• 開催場所:モスト サーキット
  • 開催日:2021年10月09日(土) 〜 2021年10月09日(土)
2021 FIM EWC Rd.4 モスト6時間:Yoshimura SERT Motulが2021 EWCチャンピオンを獲得! YART-YAMAHAが大接戦のレースを 2位でチェッカー!
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2021年のFIM EWCも最終戦を迎えた。当初、7月開催の鈴鹿8耐が11月に延期、最終戦となるスケジュールだったが、8月に鈴鹿8耐中止が発表され、代替戦として急遽チェコのオートドロモ・モストにて10/9にモスト8時間を開催すると発表された。
その後、9月に8時間耐久から6時間への短縮が発表。時間が短くなったことでスプリントレースに近い速いペースでの6時間耐久が予想された。
会場のオートドロモ・モストはチェコの北西約70kmのところに位置する、全長4,212mの全体的にフラットのサーキットで、コース前半のタイトなシケインがあるテクニカル区間、コース中盤~後半の高速コーナーが多い区間を持つ細長いレイアウトとなっており、今年8月にはスーパーバイク世界選手権が開催された。
今大会ではWTCR(世界ツーリングカーカップ)との併催となっており、1日おきにEWCとWTCRが走行するスケジュールでEWCは10/7(木)にフリー走行・予選、10/9(日)に決勝レースが行われる日程となっている。モストは初開催となる為、急遽10/6(水)に特別走行が設定され、参戦チームは走行を行いセッティングを進めた。

公式スケジュールが開始となる10/7(木)は現地時間9:00より2時間のフリープラクティスが開始。現地の昼間最高気温が15℃前後、夜間最低気温は5℃以下となる予報。日の出時間が7:20前後の為、早朝は気温・路面温度は低い状況で行われ、走行開始時点で気温はまだ10℃程の状況。
このセッションではブリヂストンサポートチームの#7 YART-YAMAHA OFFICIAL Team EWC(Ya,BS)が2番手、チャンピオンに王手を掛けている#1 Yoshimura SERT Motul(Su,BS)が3番手、#5 F.C.C.TSR Honda France(Ho,BS)が4番手と好発進。トップタイムは#37 BMW Motorrad World Endurance Team(BMW,DL)となった。

フリープラクティスが終了して1時間後の12:00より予選1回目が行われ、青・黄・赤の腕章を着けたライダーがそれぞれ20分の予選を走行。気温は15℃まで上がってきた状況の中、走行した各ライダーのベストタイム平均で予選順位が決定する。
予選1回目でライダーのベストタイム平均トップはフリープラクティスでもトップだったBMW Motorrad World Endurance Team。3名のライダーが登録しているが走行したのは2名のみで平均タイムは1'33.556。BS勢は2番手にYART-YAMAHA OFFICIAL Team EWC、3番手にF.C.C.TSR Honda France、6番手にYoshimura SERT Motulの暫定結果となっている。
Web1.jpg予選1回目終了1時間後に2度目のフリープラクティスが1時間設定されており、このセッションではセーフティーカーが入った時のシミュレーションを含んでいる。
このセッションではYART-YAMAHA OFFICIAL Team EWCがトップタイムを記録。2番手に#77 Wojcik Racing Team(Ya,DL)、BMW Motorrad World Endurance Teamが3番手。Yoshimura SERT MotulとF.C.C.TSR Honda Franceは5ー6番手となった。

公式スケジュール最後のセッションとなる予選2回目は16:20から開始。
予選1回目で暫定2番手のYART-YAMAHA OFFICIAL Team EWCは3人のライダーが全員1'33秒台のタイムを記録し1回目のタイムを更新。1回目では2名しか走らなかったが、平均タイムでは暫定トップのBMW Motorrad World Endurance Teamがこの予選では3名が走行。しかしYART-YAMAHAのタイムには及ばず2番手となる。
3番手はチャンピオンが掛かっているYoshimura SERT Motul、F.C.C.TSR Honda Franceは4番手となった。
Web2.jpgタイトル争いを展開しているYoshimura SERT Motulはこれで予選ポイント3を獲得。タイトル争いのライバル#333VRD IGOL EXPERIENCESは予選7番手とポイント獲得はならず、1-2位のポイント差は36から39に広がったことで、VRD IGOL EXPERIENCESは優勝し、かつYoshimura SERT Motulがノーポイントとならなければチャンピオン獲得は不可能となった。
またランキング2位になる可能性がある現在ランキング3位のF.C.C.TSR Honda Franceは予選ポイント2を獲得した事で2ー3位のポイント差は16から14に縮まったが、この時点でのランキング4位とは3ポイント差、ランキング5位とは4ポイント差とランキング2位争いも過熱してきた。

