雨で本領発揮できなかった苦しい予選から 決勝レースでは追い上げて4台が入賞を果たす
- 開催場所:富士スピードウェイ
- 開催日:2022年07月16日(土) 〜 2022年07月17日(日)
昨年のモデルチェンジを受けてマシンが新型へと完全移行し、GR86/BRZ Cupへとレース名も更新された。その開幕戦が7月16日〜17日、富士スピードウェイで行われた。プロフェッショナルシリーズではスプリング&ダンパーや、マフラーが認定部品へ交換可能となるなど、マシンのセッティング面でもプロドライバーの技術が試されることになった。
新型は2リッターから2.4リッターへとエンジンの排気量が拡大され、トランスミッションやデフなどはやや強化されたものの基本は流用なので、その対策としてオイルクーラーの装着が可能となっている。またブレーキに関してはアドヴィックス製のモノブロックキャリパー装着が義務化され、ストッピングパワーだけでなく、キャリパーの耐久性向上の効果も期待される。
タイヤは16インチから17インチへと変更され、215/45R17サイズとなった。ブリヂストンは3シーズンに渡って高性能を誇ってきたPOTENZA RE-07Dをさらに進化させたニューモデル、POTENZA RE-08Dを開発。チャンピオンタイヤ奪還を目指してスタートを切ることになった。
エントリー台数は39台。継続参戦するプロドライバーたちに加え、昨シーズンまでエキスパートクラスで上位争いをしていたドライバーたちのステップアップもあり、より白熱したレース展開が期待された。
ブリヂストン装着勢は20台と、半数以上を占めた。
●予選
当初より雨の予報ではあったのだが、土曜日の公式予選当日は思いの外雨足が強く、午前中には同時開催されているヤリスカップの予選が雨で途中中断する事態にもなった。その雨は午後になっていくぶん弱まったものの、予選はウエットコンディションとなった。
納車の遅れ、装着パーツの納品遅れ等があり、シェイクダウンが前週というチームも多く、中には水曜日だった、というチームもあった。そのためマシンのセッティングは十分ではなく、また前週から雨続きだったこともあって、ほとんどのドライバーはセットアップがままならない状況でもあった。
予選スタート直後から、トップタイムは昨シーズンのチャンピオン#10菅波冬悟(DL)がキープしながら、少しずつタイムアップしていった。路面の水量が少なくなっていった残り時間4分、若手#80伊東黎明(DL)が初めてトップに立つ。しかし残り2分、満を持してタイムアタックした#82谷口信輝(DL)がタイムを更新し、GR86/BRZ Cup初のポールポジションを手にした。
ブリヂストン装着勢は#18中山雄一が12位、#160吉田広樹が13位と、#31青木孝行が15位など、トップ10に食い込むことはできなかった。
●決勝
走行機会が少なく十分なセットアップができていない状況でのレースだけに、いかに速さを引き出すか?が、プロドライバーたちの大きな仕事となった。
ポールポジションの谷口がスタートをキッチリと決めて1コーナーを奪う。しかし2番手スタートの菅波もピタリと背後に付けて、チャンスを伺う。3位の伊東がそれに続き、3台が先頭集団としてレースが繰り広げられていく。
マシンの単純な速さでいえば、このレースウィークは菅波の速さが際立っており、谷口はそれを十分に意識していた。そこで速さで引き離すのではなく、しっかりとブロックし続け、前に出さない戦略を取った。そのため2台のマシンは吸いついたようにピタリと接近し、レースが進んでいった。菅波にとって幸いなのは3位を走るのはチームメイトである伊東だったことで、後ろからのアタックを気にすることなく、前を走る谷口攻略に注力することができた。
しかし、ベテラン谷口の巧妙なペースコントロールもあり、菅波は距離こそ接近しているものの、オーバーテイクする可能性は感じられなかった。結局谷口は1度もトップを奪われることなく、ポール・トゥ・ウィンでメモリアルレースを手中に収めた。
ブリヂストン装着勢では13番手スタートの中山が好スタートを決め、オープニングラップで7位にポジションアップ。3周目には6位となったものの、5位を走る#906佐々木孝太(DL)に抑えられる形になり、後続のマシンが追いつき、7〜8台による大渋滞のバトルとなった。激しくポジションが入れ代わる中、中山はファイナルラップでオーバーテイクを決め、6位入賞を果たした。
その他のブリヂストン装着勢では、吉田が8位、#7堤優威が予選23位から9位、#34佐々木雅弘が予選20位から10位と、トップ10に4台が入った。
●第1戦プロフェッショナルシリーズ決勝レースで、6位入賞を果たした#18中山雄一のコメント
「スタートがうまくいって、前半の4周目まではペースも良く、どんどん前に行ける感じでした。5周目からはエンジンのパワーがなくなってしまい、コーナーは速いけれどストレートで抜かれるようになってしまいました。POTENZA RE-08Dはレース後半のグリップレベルの落ち込みが小さく、残り2周になってからはエンジンのパワーも戻ってきたので、最終的に6位に入ることができました」
決勝
- 開催日:2022/07/17
- 天候:Cloudy
- 路面:Dry
- 決勝出走:39
- 完走:37
- (4.563km x 10laps = 45.63km)
順位 | No | ドライバー | タイヤ | チーム | マシン | シャシー | エンジン | 周回数 | Delay(Lap) | ベストタイム | ベストラップ | タイム |
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1 | 82 | 谷口 信輝 | DL | KTMS GR86 | 10 | 20'50.876 | ||||||
