予選

　全日本ロードレース選手権第5戦九州は大分県のオートポリスで開催された。
　天候不順なウイーク。前日に行なわれた合同走行から絶好調だったのは中須賀克行 (YAMAHA,BS)。虎視眈々と中須賀討伐をねらっていたのは野左根航汰 (HONDA,BS)。
　曇り空ながらドライコンディションで始まった予選。まずは中須賀、津田拓也 (SUZUKI,BS)、野左根の1分48秒台での争いで始まった。中須賀は真っ先に1分48秒380と1分48秒前半にタイムを入れる。
　30分間のセッション残り5分で中須賀は1分48秒178と自身のタイムを更新。さらに残り3分で1分47秒960と、1分48秒の壁を破る。これを追った野左根は1分48秒351と1分48秒前半のタイムをマーク。さらに名越哲平 (HONDA,BS)が1分48秒903と1分48秒台に突入。しかしだれも中須賀に迫ることができない。結局、唯一の1分47秒台をマークした中須賀がポールポジション獲得。セカンドベストタイムもトップタイムを記録した中須賀は、ダブルポールポジション獲得となった。

決勝レース1

　午前中の予選に続いて、午後には15周のレース1が行なわれた。スタートを決めてホールショットを奪った野左根がレースをリード。中須賀、名越、岩田悟 (HONDA,BS)と続く。ここに津田が加わり5台のトップ集団が形成される。この首位集団を追いかけたのが鈴木光来 (HONDA,BS)と伊藤和輝 (HONDA,BS)の2台。
　4周目に中須賀がトップに浮上してペースを上げる。首位を譲った野左根はペースを上げられず、セカンド集団にふたをする形に。これで鈴木、伊藤が完全に追い付いて6台の2位争いに発展。6台はそこここで順位を入れ替えながらの混戦に突入する。それを尻目に中須賀は完全なトップ独走態勢を築く。
　最終ラップに急に大雨に見舞われる。抜きつ抜かれつの2位争いからは名越が転倒して戦線離脱。中須賀は悠々とトップでゴール。2位争いは野左根が制し、津田が表彰台獲得となった。

●中須賀克行（予選1位／決勝1位）
「ところどころ濡れていて、難しいコンディションでした。最初は慎重に走りました。しっかり路面を見て、ラインが乾いてきてから自分の走りに集中し、大きなマージンを築くことができました。おかげで最後に雨が降ったけれど、マージンを使って勝ちきることができました」

決勝レース2

　レース2が予定されていた日曜日。サーキットは朝から霧に包まれた。スケジュールが何度も変更されて、J-GP3とST600決勝はキャンセルされた。幸いなことにJSB1000決勝レース2は18周から12周に周回数が減算されたものの、無事にスタートを切った。　
　路面はウエットパッチが残っているものの、風の影響で乾いていく難しいコンディション。
　好スタートを切った中須賀の背後に野左根がぴたりとつけてレースがスタート。ここに続こうとした津田はハイサイドを食らう。転倒は免れたもののトップ2台には逃げられる。これをきっかけに中須賀と野左根の一騎打ちが開始される。
　2周目に野左根がトップ浮上。しかし翌周には中須賀が首位奪還と激しい攻防が展開される。しかしペースを乱さない中須賀に対して野左根はレース後半にペースダウン。これで中須賀がトップ独走でダブルウインを飾った。
　一方、3位争いは岩田、伊藤、鈴木、津田、水野涼 (DUCATI,BS)、児玉勇太 (YAMAHA,BS)らが展開。そこここで順位を入れ替える激しい攻防を繰り広げる。8周目に集団トップの岩田がマシントラブルで戦線離脱。最後は伊藤と水野の一騎打ちに発展。これを伊藤が制してクラス初表彰台を獲得した。

●中須賀克行（予選1位／決勝1位）
「天候に翻弄されて、集中するのが難しかったです。粘り強くペースを維持していたら少しずつ差が広がって、2連覇できました。ここは地元で、たくさんの声援を受けていましたし、もてぎでは悔しいレースを強いられたので、ここでは勝ちに行きたかったです。自分にもプレッシャーをかけていました。応援のおかげで最後まで踏ん張れました」