10/8(金)は併催のWTSCのセッションが行われ、EWCは1日空けて10/9(日)に決勝レースが行われる。今大会では6時間と短い耐久レースでゴール時間が17:00と日没前になっている為、夜間での走行はない。
決勝スタート時、11:00頃の気温は14℃、路面温度16℃のコンディションで快晴の中、チェコ国旗が振られルマン式スタートでレースが始まった。
ポールポジションスタートのYART-YAMAHA OFFICIAL Team EWCはエンジン始動に時間が掛かり大きく出遅れ、ほぼ最後尾からのスタートとなる大波乱。好スタートを切ったのはYoshimura SERT MotulとF.C.C.TSR Honda FranceのBS勢。1周を終えた時点でBS勢2台に加え、Wojcik Racing Teamの3台がトップ集団となり、15分経過時にはこの3台にBMW Motorrad World Endurance Teamが追い付き、トップ集団は4台に。
この中からBMW Motorrad World Endurance Teamが徐々に抜け出し始め、2位集団の3台に出遅れたYART-YAMAHAが追い付いてきた。
12007_Fim_Ewc_6_H_Most_2021_.jpgレースがスタートして50分が経過する頃、上位勢で最初にピットインしたのはF.C.C.TSR Honda France。その後YART-YAMAHA、Yoshimura SERT Motulがピットインし、トップを走行するBMW Motorrad World Endurance Teamが最も長く走り、トップ勢の中では最後にピットインする。
波乱が起きたのは1時間50分が経過する頃。F.C.C.TSR Honda Franceが2度目のピットインでライダーが高橋裕紀に交代し、コースインしたアウトラップで転倒してしまう。マシンを起こしてコース上に復帰するがマシンのダメージもありそのままピットイン。メカニック達が修復作業を行う。
6時間の短い耐久レースも半分が消化した3時間経過時点でトップは序盤からレースをリードするBMW Motorrad World Endurance Team。2位はスタートで出遅れたYART-YAMAHA OFFICIAL Team EWCがトップを追うが、6時間の中でYART-YAMAHAが1スティント多く走る事になる間隔でピットインしている為、1ー2位の間隔が徐々に開いている。
3位にはタイトル獲得が目前のYoshimura SERT Motulが無理をせずに走行。タイトル争いのライバル、VRD IGOL EXPERIENCESはこの時点でトップから1周遅れの7位。転倒により順位を大きく落としてしまったF.C.C.TSR Honda Franceはレースに復帰し、トップから12周遅れの23位を走行している。レースは残り2時間となる頃、タイトル争いのVRD IGOL EXPERIENCESが白煙を上げ、エンジントラブルが発生しコースサイドでストップ。オイルがコース上に出た事でセーフティーカーが介入するが、これでYoshimura SERT Motulのチャンピオンはほぼ確定した。
21HSPR-IDM_06_HHR_DSC_8273.jpgレースも終盤に入るとエンジントラブルによりリタイヤするマシンが出始め、その中には残念ながら転倒から復帰したが再びピットに戻ったF.C.C.TSR Honda Franceも含まれる。レースは残り1時間になる頃からトップ2台の差は徐々に縮まり始め、両チーム最後のピットインを終えた後は前を走るBMW Motorrad World Endurance TeamをYART-YAMAHA OFFICIAL Team EWCがファステストラップを更新しながら追い上げる展開。
残り40分で約11秒あった差は残り20分で約6秒、残り10分で約2秒まで詰まり、最後2周は接近戦のバトルに。最終ラップにYART-YAMAHAがトップに立つチャンスを狙うがBMW Motorrad World Endurance Teamは全く隙を見せずトップを死守。ゴールラインまで続いた大バトルは0.07秒差と耐久レースとは思えない誤差でBMW Motorrad World Endurance Teamが初優勝、YART-YAMAHA OFFICIAL Team EWCが惜しい2位。
そしてYoshimura SERT Motulが3位に入り2021年のFIM EWCチャンピオンをブリヂストンタイヤと共に獲得した。
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◆ Yoshimura SERT Motul チームディレクター 加藤陽平
「ヨシムラSERT Motulの参戦初年度に、ブリヂストンと共にシリーズチャンピオンを獲得できた事を大変嬉しく光栄に感じております。我々はこのEWCにおいて、スズキファクトリーチームの名に恥じない戦いをすると誓って今シーズンに臨みましたが、世界で最も有名な耐久レース『ルマン24時間』と歴史ある『ボルドール』の2大会で優勝し、年間タイトル獲得に繋げられたことは今でも夢の様な出来事です。新生ヨシムラSERT Motulを応援してくださった皆様、本当に有難うございました!今後もライバルチームと切磋琢磨し、共により良いチャンピオンシップをつくり上げ、そしてヨシムラSERT Motulはチャンピオン防衛をして参りますので、来シーズンも引き続きご声援のほど宜しくお願い致します。」
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レース結果

