2019_ewc_1.jpgFIMロードレース世界耐久選手権は、英語でEndurance World Championshipと言うので、通常EWCと呼んでいます。シリーズ戦として、現在年間5戦が行われています。

6時間から24時間までの耐久レースで、ライダーは2名か3名で戦います。12時間以上又は1800km以上の耐久レースの場合は、さらに1名の補欠ライダーが予選走行まで認められ、レースはその中から3人までのライダーを選びます。

エントリーチームは最大70チームと規定されています。

EWCのシーズン

現在9月が開幕戦となり、7月末の鈴鹿8時間耐久レースが最終戦となる、他のレースと比べるとやや変則的なシーズンとなっています。よってシーズンの呼び名は、今シーズンの場合2018-2019年シーズンと言います。(2017年の鈴鹿8耐が、初めて最終戦となり、翌9月のボルドール24時間が2017-2018年の開幕戦となりました。)

日本では鈴鹿8時間耐久レースが有名ですが、欧州では特にフランスで耐久レースが盛んです。

2015年からこの選手権のプロモーターに、ユーロスポーツが付き、ユーロスポーツが鈴鹿8耐をヨーロッパでライブ放映を行った所、非常に盛り上がったという事です。

鈴鹿8耐は、日本の4メーカーが力を入れているし、GPライダーが参加したりして非常にレベルの高いレースです。それをTV放映されたので注目を集め、ユーロスポーツも鈴鹿8耐の人気に目を付けて、シリーズの最終戦とする事を決めました。

鈴鹿8耐は7月の最終週で定着しているので、やはり9月で定着しているフランスのボルドール24時間を開幕戦として、2018/2019年シーズンも始まりました。

2018/2019年シーズンのスケジュール
Rd.1 ボルドール 24時間 (フランス) 2018.9.14-16
Rd.2 ルマン 24時間 (フランス) 2019.4.19-21
Rd.3 スロバキア 8時間(スロバキア) 2019.5.9-11
Rd.4 オシャスレーベン 8時間(ドイツ) 2019.6.6-8
Rd.5 鈴鹿 8時間 2018.7.26-28

上記5戦で今シーズンが争われます。

EWCのレギュレーション

EWCのレギュレーションについて、概略の説明をしましょう。

(1)マシン
EWCに参加出来るマシンのカテゴリーは、下記3種類となります。

①Formula EWC(EWC) ②Superstock(SST) ③Experimental(EXP)

メインとなるEWCマシンの規則については、JSB(全日本JSB1000クラス)にかなり近いものとなっています。SSTは更に改造範囲が狭く、スタンダードに近いマシンです。欧州ラウンドでは、SSTの参加が多くなっています。EXPは鈴鹿8耐では無いのでなじみが薄いですが、過給器やハイブリッドシステムも認められた更に改造範囲の広いカテゴリーです。

EWCとJSBの最も大きな違いは、EWCでは夜間走行の為のライトが装備されるので、最低車重が少し重くなっています。

このベースマシンはFIMによって認可を受けた、通常公道を走れて普通に購入出来るバイクで、販売価格の上限や、最低生産台数が決められています。

WSB(ワールドスーパーバイク)のレギュレーションと比較すると、ベースマシンは同じながら改造範囲がWSBの方が広くなっています。

EWCとJSB、WSBのレギュレーションを比較したのが下記表です。

2019_ewc_2.jpg

(2)タイヤ
使用するタイヤは、競技専用の公道走行不可(NOT FOR HIGHWAY USE=NHS)のタイヤか、公道走行可の場合は規格に則っている必要がありますが、通常はNHSのタイヤを使用します。トレッドパタンについては規制がありませんが、メーカーが製造したもののみ使用可能で、グルービング等の溝追加加工等は認められません。

