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 2018年のMFJ全日本モトクロス選手権において、ブリヂストンユーザーであるチームHRC(ホンダ)の成田亮が快進撃を続けている。4月7~8日にHSR九州(熊本)で行われた開幕戦ヒート1では、前人未到のIA通算150勝を達成。さらにヒート2でも優勝して総合優勝を獲得しただけでなく、第2戦オフロードヴィレッジ(埼玉)のヒート1、第3戦スポーツランドSUGO(宮城)のヒート2でも優勝、第3戦終了時点で通算勝利数を153に伸ばしながら、IA1クラスのチャンピオン争いをリードしている。


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 青森県出身で、現在は宮城県に在住する成田は東北のヒーロー。第3戦SUGOでは、仙台放送の取材も受けた。そのインタビューで成田は、こう語っている。「今年、38歳になりました。“歳をとっている”、“引退したほうがいいのでは”と言われます。でも僕は、まだまだ進化しているんです。今シーズンは通算160勝という目標を掲げて準備してきましたし、チャンピオン獲得回数も増やしたい。モトクロスを盛り上げたい、という気持ちはずっと持ち続けていますが、モトクロスといえば“成田亮”と言われる存在になりたいのです」


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【モトクロスプロライダー成田亮選手インタビュー映像】




 全日本モトクロスにおいて、成田の存在はすでに圧倒的だ。1980年生まれの成田が国際A級(IA)に昇格したのは1995年。前年に国際B級(IB)250ccクラスのチャンピオンを獲得した成田は、14歳という史上最年少でIAクラスへの挑戦を始め、IA125(現IA2)でいきなり5勝を挙げている。翌年からステップアップしたIA250(現IA1)を含め、チャンピオンを獲得するまでには少々時間がかかったが、IA250でも1998年に初優勝を達成、勝ち星を増やしながら、スズキ在籍時代の2002年に7勝を挙げてタイトルを獲得、翌年以降は13勝、14勝と一気に勝利数を増やし、3年連続チャンピオンとなった。2004年にはスズキからホンダへ移籍しているが、成田の速さと強さは、変わらなかった。
 2005年にはモトクロスの最先端をいくアメリカ・AMAシリーズに挑戦し、スーパークロス125ccクラスで表彰台も獲得している。そして2006年から再び全日本を戦い、タイトル争いの常連として勝利数を増やしながら、2007~2009年に3年連続、2011~2014年には4年連続でIA1チャンピオンとなった。極めて大きな節目となったIA通算100勝を達成したのは2011年のヤマハ在籍時代で、2012年にホンダへ移籍してからも、その強さは維持された。
 当然ながら若手ライダーも台頭するIA1クラスで、圧倒的な存在であり続けるのは非常に難しい。成田は2016年に9勝を挙げて11度目のチャンピオンを獲得するものの、2017年は、25歳だったチームメイトの山本鯨が7勝を挙げてIA1の頂点に立つ一方、成田はランキング3位にとどまった。2017年に到達した149勝のまま、苦しいシーズンを送ったのだ。


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 それでも諦めないのが成田の真骨頂である。38歳という、モトクロスでは常識を超える年齢に達しながらも、2017年の苦戦を糧にして、今シーズンに向けた準備を進めたのだ。開幕戦HSR九州のダブルウィンは、完璧な結果を残すことによってその存在感を改めてアピールするものだったが、ライバルたちが本当の脅威を感じたのは、第2戦オフロードヴィレッジのヒート1や、第3戦SUGOのヒート2における成田の追い上げだろう。第2戦のコースは、ポジションを上げるのが非常に難しいレイアウトであり、スタートの失敗=敗北なのだが、成田は1周目8番手と大きく出遅れながらも、レース序盤の段階で一気にポジションを上げ、終盤でトップの座を奪った。


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 第3戦SUGOにおけるスタートも決して良くなく、ヒート1は1周目9番手、ヒート2は1周目6番手。しかしヒート1では勝てなかったものの、2位表彰台を獲得、ヒート2では序盤の段階で大きくポジションを上げ、レース中盤でトップに立ち、優勝を果たした。


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【モトクロスプロライダー成田亮選手レース映像】




全日本モトクロスIAクラスのレースは、30分+1周という戦いになるが、その30分をフルに使ってレースを組み立てるのが成田である。スタートで出遅れても決して慌てず、冷静に状況を判断したうえで、ポジションを上げていく。勝負すべきポイントでは一気にペースを上げ、ライバルたちが“これは勝てない…”と思ってしまうような速さと強さを見せつける。そんなレーススタイルは成田が長年続けていたものだが、2018年、その強さを存分に見せつけているのだ。そこで大いに助けてくれているのが、自分の好みに合うタイヤを開発してくれているブリヂストンだという。


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 2018年シーズンはまだ始まったばかりだが、150勝という節目をクリアしただけでなく、さらに勝利数を伸ばし、12度目のチャンピオン獲得という、これも前人未踏の記録にチャレンジしている成田を支えているのがブリヂストンであり、そのサポートによるプラスアルファを、確実に結果へと結びつける能力を備えているのが成田亮なのである。


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