今シーズン苦闘を続けてきた井口卓人が最終戦で快走、3位表彰台に立つ
- 開催場所:富士スピードウェイ
- 開催日:2021年11月20日(土) 〜 2021年11月21日(日)
2013年の開幕戦以来、通算77戦目の今回がTOYOTA GAZOO Racing 86/BRZ Raceの最終戦となる。来シーズンからはTOYOTA GAZOO Racing GR86/BRZ Cupへとリニューアルされることが決まっている。マシンは全て新型のGR86とBRZとなり、現行モデルでのレースは各サーキットが開催するローカルレースへとステージが変わる。これはヴィッツレースからヤリスカップへの移行と、同じ方式になる。最小限の認定パーツだけが許されたワンメイクレースでありながら、多くの日本のプロドライバーたちが顔を揃えるというユニークなレースも、一端幕を閉じることになる。来シーズンは、少し違ったレギュレーションの下で、より進化したレースが開催される予定になっている。そんな現行モデル最終ラウンドのエントリー台数は33台となった。
●予選
前戦十勝大会で2戦ともに2位となり、シリーズチャンピオンを決めた#10菅波冬悟(DL)。やはりチャンピオンがかかっていたこともあり、少し慎重なレース運びをしていたようだった。その鬱憤を晴らすかのように、今回の予選では2分2秒台のコースレコードでポールポジションを決めた。OTGのチームメイトであり、日本のトップドライバーのひとりである#80宮田莉朋(DL)もコースレコードを記録したものの、差は0秒316もあった。さらに同じOTGの若手ドライバー#70伊東黎明(DL)も3番手タイムを出したが、そこに割って入ったのが#34佐々木雅弘(ブリヂストン)だった。しかし予選後、そのアタックラップに走路外走行の判定が下り、タイムは抹消。10位へとドロップしてしまった。結果としてOTGがトップ3を独占する形になった。
ブリヂストン装着勢は、4位に#988井口卓人、5位に#18中山雄一と、今シーズン不調に苦しんだふたりのドライバーが並んだ。また6位の#82谷口信輝も今回はブリヂストンを選択し、トップ10には6台のポテンザRE-07D装着車両が入った。
●決勝
予選での飛び抜けた速さを、菅波はそのまま決勝レースに持ち込んだ。レースペースも早く、2分3秒520というファステストラップは、多くの選手の予選タイムよりも速いものだった。その菅波冬悟の後ろを、宮田と伊東が追いかける展開へ。同じチームだからこそ、無理なバトルはせず、上位独占するためにとりあえず逃げるはず。そう見越した井口は、その流れを追い、レース後半での勝負を狙っていた。
その上位4台が少しずつ差を拡げていくことで、5位争いは激しくなっていく。オープニングラップでは#123松井孝允(DL)が5位へと上がったが、6位谷口、そして予選10位から激しく追いあげてきた佐々木が7位と、ベテランのプロドライバーたちのバトルが展開していく。しかし勢いは佐々木にあり、5周目に6位、7周目に5位へとポジションを上げた。OTG勢の後ろに続いていた井口は、コンディションの変化でその3台のペースが落ち、ギャップが縮まった9周目、オーバーテイクに成功し、3位へとポジションを上げた。OTG勢の間に割って入る形で、今シーズン初の表彰台に立つことになった。
優勝はポール・トゥ・ウィンの菅波。今シーズン4勝目。2位には宮田、3位に井口が入った
ブリヂストン装着勢は、4位に佐々木、7位谷口、8位中山と、トップ10に4台が入った。
●プロフェッショナルシリーズの決勝レースで、3位表彰台を獲得した#988井口卓人選手のコメント。
「昨日の予選までのいい流れもあったのですが、前を走る3台が同じチームだったので無理なバトルはしないだろうと思い、まずは一緒に逃げて後続との差を拡げることを考えました。レース終盤にセクター3で雨がポツポツと降り始めて、それで前を走るマシンのペースが落ちてきて差が縮まり、オーバーテイクすることができました。今シーズンは厳しいレースが続いていたので、この型の車両の最後のレースで表彰台に上がることができて、良かったです」
決勝
- 開催日:2021/11/21
- 天候:Cloudy
- 路面:Dry
- 決勝出走:32
- 完走:28
- (4.563km x 10laps = 45.63km)
順位 | No | ドライバー | タイヤ | チーム | マシン | シャシー | エンジン | 周回数 | Delay(Lap) | ベストタイム | ベストラップ | タイム |
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1 | 10 | 菅波 冬悟 | DL | OTG TN滋賀 86 | 10 | 20'41.548 | ||||||
