堤優威が幻のポール。予選の波乱を乗り越え、井口卓人が2位表彰台を獲得
- 開催場所:モビリティリゾートもてぎ
- 開催日:2025年05月24日(土) 〜 2025年05月25日(日)

予選では僅差の争いが常態化し、決勝では激しいバトルが随所で展開される──それが今やGR86/BRZ Cupの“当たり前”となった。セッティングも、ドライビングも、着実に進化を遂げ、戦いのレベルはさらに引き上げられている。
2025シリーズ第2戦の舞台はモビリティリゾートもてぎ。ストップ&ゴーが続くレイアウトはブレーキへの負担が大きく、たとえ10周のスプリントでも、マネージメントミスがあれば終盤に響いてくる。
昨シーズンのもてぎは、11月に最終戦として開催されたが、今回は第2戦5月末という早い時期となった。コンディションの違いもあり、レコード更新は叶わなかった。
金曜午後の専有走行では、#1菅波冬悟(DL)が2分11秒994でトップに立ったものの、レコードにはコンマ7秒届かず。2番手には#31青木孝行(DL/2分12秒203)、3番手には#121蒲生尚弥(ブリヂストン/2分12秒208)が続いた。
今回のエントリーは31台で、そのうち14台がブリヂストンのPOTENZA RE-10Dを装着する。
⚫️予選
レースウィークは金曜日までドライコンディションが続き、夏日が当たり前になっていた最近の気候に比べれば、比較的涼しさも感じられた。だが、予選が行われた土曜日は一転して空模様が不安定に。予選中の天候悪化を警戒するチームも多かったが、結果として天気は持ちこたえ、無事にセッションは実施された。
計測時間は通常どおり15分。だが今回は、コースオープンと同時にピットを離れたのは#98元嶋佑弥(ブリヂストン)だけ。少し遅れて#56鶴賀義幸(ブリヂストン)もコースインしたが、序盤は2台だけが走行する展開となった。まず元嶋が2分12秒465でトップに立ち、続いて鶴賀が2分13秒604で2番手につける。
セッションが折り返しを迎える頃、#88井口卓人(ブリヂストン)と#504冨林勇佑(DL)がコースイン。そのほかの大半のドライバーがコースインしたのは、残り5分を切る頃だった。
先にアタックに入った井口が2分11秒841で暫定トップに立つと、すぐに冨林が2分11秒632で逆転に成功する。
その直後、最終コーナーでクラッシュが発生。コース脇に車両がストップし、黄旗が提示される。そして、間もなくチェッカーが振られ、続々と車両がコントロールラインを通過していく。
まず菅波が2分11秒563、#123松井孝允(DL)が2分11秒509を記録。さらに#7堤優威(ブリヂストン)が2分11秒420でトップタイムを叩き出し、#97高橋知己(DL)が2分11秒434で2番手に食い込んだ。最後の最後で目まぐるしく順位が入れ替わり、劇的な結末かと思われたが──、堤の2戦連続ポールポジションは幻に終わった。
黄旗提示後のタイムはすべて無効となり、実に24人がノータイム扱いに。結果、黄旗前にアタックを終えていた冨林がポールポジションを獲得し、井口が2番手、元嶋が3番手となった。
なお、ノータイム扱いとなったドライバーには前回の決勝順位が適用され、菅波は7番手、堤は8番手、#293岡本大地(ブリヂストン)、#60小河諒(DL)と続いた。
予選2番手を獲得した#88井口卓人のコメント「状況がなかなか…。上位のタイムが黄旗で抹消されて、スッキリしないのですが、自分たちはアタックしたタイミングが良かったです。車のフィーリングも良く、課題はありますが、運を味方に2番手が獲得できました。せっかく頂いたチャンスなので、うまく利用して優勝できるように、精いっぱい頑張りたいと思います。今週はブリヂストン全体が、いい状況でテストできています。結果こそノータイムですが、優威はすごくいいタイムでした。タイヤは本当にいいパフォーマンスを発揮してくれています。明日のコンディションはわからないですが、いい戦いができると思います」
●決勝
夜半にコースを濡らした雨は、朝までには上がり、先に行われたクラブマンシリーズの決勝はセミウェットコンディションだったが、プロフェッショナルシリーズの決勝は、ほぼドライで争われることとなった。
誰よりも上手くスタートを決めたのはポールの冨林。井口と元嶋、さらには4番手からスタートした#550宗藤昌太朗(DL)が続いて1コーナーをクリアする。そして、1周目を終えると、早くも菅波と堤が4番手、5番手に浮上。特に堤のペースが良く、2周目には菅波を捉えると、その勢いのまま4周目には宗藤をかわして4番手へとポジションを上げた。
中盤に入ると、元嶋は徐々に先行する2台に離されていく。一方、冨林と井口のトップ争いは激しさを増しながら続いた。
そして6周目、堤が元嶋を交わして3番手に浮上。表彰台圏内に食い込む。続く7周目には菅波も4番手へとポジションを上げた。
この時点で、堤と先行するトップ2台との間には2秒以上の差があり、逆転は難しいと思われた。だが、堤のペースは衰えることなく、最終ラップにはついに井口の背後まで迫る。内圧を低めに設定し、終盤勝負を狙っていた井口にとって、堤の急接近は予想外。冨林に仕掛けるどころか、堤の攻勢に対応せざるを得なくなった。それでも井口は最後、冨林に並びかける意地を見せたが、あと0.1秒届かず。井口は堤を0.6秒抑えて2位でフィニッシュした。井口にとっては久々の表彰台獲得となる。
5位には菅波に続いた元嶋が入った。6位争いでは、最後まで粘っていた宗藤が、最終ラップにミッショントラブルでスローダウン。ポジションを落とし、6位は岡本大地が手にした。
