• 開催場所:Paul Ricard
  • 開催日:2025年09月21日(日) 〜 2025年09月21日(日)
【2025 FIM世界耐久ロードレース選手権EWC】Rd.4ボルドール24時間耐久

IMG_2147.JPG FIM EWC Rd.4 ボルドール24時間は、今年もマルセイユ近郊にあるポール・リカール・サーキットで開催された。フランス語で「金杯」を意味するボルドールは、2輪レースでは「優勝」の意味としても使われる。今年も、世界耐久ロードレース選手権の最終戦として、チャンピオン決定の場となった。
 ブリヂストンは開幕からサポートしている#1 Yoshimura SERT Motul(Suzuki,BS)、#5 F.C.C. TSR Honda France(Honda,BS)、#7 YART-YAMAHA(Yamaha,BS)、#11 Kawasaki Webike Trickstar(Kawasaki,BS)、#37 BMW MOTORRAD WORLD ENDURANCE TEAM(BMW,BS)の5チームに加え、鈴鹿8耐に続き、ボルドール初参戦となる#76 AutoRace Ube Racing Team(BMW,BS)もサポート。昼夜の寒暖差がある中、高速サーキットを24時間走り抜ける過酷なレース、タイヤの役割も非常に大きなレースの要素となる。


予選1回目


A037298_Fim_Ewc_Bol_Dor_2025-YOSHIMURA SERT MOTUL.jpg 公式走行は木曜日に始まり、現地時間14時(日本時間21時 時差+7)からはフリープラクティス、予選1回目は現地時間17時20分(日本時間0時20分)から始まった。南仏らしい好天の中、青腕章、黄腕章、赤腕章、緑腕章(リザーブライダー)の順で各20分行なわれ、その後はナイトフリープラクティスもあった。
 風もさほど強くなく、気温27度、路面温度も40~45度という条件の下、青腕章ライダーのトップ3は、フリープラクティスで#37 BMWが記録したコースレコードを更新。3人のタイム差0.194という僅差で#1 Yoshimuraのグレッグ・ブラッグが1分51秒311のコースレコードでトップタイムだった。2番手は#7 YARTのカレル・ハニカ、3番手には#37 BMWのマーカス・レイテルベルガー。4番手#11 KWTローマン・ラモス、6番手#5 TSRアラン・テシェ、9番手#76 AutoRace Ube浦本修充。
 黄腕章ライダーのトップも#1 Yoshimuraエティエンヌ・マッソン、2番手#37 BMWスティーブン・オデンダール、3番手#7 YARTマービン・フリッツ。5番手#11 KWTマイク・ディメリオ、7番手#5 TSRコレンタン・ペロラリ、8番手#76 AutoRace Ubeロリス・バズ。
 赤腕章ライダーでもトップは#1 Yoshimuraダン・リンフッド、2番手#37 BMWシルバン・ギュントーリ、3番手#76 AutoRace Ubeレアンドロ・メルカド。4番手#7 YARTジェイソン・オハロラン、6番手#11 KWTグレゴリー・ルブラン。20番手#5 TSR羽田大河。全セッションのトップ3をブリヂストンサポートチームが独占した。



