• 開催場所:Paul Ricard
  • 開催日:2021年09月18日(土) 〜 2021年09月19日(日)
2021 FIM EWC Rd.3 ボルドール24時間:YOSHIMURA SERT MOTULが波乱のレースを独走で優勝!
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FIM EWC 第3戦は今回で84回目を迎える伝統の2輪耐久レース、ボルドール24時間が9/18-19にフランス・ポールリカールサーキットで行われた。
昨年は新型コロナ感染拡大の影響でボルドール24時間は開催中止となり、今年は2年振りの開催となる。
前回行なわれた2019ー20年シーズンはスタートから2時間30分で強い雨の影響でレースは中断。天候が回復しなかった事で翌朝6:00に再スタート、15:00ゴールと異例のレースとなった。
今年は昨年同様、新型コロナ感染拡大の影響でレース開催日程が変更となり、7月に開催予定だった鈴鹿8耐は11月に延期となっていたが、前戦のエストリル12時間が開催された後、8月に今年の鈴鹿8耐中止が発表。昨年に引き続き2年連続の開催中止となってしまい、代替レースとしてチェコ・モストサーキットにて8時間耐久が最終戦として開催される事が発表された。
今シーズンはここまで2戦を消化し、ルマン24時間をYOSHIMURA SERT MOTUL、エストリル12時間をF.C.C. TSR Honda Franceとブリヂストンがサポートするチームが優勝。
シリーズランキングではF.C.C. TSR Honda Franceがトップと5ポイント差の82ポイントで2位。YOSHIMURA SERT MOTULが11ポイント差の76ポイントで4位。もう一つのブリヂストンサポートチーム、YART-YAMAHA - OFFICIAL Team EWCが32ポイントの7位となっている。
24時間耐久レースは予選・決勝のポイントに加え、8時間・16時間経過時の上位10位までにポイントが与えられ、結果次第で大量ポイントが獲得出来る。F.C.C. TSR Honda FranceとYOSHIMURA SERT MOTULは獲得ポイント次第で十分にランキングトップに立つ事も可能。またYART-YAMAHA - OFFICIAL Team EWCにとっては離されてるポイント差を大きく詰める事が出来る重要なレースとなる。
ボルドール24時間が開催されるポールリカールサーキットは南フランス・マルセイユから東に約40kmほど離れた山の上に位置し、約1.8kmの長いバックストレート「ミストラル」が特徴。この長いストレートはアクセル全開の時間が長い為、エンジンに掛かる負担が大きく、例年多くのマシンがエンジントラブルでリタイヤしている。
レースの約2週間前には事前テストが行われ、F.C.C. TSR Honda France・YOSHIMURA SERT MOTUL・YART-YAMAHA - OFFICIAL Team EWCの3チームも参加。各チームは2日間のテストで好タイムを記録し、レースへの準備が整った体制で長く過酷なボルドール24時間に挑む。
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9/14(火)に特別走行枠が設けられ、各チームはセッティング作業を進めた。翌日9/15(水)は車検・ブリーフィングで走行は無く、9/16(木)から公式スケジュールが開始。
初日の走行は明け方まで降った雨は止んでいるものの路面はWet。2時間の走行最後まで乾くまでには至らなかったが、#5 F.C.C.TSR Honda Franceがトップタイムをマーク。
午後から行われる予選までには路面は乾くと思われたが、再び雨が降りだし更に水量の多いWetとなってしまう。予選中は雨は強く降ったり弱くなったりと常に変わり、路面上の水量も変化しグリップ感が変わってしまう。
濡れた路面の状況で行われた予選1回目は#37 BMW Motorrad World Endurance Team (BMW,DL)が暫定ポールポジションを獲得。#1 YOSHIMURA SERT MOTULは2番手、YART-YAMAHA - OFFICIAL Team EWCが4番手、#5 F.C.C.TSR Honda Franceは8番手と少し出遅れる。