決勝レースで、2位となった#88井口卓人のコメント「トップを走るトミー(冨林)のペースが非常に良く、自分も持っている引き出しをかなり出して頑張ったのですが、あと一歩届きませんでした。最終ラップはかなりいい展開になったのですが、抜ききることができず、厳しいレースでした。内圧は下げ気味にして、後半の数周で勝負をかけるつもりだったので、狙いとしては悪くなかったと思います。ただ、そのタイミングで後方から(堤)優威がすごい勢いで迫ってきたため、トミーだけを意識して仕掛けるというよりも、優威を牽制しながらの展開になってしまいました。そのぶん、少し足りなかったという印象です。とはいえ、昨年はトラブルが続き、なかなか思いどおりのレースができなかったのですが、今年は開幕戦でポイントを獲得し、今回も2位という結果を残すことができました。チームとしても確実に力をつけてきていますし、3台体制でバタバタしていた中でも、全員がしっかりポイントを獲得してレースをまとめてくれたので、とても良い週末になったと思います」
決勝
- 開催日:2025/05/25
- 天候:Cloudy
- 路面:Dry
- 決勝出走:29
- 完走:27
- (4.801km x 10laps = 48.01km)
順位 | No | ドライバー | タイヤ | チーム | マシン | シャシー | エンジン | 周回数 | Delay(Lap) | ベストタイム | ベストラップ | タイム |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 504 | 冨林 勇佑 | DL | Eハイドロゲン EXEDY・DL GR86 | 10 | 22'38.102 | ||||||
2 | 88 | 井口 卓人 |
BS
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東京スバル BS BRZ | 10 | 22'38.232 | ||||||
3 | 7 | 堤 優威 |
BS
![]() |
CABANA BS GR86 | 10 | 22'38.868 | ||||||
4 | 1 | 菅波 冬悟 | DL | OTG 滋賀トヨタ GR86 | 10 | 22'39.266 | ||||||
5 | 98 | 元嶋 佑弥 |
BS
![]() |
神奈川トヨタ ☆ DTEC GR86 | 10 | 22'43.016 | ||||||
6 | 293 | 岡本 大地 |
BS
![]() |
ネッツトヨタ南国 BS GR86 | 10 | 22'48.428 | ||||||
7 | 87 | 篠原 拓朗 |
BS
![]() |
千葉スバル BS BRZ | 10 | 22'49.771 | ||||||
8 | 60 | 小河 諒 | DL | OTG DL GR86 | 10 | 22'50.179 | ||||||
9 | 906 | 近藤 翼 | DL | RECARO DL BRZ | 10 | 22'50.424 | ||||||
10 | 31 | 青木 孝行 | DL | ケーエムエス フェニックスDL_GR86 | 10 | 22'50.884 | ||||||
11 | 17 | 谷口 信輝 | DL/BS | K-one 愛知トヨタ GR86 | 10 | 22'51.474 | ||||||
12 | 34 | 佐々木 雅弘 |
BS
![]() |
小倉クラッチ BS OTG GR86 | 10 | 22'51.737 | ||||||
13 | 2 | 清水 英志郎 | DL | K-one 愛知トヨタ GR86 | 10 | 22'52.338 | ||||||
14 | 70 | 服部 尚貴 | DL | OTG DL GR86 | 10 | 22'52.942 | ||||||
15 | 121 | 蒲生 尚弥 |
BS
![]() |
tomicaネッツ兵庫 BS GR86 | 10 | 22'53.046 | ||||||
16 | 97 | 高橋 知己 | DL | 神奈川トヨタ ☆ DTEC GR86 | 10 | 22'55.165 | ||||||
17 | 56 | 鶴賀 義幸 |
BS
![]() |
栃木トヨタT2FACTRY BS GR86 | 10 | 23'01.320 | ||||||
18 | 186 | 佐藤 凌音 |
BS
![]() |
Star5 AVANTECH GR86 | 10 | 23'01.756 | ||||||
19 | 330 | 平良 響 |
BS
![]() |
OKINAWA GR86 | 10 | 23'02.554 | ||||||
20 | 909 | 小暮 卓史 | DL | RECARO DL BRZ | 10 | 23'04.082 | ||||||
21 | 199 | 小林 利徠斗 | DL | COROLLA MIE GR86 | 10 | 23'06.662 | ||||||
22 | 550 | 宗藤 昌太朗 | DL | 名神タイヤGR86 | 10 | 23'08.060 | ||||||
23 | 5 | 井上 尚志 |
BS
![]() |
レストアパーツBSまんさくGR86 | 10 | 23'09.246 | ||||||
24 | 89 | 奥本 隼士 | DL | 栃木スバル DL BRZ | 10 | 23'09.973 | ||||||
25 | 910 | 坂 裕之 | DL | MプランニングDLエンドレスGR86 | 10 | 23'11.822 | ||||||
26 | 11 | CHUNG Adrian Kwok | DL | AlphaRex Racing GR86 | 10 | 23'12.398 | ||||||
27 | 123 | 松井 孝允 | DL | NETZ富山Racing GR86 | 10 | 23'52.334 | ||||||
- | 90 | 翁長 実希 | DL | OTG 滋賀トヨタ GR86 | 1 | DNF | ||||||
- | 8 | 渡辺 圭一 |
BS
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JCS GR 浦和美園 GR86 | 0 | DNF |