2019_jr_1.JPG「全日本ロードレース選手権」とは、その名の通り、日本全国のサーキットを舞台に争われる国内最高峰のオートバイ・ロードレースシリーズのことであり、現在4つのクラスで構成されている。2019年は全国6サーキットにて、4月7日の開幕戦から、11月3日の最終戦まで、全8戦が開催される。2019年は、昨年に引き続き最高峰のJSB1000クラスで、1大会で2レース開催が5大会あり、合計12レースで争われる。又第4戦の筑波大会では、JSB1000以外の全3クラスで2レース制となり、J-GP3、ST600、J-GP2の3クラスは、年間7レース(6大会)で争われる。
1大会2レースの場合は、最終戦の鈴鹿を除き、土日で1レースずつ行われる予定で、土曜日にも観戦の見所が増える。ライダーにとっては2日間のレースで、体力的には厳しくなるものの、シリーズランキングを考えるとポイントは勿論重ねておきたいところ。白熱したバトルが多く展開されるでしょう。

各クラスの特徴

JSB1000
最高峰クラスとなるのが、国内外のオートバイメーカーが誇る最新のスポーツバイクで激戦が繰り広げられる「JSB1000」だ。市販の公道を走るスーパースポーツのバイクをベースに、限られた改造範囲の中でレース用に仕上げたマシンで、日本最大のロードレースである「鈴鹿8時間耐久ロードレース」に直結するクラスである。ホンダ、ヤマハ、スズキ、カワサキという日本の4メーカーに加えてBMW、アプリリアら海外製のマシンも参戦して凌ぎを削る日本独自のカテゴリーとなっている。

J-GP2
「J-GP2」は、2010年から開始され、今年で10年目を迎えた。排気量600ccで、ST600の上位クラス、Moto2へ繋がるクラスとして白熱のバトルが繰り広げられてきたが、世界グランプリのMoto2が、ホンダエンジンからトライアンフエンジンに代わる事もあり、今年で終了となる事が決定している。来年からはこのクラスに代わってST1000というカテゴリーが誕生するが、最終年となるこのクラスのウィナーとなるのは誰か?が注目される。

J-GP3
レーサーの登竜門となっているのが「J-GP3」である。10代の若手ライダーからベテランまでが切磋琢磨している。小排気量であることからトップスピードは低いが、コーナリングスピードは大排気量車並みの速さを見せることから、小排気量車ならではのテクニックが求められ、レースは常に混戦となるクラスである。このクラスは世界選手権のMoto3へ繋がるカテゴリーであり、又アジアタレントカップとほぼ同じ仕様のマシンで争われ、世界を目指す若手ライダーの登竜門となっている。

ST600
JSB1000・J-GP2・J-GP3とは異なり、市販用バイクを使い改造範囲を限定している「ST600」には、国内4メーカーのマシンが参戦。公道走行用タイヤをベースに開発されたブリヂストンの専用レーシングタイヤBATTLAX RACING R10が2015年からオフィシャルタイヤとして供給され、ワンメイクタイヤでのカテゴリーとなっているが、今年からは新商品のBATTLAX RACING R11が投入される。2020年まで、当社のワンメイク継続が決定している。近年では十代の若手の台頭が目覚ましく、上位の多くが若手という状況になっている。昨年も10代の岡本裕生選手がチャンピオンに輝いた。タイヤもイコールコンディションとなっているので、"日本一の激戦区"と言われているクラスであり、毎年最終戦でタイトル争いが決着する大混戦のレースとなっている。今シーズンは新タイヤR11をいち早くものにするライダーは誰だ!?

2019年シーズンの見どころ

2019年シーズン、ブリヂストンは引き続き「JSB1000」「J-GP2」「J-GP3」の3クラスに参戦し、また「ST600」クラスにはワンメイクタイヤを供給する。昨2018年は一昨年に引き続き「JSB1000」と「J-GP2」の2クラスでタイトルを獲得しており、今年は全クラスでタイトル獲得を目指すとともに、「ST600」では安定したタイヤ供給体制で、ワンメイクレースをしっかりと支える。

