TOYOTA GAZOO Racing 86/BRZ Race 2020 クラブマンシリーズオープン 第4戦

遠征費用が膨らむため、アマチュアドライバーにとってはハードルの高い十勝大会。それだけにエントリーした14台は、シーズンを通してエントリーしているドライバーたちだった。しかし彼らであっても、多くは十勝スピードウェイは初体験で、そのコース特性を十分に理解するのは難しかったようだ。週末を前に早めにサーキット入りし、スポーツ走行で習熟度を高めたのだが、クラッシュし応急的な補修をするマシンもいくつか目にすることになった。３つのクラスで唯一シリーズポイントが有効性となるだけに、２ヒート制の十勝大会はシリーズチャンピオンを狙うには重要な１戦でもある。

●予選
土曜日は終日雨が降り、10℃前後の低い気温も重なり冷たい雨となった。予選開始となり、エントリーしたマシンがコースインすると、すぐさまコースアウトが発生。そのマシン回収のために赤旗中断となる。さらに予選再開直後にもコースアウトしたマシンによって、１台たりともタイム計測できないまま、２度目の赤旗中断となった。降り続いていた雨によって未舗装のランオフエリアがぬかるみ、そこから脱出することは不可能だった。最終的にポールポジションを獲得したのは＃57佐藤純一選手(ブリヂストン）。２位にはシリーズポイントでトップを狙う＃124西澤嗣哲選手(ブリヂストン)が入り、今シーズン、上位入賞を続けている２人がフロントローに収まった。ただし、２人とも十勝でのレースは初だった。
ウエット性能で大きな優位性を持つポテンザRE-12Dを選択するチームが多かったこともあり、ブリヂストン装着車両が1位から6位までを独占し、上位10台の中で8台を占めた。

●決勝・ヒート1
予選と同日の午後に行われた第１ヒートもまた、雨が降り続く中で行われた。見事なスタートを決めた西澤が佐藤に迫ったものの、１コーナーでは佐藤が先行し、ポジションをキープすると、そこからペースアップ。１周目1秒293のリードを作った佐藤だったが、西澤が必死についていく。レースは後続のマシンを引き離し、2台のトップ争いとなっていく。しかし3周目、コースアウトしたマシンの回収のためセーフティカーが入り、それまで佐藤が築いた2秒003のリードが失われた。7周目に再スタートが切られると、やはり2台のマッチレースとなった。佐藤がスパートし、1周で1秒424のリードしたものの、少しずつペースが苦しくなり、西澤に迫られる様相に。しかしオーバーテイクには至らなかった。3位には＃21高月瑠偉（ブリヂストン）が入った。

●決勝・ヒート2
未明まで降り続いていた雨は、ポツリポツリと雨粒を感じる程度になり、路面は完全にウエットという状況になった。ポールポジションからスタートの佐藤はスタートをキッチリと決め、2位西澤を引き離す形で、レースが始まった。

しかし今回のマッチレースは、第1ヒートとは大きく異なる展開になっていく。セカンドグループではスタートで＃522樫村徳俊(ブリヂストン)が3位へとポジションを上げたが、4位へ上がった＃62咲川めり(YH)のペースが速く、2周目にはオーバーテイクされる。しかし咲川は7周目に全体のベストタイムを記録した直後、マシントラブルによってリタイヤしてしまう。代わって3位へ上がったのは＃777山﨑武司(DL)で、10周目にはファステストラップを記録して表彰台へと上がった。
トップ争いの2台は、佐藤が逃げきれず、逆に西澤に詰め寄られる形に。そして8周目の最終コーナーでピタリと背後に付けた西澤が1コーナーでオーバーテイクし、トップに立った。そこからバトルはさらに激しさを増し、ファイナルラップでは佐藤が並びかける場面もあったが、結局届かなかった。ブリヂストン装着勢は、表彰台の1位、2位をはじめ、トップ10に7台が入った。

第1ヒート2位、第2ヒート1位でクラブマンシリーズ・オープンクラスで総合優勝した＃124西澤嗣哲選手のコメント。
「チャンピオンを獲るために、ポイントが必要なので、当初の予定になかった北海道・十勝に来ました。初めてのコースなので不安でしたが、それなりに上手く走れたと思います。何より雨の中でのブリヂストンタイヤのパフォーマンスに助けられましたね。2日間を通じて、いいパフォーマンスだったと思います。シリーズポイントでトップに立つことはできたので、チャンピオンを手にしたいですね」