2022年までは鈴鹿8時間耐久ロードレースとの併催だった鈴鹿4時間耐久ロードレース(以下、鈴鹿4耐)。
2023年大会から株式会社ブリヂストンがタイトルスポンサーに就き、『2023 ブリヂストン鈴鹿4時間耐久ロードレース<ST600>』として単独開催されることになった。
ノービスライダーの戦いの場から、準国際格式のレースに格上げされた鈴鹿4耐は、日本を含めたアジアの若手ライダー達による熾烈なバトルが展開される。
鈴鹿4耐は国際ライダーが加わるインターナショナルクラス、国内ライダーが参加するナショナルクラス、最新型のマシンを使用せず、型遅れのマシンで参戦するST600Rクラス(Rはリバイバルの略)の3クラスがあり、総合上位6位、ナショナルクラスとリバイバルクラスの各上位3位までが賞典の対象となる。
また、決勝レース最上位グリッドのチームに授与される『ポールポジション賞』や完走したチームの中で最も順位を上げたチームに授与される『ポジションアップ賞』も用意されることになった。また、単独開催になったことで、各チームはピットを使用することが可能となり、これまで以上に参戦するエントラントに対する待遇が改善されている。
【予選】
鈴鹿4耐の予選は、腕章カラーの違いにより組み分けされ、各ライダーが20分ずつタイムアタック。2人のベストタイムを合算割りした平均タイムで予選の結果が決まる。曇り空の中、ドライコンディションで行なわれたライダーイエロー組では#58 MOTO WIN RACINGの塚原渓介がアタック2周目に2分15秒295の好タイムをマークする。このセッション中に塚原のタイムを更新するどころか、15秒台に入れるライダーは現れず、文句なしのトップタイムとなった。
しかし塚原はタイム更新後、NIPPOコーナーで転倒を喫し、マシンに大きなダメージを与えてしまう。このチームはフリー走行すべてでトップ3に入っており、ポールポジションの本命と思われていた。しかし、このレースは2名のライダーによる合算割りの平均タイムで予選順位が決まるため、#58にとって試練の予選となってしまった。
続くライダーブルー組の予選セッションは、序盤から転倒が相次ぎ、赤旗が掲示される波乱の幕開けに。セッション再開後は各ライダータイム更新の応酬となる。そんな中、予選終了残り4分というところで、#52 MOTO WIN RACINGの青田魁が2分18秒262の暫定トップタイムをマーク。青田はアタックを続け、最終的には2分17秒921までタイムを詰め、ライダーブルー組のトップに立った。
総合首位に立ったのは#7 ASTRA HONDA RACING TEAM。ヘルジュン・アトナ・フィルダウスがライダーイエロー組の3番手タイムとなる2分16秒841を記録、モハンマド・アデナンタ・プトラがライダーブルー組の4番手タイムの2分18秒689を記録し、コンバインドタイムで見事ポールポジションを獲得した。
【決勝レース】
決勝日は雨が降ったり止んだりする難しい天候に。スタート時に雨は降っておらず、路面は乾きつつあるものの、ウエットパッチが残っているコンディション。難しいコンディションの中、午後12時から4時間の熱い戦いの火蓋が切って落とされた。
ホールショットは予選3番グリッドの#78の西山が奪うも、#58の村瀬、#7のフィルダウスとトップが入れ替わっていく。オープニングラップ終了時、トップの#7の後ろにつけたのは、なんと最後尾スタートの#158 Yamaha Racing Indonesia Gen Blue Teamの松岡玲。急遽参戦が決まった松岡だが、わずか1周で36台抜きという別格の走りを披露、勢いに乗る松岡は2周目のスプーンで#7をオーバーテイク、トップに浮上し差を引き離していく。
4周目、雨を知らせるレッドクロスが振られ、各車慎重な走りが求められる中、トップの#158の松岡は6周目には2位に10秒ものマージンを築き独走。開始から45分が経過した20周目、雨足が強まる中、5位走行中だった#78西山が2コーナーで転倒。その直後SC(セーフティカー)が導入される。しかしすぐに天気は回復し、SC先導はわずか3周で終了した。最初のピットストップを終え、#158が2位に1分3秒の大差で首位を独走。後方では#58が2位に上がるも、#7のアデナンタ・プトラが塚原をオーバーテイクし2位に返り咲き、トップの#158を追う。
セカンドスティントで#7アデナンタ・プトラが猛追し、トップの#158との差をわずか6秒差にまで接近させた。#158は追いつかれる前に、松岡を投入。早めのピットストップを実施し、サードスティントへと入っていく。松岡はコースインからわずか2周で2分16秒台という圧倒的なラップタイムを記録し、#7が2度目のピットイン後には再びトップに返り咲く。またしても圧倒的な速さをみせた松岡は2位以下を1ラップダウンにする快走をみせる。セカンドスティントで早めにピットに入ったこともあるため、他のチームよりも早い62周目にピットイン。アンディ・ムハムが自身2回目のスティントに向かう。
残り40分、#158と#7が最後のピットイン。#7に40秒詰められたものの、1分以上のマージンを保ったまま、Yamaha Racing Indonesia Gen Blue Teamは松岡に最終スティントを託す。なんとか#158を追いたい#7だったが、わずか4周を消化したところで再度ピットイン。すぐにコースインしたものの、優勝のチャンスはほぼ消えてしまう結果となってしまった。
驚愕のオープニングラップ、2周目にトップに躍り出てからは、速さで他を圧倒した#158 Yamaha Racing Indonesia Gen Blue Teamの松岡玲/アンディ・ムハンマド・ファドリィ組が、参戦する37台の中で最も速く4時間を走り抜けトップチェッカー。2023年の鈴鹿4耐を制し、総合優勝となった。
総合2位には#7 ASTRA HONDA RACING TEAMのヘルジュン・アトナ・フィルダウス/モハンマド・アデナンタ・プトラ組、総合3位に#52 MOTO WIN RACINGの青田魁/鈴木慎吾が入っている。
ナショナルクラスの優勝は総合4位でフィニッシュした#20 KRT・RTニトロ&遊心・RT五十歩百歩の倉田智宏/岡村健組。
リバイバルクラスの優勝は、最終周に#1TTR SUNSTAR ホンダドリーム鈴鹿に総合5位を奪われてしまったが、総合6位でフィニッシュした#15 オートライフハノ+ADF+乱乱の羽野慎一/中谷亜加音組がクラス優勝を達成。今年で最後となるリバイバルクラスで有終の美を飾った。2023ブリヂストン鈴鹿4時間耐久ロードレース<ST600>の正式結果は以下になります。
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