F.C.C. TSR Honda Franceはトラブルを乗り越え4位でチェッカーを受け、2017-18シーズン以来2度目のタイトル! Yoshimura SERT Motulがランキング2位を獲得!
- 開催場所:Paul Ricard
- 開催日:2022年09月18日(日) 〜 2022年09月18日(日)
2022年シーズンの世界耐久ロードレース選手権 EWCの最終戦となる第4戦 ボルドール24時間耐久レースがフランス・ポールリカールサーキットで開催。
ルマン24時間レースで開幕し、今年久しぶりに開催された第2戦 スパ24時間(ベルギー)、3年振りに開催となった第3戦 鈴鹿8耐の3戦が終了し、シリーズランキングトップは昨年のチャンピオンチーム Yoshimura SERT Motul (Suzuki) が127ポイントでトップ。F.C.C. TSR Honda France (Honda)が104ポイントを獲得しランキング2位、YART-Yamaha Official Team EWC (Yamaha) が93ポイントでランキング3位とブリヂストンがサポートする3チームがランキング上位を占め、今大会のレースの結果次第でこの3チームがチャンピオンを獲得する可能性が高いレースとなる。
大会の舞台となるポールリカールは約1.8kmの長い、通称ミストラルストレートが特徴のサーキット。全体的に全開区間が長く、エンジンに大きな負担が掛かるコースレイアウトである為、例年多くのマシンにエンジントラブルが発生し、24時間の長いレースを走り切れず、途中でリタイヤとなるサバイバルレースとなりやすい。今大会は最終戦となる事で、決勝レース結果で与えられるポイントが1.5倍となり、大量ポイント獲得が可能。また8時間と16時間経過時点でトップ10位まで、予選上位の5チームにもボーナスポイントが与えられ、最大85ポイント獲得が可能となり、数字上ではランキング6位までのチームにタイトル獲得のチャンスがある。
但しランキング5位のチームはトップのYoshimura SERT Motulから52ポイント差があり、現実的にはブリヂストンサポートの3チームがタイトル獲得の可能性が高いといえる。
レースウィークの火曜日、9/13に参戦チームの特別走行枠が設けられ、ほとんどのチームが走行。翌日の9/14(水)は車検やブリーフィングが行われ、9/15(木)から公式スケジュールがスタート。
午前中に2時間のフリー走行、午後にはライダー腕章の色分けで各ライダー20分の予選1回目、翌日9/16(金)の午前中に予選2回目が行われ、各チームの速いライダー2名分のベストラップ平均でグリッドが確定。9/17(土)の15:00(日本時間22:00)より24時間のレースがスタートするスケジュールとなっている。
【予選】
1回目の予選。各ライダーは腕章の色で識別されるようになっており、青・黄・赤・緑(リザーブライダー)の4色。最初に走行する青腕章ライダー、#1 Yoshimura SERT MotulはG.ブラック、#5 F.C.C.TSR Honda FranceはJ.フック、#7 YART-Yamaha Official Team EWCはN.カネパが20分間の予選を走行。
気温27℃・路面温度44℃と高い温度状況の中、このセッションでトップタイムを記録したのは#37 BMW MOTORRAD WORLD ENDURANCE TEAM (BMW,DL)。F.C.C.TSR Honda Franceは2番手、YART-Yamaha Official Team EWCが3番手となり、Yoshimura SERT Motulは8番手と出遅れる。
2人目となる黄腕章ライダー、Yoshimura SERT Motulが今回は渡辺一樹が参戦。F.C.C.TSR Honda FranceはM.ディメリオ、YART-Yamaha Official Team EWCはM.フリッツの3人がコースイン。
このセッションでもBMW MOTORRAD WORLD ENDURANCE TEAMがトップタイムをマーク。F.C.C.TSR Honda Franceは2番手、YART-Yamaha Official Team EWCが3番手と青腕章ライダーと同じ順位、Yoshimura SERT Motulは9番手となった。
3人目は赤腕章を装着、Yoshimura SERT MotulはS.ギュントーリ、F.C.C.TSR Honda Franceは全戦 鈴鹿8耐で負傷したG.レアの代役としてA.が参戦。YART-Yamaha Official Team EWCはK.ハニカが走行する。
このセッションではYART-Yamaha Official Team EWCがトップタイム。F.C.C.TSR Honda Franceが3番手、Yoshimura SERT Motulは5番となる。2日目に行われた予選2回目は午前中のセッションとなり、気温22℃ 路面温度25℃と予選1回目と比べ温度が低い事でラップタイム更新が可能のコンディション。
