谷口信輝がレースを完全支配2連勝でシリーズ争いに留まる
- 開催場所:十勝インターナショナルスピードウェイ
- 開催日:2019年08月17日(土) 〜 2019年08月18日(日)
オーバーテイクの難しい十勝スピードウェイ。それ以上にドライバーとチームの頭を悩ませたのはタイヤだった。やや荒れた路面はタイヤの磨耗が激しく、過去にはタイヤの残り溝が無くなりレース後の車検によって失格となったケースもあったほどだ。
SUPER GTやスーパー耐久が開催されていない十勝スピードウェイは、プロドライバーにとってもデータが不足しているサーキット。それだけにまずタイヤ選びが重要になる。しかも今回のレースは2ヒート制が採用されている。1セットのタイヤで予選+決勝2ヒート(14周×2)を走りきらなければならない。
エントリーした23台のマシンのうち、半数以上にブリヂストン・ポデンザRE-07Dが装着されることになった。グリップ性能はもちろん、耐久性の高さを含めた総合的な判断によって選択されたのだ。
折しも強力な台風が日本列島を縦断、北海道に到達する頃には熱帯性低気圧に変わっていたものの、雨はサーキットにも降り注ぎ、予選前日の金曜日まではウエットコンディション。そして土曜日は強い日差しが眩しい快晴へ一転。多くのドライバーはドライでの検証ができないまま、ぶっつけ本番の予選に臨むことになった。
●予選
未明まで降り続いた雨の影響もあり、ドライに変わったばかりの路面コンディションは良くない。直前に行われたクラブマンシリーズの予選で出された泥が路面を汚してもいた。そのため予選は開始時間を過ぎても誰ひとりとしてコースインしないという、異様な状態となった。
1台また1台とコースインし、タイムモニターの表示が少しずつタイムアップしていく。半数以上のドライバーがタイムアタックを終えた時、トップタイムは#88井口卓人(ブリヂストン)だった。しかし予選終盤にアタックに入ったドライバーがそのタイムを更新していく。#34佐々木雅弘(ブリヂストン)、#98近藤翼(ブリヂストン)とトップタイムを更新した後、#1谷口信輝(ブリヂストン)が唯一1分36秒を切る、1分35秒913をマーク。ポールポジションを獲得した。
ブリヂストン装着勢は、上位5位までを独占した他、トップ10に8台が入った。決勝レースは事実上、ブリヂストン装着勢同士の戦いが展開されると予想できた。
●決勝
予選終了後は思いの外日差しが強く、路面温度が高くなっていた。
昨年の十勝以来、勝利していない谷口は、一際集中力を発揮していた。ポールポジションを獲得した以上、とにかくスタートを抑えれば勝機は大きい。トップ5までをブリヂストンが占める以上、特性の差はなく、道具が同じであれば谷口としては負けられないレースであろう。
第1ヒート、スタートはクリーンだった。上位陣はスターティンググリッドの並びのままレースが始まった。谷口は、2位近藤を巧みに抑えながら、トップをキープする。ペースは時として38秒台に入るほどスローで、その結果、後続のマシンが数珠繋ぎに並ぶことなる。縦一列に並んだ隊列のままレースが進んでいく。
プロドライバーたちは、明日の第2ヒートを見据えた、タイヤマネージメントも頭の中にあったのだろう。レースは予想以上に硬直していた。
そんな中で注目されたのは、#87久保凜太郎(ブリヂストン)だった。予選12位と沈んだものの、第1ヒートでは少しずつポジションを上げ、7位でフィニッシュした。上位陣の順位は変わらず、1位谷口、2位近藤、3位佐々木という結果となった。
第2ヒートもまた、スタートはクリーンだった。上位陣には変動がない。近藤を上手く抑えきって谷口がまたもやレースをリードする。まるで後ろしか見ていないのではないか? と思えるほど近藤のペース、距離に合わせて絶妙なペースコントロールをしていく。逃げようとすれば近藤もペースを上げ、2台のマッチレースになる可能性がある。谷口はあえてペースをキープすることで3位以下のマシンを近づけ、近藤に後方へ注意を払うように仕向けたのだ。
これは第1ヒートも同様だったのだが、やはり最終的なレース結果となる第2ヒートとなれば走りが変わってくる。時にはマシンが並走するシーンも見られ、混乱したレースが進んでいった。
アクシデントが起きたのは7周目、5位スタートから3位へとポジションを上げていた井口がはじき出されて8位に後退、その時に何台かのマシンも巻き込まれ、上位陣の順位が大きく変動することになった。それを機に谷口はタイムを上げリードを拡げていく。近藤もついていこうとするが、1秒以上に拡がった差はそう簡単に詰まらなかった。
