• 開催場所:スパ-フランコルシャン
  • 開催日:2025年06月07日(土) 〜 2025年06月07日(土)
【2025 FIM 世界耐久ロードレース選手権 EWC】Rd.2スパ8時間
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2025 FIM EWC 第2戦の舞台はベルギー東部にあるスパ・フランコルシャン。今大会は昨年に続き8時間耐久で土曜日に決勝レースが行われる。
レースが開催されるスパ・フランコルシャンは、4輪耐久レースでも有名なサーキット。ベルギーの首都ブリュッセルからドイツ国境付近へ150kmほどの山間部に位置し、森の中にある美しいコースだが、全長6.985mと長く高低差104mという激しいアップダウンが特徴で、媒体によっては世界の名コーナーとして名前を挙げられるオールージュなど、多くの高速コーナーが存在する走行するライダー達にも人気の高いコース。
山特有の不安定な天候はスパウェザーと呼ばれ、レースの行方を握る重要な鍵となる。
公式スケジュールに入る前の6/5 (木) にプライベートテストが行なわれ、6/6 (金) からは公式フリー走行と2回の予選、6/7 (土)の12:30 (日本時間 23:30) に決勝がスタート。
6/6 (木) のプライベートテスト、6/7 (金) に行われた午前の公式フリー走行では不安定な天候で時々雨が降るコンディションの中、Wetタイヤでの走行がメインとなるが、セッション後半にはDryタイヤで走行するチームも多くなり、BSサポートチームであるの#5 F.C.C. TSR Honda France(BS, Ho)が2’20.371で公式フリー走行トップとなった。W274866Fim_Ewc_8h_Spa_2025_FCC TSR Honda France.jpg

【予選】
金曜日の午後からは2回の予選が行われた。1チーム3名のライダーが各予選でそれぞれ20分ずつ走行。決勝グリッドは、各チーム速いタイムを記録した上位2名のライダーの平均記録で決まる。
天候が不安定だったこの日は、1回目の予選からレギュレーションで定められた合計7本のタイヤを各ライダーにどのように投入するか等、予選上位を狙うチームには重要な駆け引きの要素となる。更に今大会では予選中に赤旗が3回も出されるなど、予測不能で計算通りに運ばない難しい予選状況となった。
予選1回目、最初に走行する青腕章ライダーのコースインは現地時間13:35 (日本時間20:35) 。2番目の走行となる黄腕章ライダーは14:05 (同21:05) 、最後に走行する赤腕章ライダーは14:35 (同21:35) からコースインとなり、1回目の予選では何とか雨が降ることはなくDryで予選が終了。その後も雨が降ることなく2回目の予選が終了するまではDryタイヤでの走行となった。
全ライダーの中で予選トップタイムを記録したのは、昨年の年間チャンピオン#1 Yoshimura SERT Motul(Su, BS)で青腕章ライダーのグG.BLACK は予選2回目で2’17.896と唯一の2分17秒台を記録し、歴代コース記録を樹立。赤腕章ライダーの予選2回目のトップタイムを記録したD.LINFOOTの2'18.985との平均タイム2'18.441でポールポジションを獲得。JG9_7140.jpg2番手は、昨年のスパでポールtoウィンだった#7 YART-YAMAHA(Ya, BS)、3番手には# 37 BMW MOTORRAD World Endurane(BMW, BS)、4番手#5 F.C.C.TSRとブリヂストン勢がトップ4を独占。上位4チームの速いライダー2名の平均記録が全て2分18秒台となり、僅差の予選だった。
またもう1台のBS勢、#11 Kawasaki Webike Trickstar(Ka, BS)は予選9番手に入り、BSサポートの全5チームがトップ10内のグリッドを獲得した。QP_1.jpg

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決勝当日は、現地時間9時(日本時間16時 時差7時間)から30分間のウォームアップ走行があり、各車ウェットタイヤでコースへ。その後ピットウォークを終えて、いよいよグリッドにマシンが並ぶ。スタート前には、ブラスバンドによるベルギー国歌の演奏も行なわれた。
現地時間12時30分(日本時間19時30分)にいよいよ8時間耐久レースの決勝がスタート。45分前に行なわれたアウトラップに比べて、かなり路面が乾き、サイティングラップからスタートへ刻一刻と状況が変化する難しいコンディション。路面にはウエットパッチが残るものの、ドライタイヤでのスタートとなった。
伝統的なルマン式のスタートで始まった決勝、ホールショットはP.P.スタートの#1 Yoshimuraが獲得するも、すぐに4番グリッドからスタートした#5 TSRがトップを奪う。2番グリッドのYARTと3番グリッドの#37 BMWはスタートで出遅れ大きく順位を落としたものの、両チーム猛追し、1回目のピット作業が終わり、1時間が経過する頃には、#7 YARTがトップ、2番手#5 TSR、3番手#37 BMWのトップ3となっていた。#1 Yoshimuraは4番手、序盤5番手まで順位を上げていた#11 KWTはこの時点では11番手を走行。


