堤優威がシリーズ参戦8年目にして、悲願のチャンピオン獲得!
- 開催場所:岡山国際サーキット
- 開催日:2025年11月29日(土) 〜 2025年11月30日(日)
壮絶なタイトル争いに、ようやく決着がつくGR86/BRZ Cup 2025。
チャンピオン候補は90ポイントでトップに立つ#7堤優威(ブリヂストン)、これを10ポイント差で追いかけるのが#88井口卓人(ブリヂストン)だ。さらにこの最終戦でフルポイント(ポール・トゥ・ウィン + ファステストラップ)を獲得し、堤がノーポイント、さらに井口が4位以下という厳しい条件はつくが、#293岡本大地(ブリヂストン)にも可能性は残されていた。


舞台となる岡山国際サーキットは、その多くが中低速コーナーで、各コーナーに特色があるため難易度が高く、攻略には高いドライビング技術と集中力が必要とされる。ここで最終戦が開催されるのは2022年以来3年ぶり。低い温度の恩恵もあって、レコードタイムの更新は必至と思われた。
シーズンの集大成となる一戦とあって、早いチームは水曜日から走行を開始し、セッティング、ドライビングともに精度を高めていった。その最中に悲運を抱えたのがポイントリーダーの堤だった。エンジンが焼きつき、第4戦・十勝同様、車両交換を強いられてしまったのだ。


金曜日の午後に行われた専有走行では、#121蒲生尚弥(ブリヂストン)が1分44秒352をマークし、ブリヂストン勢の最上位の7番手に。これに1分44秒362で堤が続き、10番手が#87久保凜太郎(ブリヂストン)だった。
今回のエントリーは31台で、そのうち15台がブリヂストンのPOTENZA RE-10Dを装着する。
⚫️予選
厳しい寒さが予想された最終戦だったが、朝晩は冷えるものの予選が行われる頃には上着が必要ないほどの穏やかなコンディションとなった。それでも、路面温度はこれまでとは比較にならないほど低いため、普段は計測1周目から行うアタックを、2周目から行うドライバーが多かった。
計測開始と同時にコースインしていった蒲生も、計測1周目は1分57秒台、計測2周目に1分44秒380をマークして、その時点でのトップに。しかし、若干ではあるが、セッション後半の方が路面状態は向上していたようだ。


残り5分となったタイミングで走行を開始した#1菅波冬悟(DL)が、1分43秒758を記録してポールポジションを獲得。新たなレコードタイムを刻むこととなった。同じく後半に、計測2周目でアタックした堤は1分44秒299をマークして4番手につけ、5番手に蒲生、そして6番手は井口で1分44秒463を記録。10番手が#34佐々木雅弘(ブリヂストン)だった。なお、岡本は24番手に留まったため、この時点で大逆転の可能性は喪失した。


予選4番手を獲得した堤優威のコメント
「原因ははっきりとわからないのですが、練習走行でエンジンが焼きついてしまいました。急遽用意した代車でレースができることは良かったです。予選は、路面温度が低く、ライバルメーカーの新しいタイヤも速さを見せてきている難しい状況でしたが、僕と蒲生選手と井口選手はタイヤの良さをしっかりと活かして、走りをうまくまとめることができて、決勝で上位を狙える位置にとどまることができました。今回の予選結果は、今後のタイヤ開発に向けていい材料になりました。レースでは、ロングのペースの違いを見ながら、タイトルを獲りにいきたいと思います。チャンピオン獲得に向けて非常に有利な予選結果だったので、まずは明日のスタートをしっかりと決めて、安全にレースを終えたいです」

●決勝
この週末、日中は終始穏やかなコンディションに恵まれ、まさに絶好のレース日和となっていたが、路面温度は低いままだった。決勝レースを迎える頃には、太陽が真上に上がっていたとはいえ、フォーメーションラップ2周でしっかりとタイヤを温める必要があった。


