キャリアに勝る大崎達也がデビュー戦を圧勝
- 開催場所:岡山国際サーキット
- 開催日:2023年02月19日(日) 〜 2023年02月19日(日)
2月19日、岡山国際サーキットで2023年の「OKAYAMAチャレンジカップレース」シリーズの第1戦が開催された。ブリヂストンのポテンザRE71-RSをワンメイク指定タイヤとする「Nゼロ-86」のクラス1も開幕。このシリーズには初参戦ながら、スーパー耐久で優勝するなどキャリアに勝る大崎達也の圧勝劇で幕を開けた。あいにくのコンディションだったが、格上のクラス2マシンを追い詰めたパフォーマンスには“アッパレ”が相応しい。
今回はまず、前日の2月18日に開催された2022年シリーズの表彰セレモニーの模様を紹介したい。86Nゼロクラスはチャンピオンの杉山博紀をはじめ、濱崎歩也、荒川恵美子の3名が出席。プレゼンターから成績を記した記念のプレートが授与され、副賞も贈られた。またチャンピオンの杉山には、ブリヂストン賞として「ポテンザRE-71RS」の4本セットも贈呈。これには杉山も満面の笑みで喜びを表した。
セレモニーの後で杉山は「昨シーズンは後半の2戦しか出られなかったのですが、どちらも運良く優勝できたのがラッキーでした。このポテンザRE-71RSのおかげでチャンピオンを取れたと思います。今年も明日の開幕戦は出場が叶わず、第2戦の耐久からの参戦になる予定ですが、また勝てるように頑張ります」とコメントした。
●予選
さて、一夜が明けると、全国のシリーズ戦でも飛び抜けて早い、OKAYAMAチャレンジカップレースが開幕した。今回、86Nゼロのクラス1(先代の86/BRZのワンメイク)のエントリーは3台。2017年のチャンピオンである♯186西村宏樹を除いて、残る2名はこのシリーズには初参戦だ。♯25柳堀翔太はカート経験こそ豊富だが、4輪は2戦目という25歳の若者。一方で♯456大崎達也は、鈴鹿のフォーミュラエンジョイで2018年から無敵の連勝劇を誇った逸材。2021年のスーパー耐久ST-5クラスでは、3勝を挙げてシリーズ2位となったメンバーでもある。なお、新型のGR86/BRZによるクラス2には今回1台のみが参戦している。
昨年も雪が散らついた岡山だが、今年の開幕もあいにくの空模様となった。86Nゼロクラスの予選は86N1(4台)とロードスターN1(こちらも4台)との混走で雨が降る中、オンタイムの10時ジャストから走行を開始。路面はフルウエットで、岡山は今回が初めての柳堀がいきなりの洗礼を浴びた。アウトラップのモスSでスピンアウトして赤旗中断。柳堀は自走でピットに戻るも、再度のアタックはできないまま予選は終了してしまった。残る2台の勝負は大崎が2分10秒767でクラストップとなり、西村はコンディションの確認に徹した2分15秒台で決勝にコマを進めた印象だ。午後の決勝はロードスターとは別になるが、86N1とは混走。グリッドはクラスに関係なくタイム順となるので、大崎はなんと3番グリッドからのスタートになった。西村も2台の86N1よりは速かったので、5番グリッドをゲット。そして予選ノータイムの柳堀だが、幸いにしてマシンの損傷は軽微だった。もちろん最後尾の8番グリッドとなるが、嘆願書の提出によって決勝を戦えることになった。
●決勝
天気予報の通り、午後に入った岡山国際サーキットは雨足が止まった。ただし路面の回復はわずかで、晴雨兼用タイヤを履く86Nゼロの4台に対して、スリックかレインのレース専用タイヤを選択できる86N1勢には難しいコンディションになった。予選で2分03秒729という総合トップタイムを記録した86N1の♯86佐藤俊介も、グリッドまでスリックを運んで交換するか悩みつつ、結局は予選と同じレインで決勝に臨んだ。一方で、2番グリッドの86Nゼロ(クラス2のGR86)の♯33山崎竜生をはじめ、大崎以下のクラス1の3台は悩む必要がない。
