全幅の信頼を置けるタイヤを | |||
BMWザウバー ドライバー 小林 可夢偉 |
GP2アジアシリーズのチャンピオンに輝いたのち、2009年ブラジルGPのトヨタチームからF1デビュー。2010年はBMWザウバーから念願のフル参戦を果たし、鮮やかなオーバーテイクを連発して世界中から注目を浴びた小林可夢偉選手。
日本でのF1人気をさらに高めていきたい、と意気込む同選手から、ブリヂストンのF1活動について語っていただいた。
ちょっと変な扱いすると不機嫌になるし、上手く、優しく扱えばグリップ力が上がる。レーシングドライバーにとって、タイヤの使い方は本当に大切ですよ。タイヤと話をしながら走れたら、どんなにいいだろう、と思うくらいです。
以前はタイヤをクルマにあわせてくれたり、タイヤが人の運転にあわせてくれたりしていたのに対し、特にワンメイクになってからは、同じタイヤに合わせてドライバーがそれぞれのドライビングやセッティングを変えていかないとダメになったので。
しかも、ブレーキを踏んだだけで頭が取れそうになったり、アクセル踏めば右に左に揺さぶられるような、ちょっと体がおかしくなりかねないF1マシンの中で、そこまでちゃんと考えて走るのは、結構大変なんですよ。
でも、僕は結構タイヤの使い方には自信があるつもりでいます。
それは子供の頃、レーシングカートをやっていたときから、僕はちょっと変わった方法でタイヤのコンディションを読み取ることを身につけたからじゃないかと思っています。まあ、これはメカニックをやってくれていた父が、ほとんどモータースポーツにたいして素人だったからであって、偶然できてしまったようなところもあるんですけど。
たとえば、前後のタイヤを逆に付けて走ってみたり、空気圧が間違った状態で走ってみたり。運転はすごく難しくなるんですが、そのぶんドライビングをスムーズにしないとまともに走れません。こんなふうにして、タイヤの声を聞くということを学んできたような気がしますね。
そんなビギナーの経験を重ねた上でブリヂストンのカートタイヤを使ってみると、その頼もしさが際だちましたね。タイヤって、同じスペックでも品質にバラツキがあることが結構あるんですけど、ブリヂストンに関してはそれがないんです。
品質や性能がリファレンスになるので、走りやセッティングを組み立てやすいし、何よりドライバーとして、こんなに安心できることはないですよ。
それがカートみたいな小さなタイヤだけじゃなくて、自動車レースの最高峰であるF1でも同じことができているというのはすごいことだと思います。僕はもちろんのこと、僕以外のドライバーも、そしてレース・エンジニア達も、みんな、安心してレースができていると思いますし、「信頼できるタイヤといえばブリヂストン」というイメージを世界中に広めることにも間違いなく役だったはずです。
カートからレースを始めて、いろんなカテゴリーを経験をして、ようやくF1まで辿り着くことができたわけですけど、僕は大好きなF1というレースを、もっと日本に広めたいと考えています。そのためには、僕らドライバーが頑張って、もっともっといい結果を残していかないといけません。
ブリヂストンが14年にわたるF1参戦にひとつの区切りを付けるということになると、僕らが『日本代表』になるわけですからね。
今はニュースで大きく取りあげられることも多くはないですが、一回でも勝てたらきっと大きく変わるはずです。これからも、さらに上を目指して頑張っていきます。
最終的に、現時点で最後にブリヂストンのタイヤでF1を走った日本人という立場になりましたが、とても光栄に思います。14年間本当にお疲れ様でした。いつの日かまたブリヂストンがF1に戻って来る日まで、僕も一生懸命F1を盛り上げていきます。