KEI NAKAMURA、またもや無敵の連勝記録を更新!
- 開催場所:十勝インターナショナルスピードウェイ クラブコース
- 開催日:2024年08月25日(日) 〜 2024年08月25日(日)
~モーターレーシングを生涯のスポーツとして!~
2013年、トヨタ系車両によるワンメイクレースの最高峰として誕生した「GAZOO Racing 86/BRZ Race」だが、2021年には86(BRZも同様)がZN8型へとモデルチェンジされ、2022年から「TOYOTA GAZOO Racing GR86/BRZ Cup」へと生まれ変わった。そこで問題となったのは多数存在する旧型ZN6型のレースカーである。
その旧型ユーザーの救済策としてブリヂストンの協力を得て各地のサーキットで開催されるようになったのが「TS-86/BRZ Race」であり、もちろん十勝でも一昨年から北海道シリーズとして開催されている。ただ十勝の特徴としてレギュラー参戦者の年齢層の高さが挙げられるだろう。40歳未満のドライバーなど一人として存在しないのだから。
そのあたり、今年のパリオリンピックの馬術で、戦前の“バロン西”と呼ばれた西竹一中尉以来、92年ぶりののメダリストとなった日本チームが自分たちを「初老ジャパン」と呼んだが、十勝でのTS-86/BRZレースへの参戦ドライバー達も、その「初老」というネーミングがぴったりするかもしれない。ただしそれは決して悪いことではない。それなりに年齢を重ねたオトナが生涯のスポーツとしてモーターレーシングを選び、それを存分に楽しんでいる姿は素晴らしいし、見事な生きっぷりではないか。
~レース参加で心も体もリフレッシュ!~
そんな十勝のTS-86/BRZクラスに参戦し続けている「初老86ドライバー」の一人が三浦稔呂選手、本業は歯科クリニックのドクターである。「学生だった頃からクルマは好きで、レースにも出てみたいな・・と、それがず~っと頭の中にありましたね」と三浦選手。クリニックを開業し、暮らしにも多少の余裕ができたころ、「なかなか決断できなかったんですが、レース参戦を実現するのは今だ!と思ったんですね。その時に出会ったのがステップエンジニアリング代表の水田貴之さんでした。水田さんのサポートでまずヴィッツから始めました。そして一昨年、十勝でも旧タイプのトヨタ86のレースが始まると聞いたので、思い切ってクルマも調達してもらいエントリーしたんです。でも初回のエントリーは確か私だけで、1台しか参加車両はいなかったんですよ。とはいえ、初代ウイナー間違いなく私ですよね!」と笑う三浦選手、今年62歳になるというが、その笑顔は若々しい。
ただ、細かい神経を使う医療業務に従事しており、なかなか時間が自由にならないことも多いようで、「それでもそれなりに練習はしていますよ。まったく違った世界に身を置きたいと思ってましたから、アウトドアスポーツなんかにまったく関心がなかったんですが、レースを始めてから朝、早起きになりましたよ。レースに出場することが、心も体もリフレッシュしてくれるんですよね!」とも言う。
レースカテゴリーの中で最も軽い負担で、手軽に始められるのがナンバー付車両によるワンメイクレースであり、その扉はいつでもフルオープンに開かれている。ちょっとした勇気と決断力さえあれば、年齢や性別に関係なく、レースという素敵な異次元の世界に飛び込んで行ける。その受け皿としてTS-86/BRZクラスは最適であり、その参加台数のさらなる増加をレース関係者すべてが待ち望んでいるのだ。
~予選アタックのタイヤ選択は?!~
このTS-86/BRZクラス、ナンバー付車両によるワンメイクであるから改造範囲は狭く、使用タイヤもブリヂストンPOTENZA RE-71RSに限定されている。つまり天候や気温、路面温度によってタイヤの空気圧をどうするか、新品にするか、ユーズドで行くか等の判断が勝敗を分ける大きな要素にもなっているのだ。
予選アタック、ニュータイヤを選択したのは小野寺俊選手。コースインして2周目にアタック、そのままピットに戻ってしまう。「ニュータイヤはパターンのカドが立っていますからグリップはいいんですよ。その新品効果があるうちに1周だけ全力でアタックして終わり。余計な周回をすればタイヤが減りますからアタックは一発でいいんです」と小野寺選手。予選終了後、モニターを見ながら「僕だけ1分38秒台ですよ。他は39秒台ですからね、これは気持ちいいい!」とポールを獲得する。
ユーズドでコースインしたのは連勝中のKEI NAKAMURA選手。予選2番手となるのだが、「ユーズドはグリップが安定していますから使ったんですが、ちょっと満足いかなくて6周も走ってしまいました。予選の一発勝負は小野寺選手は速いですよね。まあ、決勝となれば話は別ですがね」と余裕を見せる。
また今回のレースもフロントローは小野寺選手とNAKAMURA選手という、この数戦まったく変わらぬ同じ顔ぶれとなったが、予選3番手にはスタートダッシュの巧みさには定評のある三浦選手が付け、決勝のバトルが大いに楽しみなグリッドとなった。
~いつもと違うレース序盤の大接戦!~
決勝のスタート、ポールの小野寺選手はジムカーナでもタイトル争いを展開したドライバー、そのクラッチミートやローギアからの加速テクニックには定評のあるところで、想定通りにホールショットを奪う。
そして、それと同等以上のスタートダッシュを見せたのは3番グリッドだった三浦選手。連勝中のNAKAMURA選手にアウトから並びかけると、見事に2番手で第1コーナーをクリアしてゆく。
このオープニングラップでの攻防、三者三様の持ち味を生かしたバトルは、このレースのハイライトと言ってもいい最高の見せ場であった。
ただし、その見事なバトルもレース序盤で終わってしまう。三浦選手がコースオフから順位を落とし、小野寺選手も4周目を終える頃にはポジションを守り切れず、NAKAMURA選手にトップを譲ることになるのだ。
「なんとかポジションをキープしてやろうと思ったのですが、どんどんNAKAMURA選手が近づいてきて、ストレートでパスされてしまいました」と小野寺選手。
NAKAMURA選手は「トップに出るのはもう少し後からと思っていましたが、タイヤのグリップも安定していましたからし、早めにチャンスが来ましたから思い切ってパス。あとは逃げ切るだけでしたね」とゴール後には小野寺選手と固い握手。この2人、レース戦略や安定したラップタイムなど他の選手をリードする優位性はしばらく動きそうもない。
3番手には陰能選手、4番手にはコースオフから復帰した三浦選手、5番手に内田選手となった。
決勝
- 開催日:2024/08/25
- 天候:Cloudy
- 路面:Dry
- 決勝出走:5
- 完走:5
- (3.406km x 10laps = 34.059km)
順位 | No | ドライバー | タイヤ | チーム | マシン | シャシー | エンジン | 周回数 | Delay(Lap) | ベストタイム | ベストラップ | タイム |
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1 | 32 | KEI NAKANURA | BS | DICE・ASH・アクレ・86 | 10 | 16:45.615 | ||||||
2 | 34 | 小野寺 俊 | BS | シンシア★SYSTEM-R★86 | 10 | 16:48.426 | ||||||
3 | 17 | 陰能 裕一 | BS | ステップ昭和トラックZN6・86 | 10 | 17:05.209 | ||||||
4 | 360 | 三浦 稔呂 | BS | 三浦としなが歯科クリニック・86 | 10 | 17:13.800 | ||||||
5 | 79 | 内田 朋宏 | BS | STEP with TVC86 | 10 | 17:14.450 |