谷口は、昨年の十勝以来、1年ぶりの優勝に輝いた。2位近藤はポイントリーダーへ。そして3位にはマシントラブルによって予選15位と沈んだ#7堤優威(ブリヂストン)が入り、ポイントリーダーの座は譲ったものの、しっかりリカバーしてきた。ブリヂストン装着勢は4位に#90阪口良平(ブリヂストン)、5位には挽回してきた井口が入るなど、5位までを独占。トップ10に8台が入った。
プロフェッショナルシリーズでの1年ぶりの優勝を果たした
#1 谷口信輝選手(ブリヂストン)のコメント
「オーバーテイクの難しい十勝だけに、やっぱり予選がとても重要。今回もポールポジションを取れていなければ優勝できなかったと思います。あとはスタートをミスすることなく、1コーナーにトップで入っていければ…、ということですね。レースでは序盤から後ろを離してリードしていくことは考えませんでした。後ろが詰まっている時はペースを上げないで、少しバラけたらリードを拡げるという形で、近藤選手も後ろのマシンに注意を払うように持って行けたと思います。今シーズンは1戦休んだのでチャンピオン争いは苦しいですが、これでシリーズランキングも2位に上がることができました」
●武田洋平(株式会社ブリヂストン 日本タイヤモータースポーツ推進ユニット)コメント
「優勝した谷口選手とチームの皆様おめでとうございます。また今大会もBS装着車で表彰台を独占することができ大変うれしいです。残り2戦シリーズチャンピオン争いも激しくなってくると思いますので、ブリヂストンもその争いを支えていきたいと思います。」
総合
- 開催日:2019/08/18
- 天候:Fine
- 路面:Dry
- 決勝出走:23
- 完走:21
- (3.405km x 14laps = 47.67km)
順位 | No | ドライバー | タイヤ | チーム | マシン | シャシー | エンジン | 周回数 | Delay(Lap) | ベストタイム | ベストラップ | タイム |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 1 | 谷口 信輝 | BS | KTMS 86 | 14 | 22:59.025 | ||||||
2 | 98 | 近藤 翼 | BS | 神奈川トヨタ ☆ DTEC 86R | 14 | 23:00.706 | ||||||
3 | 7 | 堤 優威 | BS | ADVICS カバナ BS 86 | 14 | 23:06.588 | ||||||
4 | 90 | 阪口 良平 | BS | 大阪トヨタ86 Racing | 14 | 23:07.008 | ||||||
5 | 88 | 井口 卓人 | BS | CG ROBOT BRZ BS | 14 | 23:09.041 | ||||||
6 | 10 | 菅波 冬悟 | DL | OTG TN滋賀 86 | 14 | 23:09.344 | ||||||
7 | 17 | 織戸 学 | BS | サミー☆K-one☆MAX86 | 14 | 23:09.927 | ||||||
8 | 34 | 佐々木 雅弘 | BS | 小倉クラッチ REVO 86 BS GR86 | 14 | 23:11.587 | ||||||
9 | 121 | 蒲生 尚弥 | BS | tomicaネッツ兵庫 BS GR86 | 14 | 23:11.650 | ||||||
10 | 906 | 佐々木 孝太 | DL | RECARO 86 | 14 | 23:12.405 | ||||||
11 | 557 | 大西 隆生 | BS | オートバックス G7 AS86 BS | 14 | 23:13.555 | ||||||
12 | 18 | 中山 雄一 | BS | GR Garage つくば 86R | 14 | 23:14.634 | ||||||
13 | 31 | 青木 孝行 | BS | ケーエムエス フェニックス86 | 14 | 23:18.668 | ||||||
14 | 813 | 坂 裕之 | DL | ネッツ兵庫DLテックプロ86 | 14 | 23:19.820 | ||||||
15 | 312 | 松本 晴彦 | DL | 埼玉自動車大学校生駒SBS 86 | 14 | 23:20.647 | ||||||
16 | 293 | 岡本 大地 | NEXEN Racing 86 | 14 | 23:21.658 | |||||||
17 | 5 | 井上 尚志 | BS | まんさくレストアパーツBS86 | 14 | 23:24.317 | ||||||
18 | 87 | 久保 凜太郎 | BS | CG ROBOT BRZ BS | 14 | 24:16.216 | ||||||