予定よりわずかに遅れて、14時28分に86Nゼロと86N1の決勝レースはスタートが切られた。悩んでいた佐藤はスタートで少し出遅れ、それでも山崎の先行を許さないように前を塞ぎにいく。さらに佐藤は1コーナーの立ち上がりでスピン。なんと最後尾まで順位を落としてしまう。
ここから、総合トップは86Nゼロの2台が争うことになった。序盤はクラス2の山崎が大きくリードしたかに思えたが、次第に大崎が背後に接近。中盤からは時としてテールtoノーズというバトルにまで発展する。長いストレートでは排気量で400cc大きい新型(ZN8)の山崎がリードを広げるが、コーナーでは先代(ZN6)の大崎が急接近。じつはこのふたり、昨年11月のGR86/BRZカップの岡山ラウンド(ダブルヘッダー)で鎬を削ったライバル同士。予選では山崎がコースレコードで輝いたが、決勝では大崎が優勝と2位で上回ったという経緯もある。
今回はクラスが違うこともあって、山崎と大崎のバトルはお互いに無理せずにフェアプレー。それでも10周を終えてのギャップはわずかに0.493秒。ウエットでも定評あるポテンザRE71-RSが、大崎の武器になったことは誰の目にも明らかだった。
そして忘れてはいけないのが、86Nゼロの2位争い。岡山を知り尽くしている西村が序盤は単独で走行を重ねていたが、柳堀が徐々にペースアップ。終盤の3ラップは西村を射程内に捉えて、逆転を狙っていた。ところが、お互いに最終盤にシフトミスなどで失速する場面もあり、さらに86N1の1台が間に入る展開にもなって順位変動には至らず。最後は約1.2秒差で西村が柳堀の追撃を振り切った。ただし柳堀が9周目に叩き出した自己ベストは2分03秒573と、大崎が4周目に記録した2分03秒288に肉薄。この1日だけでも、大いに成長したことを証明した。
優勝した大崎選手コメント
「予選は内圧を上げたのが裏目に出ましたが、少し下げた決勝は走りやすくなりました。コーナーでは前を走る33号車よりも10m以上、もしかすると20m近く奥まで突っ込めるので、そこでの安定した制動と立ち上がりが武器になりましたね。じつは木曜日の練習で、昨年のGR86のレコードに超接近できたので、今度はドライでも勝負してみたいです」
なお、OKAYAMAチャレンジカップレース・シリーズの第2戦は4月2日に開催される予定だ。この第2戦は今回の予選で混走した86N1やロードスターN1、さらにWEST VITAなどと決勝まで混走の2時間耐久で行われる。ドライバーも最大3名まで登録可能だが、86Nゼロのドライバーでエントリーの意向を表明しているのは、取材した範囲では前年王者の杉山博紀のみ。もし1台だけの参戦では(今回のクラス2と同様に)シリーズとしては不成立となり、このレポートも掲載されないことになる。ぜひ皆さん奮っての参加をお願いしたい。
OKAYAMA チャレンジカップ Nゼロー86 公式ページ
http://www.okayama-international-circuit.jp/hashiru/race/car/cc_ae86.html
決勝
- 開催日:2023/02/19
- 天候:Cloudy
- 路面:Wet
- 決勝出走:4
- 完走:4
- (3.703km x 10laps = 37.03km)
順位 | No | ドライバー | タイヤ | チーム | マシン | シャシー | エンジン | 周回数 | Delay(Lap) | ベストタイム | ベストラップ | タイム |
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1 | 456 | 大崎 達也 | BS | GarageN SALTO BS 86 | 10 | 20'46.732 | ||||||
2 | 186 | 西村 宏樹 | BS | 旭モータースHIROKKIE Racing | 10 | 21'19.546 | ||||||
3 | 25 | 柳堀 翔太 | BS | アクセス86 | 10 | 21'20.750 |