青腕章ライダーのセッションではYART-Yamaha Official Team EWCが2番手、Yoshimura SERT Motulがタイムを大きく更新し3番手、F.C.C.TSR Honda Franceは4番手となり、トップタイムはBMW MOTORRAD WORLD ENDURANCE TEAM。黄腕章ライダーでもBMW MOTORRAD WORLD ENDURANCE TEAMがトップタイム、YART-Yamaha Official Team EWCが2番手、Yoshimura SERT Motulが3番手、F.C.C.TSR Honda Franceは5番手。赤腕章ライダーではYART-Yamaha Official Team EWCがトップタイムをマーク。Yoshimura SERT Motulは4番手、F.C.C.TSR Honda Franceは5番手となる。
各チーム速いライダー2名のベストタイム平均でBMW MOTORRAD WORLD ENDURANCE TEAMがポールポジションを獲得。YART-Yamaha Official Team EWC、Yoshimura SERT Motul、F.C.C.TSR Honda Franceが2ー3ー4位とBS勢が並んだ。
【決勝レース】
9/17(土) 決勝日、天候は風が強いが快晴、気温26℃ 路面温度 42℃のコンディションの中、15:00にルマン式スタートで長い24時間のレースがスタートした。
1コーナーホールショットはポールポジションからスタートした#37 BMW MOTORRAD WORLD ENDURANCE TEAM。#5 F.C.C. TSR Honda France、#1 Yoshimura SERT Motulが続き3台がトップグループを形成。#7 YART-Yamaha Official Team EWCはスタートで出遅れてしまい、後方からの追い上げとなってしまう。
レース序盤、トップ3台に#6 ERC Endurance Ducati (Ducati,PI)が追いつき、40分が経過した頃にはYART-Yamaha Official Team EWCもトップ集団の後ろまで接近する。
42分が経過した頃、最初にピットインしたのはERC Endurance Ducati。その2周後にYoshimura SERT MotulとYART-Yamaha Official Team EWCが同時にピットイン、翌周にはBMW MOTORRAD WORLD ENDURANCE TEAM、さらに翌周にF.C.C. TSR Honda Franceがピットインする。上位勢の中で動きがあったのは1時間5分が経過した頃。Yoshimura SERT Motulの渡辺一樹が長いミストラルストレート後の右高速コーナー進入でコースアウト。転倒はしていないがマシン下部を覗き込む状況が映像に映し出され、そのままピットに戻ってくる。チームはマシンを確認しているが、マシントラブルが発生している模様。まだ1時間が経過した時点だが序盤からチャンピオン候補最有力だったYoshimura SERT Motulのマシントラブル発生と波乱のレースとなる。
2時間が経過した頃、今度はBMW MOTORRAD WORLD ENDURANCE TEAMがスローダウン。こちらはフロントタイヤにトラブルが発生した模様で、緊急ピットインとなる。
この時点でトップはF.C.C. TSR Honda France。少し離れてYART-Yamaha Official Team EWC、約35秒遅れで#11 WEBIKE SRC KAWASAKI FRANCE (Kawasaki ,DL)が追走しているが、今度はトップのF.C.C. TSR Honda Franceが緊急のピットイン。カウルを外してパーツを交換する等、10分ほどのピット作業でコースに復帰した時には大きく順位を落としてしまった。さらに3時間が過ぎた時点でトップに立っていたYART-Yamaha Official Team EWCのマシンにトラブルが発生する。ミストラルストレートで白煙を上げるシーンがモニターに映し出され、スローダウンしてピットまで戻ってくる。メカニック達はエンジンを確認し、レース復帰を目指して修復に取り掛かるが、かなりの時間を要してしまう状況。
レースがスタートして4時間経過時点でブリヂストンサポートチームの3台がトラブルに見舞われてしまい、Yoshimura SERT MotulとYART-Yamaha Official Team EWCは長いピット作業が行われており、この時点でコース上にはF.C.C. TSR Honda Franceのみが走行。順位を徐々に上げてきて10位近くまで挽回してきたが、4時間30分経過頃にピットイン時に直接ピットボックスにマシンを入れ、破損したパーツの交換を行う作業となる。
ボルドール24時間は20時頃から辺りは暗くなり夜間走行に入る。5時間が過ぎた頃、トップはERC Endurance Ducatiとなっており、2位には現在ポイントランキング4位で結果次第ではチャンピオン獲得が可能な#4 TATI TEAM BERINGER RACING (Kawasaki,PI)が走行。F.C.C. TSR Honda Franceは6時間経過時点で5周遅れの10位を走行している。
