2019年 全日本ジムカーナ選手権 第10戦

　2019年の全日本ジムカーナ選手権最終戦となる第10戦は、三重県の鈴鹿サーキット 南コースが戦いの舞台。全9クラスのうちまだチャンピオンの決まっていないのはPN4クラスのみ。その他の8クラスでは既にチャンピオンは決まっているが、2位以下の選手にとっても少しでもシリーズ順位を上げてシーズンを終えるべく、138台が熱戦を繰り広げた。
　コースはカートコースである鈴鹿南を逆走。コースインして最終コーナーを回ったところにスタート地点が置かれ、シケインからヘアピンを抜けて180度ターンで一旦順走に戻り、シケインのショートカットを抜けて再度逆走、1コーナー外側の広い場所でパイロンセクションをこなし、ゴール直前の2本シケインパイロンをかわしてゴールという難易度の高い設定。狭い場所でのターンではバックギアを使ったり脱輪判定を取られたりする選手も多く見受けられた。天気は秋晴れ。一日中ほとんど雲がなく、気温は25℃〜27℃で推移。路温は午前中29℃〜34℃、午後は36℃まで上がる展開で、この時季としては高めの路気温の中で熱い戦いが繰り広げられた。そんな中、RE-12D TYPE Aを履くPNクラスのブリヂストン装着勢は、PN2クラスで既にシリーズチャンピオンを決めている山野哲也が今季9勝目。PN3クラスではユウ（86／ブリヂストン）が今季4勝目を挙げ、チャンピオン西野洋平（86／ブリヂストン）は3位でシーズンを終える。
Sタイヤも履けるSA・SCクラスのブリヂストン装着勢は、RE-11SのWS3とWH2、更にRE-12D TYPE Aとそれぞれ選択が分かれる展開となるが、SA4クラスではRE-12D TYPE Aを履いた菱井将文（ランサー／ブリヂストン）が今季7勝目を挙げてチャンピオンの貫禄を示す。また、SCクラスでもRE-12D TYPE Aを履いた西原正樹（インプレッサ／ブリヂストン）が今季6勝目と、こちらもチャンピオンの貫禄を示す。ブリヂストン装着勢ではPN2クラス 山野哲也・PN3クラス 西野洋平・SA3クラス 西森顕・SA4クラス 菱井将文・SCクラス 西原正樹の5名が2019年のシリーズチャンピオンを獲得してシーズンを終えた。

＜PN2クラス優勝、POTENZA RE-12D TYPE A装着＞（2006年以降にJAF登録された1600cc超の2WD車。改造範囲が最も狭い）
　1本目、チャンピオン山野哲也（アバルト124スパイダー／ブリヂストン）がトップタイムをマーク。河本晃一（フェアレディZ／ブリヂストン）が2位に付ける。しかし2本目、仲川雅樹（スイフト／YH）が山野のタイムを抜きトップに躍り出る。河本はタイムアップしたものの仲川・山野のタイムに届かず3位のまま。しかしクラス最終ゼッケンの山野はやはり強かった。仲川のタイムを0.3秒上回るタイムを叩き出して逆転優勝。これで山野は今季9勝目となり、これまでのシーズン8勝という最多勝記録を塗り替える。

●山野哲也選手コメント
「今年3月にRE-12D TYPE Aを発売してから、PN2クラスでは全10戦全てでこのタイヤが優勝をもたらしてくれ、そのうち9回も自分で勝つことができたという、このタイヤのパフォーマンスの凄さを証明できた一年だったかなと思います。また、多くのドライバーがこのタイヤをチョイスし、優勝や上位入賞を果たしてくれていることに対して、開発ドライバーとしてこの上ない喜びを感じています。今年で19回目となるシリーズチャンピオンを獲得できたのも、このタイヤのお陰と感謝しています。」