予選2回目


A052445_Fim_Ewc_Bol_Dor_YOSHIMURA SERT.JPG 金曜日の現地時間11時(日本時間18時時差+7)から始まった予選2回目も、青空が広がり、気温28度、路面温度40度という1回目と大差のないコンディションで開催された。金曜日の予選後には、ピットウォークなどファンイベントも用意されている。
 この日、青腕章ライダートップタイムを出したのは#37 BMWのレイテルベルガー。2番手には#5 TSRのテシェ、3番手#1 Yoshimuraブラック。4番手#7 YARTハニカ、5番手#76 AutoRace Ube浦本、16番手#11 KWTラモス。
 黄腕章ライダーの走行では、#1 Yoshimuraマッソンが1分50秒932のコースレコードを記録。唯一の1分50秒台だった。2番手#7 YARTフリッツ、3番手#5 TSRペロラリ、4番手#37 BMWオデンダール、5番手#76 AutoRaceUbeバズ、6番手#11 KWTディメリオ。BS勢がトップ6を独占。
 赤腕章ライダーのトップは#76 AutoRaceUbeメルカド、2番手#1 Yoshimuraリンフット、3番手#37 BMWギュントーリ。4番手#7 YARTオハロラン、10番手#5 TSR羽田、16番手#11 KWTルブラン。
 各チームはこの後に続く24時間のレースに向けて、タイヤを温存するなど、それぞれの作戦で予選を戦った。
 総合ではトップ#1 Yoshimura、2番手#37 BMW、3番手#7 YART、4番手#5 TSR、5番手#76 AutoRaceUbe、7番手#11 KWT。ブリヂストンサポートの全チームがトップ7に入った。トップ5にはポイントが加わり、この時点でトップ#7 YARTと#37BMWは91ポイントで並んだ。3番手#11 KWTが83ポイント、4番手#1 Yoshimuraで78ポイント。#5 TSRは60ポイントで6番手。全4戦フル参戦のブリヂストン勢は、どのチームにもチャンピオンの可能性がある状態で決勝を迎えた。

