【2023年全日本ロードレース選手権 第8戦 鈴鹿 JSB1000】大波乱のレースで水野涼がダブルウイン

全日本ロードレース選手権の最終戦は鈴鹿サーキットで開催された。JSB1000クラスのタイトルはすでに前戦で中須賀克行（ブリヂストン）が獲得。純粋にレース展開を楽しむための大会になった。

【予選】２レース制で15周と17周。40分間のタイムアタック形式の予選のベストタイムでレース1の、セカンドベストタイムでレース2のグリッドが決まる。
曇天の中で始まった予選セッションは中須賀、水野涼（ブリヂストン）、津田拓也（ブリヂストン）の2分5秒台後半での戦いでスタート。セッション中盤には岡本裕生（ブリヂストン）が2分5秒549と2番手タイムをマーク。さらに津田が2分5秒528をたたき出して逆転。さらに2分5秒418とさらにタイムを詰める。トップ4が激しいタイムアタック合戦を展開する中、亀井雄大（ブリヂストン）が2分5秒313で一気にトップ浮上と、いつになく激しいタイムアタック合戦が展開される。
残り10分。岡本が2分5秒283でトップ浮上。岡本はさらに2分5秒157とタイムを詰める。しかし残り5分で中須賀が2分4秒935と２分4秒台に突入。連続アタックを敢行した中須賀は翌周に2分4秒820とさらにタイムを更新。これで決着。前戦ですでにチャンピオンを獲得した中須賀が唯一の2分4秒台でのダブルポールポジション獲得となった。

【決勝レース１】予選の疲れを取る間もなくレース1がスタート。好スタートを切ったのは中須賀。岡本が背後につけ、オープニングラップから順位を入れ替える激しいトップ争いを開始。その間に3位争いを制した水野が追いつき、3台での争いに持ち込む。

2周目に水野がトップ浮上。中須賀は水野をねらい、岡本は中須賀をねらい、3台はドッグファイトを展開。その間にセカンド集団から抜け出した清成龍一（ブリヂストン）がトップグループに合流。4台での争いに移行。

10周目に中須賀がトップ奪回。バックストレートでは岡本が前に出るが、シケインでは中須賀が取り返すというシーンが何度も繰り返される。
そして最終ラップも同じ展開。しかしシケインで中須賀と岡本がまさかの接触、転倒。これで水野がJSB1000クラス初優勝。清成が2位、津田が3位表彰台を獲得した。

●水野涼（予選5位／決勝1位）
「いつもヤマハファクトリーレーシングチームの二人とは少し違うタイヤを履いていたのですが、今回は全く同じタイヤ選択にしたら最後までついていくことができました。今回は練習走行から持ちタイムを上げられるように新品タイヤを入れるタイミングなどを考えながら進めました。チームと一緒に試行錯誤したことが結果につながりました」

【決勝レース2】日曜日に開催されたレース2はレース1よりも2周多い17周に設定された。中須賀はレース１の転倒で足を痛めたために欠場。水野のホールショットで始まった。
オープニングラップから水野と岡本が激しいトップ争いを展開。ここに名越哲平（ブリヂストン）も加わり三つ巴に。2周目に入った途端に清成と秋吉耕祐（ブリヂストン）が激しく転倒。これでセーフティカーが導入される。
５周目終了時点でセーフティカー解除。水野、名越が激しいトップ争いを開始。岡本が虎視眈々とねらう。8周目に名越がオーバーランして4番手にポジションダウン。水野と岡本の一騎打ち、亀井と名越の表彰台争いに移行。
水野と岡本の激しい争いは最終ラップの最終シケインまで続く。そして岡本がコースアウト、ショートカットする形で真っ先にゴールラインを駆け抜ける。『当該ライダーが有利となるショートカット』が適用されて岡本は１ポジション降格。水野の優勝で幕。表彰台争いは亀井が制し、ヨシムラ移籍後初表彰台を獲得した。

●水野涼（予選４位／決勝１位）
「昨日よりも気温が上がる予報だったので有利になると思ったのですが、スタートしたら日が陰ってしまい路面温度も下がってしまいました。セーフティカー解除後のタイヤの再加熱も難しかったです。でも、以前と比べて最後までタイヤマネージメントができていました。ブレーキングもライバル勢に並べるくらいまでアドバンテージがあったので、いいレースになりました」