もてぎENJOY耐久レース2021(6/26-27) モンキーアマチュアレーシングチーム参戦記
ツインリンクもてぎが主催するENJOY耐久レース(通称JOY耐)は「初心者でも楽しめる耐久レース」をコンセプトにした7時間の耐久レースだ。 全国から多くのチームが参加するJOY耐は、アマチュアレーサーにとっては年に一度の祭典。2年ぶり、そして20回目という節目の開催となった今年も、全国から73台のマシンと300人のアマチュアドライバーたちが集まった。
そのJOY耐に、POTENZA RE-71RSを装着したトヨタMR2(AW11)が参戦した。 チームは、モンキーアマチュアレーシングチーム、通称M.A.R.T.(エムエーアールティー)。M.A.R.T.は、モータースポーツライターの後藤比東至氏が、サーキットで出会ったモータースポーツ仲間を集めて結成したアマチュアレーシングチームだ。これまでにJOY耐で2度の総合優勝を飾っている後藤選手。そんな後藤選手が、50歳という節目の年に始動したのが、自身のチームM.A.R.T.でのJOY耐参戦。マシンは、過去に総合優勝を飾ったことがあるトヨタMR2。ドライバーは、ともにチームを立ち上げた碓井久彦選手と後藤選手の2名。碓井選手は、ドリフト黎明期に織戸選手とともに名を馳せた、知る人ぞ知るレジェンドドライバー。近年は、本格的なレース活動からは距離を置き、若手ドライバー育成などに力を向けている。耐久レースでは、速さよりも燃費と周回数の最大公約数を狙ったコレクティブな走りが求められるため、タイムのバラツキを最小限に抑えることができる2名体制は、ドライバーの体力的には厳しいが、有利な体制とも言える。参戦初年度の前回大会(2019年)では、ミッショントラブルによりリタイア。2度目の挑戦となる今回のJOY耐で、さらに力を上げるためにチームが採用したのがRE-71RSだった。
「一発の速さはもちろん、周回を重ねてもタイム、乗り味ともに変化が小さいPOTENZA RE-71RSはJOY耐にピッタリ。コンディションが良ければ7時間無交換作戦もありえると思います」と後藤選手。
●予選
JOY耐の予選は、AドライバーとBドライバーの合算タイムで争われる。総合ポールポジションには賞典が付与されるが、チームの目標はあくまでも総合優勝だから予選の目標は上位グリッドの確保だ。Aドライバーの後藤選手は、2'17.298のタイムで総合7番手(クラス2番手)。続くBドライバーの碓井選手は「久々だからとっ散らかっちゃった」と本人も語るように2'20.108だったが、トータル4'37.406というタイムで6番グリッドを確保した。
JOY耐で優勝を狙うチームは、まず目標とする総周回数を設定する。7時間でどれだけの燃料を使い、どれだけ周回できるかをあらかじめシミュレーションし、そのとおりに走り続けることで、総合優勝という栄冠を目指すのだ。 しかし、実際のレースでは、コース上でのバトルやアクシデント、天候など、様々な要因によって引き起こされる想定外のドラマが待ち構えている。ひとたびレースが始まればあとはドライバー、そしてピットクルーの状況に応じた判断が勝敗を左右する。 なかでもJOY耐において数々のドラマを演出してきたのが、レース中の給油タイミングだ。初心者でも安心して参加できるように、JOY耐の給油はサーキットのガソリンスタンドで行う。
そして、給油でのピットインの際には、一定の規定時間ピットに留まることが義務付けられている。慌てて、危険な作業が行われないようにするための配慮であると同時に、各クラスごとに規定時間を調整することで、マシンの性能差を埋める役割を果たす。より速い(燃費のいい)マシンは、ピット時間がより長く、遅いマシンはその分早くピットを出ることができる。燃費を抑え、この給油時間を最低限に抑えることが、JOY耐勝利への鍵となるのだ。
●決勝
迎えたJOY耐決勝、スタートドライバーの後藤選手は、総合優勝へ向けて順調に周回を重ね、前を行く高馬力の車両たちが先に給油に入ったタイミングでトップに躍り出る。そして、トップのまま、30周を迎えたタイミングで、ドライバーチェンジ。代わった碓井選手もコレクティブな走りで順調に周回を重ねたが、ピットアウトしてわずか4周目を迎えたタイミングでコース上でアクシデントが発生しセーフティカーが導入される。まだ1回目の給油を済ませていないマシンたちが一斉に給油所に流れ込んでいく。20台以上のマシンが、2台分のスペースしか用意されていない給油所に列を作ったのだ。
ちょうど1コーナーに差し掛かったところでセーフティカー導入となったMR2は、この大渋滞に巻き込まれ、規定のピットストップタイム(12分)を大きく超える20分ものタイムを費やしてしまう。さらに5回のドライバー交代が義務付けられているため、交代してからわずか5周で後藤選手が再度コースへ出ることに。一気に50位以下にまで順位を落としたMR2だったが、後藤選手は疲れを感じさせない走りで着実に周回を重ね、4時間経過時点で再びトップへ返り咲いた。
ピットでの待機時間が12分と比較的余裕があったため、チームは大事をとって3回目のピットイン時にトータル約90周を走ったタイヤを交換した。
「予選の時から、MR2のギアがシビアになっていたので、マシンを労る走りに集中しすぎて、せっかくのRE-71RSのニューを楽しむ余裕もなかったよ。でもタイヤを交換してもらったおかげで、コーナーはより楽に走ることができたね」と碓井選手。
スタートから6時間を経過した時点でも上位につけていたMR2だったが、ここからは、本気で総合優勝を狙うチームとの根比べだった。各チームのピットインのタイミングで順位は入れ替わるが、つかず離れずの戦いが続く。ライバルたちのガソリンの残量はわからないため、上位との差が一体本当は何秒あるのか掴めないもどかしい状況の中、後藤選手と碓井選手は、RE-71RSの安定した走行性能を武器に着実に周回を重ねていく。
チームM.A.R.T.は、チェッカーまで残り30分というところで、碓井選手へ最後のドライバーチェンジ。1つでも順位を上げるために最後のプッシュをかけたいMR2だったが、燃料タンクの残りはギリギリの状態となってしまう。結果的には順位を1つを下げることとなったが、最終ラップはスロー走行でなんとかチェッカーを受けて、総合5位・クラストップで無事完走を果たした。
「ラスト数周は完全に燃費走行でなんとか完走できたという状態でしたが、最後のスティントは燃料が少ない分、マシンも軽くて、さらにRE-71RSはユーズドでも十分な性能を発揮してくれて走りやすかったですね」とチェッカー後の碓井選手。
目標の総合優勝には届かなったチームM.A.R.T.だったが、完走そしてクラス優勝を果たし、今年もしっかりとレースをエンジョイ!
「僕たちにとってはSCのタイミングが悪すぎましたね。RE-71RSのおかげで想定通りに周回をこなせていただけに、あのガソリンスタンド渋滞にさえ捕まらなければ!というのが正直なところです」と後藤選手。
「燃費を考えて走ることに慣れていないので、ずいぶん燃費を苦しくしてしまいました。反省仕切りですよ。もっと練習してリベンジしたいですね」と碓井選手。
総合優勝は叶わなかったが、RE-71RSがJOY耐でもしっかり戦えることを証明したMR2。来年もRE-71RSとともに、ぜひ総合優勝を目指して欲しい!
JOY耐公式ページ
https://www.twinring.jp/joytai/
M.A.R.T.(モンキーアマチュアレーシングチーム)公式ページ
https://www.mart.gr.jp/
BRIDGESTONE POTENZA RE-71RS