2019年 全日本ジムカーナ選手権 第７戦

全日本ジムカーナ選手権の第7戦が、愛媛県南部に位置するハイランドパークみかわで開催された。シリーズランキングを左右する大事な一戦に88台のエントラントが熱戦を繰り広げた。 コースは元スキー場の駐車場を利用したフルパイロンコース。スタートして前半はコース全体を幅広く使った高速セクション。後半はスタート付近近くに戻ってきてのテクニカルセクション。270度ターンから180度ターン、最後に2本パイロンの270度ターンをこなしてゴールという攻め甲斐のある設定。 梅雨まっただ中の四国地方は朝7時の時点では曇り空ながらも青空も見える状態。このまま晴れてくれと願うもだんだんと雲が厚くなり、競技が始まる前に雨が降りだして路面はウエットに。その後降ったりやんだりを繰り返しながら競技が進行。また、標高約1,000mの会場は気温21℃前後、路温も22℃前後で推移。7月中旬とは思えない涼しさの中での戦いとなる。 みかわの路面は、ウエット状態では雨が降っている方がタイムが出るという不思議な路面で、1本目より2本目の方が雨量が多いコンディションの中タイムアップ合戦となったり、逆に雨量が少ないのに軒並みタイムダウンとなったり。 そんな中、RE-12D TYPE Aを履くPNクラスのPOTENZA装着勢が大活躍。PN1クラスで小林規敏（ロードスター／ブリヂストン）が今季2勝目。高屋隆一（ロードスター／ブリヂストン）が2位と、BSのワンツー。PN2クラスでは山野哲也（アバルト124スパイダー／ブリヂストン）が今季6勝目でシリーズチャンピオンを獲得。いながわひろゆき（スイフト／ブリヂストン）が2位に入り、このクラスでもBSのワンツー。PN3クラスではユウ（86／ブリヂストン）が今季3勝目と、4クラス中3クラスを征し、RE-12D TYPE Aがライバルを凌駕するポテンシャルをみせる結果となる。 RE-11Sも履くSA・SCクラスでは、全てのPOTENZA装着勢が駆動輪にTYPE WS3を選択。ウエット路面でのグリップ力の高さを活かし、SA4クラスで菱井将文（ランサー／ブリヂストン）が大会オーバーオールタイムを叩き出して今季4勝目。また、SA1クラスで橋本克紀（シビック／ブリヂストン）が2位、SA3クラスで藤井雅裕（RX-7／ブリヂストン）が3位、SA4クラスで飯坂忠司（ランサー／ブリヂストン）が3位、SCクラスで西原正樹（インプレッサ／ブリヂストン）が2位と、それぞれ表彰台の一角を占める活躍を見せた。 また、SA3クラスでは西森顕（NSX／ブリヂストン）がシリーズチャンピオンとなり、POTENZA装着勢は3戦を残して早くも2名のシリーズチャンピオンを輩出。

＜PN1クラス優勝、POTENZA RE-12D TYPE A装着＞（2006年以降にJAF登録された1600cc以下の2WD車。改造範囲が最も狭い）

第5戦名阪で優勝している小林規敏（ロードスター／ブリヂストン）が1本目に出した1分21秒241というタイムを守り切って今季2勝目。開幕4連勝の小俣洋平（ロードスター／DL）に勝たれるとシリーズチャンピオンも決められてしまうという状況の中、気迫の走りでそれを阻止し、自身のシリーズチャンピオンの可能性を残した。
●小林規敏選手のコメント
「1本目は路面状況を見極めて走りました。場所によって滑り易いところがあるので、うまくコントロールしながらトラクションをかける様に走ったところ、トップタイムが出ました。最後のターンセクションでは少し失敗もあったので、それがなければ1分20秒台に入れることができたかも。2本目は路面状況が悪化していたのでタイムダウンしてしまいましたが、1本目のタイムで優勝できて良かったです。」

＜PN2クラス優勝、POTENZA RE-12D TYPE A装着＞（2006年以降にJAF登録された1600cc超の2WD車。改造範囲が最も狭い）
　
今季5勝していてシリーズチャンピオンに王手をかけている山野哲也（アバルト124スパイダー／ブリヂストン）が、1本目に1分20秒221というトップタイムをマーク。そのタイムは2本目になっても誰にも破られることなく、山野の今季6勝目となり、V19となるシリーズチャンピオンを獲得。
●山野哲也選手のコメント
「今日勝ったことにより、験のいい1並びの全日本ジムカーナ111勝目、そして19回目のシリーズチャンピオンを獲得することができました。今回は雨が強くなったり弱くなったりと、路面状況が刻々と変化する中でも安定したタイムを出せるPOTENZA RE-12D TYPE Aというタイヤがあってこその勝利であり、このタイヤが開幕戦でデビューしてからPN2クラスでは負けなしという、しかも第7戦にして早くもシリーズチャンピオンを決めることができたということは、このタイヤのポテンシャルの高さを物語っていると思います。実際、タイヤは完璧なのでタイヤのことは考えずにドライビングに集中できるという、よりシンプルに戦うことができたのが良かったかなと感じています。」