ボルドールQP1.jpgこの日の夜20:30からは夜間での走行となるナイトフリープラクティスが行われ、この走行時にはDrtタイヤで走行可能な程に路面は乾き、Dryタイヤで走行。このセッションでは#5 F.C.C.TSR Honda France、#7 YART-YAMAHA - OFFICIAL Team、#1 YOSHIMURA SERT MOTULの順でBS勢が1ー2ー3番手と上位を独占した。
翌日9/17(金)の午前中に行われた予選2回目は天候も回復し路面はDry。風が強い中で行われた予選2回目は前日の予選1回目がWetでのタイムだった為、ラップタイムが確実に速くなる予選2回目のラップタイムでグリッドが確定する。
ライダー3人の平均タイムでスタートグリッドが決まるこの予選では、平均タイムトップとなった#1 YOSHIMURA SERT MOTULがポールポジションを獲得。2番手に#7 YART-YAMAHA - OFFICIAL Team、#5 F.C.C.TSR Honda Franceは4番手となった。
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決勝スタート日となる9/18(土)は現地時間15:00から24時間の長いレースがスタート。
ポールポジションからスタートした#1 YOSHIMURA SERT MOTULが好スタートから1コーナーホールショットを獲り、#5 F.C.C.TSR Honda Franceが3位。#7 YART-YAMAHA - OFFICIAL Teamはエンジン始動に手間取り出遅れてしまう。
レース開始直後から#11 WEBIKE SRC KAWASAKI FRANCE TRICKSTAR (Ka,DL)とBSサポートチーム2台によるトップ争いに出遅れた#7 YART-YAMAHA - OFFICIAL Teamが追い付き4台のトップ争いで周回。
最初のライダー交代では4チームのピットインするタイミングが違い、最も遅くピットインした#1 YOSHIMURA SERT MOTULは燃費面で少し有利になると思われる。
スタートから1時間30分を経過した頃、トップ争いの4台の中で#5 F.C.C.TSR Honda Franceが転倒。幸いダメージは少なく、ピットに戻ると一部パーツを交換、ライダー交代してピットアウト。この作業でトップ集団から少し遅れてしまう。上位3台は約25秒以内でトップ争いを展開。10009136_Ewc_Bol_Dor_2021_YOSHIMURA SERT .jpg
上位3台の差は時間が経つ毎に徐々に広がり、4時間経過時にはトップ#1 YOSHIMURA SERT MOTULと2位の#7 YART-YAMAHA - OFFICIAL Teamは約30秒、3位の#11 WEBIKE SRC KAWASAKI FRANCE TRICKSTARはトップから約1分10秒差。
20:00頃からは日も沈み、レースは夜間走行に突入。スタートから7時間を経過するまでに上位3台の争いが崩れ始める。3位を走行していた#11 WEBIKE SRC KAWASAKI FRANCE TRICKSTARが緊急ピットイン。エンジンにトラブルが発生し、ピットボックス内で修復を試みるがそのままリタイヤとなってしまう。
レースの3分の1を紹介した時点ではトップは変わらず#1 YOSHIMURA SERT MOTUL。2位も変わらず#7 YART-YAMAHA - OFFICIAL Teamとなっており、1分強まで差は拡大しているが同一周回を走行するのはこの2台のみ。3位には1周遅れで#6 Team ERC Endurance-Ducati (Du,MI)が走行、#5 F.C.C.TSR Honda Franceは一時23位まで順位を落としていたが、8時間経過時点で7位まで挽回している。