076942-Ewc-8h-Spa-2025-Race.JPG#7 YARTと#5 TSRのトップ争いは、多くのバックマーカーによる渋滞を挟み、再び#5 TSRがトップとなる。ピット作業も入り、一時は#1 Yoshimuraが#7 YARTを抜いて2番手となるが、#7 YARTが2時間を迎える頃に再び#1 Yoshimuraの前に出た。#11 KWTは2時間を経過して9番手に順位を上げる。2時間を経過した頃は、路面もかなり乾き、スプリントレースのような様相となっていた。そのため、ライダーチェンジの際、#5 TSRと#7 YARTはラップタイムの速かったスタートライダーが再び出走。
開始2時間半を過ぎる頃、急に雨が降り出してレインフラッグが振られる。あっという間にウエットコンディションとなったため、ルーティンピット作業が終わって間もないチームも続々とピットイン。このピット作業の混乱に加え、62周目に2分19秒140という、このレース最速ラップを記録した#37 BMWが3時間を迎えトップに立つ。3時間経過時点では、1番手#37 BMW、2番手#7 YART、3番手#5 TSR、4番手#1 Yoshimuraに続き#11 KWTも5番手に上がり、BS勢がトップ5を独占。


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一時はやんでいた雨も、3時間を経過してすぐ再び激しく降り出した。レイン走行の続く中、78周目に#7 YARTは#37 BMWを抜いて再びトップへ浮上。その後は、ピット作業があったものの、2番手#37 BMW、3番手#5 TSR、4番手#1 Yoshimura、5番手#11 KWTでレイン走行の小康状態が続いた。
折り返しの4時間を経過し、2番手に30秒以上のアドバンテージを作り100周を超えてトップを走行する#7 YARTに、ピットストップでの違反があったかもしれないという調査が入る。2番手争いは、106周目に#5 TSRが#37 BMWを捉えて2番手へ。その後再び雨が酷くなり、場所によっては水しぶきが上がる程の路面になったものの、#5 TSRと#37 BMWは再び激しい2番手争いを繰り広げた。


092070-Ewc-8h-Spa-2025-ERC ENDURANCE-s40.jpg5時間経過の時点では、路面が相当滑りやすくなり、SSTクラスやPRDクラスで転倒が続くも、参加44チーム全てがリタイアすることなく走行。トップ#7 YART、2番手#5 TSR、3番手#37 BMW、4番手#1 Yoshimura、5番手#11 KWTでBS勢のトップ5独占は変わらず。
後続に約45秒の差を付けてトップを走行していた#7 YARTは124周目、10コーナーで転倒。マシンに酷いダメージはなく、グラベルから再スタートし、ピットインせず走行を続けた。2番手との差が詰まったもののトップを独走していた#7 YARTに、審議中だったピット作業時の違反で、10秒のストップ&ゴーペナルティーが科される。
132周目に入り、トップの#7 YARTと4番手#1 Yoshimuraがそれぞれピットイン。133周目には#5 TSRもピットイン作業に入り、#7 YARTはペナルティーのため136周目に再びピットへ向かう。その間に#5 TSRがトップへ浮上、2番手#37 BMW、3番手#7 YARTの順でコースに戻った。アウトラップで再び#7 YARTが#37 BMWを捉え、トップ#5 TSR、2番手#7 YART、3番手#37 BMW、4番手#1 Yoshimura、5番手#11 KWTで残り2時間を迎えた。


JG9_1787-s80.jpg#7 YARTは悪天候の中、2分33秒台の速いラップタイムで148周目には遂に#5 TSRを捉え再びトップを奪取。そして残り1時間を迎えようとしていた152周目8コーナー、#7 YARTは激しいハイサイドで転倒。雨の中、2スティント走行を続けていた中で転倒したジェイソン・オハロランは足を引きずり、マーシャルにマシンを起こしてもらい何とかピットまで戻った。トップは再び#5 TSR、2番手#37 BMW、3番手#1 Yoshimuraとなり、約3分半に及ぶピット作業から#7 YARTは4番手でコースに戻った。
残り1時間をきり、#7 YARTが#1 Yoshimuraを捉えて3番手浮上。最後の30分は再び路面が乾き出し、トップ3の#5 TSR、#37 BMW、#7 YARTはバックマーカーをかわしながら2分33秒前後のラップタイムを刻んだ。
スパ・ウェザー特有の天候で刻々とコンディションが変わり続ける過酷な状況の中、ついに8時間が経過。#5 TSRが2023年の開幕戦ルマン以来の優勝を飾った。2位#37 BMW、3位#7 YART。4位#1 Yoshimura、5位#11 KWTというトップ5までをBS勢が独占して、サポート全5チームは見事完走。