2 | 80 | 宮田 莉朋 | DL | OTG DL 86 | 10 | 20'45.508 | ||||||
3 | 988 | 井口 卓人 | BS | RECARO BRZ BS T | 10 | 20'46.110 | ||||||
4 | 34 | 佐々木 雅弘 | BS | 小倉クラッチ REVO 86 BS GR86 | 10 | 20'48.150 | ||||||
5 | 70 | 伊東 黎明 | DL | OTG DL 86 | 10 | 20'48.207 | ||||||
6 | 123 | 松井 孝允 | DL | NETZ TOYAMA Racing 86 | 10 | 20'49.252 | ||||||
7 | 82 | 谷口 信輝 | BS | KTMS 86 | 10 | 20'50.412 | ||||||
8 | 18 | 中山 雄一 | BS | 茨城トヨペットGRつくば86R | 10 | 20'52.525 | ||||||
9 | 31 | 青木 孝行 | NX | ケーエムエス フェニックス86 | 10 | 20'53.459 | ||||||
10 | 60 | 服部 尚貴 | DL | OTG DL 86 | 10 | 20'55.661 | ||||||
11 | 293 | 岡本 大地 | NX | N Fera Sports 86 | 10 | 20'57.911 | ||||||
12 | 98 | 近藤 翼 | BS | 神奈川トヨタ ☆ DTEC 86R | 10 | 20'58.267 | ||||||
13 | 521 | 川合 孝汰 | BS | 埼玉トヨペットGB 86 BS | 10 | 20'59.052 | ||||||
14 | 906 | 佐々木 孝太 | DL | RECARO 86 DL K | 10 | 20'59.839 | ||||||
15 | 504 | 冨林 勇佑 | DL | エアバスター86DL デルタ | 10 | 21'01.217 | ||||||
16 | 550 | 宗藤 昌太朗 | BS | 名神タイヤ86 | 10 | 21'01.363 | ||||||
17 | 11 | 脇阪 寿一 | BS | Owltech 86 | 10 | 21'01.641 | ||||||
18 | 121 | 蒲生 尚弥 | BS | tomicaネッツ兵庫 BS GR86 | 10 | 21'02.398 | ||||||
19 | 160 | 吉田 広樹 | BS | 埼玉トヨペットGB 86 BS | 10 | 21'02.533 | ||||||
20 | 56 | 鶴賀 義幸 | BS | 栃木トヨタT2FACTRY BS86 | 10 | 21'04.154 | ||||||
21 | 522 | 地頭所 光 | BS | GBCAMP 86 | 10 | 21'04.487 | ||||||
22 | 76 | 森川 基雄 | DL | ウイニング制動屋NUTEC86 | 10 | 21'10.057 | ||||||
23 | 557 | 大西 隆生 | BS | オートバックス G7 AS86 BS | 10 | 21'10.436 | ||||||
24 | 5 | 井上 尚志 | BS | まんさくレストアパーツBS86 | 10 | 21'11.868 | ||||||
25 | 909 | 小暮 卓史 | DL | RECARO BRZ DL T | 10 | 21'13.460 | ||||||
26 | 312 | 松本 晴彦 | DL | 埼玉自動車大学校MS86 | 10 | 21'14.421 | ||||||
27 | 7 | 堤 優威 | BS | muta BS カバナ86 | 10 | 21'25.606 | ||||||
28 | 1 | 久保 凜太郎 | BS | RECARO × Rin BRZ BS | 10 | 21'27.891 | ||||||
- | 97 | 柴田 優作 | BS | 神奈川トヨタ ☆ DTEC 86R | 3 | DNF | ||||||
- | 199 | 大原 佳祐 | BS | COROLLA MIE 86 | 3 | DNF | ||||||
- | 610 | 大島 和也 | DL | Team MDI/P 京都WM86 | 2 | DNF | ||||||
- | 310 | 坪井 翔 | BS | C.S.I Racing 86 | 1 | DNF |