全日本ジムカーナ選手権第2戦 名阪スポーツランド

　2020年の全日本ジムカーナ選手権第2戦が、奈良県北東部に位置する近畿のジムカーナのメッカ、名阪スポーツランドCコースで開催された。元々4月に開催されるはずだったこの大会だが、新型コロナウイルスの影響により半年の延期となり、第5戦・第7戦のあとの今年3戦目として開催された。
コースは、前半はスタートしてすぐに内周に入り、180度ターン・S字ターンを含むパイロンセクションをこなし、後半は外周をほぼ一周するという設定。
　土曜日の公開練習は最高気温10℃というこの時季としては寒い雨の中で行われたが、予報では日曜日は晴れ、気温は18℃まで上がるということだった。その決勝日、早朝の時点では快晴だったものの、競技が始まる頃になって雲が空を覆い始め、太陽が出たり隠れたりの繰り返しで路温があまり上がらず、結局気温10℃〜16℃、路温20℃〜24℃という温度域の中での勝負となる。
　そんな中、RE-12D TYPE Aを履くPNクラスのPOTENZA装着勢は、PN2クラスの山野哲也（アバルト124スパイダー／ブリヂストン）は前戦に続き2連勝。PN3クラスで西野洋平（86／ブリヂストン）が今季初優勝と、2クラスを制覇。
　SA・SAXクラス及びSCクラスのPOTENZA装着車は、RE-11SのWS3とWH2、RE-12D TYPE Aの3種類をそれぞれの戦略で選択。SA・SAX1クラスではWS3を履いた山越義昌（CR-X／ブリヂストン）が8年振りの優勝を飾る。SA・SAX3クラスでは渡辺公（NSX／ブリヂストン）が前輪にWS3、後輪にWH2を履いて3位入賞。SA・SAX4クラスではWS3を履いた岡部隆市（ランサー／ブリヂストン）が3位入賞。SCクラスではWS3を履いた西原正樹（インプレッサ／ブリヂストン）が今季2勝目と、それぞれ表彰台に昇る活躍を見せた。

＜PN2クラス優勝、POTENZA RE-12D TYPE A装着＞
（2006年以降にJAF登録された1600cc超の2WD車。改造範囲が最も狭い）
　山野哲也（アバルト124スパイダー／ブリヂストン）と小俣洋平（アバルト124スパイダー／DL）が前2戦で優勝1回、2位1回と同ポイントで迎えた3戦目。1本目は山野がベストタイムを出すが小俣は前半区間でパイロンタッチをし、タイヤ温存のためか途中で諦めて2本目に賭ける。その2本目、先に走った山野は僅かにタイムダウンしたものの1本目のタイムでトップに君臨したまま。後走の小俣はキッチリ走ったものの山野のタイムに届かず2位となり、山野が2連勝でシリーズチャンピオンに王手をかける。

●山野哲也「追い込まれた状態だと思ってここに来ました。名阪スポーツランドは僕にとって一番勝率の低いコースなので、中途半端な態勢では勝てない。何をすれば勝てるかを模索するためにいつもより早く現地入りし、クルマ・サスペンション・タイヤの組み合わせやセッティングを煮詰めました。結果的にドライでもウェットでもライバルに対して少しずつではあるがマージンを取れていて、今日の決勝にも合わせ込むことができたのが勝因だと思います。次戦が今季最終戦となりますが、今回の優勝を繋げられる様に気を引き締めて臨みたいです。」

＜PN3クラス優勝、POTENZA RE-12D TYPE A装着＞
（2012年以降にJAF登録された1600cc超2000cc以下のRWD車。改造範囲が最も狭い）
　昨年のチャンピオンである西野洋平（86／ブリヂストン）だが、今季は1戦目4位、2戦目2位とライバルの後塵を拝していた。しかし今回は1本目からベストタイムを出し、そのタイムを守りきって優勝。ポイントでもトップに躍り出る。


●西野洋平「他のRE-12D TYPE Aユーザーの走りを見ていて、スタートしてから20秒くらいはまだタイヤが暖まってなくて少し辛そうな感じがしていたので、そこを気をつけて走りました。暖まってからはもう行け行け状態で、グリップ感も剛性感も高く、フロントはシャープに入るしリアのトラクションもしっかりかかるしで、テクニカルで複雑なコースでしたが思った通りに走ることができました。ポイントでトップになりましたが、最終戦も油断することなく臨みたいです。」

＜SA・SAX1クラス優勝、POTENZA RE-11S TYPE WS3装着＞
（1,600cc以下の前輪駆動車。改造範囲が広い）
　今季初参戦となる山越義昌（CR-X／ブリヂストン）が、1本目にトップタイムをマーク。2本目になっても誰も山越の1本目のタイムを抜くことができず、山越の優勝。2012年にPN1クラスで優勝して以来、8年振りの優勝となる。


●山越義昌「今日は予報より気温が低いと思ったので、他の選手が中高温用のタイヤを選択する中で敢えて低温用のWS3を前後に履いて勝負に出ました。これが功を奏しましたね。1本目は少しミスがあったにも関わらずトップタイムが出せたので、2本目はミスがなければタイムアップするはずだったし、実際走っていてタイヤのポテンシャルは1本目より感触が良かったのですが、1本目より大きなミスをしてしまいタイムダウンとなりました、でも優勝できてよかったです。」

＜SCクラス優勝、POTENZA RE-11S TYPE WS3装着＞
（改造範囲がかなり広い）

　1戦目優勝、2戦目2位と、ポイントリーダーで3戦目を迎えた西原正樹（インプレッサ／ブリヂストン）。1本目にトップタイムをマークするも2本目は僅かにタイムダウンを喫する。しかし、ライバルたちはタイムを上げてくるものの1本目の西原のタイムに届かず、西原の今季2勝目となり、ポイントリーダーの座を守った。


●西原正樹「今回は2本ともWS3の新品を投入しました。金曜日のドライ路面でWS3とRE-12D TYPE Aを比較してみましたが、今日より気温が高かったにも関わらずWS3の方が感触もタイムも良かったので、今日は迷わずWS3を選択しました。1本目はほぼ思った通りの走りができたと思います。2本目はスタート時のグリップ感が1本目より良く、タイムアップするはずの条件が揃っていたのにタイムダウンしてしまったのが心残りですが、優勝できたので良しとしましょう。」