序盤のマシントラブルで修復を試みていたYoshimura SERT Motulはリタイヤとなる。またエンジントラブルで長いピット作業を行っていたYART-Yamaha Official Team は修復が完了しコースに復帰するが1周でストップし、そのままリタイヤとなってしまった。
夜間走行の時間帯、F.C.C. TSR Honda Franceのラップタイムは上位勢より速く、急速にシ順位を回復していき5位まで挽回してきた。上位勢とは大きなギャップがあり、順位を上げていくには時間が掛かるが、逆転チャンピオンを目指して走行。日付が変わって1時間が経った頃にトップを走っていたERC Endurance Ducatiがトラブルにより緊急ピットイン。これでトップはTATI TEAM BERINGER RACINGとなるが、夜明けとなる前には再びERC Endurance Ducatiがトップに立つ。朝を迎えてからは位勢に大きな順位変動は無く、膠着した状況が続く。
ランキング争いはF.C.C. TSR Honda FranceとTATI TEAM BERINGER RACINGの2チームだが、すでにリタイヤしているYoshimura SERT Motulのポイントを超える事が必須となる。
8時間・16時間の経過時の上位10位まで与えられるポイントを加算し、F.C.C. TSR Honda Franceは4位以上でゴールすればTATI TEAM BERINGER RACINGが優勝してもチャンピオン獲得が可能となった。
レース終盤に入るとトップはERC Endurance Ducatiが2周のアドバンテージを持って独走。2位にTATI TEAM BERINGER RACING、3位にトップから3周遅れでWEBIKE SRC KAWASAKI FRANCEが走行。F.C.C. TSR Honda Franceはトラブルへの作業を行いながら5位で周回を重ねていく。長い24時間レースも終盤となり、残り時間が少なくなってきたころにトップ勢にトラブルが発生。残り4時間頃にタイトルを争うTATI TEAM BERINGER RACINGにマシントラブルが出た模様。ピットに戻り修復作業を行うが戦線から脱落する。この時点でF.C.C. TSR Honda Franceは現在の順位完走すれば確実にチャンピオン獲得が可能となる。
レース時間が2時間を切り、残りわずかとなった頃、トップを走るERC Endurance Ducatiがミストラルストレートで白煙を上げ、エンジントラブルが発生。ピットに戻り修復するがトップ争いからは脱落。これでトップは#333 VILTAIS RACING IPOL (Yamaha,DL)となり、2位に#77 Wójcik Racing Team EWC 77 (Yamaha,DL)、3位にWEBIKE SRC KAWASAKI FRANCEが走行。上位勢は各順位1周以上の差があり、順位の変動は無いまま24時間のゴールを向かえる。
F.C.C. TSR Honda Franceは4位となり、残り時間をトラブルが出ないようマシンを労わりながら走行。24時間レースを714周で走り切り、4位でチェッカーを受け、この瞬間2022年のEWCチャンピオンを獲得した。
序盤のマシントラブルでリタイヤとなったYoshimura SERT Motulはランキング2位、YART-Yamaha Official Team EWCはランキング6位で今シーズンを終了した。
◆藤井正和 – F.C.C. TSR Honda France 総監督
『今シーズンの目的だったチャンピオンになる事ができた。しかし、失うものも大きく厳しい2022年となった。ボルドールのレースは荒れると予想していた通りになった。我々に出来る事は決まっていてその中でベストを尽くせる準備をしてきたんだ。だから生き残る事が出来たんだろう。早い段階で上位陣がいなくなってから、トラブルでイレギュラーな作業を強いられたこともあり、確実にタイトルを獲得することだけを考えることにした。その結果、逆転でタイトルを獲得できたから非常にうれしい。ライダーはもちろん、メカニックやチームスタッフ、サポートいただいたすべての皆様に感謝します』
決勝
- 開催日:2022/09/18
- 決勝出走:43
- 完走:30
- (5.673km x 718laps = 4073.214km)
順位 | No | ドライバー | タイヤ | チーム | マシン | シャシー | エンジン | 周回数 | Delay(Lap) | ベストタイム | ベストラップ | タイム |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 333 | F.アルト/E.ニゴン/S. オデンダー | DL | VILTAIS RACING IGOL | YZF-R1 | ヤマハ | 718 | 111 | 1:54.571 | 24:01:13.729 | ||
2 | 77 | D. リンフッド/S. モライス/M.ギネス | DL | Wójcik Racing Team EWC 77 | YZF-R1 | ヤマハ | 717 | 1 | 71 | 1:54.700 | 24:05:00.216 | |