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9時間が経過する頃には雨が降り始めており、路面は徐々にWetに変化していく中、トップ走行の#1 YOSHIMURA SERT MOTULが緊急ピットイン。ピットボックスにマシンを入れ、トラブルを修復して1分程でコースに復帰するが、これで#7 YART-YAMAHA - OFFICIAL Teamとの順位が入れ替わる。
コース上ではWetタイヤで走行しているが、この中で#5 F.C.C.TSR Honda Franceのペースが速く、5位まで順位を回復している。スタートして10時間が経過した時点で今度は3位を走行していた#6 Team ERC Endurance-Ducatが転倒。マシンのダメージも大きくそのままリタイヤとなる。
路面は徐々に回復し、Dryタイヤで走行するチームも増えてきている。そして10時間40分を経過した頃、BS勢にトラブルが発生。順位を3位まで回復していた#5 F.C.C.TSR Honda Franceがコース上でストップしてしまった。ピットボックスまでマシンが戻りトラブルの原因を調べるが、修復不可能と判断され残念なリタイヤとなってしまう。ボルドールRace2.jpg11時間を経過した頃には再び雨が降り始め、トップ争いの#7 YART-YAMAHA - OFFICIAL Teamと#1 YOSHIMURA SERT MOTULは約1分30秒の差が約30秒まで縮まっている。24時間レースの半分が消化しようとしていた頃、再びBS勢にトラブルが発生。今度はトップを走行する#7 YART-YAMAHA - OFFICIAL Teamが長いバックストレート「ミストラル」で白煙をあげてストップ。マシンを押してピットボックスに戻って来るが、残念な事にこちらもリタイヤに。レースは12時間が経過した時点ですでに14台がリタイヤと厳しいサバイバルレースとなってきた。
これで再びトップに立った#1 YOSHIMURA SERT MOTULは13時間経過時には2位を走る #96 TEAM MOTO AIN (Ya,DL)に8周の差を付け独走。この差は時間毎に徐々に広がり、夜間の雨が降る走行でも無理をせずに安全に走行。夜明けを迎えた16時間経過時には2位との差は12周と大きなリードを築いている。
24時間レースも残り6時間となった頃には20台のマシンがリタイヤとなっており、コース上は21台のマシンのみ走行と41台でスタートしたレースは約半分の台数にまで減少。
2位に大きな差を付けて走行している#1 YOSHIMURA SERT MOTULは、中盤の小さなトラブルで緊急ピットインした後は順調に周回を重ね、24時間704周を走り切り、2位に19周の大差をつけて優勝。第1戦ルマンと今回のボルドール、2回の24時間レース優勝を達成した。10015076_Ewc_Bol_Dor_Popdium_Yoshimura.jpg


ヨシムラSERT Motul 加藤陽平 チームディレクター
「とても長くタフなレースでした。全てが予定通りにうまく行き、再び勝つことができとても嬉しく思います。ただ競合チーム達はトラブルに泣かされたレースとなったので、次々と不運に見舞われた事はライバルとは言え、大変残念に思いました。もちろんヨシムラSERT Motulにとっても非常に難しいレースでしたが、私たちはやるべき事に集中し乗り越えることができました。今回の24時間もミス無く戦ってくれたチームに感謝します。これは関わった全ての人のサポートなくして成しえなかった勝利です。最終戦もチャンピオンシップを勝ち取るために全力を尽くしていきます」


これで年間シリーズランキングは141ポイントとなり、再びランキングトップに。ランキング2位の#333 VRD IGOL EXPERIENCES (Ya,DL)が105ポイントとその差は36ポイントとなっており、この2チームでタイトル争いとなりました。
3週間後の10/9(土)に決勝が行われる最終戦、チェコ・モスト8時間はポイントが1.5倍となり、決勝で優勝すると30ポイント x 1.5の45ポイント獲得が可能。予選上位5台にもボーナスポイント(1位5P、2位4P、・・・5位1P)と合わせると最大50ポイント獲得が可能となります。
YOSHIMURA SERT MOTULがチャンピオン獲得には有利な状況ですが、何が起こるか分からないのが耐久レース。気を抜く事が出来ない最終戦 チェコ・モスト8時間でもサポートチームの足元をしっかり支えていきます。
FIM EWCに参戦するF.C.C.TSR Honda France・YOSHIMURA SERT MOTUL・YART-YAMAHA - OFFICIAL Teamの応援を宜しくお願いします。
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レース結果