決勝はシリーズのフィナーレとあって、スタートから各ドライバーの気迫が炸裂する。ポールシッターの菅波が好スタートを切ると、蒲生もアトウッドコーナーまでに3番手に順位を上げる、さらに井口が4番手に上がり、堤は5番手で1周目を終えた。しかし、このオープニングラップの最終コーナーで接触があり、2周目に入ったところでセーフティカー(SC)が導入され、白熱したレースの流れが止まってしまう。


SCの先導は2周に渡り、勢いを失った上位ドライバーは、ここからポジションをキープしながら周回を重ねていく。勝負どころになるかと思われたレース終盤でも、9周目から再びSCが導入され、最終ラップからのリスタートとなったが順位は変わらず。
蒲生が3位で2戦連続表彰台を獲得。タイトル争いを逆転するには10ポイント(4位)以上の獲得が最低条件だった井口は、4位でレースを終えたが、安定した走りで5位入賞を果たした堤がシリーズ参戦8年目にして、ついにチャンピオンを獲得した。

●決勝レースで、3位となった蒲生尚弥のコメント
「今回は路面温度が低く、この時期ならではの難しさがあったと思います。また岡山はコースの全長が短いため予選では1周のウォームアップだけでは厳しかったです。計測2周目からアタックする選手が多かったと思います。決勝も、昨年までの夏場の開催時期と比べると、路温、気温が違うため、どうアジャストするかで差が出ました。速さという点では厳しかったのですが、スタートはうまくいきました。1コーナーで数台を抜いて、2コーナーからアトウッドにかけて堤選手の前に出ていった感じです。SCからのリスタート後は、ペースが落ちて、厳しかったのですが、(後ろのふたりに)たぶん気を遣ってもらった感じでしたね(苦笑)。
今シーズンは、チームの皆さんのおかげでポールポジションを獲れて、優勝もできました。マシンも仕上がってきていると思うので、この調子で来年以降につなげていきたいです」
●プロフェッショナルシリーズでチャンピオンを獲得した堤優威選手のコメント
「守りのレースでした。スタートがすごく決まったので、2番手にまでポジションを上げられる手応えはあったのですが、今週の目標はチャンピオン獲得だったので、"当たったり、回ったり”というリスクを避け、一歩引いたレースをしました。
今シーズンを振り返ると、2度のマシントラブル、2度の予選タイム抹消と、全7戦中の半分以上でトラブルに見舞われたのですが、それでもしっかり走りきれたのはチームの力ですし、タイヤも含めてパッケージ全体の安定感があったからだと思います。支えてくださったスポンサーの皆さまのおかげで獲れたタイトルだと思いますし、乗りやすいクルマを用意してくれたチームに本当に感謝です。
今年は自分が開発に携わったこのタイヤで、たくさんのドライバーが結果を出してくれて本当に嬉しいですし、このタイヤのおかげで僕自身もやっと結果を出すことができました。シリーズ終盤はライバルメーカーがいいタイヤを出してきたので、今後の開発に向けていい判断材料ができたと思います。来季以降も開発ドライバーとして、さらにいいタイヤを作っていきたいです」
決勝
- 開催日:2025/11/30
- 天候:Fine
- 路面:Dry
- 決勝出走:31
- 完走:29
- (3.703km x 12laps = 44.436km)
| 順位 | No | ドライバー | タイヤ | チーム | マシン | シャシー | エンジン | 周回数 | Delay(Lap) | ベストタイム | ベストラップ | タイム |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 1 | 菅波 冬悟 | DL | OTG 滋賀トヨタ GR86 | 12 | 27'18.266 | ||||||
| 2 | 2 | 清水 英志郎 | DL | K-one 愛知トヨタ GR86 | 12 | 27'19.616 | ||||||
| 3 | 121 | 蒲生 尚弥 |
BS
|
tomicaネッツ兵庫 BS GR86 | 12 | 27'20.673 | ||||||
| 4 | 88 | 井口 卓人 |
BS
|
東京スバル BS BRZ | 12 | 27'21.185 | ||||||
| 5 | 7 | 堤 優威 |