ウェットタイヤに関しては、メーカーが図面を提出し認められた、フルウェットタイヤは本数制限にはカウントされません。

EWCのタイヤ使用本数制限は、予選と決勝で使えるタイヤの数が決まっています。この規則も今シーズンから若干変わりました。昨シーズンまでは、予選、決勝を合わせた本数だったのですが、今シーズンから予選と決勝で別に本数規制が設けられました。これは予選では、決勝用にタイヤをセーブして、ある程度のタイムを出したら、アタックをしないという事があり、予選での見所を増やす為に、予選結果の上位10チームにポイントを付与させる事にしたのと同様に、タイヤ使用本数規制も変えました。

上記にも書きましたが、予選では6本(8時間耐久レースでライダーが2名のチームは4本)、決勝は8時間耐久レースでは16本、24時間耐久レースでは41本です。具体的にはタイヤのサイドに貼るステッカーが各チームに渡され、予選、決勝で走るタイヤには、必ずこのステッカーが貼って無ければいけません。予選用と決勝用でステッカーに色分け等されており、コースイン/アウトの時に、オフィシャルがタイヤステッカーの確認をします。

フロントタイヤとリアタイヤの区別はないので、予選では各3本でも、フロント2本、リア4本でも良いのです。(決勝も同様)鈴鹿8耐の場合、上位チームは7回ピットの8スティント走行なので、毎回フロントリア共に交換して8セット使用が可能になりました。(昨年も予選で4本しか使わずに、決勝で8セット使用の戦略を立てたチームは多かったですが。)

又一度使ったタイヤ(ステッカーが貼付けられた)を何度使っても良いので、Usedタイヤ(一度使用したタイヤ)をどう使うかが大事な戦略となります。24時間耐久レースでは、上位チームでも26-28回ピットをするので、かなりのタイヤを2スティント以上使う必要があります。

このタイヤ本数制限は、初開催のコースや、路面改修したばかりでの開催コースには適用されないので、2018-2019年開幕戦のボルドール24時間では、コースレイアウトの一部変更があった為、タイヤ使用本数規制は適用されませんでした。第2戦のルマン24時間から新規則が適用される予定です。

(3)ライダー
ライダーは2名か3名で走る事となります。24時間レースに関しては、更に1名の補欠ライダーが認められています。決勝の前に補欠ライダーを含めた中から3人を登録してレースを行います。各ライダーの走行時間に関しては、過去には一人の連続走行時間に制限がありましたが、現在はありません。

(4)ピット作業
レース時ピットインした時、ピット前のワーキングエリアでマシン作業することが出来る人は、腕章を付けた特定の4人と決まっています。この点は、昨シーズンまでマシンに直接触らずに補助する人(例えば外したタイヤを受け取るや、メカニックに工具を渡す等)は除外されていましたが、今シーズンからは、この4人は他の人から作業を援助してもらってはならないと決められました。

ですから鈴鹿8耐で、ワークスチーム等では、外したタイヤをメカニックが投げて、他の人が受け取るという事がありましたが、今シーズンからは受け取る人も4人に入ってしまうので、そのような光景は見られなくなりそうです。

マシンをピットボックスに入れた場合は、作業人数の制限はありません。ガソリン給油はピットアウト直前にピットレーンで行い、ガソリン給油中はマシンの作業を行ってはなりません。

又レース中のピット作業に関しては、消火器の準備やピット内保管のガソリンの量、タイヤウォーマー使用法や電源プラグ使用の位置等、又作業員は規格に沿ったヘルメット(自転車用やスノボ用が多い)を着用し、綿製の長袖長ズボンか、耐火服を着用するなど、安全に関する項目が細かく規定されています。

(5)予選
各ライダー20分の計時予選が2回行われます。それぞれのライダーのベストタイムを出し、チーム全員(2名又は3名)の平均タイムがそのチームの予選タイムとなり、グリッドが決定されます。

但し鈴鹿8時間耐久レースでは、恒例のトップ10トライアルが実施されるので、1位から10位までのグリッドはトップ10トライアルの結果が適用されます。上記計時予選後ライダーの平均タイムによる順位で、1位から10位までのチームがトップ10トライアルに出場し、各チーム2名のライダーがトップ10トライアルを走って、そのベストタイム順にグリッドが決定します。

