FIMロードレース世界耐久選手権とは? ewc02_02.jpg

通常EWCと呼んでいるのはEndurance World Championshipの頭文字です。 6時間から24時間までの耐久レースで、ライダーは2名か3名で戦います。12時間以上又は1800km以上の耐久レースの場合は、さらに1名の補欠ライダーが認められます。 エントリーチームは最大70チームと規定されています。

EWCのシーズン

日本では鈴鹿8時間耐久レースが有名ですが、欧州では特にフランスが耐久レース盛んです。この世界耐久選手権のシーズンが9月から7月と変わったのは今年からです。 2015年までは通常のレースと同じで、春から秋までのシーズンでした。 2015年からこの選手権のプロモーターに、ユーロスポーツが付き、ユーロスポーツが鈴鹿8耐をヨーロッパでライブ放映を行った所、非常に盛り上がったという事です。 鈴鹿8耐は、日本の4メーカーが力を入れているし、GPライダーが参加したりして非常にレベルの高いレースです。それをTV放映されたので注目を集め、ユーロスポーツも鈴鹿8耐の人気に目を付けて、シリーズの最終戦とする事を決めました。

鈴鹿8耐は7月の最後で定着しているので、やはり9月で定着しているボルドール24時間を開幕戦として、2016/2017年シーズンが始まりました。

2016/2017年シーズンのスケジュール
Rd.1 ボルドール 24時間  2016.9.16-18
Rd.2 ルマン 24時間  2017.4.15-16
Rd.3 オシャスレーベン 8時間 2017.5.19-20
Rd.4 スロバキア 8時間 2017.6.23-24
Rd.5 鈴鹿 8時間 2017.7.28-30

上記5戦で今シーズンが争われます。

EWCのレギュレーション

EWCのレギュレーションについて、概略の説明をしましょう。

(1) マシン

EWCに参加出来るマシンのカテゴリーは、下記4種類となります。
①Formula EWC(EWC) ②Superstock(SST) ③Supertwin(STW) ④Experimental(EXP)

メインとなるEWCマシンの規則については、JSB(全日本JSB1000クラス)にかなり近いものとなっています。SSTは更に改造範囲が狭く、スタンダードに近いマシンです。欧州ラウンドでは、SSTの参加が多くなっています。STWとEXPは鈴鹿8耐では無いのでなじみが薄いですが、STWは2気筒で750~1350ccのエンジンで改造範囲がEWCより広く、EXPは過給器やハイブリッドシステムも認められた更に改造範囲の広いカテゴリーです。
EWCとJSBの最も大きな違いは、EWCで夜間走行の為のライトが装備されるので、最低車重が少し重くなっています。

このベースマシンはFIMによって認可を受けた、通常公道を走れて普通に購入出来るバイクで、販売価格の上限や、最低生産台数が決められています。 WSB(ワールドスーパーバイク)のレギュレーションと比較すると、ベースマシンは同じながら改造範囲がWSBの方が広くなっています。 EWCとJSB、WSBのレギュレーションを比較したのが下記表です。

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(2) タイヤ

使用するタイヤは、競技専用の公道走行不可(NOT FOR HIGHWAY USE=NHS)のタイヤか、公道走行可の場合は規格に則っている必要がありますが、通常はNHSのタイヤを使用します。トレッドパタンについては規制がありませんが、メーカーが製造したもののみ使用可能で、グルービング等の溝追加加工等は認められません。 ウェットタイヤに関しては、メーカーが図面を提出し認められたウェットタイヤは本数制限にはカウントされません。 EWCのタイヤ使用本数制限は、予選と決勝で使えるタイヤの数が決まっています。上記にも書きましたが、8時間耐久レースでは20本、24時間耐久レースでは45本です。具体的にはタイヤのサイドに貼るステッカーが各チームに渡され、予選、決勝で走るタイヤには、必ずこのステッカーが貼って無ければいけません。コースイン/アウトの時に、オフィシャルがタイヤステッカーの確認をします。 フロントタイヤとリアタイヤの区別はないので、8耐の場合各10本でもよいし、フロント8本、リア12本でもよいのです。 又一度使ったタイヤ(ステッカーが貼付けられた)を何度使っても良いので、Usedタイヤ(一度使用したタイヤ)をどう使うかが大事な戦略となります。 このタイヤ本数制限は、初開催のコースや、路面改修したばかりでの開催コースには適用されません。