BS
|
CABANA BS GR86 | 12 | 27'21.527 | ||||||
| 6 | 123 | 松井 孝允 | DL | NETZ TOYAMA Racing GR86 | 12 | 27'21.764 | ||||||
| 7 | 97 | 高橋 知己 | DL | 神奈川トヨタ ☆ DTEC GR86 | 12 | 27'23.111 | ||||||
| 8 | 87 | 久保 凜太郎 |
BS
|
千葉スバル BS BRZ | 12 | 27'26.231 | ||||||
| 9 | 504 | 冨林 勇佑 | DL | Eハイドロゲン EXEDY・DL GR86 | 12 | 27'26.618 | ||||||
| 10 | 60 | 小河 諒 | DL | OTG DL GR86 | 12 | 27'26.806 | ||||||
| 11 | 330 | 平良 響 |
BS
|
OKINAWA GR86 | 12 | 27'27.508 | ||||||
| 12 | 160 | 吉田 広樹 |
BS
|
GR Garage 浦和美園 IDI BS GR86 | 12 | 27'27.851 | ||||||
| 13 | 70 | 服部 尚貴 | DL | OTG DL GR86 | 12 | 27'28.361 | ||||||
| 14 | 186 | 佐藤 凌音 |
BS
|
Star5 AVANTECH GR86 | 12 | 27'28.823 | ||||||
| 15 | 34 | 佐々木 雅弘 |
BS
|
小倉クラッチ BS OTG GR86 | 12 | 27'29.536 | ||||||
| 16 | 98 | 元嶋 佑弥 | DL | 神奈川トヨタ ☆ DTEC GR86 | 12 | 27'30.210 | ||||||
| 17 | 17 | 谷口 信輝 | DL | K-one 愛知トヨタ GR86 | 12 | 27'31.035 | ||||||
| 18 | 293 | 岡本 大地 |
BS
|
ネッツトヨタ南国 5Zigen BS GR86 | 12 | 27'34.443 | ||||||
| 19 | 90 | 翁長 実希 | DL | OTG 滋賀トヨタ GR86 | 12 | 27'36.231 | ||||||
| 20 | 56 | 鶴賀 義幸 |
BS
|
栃木トヨタT2FACTRY BS GR86 | 12 | 27'36.642 | ||||||
| 21 | 32 | 市森 友明 |
BS
|
大阪トヨタ North NiX GR86 | 12 | 27'37.686 | ||||||
| 22 | 550 | 宗藤 昌太朗(MUNETO SYOUTAROU) | DL | 名神タイヤGR86 | 12 | 27'38.187 | ||||||
| 23 | 18 | 中山 雄一 |
BS
|
IBARAKI TOYOPET GR86 | 12 | 27'38.445 | ||||||
| 24 | 909 | 小暮 卓史 | DL | RECARO DL BRZ | 12 | 27'38.816 | ||||||
| 25 | 12 | 地頭所 光 |
BS
|
こばんにゃんねるGR86 | 12 | 27'39.716 | ||||||
| 26 | 76 | 森川 基雄 |
BS
|
ウィニング制動屋 NUTEC GR86 | 12 | 27'43.325 | ||||||
| 27 | 5 | 井上 尚志 |
BS
|
レストアパーツBSまんさくGR86 | 12 | 27'45.508 | ||||||
| 28 | 910 | 坂 裕之 | DL | MプランニングDLエンドレスGR86 | 12 | 27'46.940 | ||||||
| 29 | 89 | 奥本 隼士 | DL | 栃木スバル DL BRZ | 12 | 27'53.434 | ||||||
| - | 50 | 高島 登 |
BS
|
エムテックス制動屋GR86 | 7 | DNF | ||||||
| - | 31 | 青木 孝行 | DL | ケーエムエス フェニックスDL_GR86 | 0 | DNF |
