TGR 86/BRZ Race クラブマンシリーズエキスパートクラス 第11戦

TGR86/BRZレースの3つのクラスのうち、2021年シーズン、チャンピオン争いが混沌としていなかったのは、エキスパートクラスだった。このレースに初参戦ながら、開幕戦から速さを発揮して魅せた＃522地頭所光(ブリヂストン)が圧倒的な強さを見せていたからだ。ベナルティでレースを失ったこともあったが、十勝までの全9戦を5勝で走りきり、チャンピオンを決定してみせた。その地頭所が最終戦でプロフェッショナルシリーズへとステップアップしたため、王者なきレースとなった。ランキング上位は＃703花里祐弥(ブリヂストン)や＃380菱井將文(ブリヂストン)、＃556呉良亮(ブリヂストン)が居並ぶ。ブリヂストンのポテンザRE-12Dのユーザーたちがランキング上位を独占している中、最終戦に注目が集まった。また呉は5月に行われた第2戦の富士で、トップを走りながら最終ラップの最終コーナー立ち上がりで追突され、4位に終わっている。彼にとってはその雪辱を果たすための一戦でもあった。

●予選
エントリー台数は32台。チャンピオン不在の中、存在感を示したのは＃63たしろじゅん(DL)。かつてスポット参戦ながら、プロドライバーたちを制して表彰台に立ったこともある、富士マイスターだ。このレースへの参戦は2014年以来と久々だが、スーパー耐久や富士独自の86レースなどで活躍している。ただひとり2分5秒を切り、ポールポジションを獲得した。予選2位には＃186勝木祟文(DL)が入った。今シーズン予選最上位。岡山大会でクラッシュし、大破したマシンを修復してくれたチームへのお礼としても、価値あるものに違いない。そして3位と4位には、実力者ながら、いずれもスポット参戦の＃162松原亮二(YH)と＃130松井宏太(DL)が並んだ。
ブリヂストン装着勢は、8位に＃556呉良亮、9位に＃358池島実紅と、トップ10に2台が入った。

●決勝
クリーンなスタートで始まったレースは、ポールポジションのたしろが先行し、そのまま2位以下を引き離していく展開になっていった。同時に2位争いは激しいものとなり、スタートで松井が2位へポジションを上げたが、勝木も簡単に引き離されることはなかった。レース中盤、ややタイムが落ちてきた松井を、後半重視のセッティングだった勝木がオーバーテイク、2位を取り戻した。そのペースダウンによって、4位＃38神谷裕幸(DL)と5位松原が追いつき、4台の集団となった。優勝は、ポール・トゥ・ウィンを果たしたたしろ。毎周着実に差を拡げ続け、レース後半にはペースコントロールする余裕も見せた。2位は勝木、3位に松井という表彰台の顔ぶれとなった。
ブリヂストン装着勢は、6位に呉、8位に予選12位からポジションを上げた＃380菱井將文が入るなど、トップ10に3台が入った。

●クラブマンシリーズ・エキスパートクラスの決勝レースで6位となった＃556呉良亮選手のコメント。
「スタートで1台を抜くことはできたんですけど、そこから先はポジションを上げることは難しかったですね。予選で速さがなくて、チームでも検討していろいろ試してみたのですが、決勝のペースを改善することはできませんでした。まったくいいところのない週末になってしまいました。タイヤについても、今回は上手く使えていなかったのかもしれません。また来シーズン、チャレンジしたいと思います」