【2023年全日本ロードレース選手権 第8戦 鈴鹿 ST600】井手翔太が大逆転優勝、阿部恵斗が3位表彰台とタイトルを獲得

全日本ロードレース最終戦鈴鹿MFJ-GPのST600タイトル争いは、阿部恵斗と西村硝のチームメイト同士の一騎打ち。ところが木曜日の特別走行で西村が転倒、負傷してしまう。それでも西村は強行参戦を決意する。

【予選】30分間のタイムアタックで争われた土曜日の予選。朝からどんより曇っていたが、ST600予選セッションが開始されるころには薄陽が射してきた。
アタック開始2周目。長尾健吾、スポット参戦の南本宗一郎、小山知良の3台が2分11秒前半のタイムでの攻防を開始する。しかしセッション開始から10分ほどで三上真矢が転倒。赤旗が出されてセッションが中断される。
予選はタイヤ1本のみというレギュレーションも影響し、セッション再開後はなかなかタイム更新する者が現われない。チャンピオンがかかる阿部は自身のタイムを更新するも5番手にとどまる。
リーダーボードが入れ替わることなく、2周目のタイムで長尾がトップで終了。第6戦オートポリスに続いて今季2回目のポールポジションを獲得となった。

長尾は「去年の最終戦は2周目に転倒してしまったからデータが少ない。その割には今日の予選はうまくまとめられた。でも去年のタイムを越えたいという目標はクリアできた。決勝もこの調子でいきたい」とコメントした。

【決勝】決勝レースで好スタートを切ったのは南本。小山、長尾、伊達悠太の4台で接近戦を開始。ここに阿部、中山耀介を加えた6台がトップ集団を形成する。
伊達、小山、南本、長尾と次々にトップが入れ替わる。その間に井手翔太が追いついて、首位グループは7台に膨れ、そこここで順位を入れ替える激戦が展開される。

10周目。長尾が転倒して戦線離脱。トップに立っていた南本が逃げ切り体制に入ろうとするが、追い上げてきた井手が背後に迫る。
ラスト2周は南本と井手の一騎打ち。

真っ先に最終ラップに突入したのは南本。１コーナーで井手が首位奪取。南本は諦めずに背後につける。２台のバトルに乗じて小山が2台との差を詰める。130Rで南本がラインを外し、小山が2番手浮上。最終シケインで阿部、伊達が相次いで南本をパス。
トップでチェッカーを受けたのは井手。開幕戦以来今季２回目の優勝。小山についで阿部が３位表彰台でチャンピオンを決めた。

●井手翔太（予選9位／決勝1位）
「13周、本当に厳しいレースでした。最初の5周は10位くらいまで下がってしまい、あきらめようかというくらいでした。それでも集中して１台ずつ抜いていきました。最後に（かつてのチームメイトで先輩の）南本選手に勝てたのが、本当にうれしいです」