EWCのポイントシステム

EWCではチーム、ライダー、コンストラクターズ(バイクメーカー)にポイントが与えられ、それぞれのランキングが決定します。

EWCのポイントシステムは、レース時間によって変わるし、24時間レースの場合は途中経過順位にもポイントが加算される他、今シーズンからは予選上位10チームにもポイントが与えられることになり、やや複雑なシステムです。

基本ポイントは、レースの1位から20位までに与えられるポイントで、レース時間が8時間以下と8時間を超え12時間以下、12時間を超え24時間までのレースで3段階のポイントとなっています。1位はそれぞれ30点(8時間)、35点、40点(24時間)とレース時間が長いほどポイントが多く、20位が1点となっています。
このポイントは、最終戦が1.5倍になるので、鈴鹿8耐の優勝者には45点が与えられる事になります。
次に12時間以上のレースの場合、8時間と16時間経過時の順位にボーナスポイントが加算されます。その時点の1位が10点で、10位が1点となります。ですから24時間レースでは、例えば16時間までトップを走っていたら、その後リタイアしても20点獲得となるのです!
このボーナスポイントは、チームとライダーに与えられるもので、コンストラクターには与えられません。そしてコンストラクターのポイントは、各コンストラクターの上位2チームのポイントが加算されます。
SSTカテゴリーの各ランキングは、ワールドカップという名前になり、鈴鹿8耐の結果は加算されません。
そして今シーズンから採用される、予選ポイントが加算されます。予選1位が5点、2位が4点で、5位1点までです。

今シーズンの見所

今シーズンは2018年9月に第1戦が終了しており、最終戦の鈴鹿8時間耐久レースまで残り4戦となります。開幕戦の結果は1位が昨シーズンのチャンピオンチーム、われらが#1 F.C.C. TSR Honda France、2位が同じく#7 YART YAMAHA、3位が#13 WEPOL Racing(PI使用)という結果で、当社サポートが、初の1-2フィニッシュを飾りました。

我々のサポート2チームは、今年は幸先良いスタートを切りかなり強力です!昨シーズンチャンピオン獲得の、F.C.C. TSR Honda Franceは、勿論タイトル連覇を狙っています。ライダーは昨年のメンバー、F.フォレイ、J.フック選手に加え、一昨年のチャンピオンチームYAMAHA GMT94から、M.ディメリオ選手が加入しました。又YART YAMAHAにも、同じくYAMAHA GMT94から、N.カネパ選手が加入し、昨年のメンバーB.パークス、M.フリッツ選手とのトリオで臨みます。 その歴史と実績のあるYAMAHA GMT94は、WSBへ参戦する為、EWCの参戦は見合わせたので、強豪チームが1チーム減ってしまいました。またブリヂストンヨーロッパがサポートしている、#21 MERCURY RACING (BMW)は、昨シーズンランキング5位に入り今シーズンも、当社市販タイヤでの活躍が期待されます。 我々の強力ライバルとしては、最多タイトル獲得の#2 Suzuki Endurance Racing Team(DL使用)、#111 Honda Endurance Racing(DL使用)、#11 TEAM SRC KAWASAKI FRANCE(PI使用)、開幕戦はリタイアしてしまいましたが、#6ERC-BMW Motorrad Enduranceなどでしょう。

幕戦の状況をクラス別に見ると、参加はEWCクラスが26チーム、改造範囲の狭いSSTクラスが32台と、SSTクラスが過半数を占めました。特に24時間レースでは、EWCとSSTクラスの差は少なくなり、開幕戦のSSTクラス最上位は、総合6位で、トップ10に2台、トップ15位には5チーム入っています。 マシンのメーカー別に見ると、最も多いのがヤマハの20チーム、カワサキとスズキが13チーム、BMWが7チーム、ホンダが5チームでした。