「JSB1000」は昨年、ヤマハファクトリーレーシングの中須賀選手が、開幕4連勝と好スタートを切り、その後も4連勝を挙げ合計8勝と、横綱相撲で自身8度目のタイトル獲得となった。昨年初のタイトルを手にした高橋巧選手は、10年振りのワークス復活となったTeam HRCからの参戦で2位となった。
今シーズンのビックニュースは、ヨシムラスズキに移籍した加賀山選手と、J-GP2のチャンイオン岩戸選手が、カワサキTeam GREENのセカンドライダーに抜擢された事だろう。
チャンピオン争いの大本命は、何と言ってもチャンピオンヤマハファクトリーの中須賀選手。昨年の勢いからして、今年も死角が見つからない。対する一昨年のチャンピオン高橋選手は、ホンダワークスチーム2年目となり、体制やマシンの仕上がりがかなり進化する事が見込まれ、間違いなくタイトル争いに絡んで来るだろう。
又中須賀選手のチームメイトで若い野左根選手も、昨年の成長は目覚ましいものがあり、何度もトップ争いに加わった。中須賀選手と同じマシンで、今年更なる進化を遂げて、身内同士の争いとなる事も十分に考えられる。
更にヨシムラへの移籍で話題の加賀山選手は、2007年にヨシムラで鈴鹿8耐優勝の経験もある。久しぶりにブリヂストンタイヤユーザーとなり、ベテランの強さを発揮するだろう。ヨシムラのセカンドライダーは、昨年に続き渡辺一樹選手。昨年ヨシムラに移籍し、ランキング7位を獲得する活躍を見せた。今年のヨシムラにも注目だ。
カワサキTeam GREENは、昨年JSB1000初優勝を挙げた渡辺一馬選手と共に、J-GP2のチャンピオン岩戸選手がルーキーとしてどんな走りを見せるかが楽しみだ。
昨年の若手ルーキーでは、一昨年のチャンピオンチーム、MuSASHI RT HARC-PRO.の水野選手や、昨年はけがに泣いたYAMALUBEの前田ら、JSB1000で2年目の活躍に期待される。
その他のチームでは、昨年鈴鹿8耐で見事プライベーター最上位4位を獲得した、エスパルスドリームレーシングの生形選手、一昨年ルーキー最上位の、ランキング7位となった濱原選手は、桜井ホンダ2年目で勝負の年となる。又ベテランではJ-GP2からステップアップした、関口選手や、過去2回のタイトルを獲得している秋吉選手、カワサキのテストも担当する柳川選手らが参戦し楽しみだ。
JSB1000では年間エントリー24人のうち、ブリヂストンユーザーは何と21人と9割近くのシェアを誇る。いずれにしてもブリヂストンユーザーの上位争いが繰り広げられる。

J-GP2は、昨年ランキング1、2位の岩戸、関口選手が、今年JSB1000にステップアップして不在。ブリヂストンユーザーで、ランキング3位の名越選手、4位の作本選手を軸にタイトル争いが繰り広げられると思われるが、ミストレーサ HARD-PROに移籍した、2016年ST600のチャンピオン榎戸選手や、ベテラン徳留選手らのブリヂストン勢も活躍してくれるだろう。

J-GP3は、マシンは殆どがホンダNSF250Rですが、ライダーはベテランと若手、女性とバラエティに富んでいる。マシン差が少ない事もあり、予選、決勝共に混戦となる事が多いクラス。また17歳以下のライダーによるユーズカップが設定されているので、若手同士の争いにも注目が集まる。更に今年も昨年に引き続き、若手育成の一環として、12~18歳のライダーに、ジュニアライセンス、国内ライセンスでも参加する事が出来る制度が導入される。若手の活躍に期待しよう。このクラスも昨年のランキング1位から3位が不在で、ブリヂストンユーザーでランキング4位長谷川選手、6位福嶋選手がタイトル獲得のチャンスとなるだけに楽しみだ。

ST600は、フル参戦登録のライダーが、昨年の27名から36名へと大きく増えた。ワンメイクタイヤによるイコールコンディションで、毎レース激しいバトルとなる為ライダーのスキルアップには絶好で、また参戦コストも抑えられる事から、唯一参加者が大きく増えたクラスとなった。昨年のチャンピオン岡本選手始め、最終戦までタイトル争いを繰り広げた上位4人をはじめ昨年のランキング7位までは継続参戦。それに昨年J-GP3チャンピオン中島選手をはじめ、J-GP3やJ-GP2からの参戦のわかいライダーも多く、今年も毎戦激しいバトルで混戦となるだろう。当社のワンメイクタイヤが新商品のR11に代わる事もポイントとなるだろう。性能向上したR11を、いち早く使いこなすことの出来たライダーが有利になる事になり、クラス変更のライダー達にもチャンスがあると言える。

ブリヂストンと全日本ロードレース選手権

ブリヂストンが全日本選手権への参戦を開始したのは、1980年代。250ccと500ccクラスに供給することから、そのキャリアをスタートさせた。
まず成果を見せ始めるのは250cc。1980年代後半にはトップレベルのサプライヤーとなり、1989年にはついに岡田忠之選手(ホンダ)の手により、初めてのシリーズチャンピオンを獲得するのである。1990年には250ccでホンダ、ヤマハのワークスチームをサポートし、HRCの岡田選手がV2を達成した。
そして、この全日本ロードレース選手権への参戦をきっかけに、1991年からWGP125に挑戦し、その後2002年からブリヂストンは世界最高峰のオートバイレースMotoGP™への挑戦を始めるのだが、もちろん全日本ロードレース選手権へのタイヤ供給は継続。125cc、250ccでは多くのチャンピオンを輩出したが、大排気量のクラスでは中々成果が表れなかった。しかしMotoGP™の参戦効果が表れて、JSBクラスで2005年に初めてブリヂストンユーザーがチャンピオンに輝き(伊藤真一選手)、その後2008,2009年を除き毎年ブリヂストンユーザーがタイトルを獲得している。昨年2018年のタイトル獲得で、9年連続でブリヂストンユーザーがタイトルを獲得した。現在では「ブリヂストンでないとJSB1000は勝てない」とまで言われるようになり、鈴鹿8耐の13連覇と共に、絶対の信頼感を得ている。これまで多くのライダーをサポートし、世界で活躍するライダーも数多く輩出していて、日本におけるオートバイレースの発展に寄与してきているのである。