3 | 11 | R. ド プニエ/E.マッソン/F. マリノ | DL | WEBIKE SRC KAWASAKI FRANCE | ZX-10R | カワサキ | 716 | 2 | 21 | 1:53.973 | 24:02:26.187 | |
4 | 5 | J. フック/M.D.メリオ/A.ティシェ | BS | F.C.C.TSR Honda France | CBR1000RR-R | ホンダ | 714 | 4 | 93 | 1:53.520 | 24:01:16.300 | |
5 | 6 | C. デイビス/J. フォレス/D.チェカ | PI | ERC Endurance Ducati | Panigale V4R | ドゥカティ | 706 | 12 | 75 | 1:52.979 | 24:01:15.023 | |
6 | 14 | A. ウエスト/E.ブーロム/C.ヘデリン | DL | MACO RACING Team | YZF-R1 | ヤマハ | 704 | 14 | 127 | 1:55.667 | 24:01:17.758 | |
7 | 41 | C.リーシュ/J. ハルド/W. テッセル | DL | RAC41-CHROMEBURNER | CBR1000RR-R | ホンダ | 704 | 14 | 20 | 1:56.448 | 24:02:57.931 | |
8 | 24 | J. ピロ/A. ルイショー/L. クレソン | DL | BMRT 3D MAXXESS NEVERS | ZX-10R | カワサキ | 702 | 16 | 3 | 1:56.359 | 24:01:17.186 | |
9 | 8 | J.ブーン/J. ペリジェフ/N. トーニ | MI | Team Bolliger Switzerland #8 | ZX-10R | カワサキ | 702 | 16 | 546 | 1:55.769 | 24:01:49.467 | |
10 | 86 | M. ペリゾッティ/A. パラソル/A. ロディ パック | DL | PITLANE ENDURANCE #86 - JP3 | YZF-R1 | ヤマハ | 698 | 20 | 10 | 1:56.927 | 24:03:19.268 | |
11 | 90 | D.ヴィンコン/P. ビスターボッシュ/B.レワンドウスキィー | PI | Team LRP Poland | S1000RR | BMW | 697 | 21 | 94 | 1:56.460 | 24:01:56.268 | |
12 | 23 | C.ストル/L.ミューニエ/A.サッラバイロウズ | DL | TEAM NORMANDIE MOTOSPORT | ZX-10R | カワサキ | 697 | 21 | 18 | 1:57.334 | 24:02:29.185 | |
13 | 44 | L. スカッサ/A.マスボウ/S. ヒル | DL | No Limits Motor Team | GSX-R1000 | スズキ | 695 | 23 | 3 | 1:57.394 | 24:02:00.134 | |
14 | 72 | E.ダプイ/C.ケマー/C. コルトー | DL | Junior Team LMS Suzuki | GSX-R1000R | スズキ | 695 | 23 | 469 | 1:57.757 | 24:02:47.812 | |
15 | 121 | D. シュバリエ/T. アイゼン/L. ミレ | DL | FALCON RACING | YZF-R1 | ヤマハ | 693 | 25 | 104 | 1:58.144 | 24:02:39.474 | |
16 | 91 | C.ナポリ/M. チョイ/H. ジラーデット | DL | ENERGIE ENDURANCE 91 | ZX-10R | カワサキ | 691 | 27 | 17 | 1:57.876 | 24:02:16.544 | |
17 | 34 | C. ジーネン/M.グッチアルディ/P. デュフォー | DL | JMA RACING ACTION BIKE | GSX-R1000 | スズキ | 690 | 28 | 526 | 1:57.753 | 24:01:55.920 | |
18 | 777 | K.マンフレディ/D.ウェブ/M.シコペック | DL | Wójcik Racing Team STK 777 | YZF-R1 | ヤマハ | 690 | 28 | 13 | 1:54.705 | 24:05:06.142 | |
19 | 65 | G.デハーイェ/L. ヴァルシュヒューター/S. ストローレン | DL | Motobox Kremer Racing #65 | YZF-R1 | ヤマハ | 689 | 29 | 120 | 1:58.237 | 24:01:26.618 | |
20 | 33 | C. ガマリノ/K. カリア/G.アンティガ | DL | TEAM 33 LOUIT APRIL MOTO | ZX-10R | カワサキ | 686 | 32 | 13 | 1:56.091 | 24:02:30.093 |