1990年に発足したN1耐久シリーズを前身とする日本最大の参加型自動車レースであり、「S耐(えすたい)」の愛称で親しまれている。市販車を改造した車両によって行われ、FIA GT3から1500cc以下の小規模改造車まで、バラエティーに富んだ車両構成となっている。2021年からは、メーカー開発車両等が参加できるST-Qクラスが新設され、水素燃料やバイオディーゼル燃料といったカーボンニュートラル燃料を使用する研究開発車両が参戦している。そのためS耐には、SUPER GTなどのトップカテゴリーに参戦するチームや個人規模のプライベーターチーム、研究開発を目的とする自動車メーカーなど様々なチームが参戦しており、盛り上がりを見せている。

レース時間は主に3時間から5時間に及び、SUPER GT等のレースと比較しても長時間の戦いとなる。特に2018年には富士スピードウェイにて24時間レースが開催され、テントを設営しバーベキューを楽しみながら観戦するなど、さながらニュルブルクリンク24時間レースを彷彿とさせるようなレースとなっている。

ブリヂストンとスーパー耐久

日本中のクルマ好き層や自動車メーカー、パーツメーカーが集うスーパー耐久は、今や日本のモータースポーツの中核を担うレースとなっている。ブリヂストンはそんなスーパー耐久を足元から支え、モータースポーツ文化の発展にさらなる貢献をすべくタイヤサプライヤーとしての参加を決意した。スーパー耐久におけるブリヂストンの使命は、これまでSUPER GTやGR86/BRZ Cupで培ってきた「勝つ」ための技術やノウハウでチームをサポートするだけでなく、「高品質」なレースタイヤを「安定して供給」し、レースをサポートすることである。
毎戦1000本以上におよぶタイヤを供給するスーパー耐久は、レース現場のスタッフだけでなく、工場や物流などブリヂストン全体として挑戦の場である。

2024年シーズンの見どころ

2023年シーズンは急遽第2戦の富士24時間レースよりタイヤ供給することとなったが、2024年シーズンは公式タイヤサプライヤーとして開幕戦よりサポートする。ST-4クラスとST-5クラスも他クラスと同様にスリックタイヤとなり、グリップや摩耗性能が2023年に使用した市販ラジアルタイヤから向上するため、チームとしてはより多彩な戦略をとることが可能になる。1スティントで交換するのか、2スティント持たせるのか、もしくは大胆にも無交換とするのかといった、様々なタイヤ戦略が展開されていくことだろう。百戦錬磨のドライバーやメカニックたちが繰り広げる戦略にも注目だ。

2024年の開幕戦はスポーツランドSUGOで開催される。近年の開幕戦は鈴鹿サーキットだったが、F1日本グランプリが4月に開催されることになったため、開幕戦の舞台がスポーツランドSUGOに移った形だ。4月のSUGOの気候や路面コンディションにいち早くセッティングを合わせることが開幕戦勝利のカギとなるだろう。

第2戦はおなじみとなった富士スピードウェイでの24時間レース。2023年はブリヂストンタイヤに切り替わった直後だった影響で十分な走行時間を確保できず、手探り状態でレースに臨むチームもあっただろう。昨シーズンを通じてさらにタイヤに習熟したチームが、この24時間レースでどのような戦略をとってくるのか非常に楽しみである。

約2か月のインターバルを空けて第3戦オートポリス、第4戦モビリティリゾートもてぎ、第5戦鈴鹿サーキット、第6戦岡山国際サーキットと続き、最終戦は2023年と同様に富士スピードウェイで迎える全7戦。熱いレースが期待されることは言うまでもなく、参戦する各メーカーが投入してくる新技術を見られることもこのレースの醍醐味である。

スーパー耐久オフィシャルWEBページ
https://supertaikyu.com/