＜PN3クラス優勝、POTENZA RE-12D TYPE A装着＞（2012年以降にJAF登録された1600cc超2000cc以下のRWD車。改造範囲が最も狭い）
　クラス別では最多の24台で争われたPN3クラス。既にチャンピオンは4勝を挙げている西野洋平（86／ブリヂストン）が決めているが、昨年のチャンピオンであるユウ（86／ブリヂストン）が1本目に出したトップタイムを守って今季4勝目を挙げ、優勝回数では西野に並ぶ。
●ユウ選手コメント
「今回のコースはスタート直後に全開で抜けるS字コーナーがあったのですが、RE-12D TYPE Aの温度域がバッチリ合っていたので、ここで“行ける！”と思って攻めました。2本目は路面の悪化は特に感じなかったのですが、全体的に少しずつ遅い感じでタイムダウンしてしまいました。でも1本目のタイムで勝ててよかったです。今年はクルマの不調に悩まされた一年でしたが、来年は問題をスッキリ直して気持ち良く走りたいです。」

＜SA4クラス優勝、POTENZA RE-12D TYPE A装着＞（4WD車。改造範囲が広い）
　RE-12D TYPE Aを履いた菱井将文（ランサー／ブリヂストン）が、1本目にトップタイムを出してシリーズチャンピオンの貫禄を示す。2本目はライバルも菱井の1本目のタイムを上回ることが出来ず、菱井の今季7勝目。
●菱井将文選手コメント
「また勝っちゃった！　6戦目から5連勝です。今回もRE-12D TYPE Aを選んだのですが、1本目は前半で少しグリップ感が足らない感じだったものの後半は良くグリップしてくれ、トップタイムを出すことができました。2本目は前半から凄いグリップを発揮してくれ、中間タイムでは0.5秒くらい上がっていたのですが、後半でシフトミスをして行き過ぎてしまい、ノータイムとなったのが残念でした。RE-12D TYPE Aを決勝で履いたのは第8戦SUGO、第9戦恋の浦に続いて今回が3回目ですが、今回、特に2本目のグリップ感が一番高かったです。」

＜SCクラス優勝、POTENZA RE-12D TYPE A装着＞（改造範囲がかなり広い）
　SA4クラスの菱井と同じくRE-12D TYPE Aを履いた西原正樹（インプレッサ／ブリヂストン）がシリーズチャンピオンらしく1本目からトップタイムをマーク。2本目には大会オーバーオールタイムを叩き出してして優勝。有終の美を飾ることとなる。
●西原正樹選手コメント
「1本目はミスがあって0.5〜0.6秒くらい落としていたので、2本目はそれを修正すればタイムは上がると信じて攻めました。2本目はタイヤと路面とのマッチングが上がった感があり、結果的に0.8秒のタイムアップを果たすことができ、SCクラスらしくオーバーオールタイムで優勝できたことに満足しています。RE-12D TYPE Aを履いたのは3回目ですが、路温が高ければグリップ感はSタイヤより上と感じています。また、クルマとのセッティングやエア圧なども美味しいところが分かってきたので、また来年が楽しみです。」

★ブリヂストン　レースタイヤエンジニア　本田　真悟
　第10戦は、天候に恵まれて、2ヒートともDRY路面での勝負になりました。PNクラス向けのRE12D Type-Aは、今回も高いポテンシャルを発揮し、PN2クラスで1-3位、PN3クラスでは1-3位、それぞれ好成績を獲得できました。また、SA・SCクラスでは、RE12D Type-Aを使用することで、SA4クラスで1-3位・SCクラスで1位と、好成績を残すことができました。各クラスで、優勝および表彰台を獲得いただいたドライバーの方々、9勝目の獲得で年間最多勝記録を更新したPN2クラスの山野選手、おめでとうございます。 今回をもって、2019年のシリーズが終了し、7年ぶりに、5クラスでシリーズチャンピオンを決めることができました。RE12D Type-AおよびRE11Sの持つポテンシャルの高さを証明していただいた方々に、感謝します。2020年も今年同様に3月から始まりますが、各クラスでのチャンピオン獲得に向けて、サポートしていきますので、応援よろしくお願いします