＜PN3クラス優勝、POTENZA RE-12D TYPE A装着＞（2012年以降にJAF登録された1600cc超2000cc以下のRWD車。改造範囲が最も狭い） 　

今季3勝の西野洋平（86／ブリヂストン）と、2勝のユウ（86／ブリヂストン）、1勝の川北忠（BRZ／DL）との三つ巴状態のこのクラス。1本目、ユウが1分20秒879というトップタイムを出し、西野はまさかのミスコース。2本目は上位陣が軒並みタイムダウンで西野も9位止まりとなり、ユウが1本目のタイムで今季3勝目を挙げる。
●ユウ選手のコメント
「昨日までクルマが不調でダメダメでしたが、チームや仲間が色々協力してくれたお陰で何とか調子が戻り、今日は安心して走ることができました。2本目の天候がどうなるか分からなかったので、1本目にキッチリとタイムを残そうとタイヤを信じて攻めた走りをした結果、トップタイムを出せました。2本目は奥の路面がヌルヌルした感じでタイムダウンしましたが、1本目のタイムで勝てて良かったです。これで西野選手と3勝ずつで並びました。あと2勝した方がチャンピオンなので、次戦以降も頑張ります。」

＜SA3クラスシリーズチャンピオン、POTENZA RE-12D TYPE A（フロント）RE-11S TYPE WS3（リア）装着＞（1,600cc超の後輪駆動車。改造範囲が広い） 　
開幕から6連勝している西森顕（NSX／ブリヂストン）が、今回ライバルである久保真悟（EXIGE-S／DL）が優勝しなければ、もしくは久保に優勝されても西森が6位以内であればシリーズチャンピオンが決まるという圧倒的有利な状況の中、何と2本ともパイロンタッチで7位と低迷。しかし久保が優勝できなかったことに助けられ、シリーズチャンピオンを確定させた。

●西森顕選手のコメント
「自分らしさを発揮したチャンピオンの獲り方だったかな（笑）。昨年までパイロンタッチが多く、それでシリーズチャンピオンを獲り損ねたこともありました。今年は開幕からそれを封印して勝ちを重ねてきましたが、ここにきて2本ともやってしまいました。タイヤですが、今日はフロントにRE-12D TYPE Aを履きました。ウエット路面なので排水性のある縦溝があった方がいいかなと思ったのと、WS3（225/45R16）と比べて幅が狭い（205/50R16）ので、面圧を高くできると考えたのです。ペナルティはありましたが優勝した選手より2秒近く速いタイムを出せたので、タイヤのポテンシャルの高さは確認できたかなと思います。不甲斐ないチャンピオンの獲り方ではありましたが、胸を張って“俺はチャンピオンだ”と言いたいです。」

＜SA4クラス優勝、POTENZA RE-11S TYPE WS3装着＞（4WD車。改造範囲が広い）

今季3勝の菱井将文（ランサー／ブリヂストン）と2勝の津川信次（ランサー／DL）の一騎打ち状態のこのクラス。1本目は津川がミスコース、菱井はパイロンタッチと共倒れ。しかし2本目、まず津川が1分16秒105というトップタイムを出すも、菱井は更に津川のタイムを1秒以上引き離す1分14秒984という驚異的なタイムを叩き出す。このタイムが大会オーバーオールタイムとなり、菱井が今季4勝目。あと1勝でシリーズチャンピオンと王手をかける。
●菱井将文選手のコメント
「絶対勝ってやると誓ってみかわ入りしました。得意のフルパイロンコースですし、みかわでは負けなしの3年連続優勝しているので、勝つ自信もありました。昨日・今日とウエット路面でしたが、WS3は雨量が少ない時も多い時も安定してタイムが出せますね。今日は2本目の雨が強く降る中でもトップタイムを出すことができたということは、WS3のポテンシャルが高いという証明にもなりました。あと3戦ありますが、手を抜かずに頑張ります。」