KEI NAKAMURA選手またもや圧勝!3戦連続のパーフェクトウイン達成!
- 開催場所:十勝インターナショナルスピードウェイ クラブコース
- 開催日:2023年08月20日(日) 〜 2023年08月20日(日)
~新たなレースカテゴリー、TS-86/BRZ~
1990年になる頃、トヨタが「レースをもっと身近で手軽なものに!」をテーマにナンバー付車両によるワンメイクレース設立に向けての活動を開始した。その10年にも及ぶ粘り強い関係機関との交渉に成功したのは2000年のことである。新型コンパクトカーであるヴィッツによる「ネッツカップ・ヴィッツレース」が誕生し、そのトヨタ系ナンバー付ワンメイクの最高峰として登場したのが、2013年からスタートした「TOYOTA GAZOO Racing 86/BRZ Race」だった。
トヨタ86、姉妹車であるスバルBRZとともに、国内最高ワンメイクレースとなった「TOYOTA GAZOO Racing 86/BRZ Race」に転機が訪れたのは2021年、トヨタ86のモデルチェンジに伴い翌年からは参戦車両が新型とされたのである。そこで多数存在する旧型ZN6/ZC6系レース車両の救済策として考え出されたのがTS-86/BRZクラスである。
~残念ながら少数精鋭の参加台数!~
旧型レース車両の救済策として誕生した「TS-86/BRZ」クラス、使用タイヤをPOTENZA RE-71RSに統一することでさらにイコールコンディション化が促進され、ここ十勝以外にも岡山やオートポリスでも同様のレギュレーションで開催されるようになった。ところが、どの地域でも思うように参加台数が増えないのが現状。このクラブマンカップ第3戦でも、前回参加したナカヤケンタロウ選手が姿を見せず、レギュラー参戦してきた三浦稔呂選手も今回は旧型ヴィッツのN1-1000クラスに参加するため欠場。新たにジムカーナやサーキットトライアルでは実績を持つ小野寺俊選手が参加してくれたが、それでも参加4台と少数精鋭。とはいえ、このクラスでは無敵の強さを見せるKEI NAKAMURA選手は、「旧型レース車両は私が把握しているだけで道内に5~6台はありますし、ぜひこのクラスで走って欲しいと声掛けしようと思っています」と言ってくれたし、光内宏樹選手も「タイヤがRE-71RS限定で、このタイヤはレース専用じゃありませんから一般公道も走れる。私もサーキットまで普通に走ってくることがありますが、その点は助かりますよ」というように、この先の参加車両増加に期待したいところだ。
◆予選
前日には晴れ間も見えていたのだが、夜半から降り始めた雨はやむ気配もない。TS-86/BRZクラスの予選前に併催レースの決勝があり、そのため走行ラインだけは水膜が飛ばされるのではと期待されたものの、雨は弱まらずコースはフルウエットのまま。
この状況からタイヤセッテイングを大きく変えたのが小野寺俊選手、「空気圧をドライ時より50%以上も上げました。走り出しから内圧の上昇を待たなくていいし、トレッド面のミゾ幅が広がって水膜を切れると思うんですよ。何かとんでもない作戦を考えないとNAKAMURA選手には勝てませんからね」とスタートしてゆく。しかし、この“奇策”が実ることはなかった。小野寺選手はポールを奪ったNAKAMURA選手から2秒5離され、陰能裕一選手にも及ばずの3番手にとどまったのである。
とはいえ、圧倒的強さを見せるNAKAMURA選手を出し抜くにはなんらかの方策が必要なのは言うまでもあるまい。もちろん走り込みやコースに対する慣れは当然として、前期型と後期型の車種選びや、タイヤセッテイングの工夫を重ねるドライバーの登場を望みたい。
◆決勝
気まぐれな十勝の天気、やむ気配もなかった雨が昼を過ぎる頃には上がったのである。そうなれば気温の高さもあって、コースは一気に完全ドライへと回復してしまったのである。各ドライバーともタイヤ圧のセッテイングを変更したのは言うまでもない。
そして決勝のスタート。
結果的にこのレースのハイライト、最大の見せ場はその瞬間だけにあった。レッドランプが消えた途端、絶妙のクラッチミートを見せたポールのNAKAMURA選手、後続をけん制するためインにクルマを向けるが、予選3番手だった小野寺選手はグリッドから迷わず一直線に加速してゆき、第1コーナー進入ではアウト側からNAKAMURA選手に並びかけたのだ。並走のまま第2コーナーに向かうが、ここではNAKAMURA選手がイン側であり、惜しくも小野寺選手は引かざるを得なかった。このスタート直後の攻防がレースを決めたと言えるだろう。
「なんとかNAKAMURA選手に一泡吹かせてやろうと思っていましたから、スタートには気合いを入れました!」と小野寺選手。
そして、「並ばれたのは分かりましたが、第2コーナーまでの加速に賭けてポジションを守ろうと思いました」とNAKAMURA選手。
レースはそのままNAKAMURA選手の独走。小野寺選手には10秒もの差をつけ、3番手以降の陰能選手、光内選手とは30秒以上の差。またもNAKAMURA選手の“牙城”は誰にも崩せず、パーフェクトな3連勝となった。
レース後健闘を称え小野寺選手(左)とNAKAMURA選手(右)
決勝
- 開催日:2023/08/20
- 天候:Cloudy
- 路面:Dry
- 決勝出走:4
- 完走:4
- (5.091km x 10laps = 50.91km)
順位 | No | ドライバー | タイヤ | チーム | マシン | シャシー | エンジン | 周回数 | Delay(Lap) | ベストタイム | ベストラップ | タイム |
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1 | 32 | KEI NAKANURA | BS | DICE・ASH・アクレ・86 | 10 | 16:51.339 | ||||||
2 | 34 | 小野寺 俊 | BS | シンシア★SYSTEM-R★86 | 10 | 17:01.556 | ||||||
3 | 17 | 陰能 裕一 | BS | ステップ昭和トラックZN6・86 | 10 | 17:22.002 | ||||||
4 | 33 | 光内 宏樹 | BS | SYSTEM-Rダイス86 | 10 | 17:29.937 |