コース:モスト サーキット

決勝

  • 開催日:2021/10/09
  • 決勝出走:24
  • 完走:21
  • (4.212km x 213laps = 897.156km)
順位 No ドライバー タイヤ チーム マシン シャシー エンジン 周回数 Delay(Lap) ベストタイム ベストラップ タイム
1 37 I. ミハルヒク/M.レイターバーガー/K.フォレイ DL BMW MOTORRAD WORLD ENDURANCE TEAM S1000RR BMW 213 209 1:34.359 06:01:31.007
2 7 K.ハニカ/M.フリッツ/N.カネパ BS Bridgestone YART - Yamaha Official Team EWC YZF-R1 ヤマハ 213 212 1:33.875 06:01:31.077
3 1 G.ブラック/X. シメオン/S.ギュントーリ BS Bridgestone YOSHIMURA SERT MOTUL GSX-R1000 スズキ 212 1 212 1:34.963 06:01:46.791
4 11 J. グアノニ/E.ニゴン/D.チェカ DL WEBIKE SRC KAWASAKI France TRICKSTAR ZX-10R カワサキ 212 1 91 1:35.174 06:01:55.281
5 77 G. レア/S. モライス/D. リンフッド DL Wójcik Racing Team YZF-R1 ヤマハ 211 2 93 1:34.990 06:02:31.330
6 6 E.マッソン/L.ザネッティ/M.ギネス MI ERC Endurance Ducati Panigale V4R ドゥカティ 211 2 115 1:35.121 06:03:01.645
7 44 L. スカッサ/A.マスボウ/K. カリア DL No Limits Motor Team GSX-R1000 スズキ 208 5 104 1:35.912 06:02:34.429
8 69 F. サラチュ/O. ケーニッヒ/D. ジュダ DL TME Racing YZF-R1 ヤマハ 207 6 49 1:36.567 06:02:33.188
9 91 K. ペセック/N. ルサンジ/M. チョイ DL ENERGIE ENDURANCE 91 ZX-10R カワサキ 203 10 4 1:37.809 06:02:01.784
10 101 G. ゲスルバウアー/H. シャフザール/H. フーバー MI Team Aviobike YZF-R1 ヤマハ 203 10 3 1:38.430 06:03:01.239
11 34 C. ジーネン/J. ボンネット/G. オルティス DL JMA MOTOS ACTION BIKE GSX-R1000 スズキ 202 11 34 1:38.787 06:02:24.154
12 121 H. ロベルト/J. ミレ/L. ミレ MI FALCON RACING YZF-R1 ヤマハ 202 11 175 1:38.717 06:02:29.312
13 65 G.デハーイェ/S. ストローレン/L. ヴァルシュヒューター MI Motobox Kremer Racing #65 YZF-R1 ヤマハ 202 11 72 1:38.787 06:02:46.033
14 4 S.スチェット/V. スチェット/E.ブーロム MI Tati Team Beaujolais Racing ZX-10R カワサキ 201 12 107 1:36.268 06:02:55.213
15 8 N. ワラベン/J.ブーン/J. ペリジェフ MI Team Bolliger Switzerland ZX-10R カワサキ 201 12 83 1:35.841 06:03:01.815
16 18 H.クレア/J.ニゴン/P. スタインメイヤー DL Team 18 Sapeurs Pompiers YZF-R1 ヤマハ 193 15 181 1:36.718 06:01:39.508
17 14 A. ウエスト/O.ジェジュク DL MACO RACING Team YZF-R1 ヤマハ 193 20 76 1:36.097 06:02:58.391
18 27 R. ストルツ/H. ジラーデット/C. エルアム DL TRT27 BAZAR 2 LA BECANE GSX-R1000 スズキ 190 23 48 1:39.765 06:02:00.496
19 777 M.シコペック/M.フィッラ/B. ウィクチンスキ DL Wójcik Racing Team 2 YZF-R1 ヤマハ 181 32 39 1:37.460 06:03:02.200
20 90 D.ヴィンコン/K. クルゼミエン/B.レワンドウスキィー PI Team LRP Poland S1000RR BMW 176 37 39 1:37.276 06:02:58.495