうまくいきました。後ろを引き離すのは難しいと思っていたので、引き離すことができて満足です」