戦いの舞台は富士へ。指定席のポールを逃した“REVSPEED”が25年ぶりに優勝

【レースレポート】第36回メディア対抗ロードスター耐久レース

2025年10月4日(土曜日)、静岡県の富士スピードウェイで第36回メディア対抗ロードスター耐久レースが開催された。参加したのは21チーム。5号車「共挑 S耐ワイガヤクラブ」と33号車「CARPRIME&車選びドットコム」の2チームが今回初出場となっている。5号車はスーパー耐久のST-Qクラスで戦っているトヨタ/日産/ホンダ/スバルとマツダという自動車メーカー5社が、この日ばかりは団結して共に戦うドリームチームだ。
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1989年から続くこの名物レースは昨年「最も長く続いている自動車のワンメイクシリーズ」として、ギネス世界記録に認定されたばかり。ところが今年もまた大きな変革の年となり、主なポイントは以下の3つ。まずは長年の間、親しまれた茨城県の筑波サーキットから富士スピードウェイに移転。次にレースの位置付けが「JAF公認レースからJAF模範走行イベント」になり、最後に決勝レースの競技時間が「4時間から3時間の耐久へ」と変更されている。なお富士に舞台を移したのは、今回から「MAZDA FAN FESTA 2005 at FUJI SPEEDWAY」のプログラムに組み込まれたこととも関係している。
まとめると、35年にわたってメーカーのマツダとメディアが培ってきた歴史を引き継ぎつつ、この名物レースを従来以上に多くのマツダのファンに知ってもらい、より広く市民権を得ていくためのリニューアルと言える。なお、公認レースから模範走行イベントになっても、JAF公認レースと同等の参加基準を適用。スピードレンジが上がることにも配慮して、改良されたDSC(横滑り防止装置)ONでの走行も新たに義務付けられた。車両はマツダからの貸与で、安全にレースを楽しむための装備を除いて市販車と同様の状態。装備はCUSCO製のロールバー&ハーネスをはじめ、ビルシュタイン製ダンパー、ENDLESS製ブレーキパッド、BRIDE製バケットシート、Gulf製オイルなどが各社から提供されている。タイヤは初年度からブリヂストンがサポート。第31回大会からはロードスター・パーティレースⅢの指定タイヤ「POTENZA Adrenalin RE004」のワンメイクとなっている。
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ブリヂストンはこの記事を掲載している「BRIDGESTONE Motor Sports WEB」を媒体として第33回大会から参戦を開始。4年目の今回はSUPER GTで2度のチャンピオンに輝いたプロドライバーの立川祐路氏を監督に招聘。代表執行役員副社長の森田泰博、執行役員副社長の坂野真人、常務役員で製品開発管掌の草野亜希夫、モータースポーツ部門長の内田達也という4名のドライバー編成で、71号車「BSMS ROADSTER」を走らせた。
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●予選
迎えたレース当日は、あいにくの雨模様。公式予選は8時から20分間で行われたが、もちろん路面はウエット。手元で計測したコンディションは気温20.5℃・湿度80%・路面温度22℃となっていた。前日の走行から各チームが気にしていたのが、実際に走らせての燃費だ。昨年までは4時間で途中20ℓの給油が許されていたが、今年は3時間で無給油。しかも直線が長く、高低差も大きくなった影響がどれほどなのか……各チームが頭を悩ませたことは確実だ。
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また今年から、「助っ人」または「準助っ人」と認定されたドライバーは予選に出場できなくなった。その結果、4年連続でポールポジションを獲得していた74号車「REVSPEED」の梅田 剛は決勝のみの出場。それでも同チームの佐藤和徳が2分28秒933というタイムを最初に記録して、20分間の予選が始まった。
その後、まず突き抜けてきたのが初参戦の33号車。チームはルーキーでも、ドライバーは百戦錬磨の大井貴之が2分25秒757を記録すると、最多優勝を誇る27号車「Tipo/Daytona」の橋本洋平が2分25秒557でこれを上回ってトップに立つ。この2台、どうやら大井が前を走り、橋本がその直後につける展開だったようで、スリップをもらえる橋本が有利なのは否めない。最後は橋本が2分25秒187、大井が2分25秒328をいずれも7周目に記録してアタックを終えた。ところが100号車「LOVE CARS TV」の木下隆之が同じ7周目に2分24秒707を叩き出して、一気にモニター最上段に躍り出た。と思いきや「ランオフエリア走行」によるものとして採択されず、フロントローは前述の2名に決定した。
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予選3位は777号車「ル・ボラン」に乗る若手ジャーナリストの西川省吾が2分25秒456、4位には99号車「CARトップ」のベテラン中谷明彦が2分25秒676で食い込んだ。