19 | 369 | 平中 克幸 | GY | GY RACING 86 | 13 | 23:32.176 | ||||||
20 | 60 | 服部 尚貴 | DL | OTG DL 86 | 13 | 23:32.839 | ||||||
21 | 97 | 小河 諒 | DL | 神奈川トヨタ ☆ DTEC 86R | 14 | 23:22.137 | ||||||
- | 25 | 水谷 大介 | BS | GR Tokyo Racing 86 | 0 | DNF | ||||||
- | 11 | 脇阪 寿一 | BS | Owltech 86 | 0 | DNF |
決勝ヒート1
- 開催日:2019/08/17
- 天候:Fine
- 路面:Dry
- 決勝出走:23
- 完走:23
- (3.405km x 14laps = 47.67km)
順位 | No | ドライバー | タイヤ | チーム | マシン | シャシー | エンジン | 周回数 | Delay(Lap) | ベストタイム | ベストラップ | タイム |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 1 | 谷口 信輝 | BS | KTMS 86 | 14 | 22:59.351 | ||||||
2 | 98 | 近藤 翼 | BS | 神奈川トヨタ ☆ DTEC 86R | 14 | 23:00.836 | ||||||
3 | 34 | 佐々木 雅弘 | BS | 小倉クラッチ REVO 86 BS GR86 | 14 | 23:01.677 | ||||||
4 | 31 | 青木 孝行 | BS | ケーエムエス フェニックス86 | 14 | 23:01.813 | ||||||
5 | 88 | 井口 卓人 | BS | CG ROBOT BRZ BS | 14 | 23:02.354 | ||||||
6 | 369 | 平中 克幸 | GY | GY RACING 86 | 14 | 23:02.950 | ||||||
7 | 87 | 久保 凜太郎 | BS | CG ROBOT BRZ BS | 14 | 23:03.288 | ||||||
8 | 90 | 阪口 良平 | BS | 大阪トヨタ86 Racing | 14 | 23:06.887 | ||||||
9 | 121 | 蒲生 尚弥 | BS | tomicaネッツ兵庫 BS GR86 | 14 | 23:08.279 | ||||||
10 | 60 | 服部 尚貴 | DL | OTG DL 86 | 14 | 23:08.714 | ||||||
11 | 7 | 堤 優威 | BS | ADVICS カバナ BS 86 | 14 | 23:15.231 | ||||||
12 | 17 | 織戸 学 | BS | サミー☆K-one☆MAX86 | 14 | 23:15.640 | ||||||
13 | 25 | 水谷 大介 | BS | GR Tokyo Racing 86 | 14 | 23:19.882 | ||||||
14 | 906 | 佐々木 孝太 | DL | RECARO 86 | 14 | 23:20.686 | ||||||
15 | 557 | 大西 隆生 | BS | オートバックス G7 AS86 BS | 14 | 23:22.550 | ||||||
16 | 10 | 菅波 冬悟 | DL | OTG TN滋賀 86 | 14 | 23:29.369 | ||||||
17 | 312 | 松本 晴彦 | DL | 埼玉自動車大学校生駒SBS 86 | 14 | 23:29.535 | ||||||
18 | 813 | 坂 裕之 | DL | ネッツ兵庫DLテックプロ86 | 14 | 23:32.066 | ||||||
19 | 293 | 岡本 大地 | NEXEN Racing 86 | 14 | 23:32.528 | |||||||
20 | 5 | 井上 尚志 | BS | まんさくレストアパーツBS86 | 14 | 23:33.767 | ||||||
21 | 18 | 中山 雄一 | BS | GR Garage つくば 86R | 14 | 24:20.078 | ||||||
22 | 11 | 脇阪 寿一 | BS | Owltech 86 | 13 | 21:40.013 | ||||||
23 | 97 | 小河 諒 | DL | 神奈川トヨタ ☆ DTEC 86R | 11 | 22:53.550 |