DSC_5195-s50.jpg年間ポイントは、優勝30、2位24、3位21、4位19、5位17ポイントが加算される。第1戦ルマンでのポイントに今大会のポイントが加算され、現在、トップは#7 YARTで88ポイント、2番手#11 KWTが70ポイント、3番手#37 BMWは69ポイント、4番手#5 TSRは58ポイント、6番手#1 Yoshimuraは52ポイント。
この結果の余韻に浸る間もなく、来週、再来週は鈴鹿8時間耐久のテストが鈴鹿サーキットで開催される。8月1週目に開催される鈴鹿8時間耐久レースが控えている。

レース結果

コース:スパ-フランコルシャン

決勝

  • 開催日:2025/06/07
  • 決勝出走:44
  • 完走:40
  • (6.985km x 188laps = 1313.18km)
順位 No ドライバー タイヤ チーム マシン シャシー エンジン 周回数 Delay(Lap) ベストタイム ベストラップ タイム
1 5 A. ティシェ /C. ペロラリ/羽田 太河 BS Bridgestone F.C.C.TSR Honda France CBR1000RR-R ホンダ 188 45 02:19.720 08:02:01.440
2 37 S. ギュントーリ /M. レイターバーガー/S. オデンダー BS Bridgestone BMW MOTORRAD WORLD ENDURANCE TEAM M1000RR BMW 188 62 02:19.140 08:02:51.466
3 7 K. ハニカ /M. フリッツ/J. オハロラン BS Bridgestone YART - YAMAHA YZF-R1 ヤマハ 187 1 58 02:19.814 08:03:10.967
4 1 G. ブラック /E. マッソン/D. リンフッド BS Bridgestone YOSHIMURA SERT MOTUL GSX-R1000R スズキ 187 1 13 02:20.034 08:04:21.882
5 11 C. ガマリノ /M.D. メリオ/G. ルブラン BS Bridgestone Kawasaki Webike Trickstar ZX-10R カワサキ 184 4 5 02:22.165 08:02:46.003
6 6 I. ミハルヒク /K. フォレイ/D. チェカ DL ERC Endurance #6 M1000RR BMW 184 4 13 02:20.474 08:04:03.668
7 4 J. マクフィー /H. クレア/C. ネスビット PI Tati team AVA6 racing CBR1000RR-R ホンダ 183 5 9 02:20.486 08:02:51.348
8 9 J. ブーン /H. スーマー/L. メルカド DL CHAMPION-MRP-TECMAS M1000RR BMW 182 6 30 02:21.674 08:03:52.786
9 8 N. トーニ /P. N. ロメロ バルボサ/A. トレド ロメロ PI Team Bolliger Switzerland #8 ZX-10R カワサキ 182 6 12 02:23.378 08:04:35.349
10 18 E. デ ラ ベガ /B. ギテット/M. ペリゾッティ DL TEAM 18 POMPIERS IGOL CMS MOTOSTORE YZF-R1 ヤマハ 181 7 12 02:23.693 08:03:54.125
11 55 V. スチェット /G. レイモンド/J. ニゴン DL NATIONAL MOTOS HONDA FMA CBR1000RR-R ホンダ 181 7 12 02:23.276 08:04:17.115
12 99 F. マリノ /J. グアノニ/R. ド プニエ DL Elf Marc VDS Racing Team / KM99 YZF-R1 ヤマハ 180 8 46 02:21.482 08:03:32.003
13 25 伊藤 元治 /大久保 光/渡辺 一馬 DL TEAM ÉTOILE M1000RR BMW 180 8 34 02:22.724 08:04:07.107
14 777 M. モリク /M. パヴェレック/J. トレス フェルナンデス DL Wójcik Racing Team #777 SST CBR1000RR-R ホンダ 178 10 12 02:21.413 08:02:11.297
15 65 S. モライス /D. ルービン/T. スミッツ DL Motobox Kremer Racing #65 YZF-R1 ヤマハ 178 10 59 02:22.696 08:02:19.064
16 53 M. シュミット /M. フェッツ/A. ラミア DL MANA-AU COMPETITION CBR1000RR-R ホンダ 178 10 49 02:24.538 08:02:24.020
17 77 A. ヴィレブスキ /J. クシミェチェク/K. クルゼミエン PI Wójcik Racing Team EWC 77 CBR1000RR-R ホンダ 178 10 7 02:23.906 08:03:58.711
18 36 J. ウェストモーランド /D. ヴィエッティ ラムス/J. モーア DL 3ART BEST OF BIKE YZF-R1 ヤマハ 175 13 39 02:24.851 08:02:01.748
19 119 M. アルコバ エスピ /A. ロディ パック/M. ミラレス ゴンサレス DL Slider Endurance CBR1000RR-RSP ホンダ 175 13 13 02:23.498 08:03:21.197
20 85 M. ティボールト /C. ナポリ/J. ハルド DL TEAM RACING 85 by A2M2 ZX-10R カワサキ 174 14 4 02:25.840 08:02:06.727