コース:Paul Ricard

決勝

  • 開催日:2021/09/19
  • 決勝出走:41
  • 完走:20
  • (5.673km x 704laps = 3993.792km)
順位 No ドライバー タイヤ チーム マシン シャシー エンジン 周回数 Delay(Lap) ベストタイム ベストラップ タイム
1 G.ブラック/X. シメオン/S.ギュントーリ BS Bridgestone YOSHIMURA SERT MOTUL GSX-R1000 スズキ 704 201 1:53.783 24:01:11.531
2 96 R. ド プニエ/R.ムルハウサー/R.ロルフォ DL MOTO Ain YZF-R1 ヤマハ 685 19 148 1:54.511 24:02:17.438
3 24 A. ルイショー/J. ハルド/J. ピロ MI BMRT 3D MAXXESS NEVERS ZX-10R カワサキ 681 23 14 1:55.371 24:03:02.495
4 41 C.リーシュ/G.ファストレー/W. テッセル MI RAC41-CHROMEBURNER CBR1000 SP ホンダ 679 25 203 1:56.119 24:03:04.777
5 44 K. カリア/L. スカッサ/A.マスボウ DL No Limits Motor Team GSX-R1000 スズキ 676 28 87 1:55.982 24:04:57.950
6 333 F.アルト/F. マリノ/N. テロル DL VRD IGOL EXPÉRIENCE YZF-R1 ヤマハ 674 30 227 1:54.109 24:02:17.120
7 66 A.プランカッサグネ/S. ヒル/渥美 心 DL OG MOTORSPORT BY SARAZIN YZF-R1 ヤマハ 672 32 92 1:56.424 24:01:11.971
8 121 D. シュバリエ/T. アイゼン/L. ミレ MI FALCON RACING YZF-R1 ヤマハ 671 33 95 1:58.304 24:01:35.644
9 65 G.デハーイェ/B. コリオー/L. ヴァルシュヒューター DL Motobox Kremer Racing #65 YZF-R1 ヤマハ 664 40 92 1:58.054 24:02:43.924
10 14 A. ウエスト/M. モーザー/O.ジェジュク DL MACO RACING Team YZF-R1 ヤマハ 656 48 19 1:55.792 24:01:55.761
11 97 J. ブラックショウ/J. エドワーズ/C. プラット DL ADSS 97 ZX-10RR カワサキ 649 55 189 1:58.934 24:02:48.210
12 73 C. ブラード/A. レピーヌ/C. ロチェ DL Team Space Moto GSX-R1000 スズキ 645 59 537 1:59.011 24:01:38.691
13 86 M. ペリゾッティ/G. ポンス/A. パラソル DL PITLANE ENDURANCE YZF-R1 ヤマハ 645 59 81 1:56.222 24:02:42.317
14 27 C. エルアム/H. ジラーデット/R. ストルツ DL TRT27 BAZAR 2 LA BECANE GSX-R1000 スズキ 641 63 196 1:59.798 24:02:38.940
15 45 M.チャーピン/K. ソルボ/A. ロディ パック DL METISS JBB MS20 EVO 21 Metiss 633 71 36 1:57.493 24:02:19.062
16 98 C. ジョバンニ レイナルド/B. ウエーバー/F. ランシエン DL EMRT Endurance Monaco Racing Team YZF-R1 ヤマハ 627 77 76 1:57.927 24:01:41.923
17 4 A.ティシェ/S.スチェット/M.ビーチェット MI TATI TEAM BERINGER RACING ZX-10R カワサキ 603 101 125 1:53.707 24:01:54.963
18 90 J.パフィー/S.ケースバウマー/K. クルゼミエン PI Team LRP Poland S1000RR BMW 600 104 8 1:56.382 24:02:40.442
19 212 M. ベドゥー/A. ブリモー/S. ピコット DL DUNLOP MOTORS EVENTS WERC GSX-R1000 スズキ 593 111 242 2:00.668 24:03:12.529
20 156 M. ティボールト/A. D. キムペ/M. バシュリエ DL PLAYERS ZX-10R カワサキ 584 120 210 1:58.297 24:01:50.390