(3) ライダー

ライダーは2名か3名で走る事となります。24時間レースに関しては、更に1名の補欠ライダーが認められています。決勝前に補欠ライダーを含めた中から3人を登録してレースを行います。各ライダーの走行時間に関しては、以前は一人の連続走行時間に制限がありましたが、現在はありません。

(4) ピット作業

レース時ピットインした時、マシンを作業する為に触れることが出来る人は、特定の4人と決まっています。但しマシンをピットボックスに入れた場合は、作業人数の制限はありません。ガソリン給油はピットアウト直前に行い、ガソリン給油中はマシンの作業を行ってはなりません。 又レース中のピット作業に関しては、消火器の準備やピット内保管のガソリンの量、タイヤウォーマー使用法や電源プラグ使用の位置等、安全に関する項目が細かく規定されています。

(5) 予選

各ライダー20分の計時予選が2回行われます。それぞれのライダーのベストタイムを出し、チーム全員(2名又は3名)の平均タイムがそのチームの予選タイムとなり、グリッドが決定されます。 但し鈴鹿8時間耐久レースでは、恒例のトップ10トライアルが実施されるので、1位から10位までのグリッドはトップ10トライアルの結果が適用されます。上記予選後ライダーの平均タイムによる順位で、1位から10位までのチームがトップ10トライアルに出場し、各チーム2名のライダーがトップ10トライアルを走って、そのベストタイム順にグリッドが決定します。

EWCのポイントシステム

EWCではチーム、ライダー、コンストラクターズ(バイクメーカー)にポイントが与えられ、それぞれのランキングが決定します。 EWCのポイントシステムは、レース時間によって変わるし、24時間レースの場合は途中経過順位にもポイントが加算される等、やや複雑なシステムです。

基本ポイントは、1位から20位までに与えられるポイントで、レース時間が8時間以下と8時間を超え12時間以下、12時間を超え24時間までのレースで3段階のポイントとなっています。1位はそれぞれ30点、35点、40点と時間が長いほどポイントが多く、20位が1点となっています。 このポイントは、今シーズンから最終戦が1.5倍になるので、鈴鹿8耐の優勝者には45点が与えられる事になります。

次に12時間以上のレースの場合、8時間と16時間経過時の順位にボーナスポイントが加算されます。その時点の1位が10点で、10位が1点となります。ですから24時間レースでは、例えば16時間までトップを走っていたら、その後リタイアしても20点獲得となるのです! このボーナスポイントは、チームとライダーに与えられるもので、コンストラクターには与えられません。そしてコンストラクターのポイントは、各コンストラクターの上位2チームのポイントが加算されます。

SSTカテゴリーの各ランキングは、ワールドカップという名前になり、鈴鹿8耐の結果は加算されません。

2017年シーズンの見どころ

今シーズンは2016年9月に第1戦が終了しており、最終戦の鈴鹿8時間耐久レースまで4戦となります。開幕戦の結果は1位が#1 SUZUKI ENDURANCE RACING TEAM(DL使用)、2位は#11 SRC Kawasaki(PI使用)、3位#10 EVA TRICK STAR Racing(DL使用)で、 当社サポートのF.C.C. TSR Hondaは5位でした。

第2戦のルマン24時間(4/14-16)に先立ち、3/28-29で合同テストが実施されましたが、当社が本レースからサポートする#7 YART YAMAHAが、トップタイムをマークしました!このチームには全日本選手権でYAMAHA FACTORY RACING TEAM から参戦する、野左根航太汰選手が加入しEWCフル参戦を果たします! 初のルマンでの走行でしたが、結果は上々。テストにはF.C.C. TSR Hondaは参加しませんでしたが、昨年のルマン24時間で3位表彰台を獲得しているので、YARTと共に好結果が期待されます。

又今年はスズキとホンダが新型車を発売したので、そのポテンシャルにも注目です。 通常新型車はセッティングにも時間が掛かるものですが、7月末の鈴鹿8耐までにはかなり熟成されるでしょう。

最終戦の鈴鹿8耐では、ポイントが1.5倍となるので、鈴鹿の結果で年間チャンピオンが決まる可能性も高いと思うので、今年の鈴鹿8耐40回記念大会は大いに盛り上がるでしょう!