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さらに5番グリッドは74号車の佐藤が2分25秒754で、6番グリッドは70号車「Start Your Engines」の桂 伸一が獲得。
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特筆すべきは前述の佐藤と、7番グリッドを獲得した13号車「ENGINE」の村山雄哉だろう。このふたりは正真正銘の社員で、実績ある業界の先輩たちと互角の勝負を演じたことを讃えたい。ちなみに参戦4年目となった71号車は坂野がアタックするも、2分30秒828で18番手に終わった。
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ポールシッターとなった橋本は「難しいコンディションでしたが、大井先輩のお陰でポールが取れました。今日のコンディションならDSCは威力絶大だと思います」と振り返った。なお、今回の富士ではメディア対抗の各チームがピットビルBに集約。レース翌日の日曜日までメディア村テントが残されたことで雑誌バックナンバーやノベルティグッズも販売され、一般ファンとの交流にも活用された。さらに「ブリヂストン モータースポーツカフェ」もここに出展して、本イベント特価のワンコインから提供された本格的な味わいに、舌鼓を打った来場者も多かったはずだ。
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●決勝
この日は「マツチャレ」という全国のマツダ・ディーラー各社による3時間の耐久レースも開催されたため、メディア対抗の決勝は15時からというスケジュールが組まれた。その前に11時20分から開催されたセレモニーには、12号車「人馬一体」のドライバーでもあるマツダ専務執行役員の梅下隆一が登壇。
「筑波から富士に変わりましたが、このレースのスピリットは不変です。またゼッケン5番の共挑チームを迎えることができました。クルマの楽しさと走る歓びを皆さんで伝えていきましょう!」とスピーチ。一同から賛同の熱い拍手を浴びていた。
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なお今回も、前年の成績などを考慮したハンディキャップが5チームに課せられた。前回準優勝の45号車「ahead」に120秒、3位だった88号車「carview」に90秒、4位「人馬一体」/5位813号車「J-wave」/6位「ル・ボラン」の3チームには各60秒のピットストップを、決勝開始後30分以内に消化することが求められた。ちなみにスタート前の気温は21.6℃で湿度は72%。雨がポツポツと降る中、ローリングスタートで戦いは始まった。
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オープニングラップで輝いたのは“コボちゃん”の愛称で知られる70号車の桂。5番グリッドから一気にジャンプアップして先頭に立った。そして2周目、その背後に迫ってきたのが5号車の木立純一。S耐ではホンダの有志チームを率いているリーダーが16番グリッドから猛烈な勢いで追い上げて、3周目には6.541秒の差を付けてトップに。この日、最初の大きなサプライズで、10周目まで首位の座をキープ。それを追う2位グループは桂を先頭に27号車の佐藤孝洋、100号車の山本シンヤ、44号車「CAR & DRIVER」の山本善隆の4台だった。
そして2番目のサプライズは13周目に訪れた。まず11周目に桂が木立を抜き返したのは想定内。ところがその周に44号車の山本善隆が100号車を抜いて4位に浮上すると、次の周には3位に。さらに13周目には一気に2台を抜いて先頭に浮上して、このまま15周目までトップを突っ走ったのだ。木立はともかく、桂と佐藤と山本シンヤの3名はすでに業界では知られた腕自慢たち。彼らをウエットの富士で抜き去った統括編集長、山本善隆のパフォーマンスは“天晴れ”と言うに相応しい。
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と、ここまではドラマ連発だった今年の「メデ耐(愛称も今年からこれに変更)」。実はもう次の16周目からはリーダーボードの最上段の表示は74号車の「REVSPEED」となり、最後まで変わることはなかった。その立役者は予選を走れなかった梅田。編集長の塚本剛哲が4周を走り終えてバトンを渡した後、16番手から猛然と追い上げを開始。わずか4周で12位まで浮上し、その4周後には8位まで挽回。さらに3周を走った16周目には堂々とトップまで上り詰めた。
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首位に立った74号車はあっという間に2位に1分以上の差をつけることに成功。ウエットに苦しむ多くのチームが2分40秒以上で周回している状況で、悠々と2分30秒台のラップタイムで周回。次々とライバルチームをラップダウン(周回遅れに)に突き落とした。32周目にピットインして佐藤にドライバー交代する時には、2位のチームとですら2ラップという圧倒的な差を築き上げていた。佐藤はわずか4周で助っ人の蘇部善和にバトンタッチ。さらにメディア業界でも活躍するベテランの後藤比東士にアンカーを託した。