2 | 10 | 菅波 冬悟 | DL | OTG TN滋賀 GR86 | 10 | 20'51.109 | ||||||
3 | 80 | 伊東 黎明 | DL | OTG DL GR86 | 10 | 20'51.758 | ||||||
4 | 123 | 松井 孝允 | DL | NETZ富山Racing GR86 | 10 | 20'52.550 | ||||||
5 | 906 | 佐々木 孝太 | DL | RECARO DL BRZ | 10 | 20'58.863 | ||||||
6 | 18 | 中山 雄一 | BS | GR Garage つくば GR86R | 10 | 21'00.613 | ||||||
7 | 70 | 服部 尚貴 | DL | OTG DL GR86 | 10 | 21'00.923 | ||||||
8 | 160 | 吉田 広樹 | BS | 埼玉トヨペットGB BS GR86 | 10 | 21'01.031 | ||||||
9 | 7 | 堤 優威 | BS | T by Two カバナ BS GR86 | 10 | 21'02.805 | ||||||
10 | 34 | 佐々木 雅弘 | BS | 小倉クラッチ REVO 86 BS GR86 | 10 | 21'02.910 | ||||||
11 | 522 | 地頭所 光 | BS | GB CAMP BS GR86 | 10 | 21'02.911 | ||||||
12 | 504 | 冨林 勇佑 | DL | エアバスターDL・GR86 | 10 | 21'02.939 | ||||||
13 | 121 | 蒲生 尚弥 | BS | tomicaネッツ兵庫 GR86 | 10 | 21'03.325 | ||||||
14 | 291 | 近藤 翼 | NX | Nfera SportsR GR86 | 10 | 21'03.967 | ||||||
15 | 987 | 久保 凜太郎 | BS | RECARO BS BRZ | 10 | 21'04.506 | ||||||
16 | 60 | 小河 諒 | DL | OTG DL GR86 | 10 | 21'04.517 | ||||||
17 | 909 | 小暮 卓史 | DL | RECARO DL BRZ | 10 | 21'05.455 | ||||||
18 | 98 | 元嶋 佑弥 | DL | 神奈川トヨタ ☆ DTEC GR86 | 10 | 21'06.807 | ||||||
19 | 25 | 水谷 大介 | BS | GR TokyoRacing GR86 | 10 | 21'08.070 | ||||||
20 | 11 | 脇阪 寿一 | BS | Owltech BS GR86 | 10 | 21'09.158 | ||||||
21 | 31 | 青木 孝行 | BS | ケーエムエス フェニックスGR86 | 10 | 21'09.372 | ||||||
22 | 988 | 井口 卓人 | BS | RECARO BS BRZ | 10 | 21'09.929 | ||||||
23 | 700 | 阪口 良平 | BS | MOTUL TWS GR86 | 10 | 21'10.998 | ||||||
24 | 76 | 森川 基雄 | DL | ウィニング制動屋 NTC GR86 | 10 | 21'11.133 | ||||||
25 | 910 | 坂 裕之 | DL | シュガーヘビーHTP DL GR86 | 10 | 21'13.460 | ||||||
26 | 56 | 鶴賀 義幸 | BS | 栃木トヨタT2F BS GR86 | 10 | 21'14.706 | ||||||
27 | 97 | 高橋 知己 | DL | 神奈川トヨタ ☆ DTEC GR86 | 10 | 21'15.181 | ||||||
28 | 550 | 宗藤 昌太朗 | BS | 名神タイヤGR86 | 10 | 21'15.442 | ||||||
29 | 5 | 井上 尚志 | BS | レストアパーツBSまんさくGR86 | 10 | 21'21.874 | ||||||
30 | 3 | 翁長 実希 | NX | KIMI GR86 | 10 | 21'22.528 | ||||||
31 | 703 | 花里 祐弥 | BS | 埼玉トヨタ・エンドレスGR86 | 10 | 21'22.545 | ||||||
32 | 112 | 石森 聖生 | BS | Owltech GR86 | 10 | 21'22.902 | ||||||
33 | 17 | 岡田 整 | BS | COVERS K-one GR86 | 10 | 21'27.634 | ||||||
34 | 8 | 渡辺 圭一 | BS | JCS GR 浦和美園 GR86 | 10 | 21'27.936 | ||||||
35 | 293 | 岡本 大地 | NX | Nfera SportsR GR86 | 10 | 21'36.213 | ||||||
36 | 556 | 呉 良亮 | BS | 86RACER' SIDI GR86 | 10 | 21'52.280 | ||||||
37 | 770 | 石坂 瑞基 | DL | FORCE LABO カバナ GR86 | 8 | 17'53.256 | ||||||
- | 199 | 平良 響 | DL | COROLLA MIE GR86 | 0 | DNF | ||||||
- | 55 | 鎌倉 裕貴 | DL | YS PRODUCE GR86 | DQ |