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つまり3時間レースの決勝は、折り返しを迎える前に74号車の独走状態が確定。勝利を確信してペースを落としたため、2番手まで挽回した813号車が同一周回に復帰したが、2分以上という圧倒的なリードを保って65周でトップチェッカーを受けた。
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そして最終盤に盛り上がったのは3位争い。前述の山本善隆の大健闘の後、4人目に乗った三宅陽大が残り約10分まで奮闘して順位を守ったが、そこで最後のドライバーチェンジ。追い上げてきた13号車にファイナルラップでの逆転劇を許してしまった。さらに5位に27号車、6位に12号車が入賞。813号車と12号車は60秒のハンディキャップを受けながらも、昨年に続いての入賞を果たしている。
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なお今回、前述の三宅陽大をはじめとして、マツダが3年前から取り組んでいる「バーチャルからリアルへの道」プロジェクトの1期生から3期生たちが「準助っ人」として、いくつかのチームから参戦。ゲーマー出身の若者たちだが、彼らはマツ耐では“DSC-ON”で戦っているため、三宅以外にも「頼りになる助っ人」としてチームに貢献していたとのこと。また決勝レース中のファステストラップは13号車の橋本 隼が2分29秒762を14周目に記録。その橋本は現在、ロードスター・パーティレースⅢジャパンツアーシリーズのポイントリーダーでもある。
改めて整理すると、優勝は74号車の「REVSPEED」。昨年まで5年連続でポールポジションを獲得し、一昨年も2位に食い込んでいる強豪チームだが、優勝は25年ぶり。つまり2代目NBロードスター時代以来の快挙達成となった。唯一の同一周回で2位となったのは813号車の「J-wave」。前述のようにハンデを跳ね返しているが、実は一昨年も6位というから実力はまさに本物だ。以下、3位は一昨年ウイナーの13号車「ENGINE」、4位は大健闘の44号車「CAR & DRIVER」、5位に最多優勝を誇る27号車「Tipo/Daytona」、6位に12号車「人馬一体」と続いた。
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また予選トップのブリヂストン賞は前述の通り、27号車の橋本洋平が獲得。決勝開始1時間経過時点のトップに与えられるブリッド賞と、同じく2時間経過時点のトップに与えられるエンドレス賞は、ともに優勝した74号車が獲得。完走チームの中で最も順位を上げたチームが対象のクスコ賞は、9つ順位を上げた2チームのうち、規定で44号車に授与されることになった。
優勝の立役者となった74号車の梅田 剛は「予選も走りたかったのですが、その悔しさを込めて決勝に臨みました。雨は得意なのですが、何周かに一度くらいDSCを効かせては、反省していました」と振り返った。
チームリーダーの塚本剛哲は「予選は佐藤が頑張ってくれて、自分も無事にバトンを渡せて、ほっとしています。蘇武さんと後藤さんにも感謝です。最近は優勝が見えた時に必ず何かが起こっていたのですが、今回ようやく念願が叶いました」と喜びを語った。
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最後に、71号車「BSMS ROADSTER」のリザルトは17位。レース序盤こそトップグループの背後に迫る7位まで順位を上げたが、その後は今ひとつペースが上がらないまま、チェッカーを受けた。
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次回の第37回大会の開催予定は決まり次第、以下のイベント公式サイトにて掲載予定となります。
https://www.mazda.co.jp/experience/event/medetai/
レース配信はこちらから
https://www.youtube.com/live/hHi9tO0ZJVM?si=majgjA8h-RuYFSZv


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MAZDA MOTOR SPORTS
https://www.mazda.com/ja/innovation/motorsports/
MAZDA ROADSTER NR-A
https://www.mazda.co.jp/cars/roadster/grade/nr-a/
メディア対抗ロードスター耐久レース
https://www.mazda.co.jp/experience/event/medetai/


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BRIDGESTONE POTENZA Adrenalin RE004
https://tire.bridgestone.co.jp/potenza/re004/