決勝


D072877-Ewc-Bol-Dor-2025-Race-.jpg 9月20日(土曜日)現地時間15時(日本時間22時 時差+7)から始まった決勝は、ライダーがマシンに駆け寄るルマン式スタートで始まった。スタート前には、グリッド周辺には人が溢れかえり、年に1度のお祭りのような状態だった。4カテゴリー全53台がグリッドに並んだスタートは、ポールポジションの#1 Yoshimuraと#37 BMWの激しいバトルから始まった。間もなく、#5 TSRも加わり、2周目には#5 TSRがトップに立った。
 #5 TSRは1時間を迎える前にピットに入り、その間にトップは#1 Yoshimuraに代わり30周を超えて1時間が経過した。
 1時間20分を経過した頃、オイル漏れを伴う転倒があり、その直後を走行していた#11 KWTがオイルにより激しく転倒。セーフティーカーが導入され、ライダーのマイク・ディメリオは足首を痛め、病院へ運ばれた。
 セーフティーカー解除後、1番手#1 Yoshimura、2番手#5 TSR、3番手#7 YARTのトップ争いが再開。#37 BMWは5番手、#76 AutoRace Ubeは6番手、ピットでの修復作業のため大きく順位を落とした#11 KWTも再スタートして2時間が経過した。
 3時間を経過するとトップ#1 Yoshimuraは90周を迎え、2番手#5 TSR、3番手#7 YART、4番手#37 BMW、5番手#76 AutoRace Ubeとなり、トップ5をブリヂストン勢が独占。トップの#1 Yoshimuraは3時間20分ごろに100周を超えた。4時間を経過しても、トップ#1 Yoshimura、2番手#5 TSR、3番手#7 YART、4番手# BMW、5番手#76 AutoRace Ubeのトップ5は変わらず。不運な転倒で順位を落とした#11 KWTも27番手まで挽回した。
A082482_Fim_Ewc_Bol_Dor-Race-.jpg 日が暮れ始め、路面温度が下がり5時間を迎える頃、#5 TSRが148周目に1分52秒506のレース最速ラップをマーク。ピット内では、現地時間20時(日本時間翌3時 時差+7)を迎え、フランスらしくお皿に盛った夕食を運ぶスタッフなどの姿も見られた。
 6時間を経過し、200周を超えて、#1 Yoshimura、#5 TSR、#7 YART、#37 BMWはレース4分の1を迎えても、引き続き1周以内の差でスプリントのようなレースが続いた。#76 AutoRace Ubeも#6 ERC ENDURANCE #6(BMW,DL)とピット作業による順位の入れ替えがありながらも、5番手、6番手を走行、健闘していた。#11 KWTも6時間を経過し23番手、7時間経過では21番手まで順位を回復。
 8時間経過のポイント付与時間を迎える前に、#1 Yoshimuraにはピット作業時、給油後にマシンのギアを入れるためスタッフが触ったという違反が認められ、10秒のストップ&ゴーペナルティーが科された。ストップ&ゴーペナルティーをこなした#1 Yoshimuraだったが、8時間経過時点では1番手を守り、8時間経過ボーナスの10ポイントを獲得。2番手は#5 TSRで9ポイント、3番手は#37 BMWで8ポイント、4番手#7 YARTで7ポイント、6番手#76 AutoRace Ubeで5ポイントが入った。#11 KWTは8時間経過で18番手まで順位を取り戻していた。
 8時間経過、現地時間23時(日本時間翌6時 時差+7)には、ポール・リカール・サーキットで花火が上がり、熾烈なレースと優雅な花火の競演が行なわれた。#1 Yoshimura、#5 TSR、#7 YART、#37 BMWの同一周回での戦いはその後も続き、10時間を迎える前に300周を超えた。ボルドール初参戦ながら#76 AutoRace Ubeも5番手に着け、ブリヂストン勢がトップ5で10時間を経過。#11 KWTは17番手まで挽回、更に11時間経過の時点では13番手まで再び順位を上げていた。
A104251_Fim_Ewc_Bol_Dor-Race-.jpg 折り返しの12時間を経過し、トップは#1 Yoshimura、2番手#37 BMW、3番手#5 TSRが同一周回。1周差の4番手#7 YART、トップと3周差の5番手#76 AutoRace Ubeの順になり、#11 KWTは11番手まで順位を回復。
12時間20分を迎えるとトップ争いに居た#5 TSRにマシントラブルが発生。ピットイン、#5 TSRは1時間半近く修理を行ったが、376周でリタイアとなった。13時間が経過すると#1 Yoshimuraがトップで400周を超え、1周差の2番手#37 BMW、トップから2周差3番手#7 YART、トップと5周差4番手#76 AutoRace Ubeになり、徐々に#1 Yoshimuraと後続の差が開き出した。#11 KWTは7番手まで順位を上げた。14時間を経過してもトップ4はBS勢のまま、#11 KWTは6番手に上がっていた。
 14時間半を経過し、#11 KWTはマシントラブルでピットイン、434周でバルブのトラブルによりリタイアとなった。15時間経過の時点では、トップ#1 Yoshimura、同周回で#37 BMW、2周差3番手#7 YART、4周差4番手#76 AutoRace Ubeになり、参加53チーム中13チームがリタイアしていた。
 16時間経過を迎え、トップ#1 Yoshimuraから順に再びポイントが加算され、合計では、#37 BMWがトップで108、2番手#7 YARTが106、3番手#1 Yoshimuraは98、4番手#11 KWTが83、6番手#5 TSRは69。年間チャンピオン争いのトップ3も接戦となっていた。
SVA_EWC25_20250918_213123-3_3mo.jpg 夜明けを迎える16時間経過ごろ、オイルがコース上に流れる事故があり、約30分という長いセーフティーカーの導入があった。セーフティーカー解除と同時に#1 Yoshimuraは500周を迎え、再開後はしばらく#1 Yoshimura、#37 BMW、#7 YART、#76 AutoRace Ubeによる周回違いのバトルとなった。明け方のこの時間帯に観ていた熱心な観客は周回が違っていても、見応えのある展開が嬉しかったに違いない。
 この後も#1 Yoshimuraが2番手#37 BMWと1周の差でトップを快走。トップと約2周差3番手に#7 YART、トップと5周差4番手#76 AutoRace Ubeの状態は続いた。再び日が昇り、一時は青空も見え、路面温度も上がり始めた。この頃になると風も強くなり、コース上にはタイヤデブリなどが落ち、路面状況は徐々に悪化して行った。
 その後は膠着状態が続き、残り5時間を迎えるとトップ#1 Yoshimuraは575周を走破していた。残り4時間を迎える前に#1 Yoshimuraは600周を迎えた。現地時間12時頃(日本時間19時 時差+7)に小雨予報などが出始め、丘の上の方では雨雲のような雲が増えだした。海側はまだ青空が広がっていたが、風や路面悪化により、走行が難しくなっていた。更に、長時間に及ぶ走行でマシントラブルなどが増え、ピットインするチームも多い中、トップ#1 Yoshimura、2番手#37 BMW、3番手#7 YART、4番手#76 AutoRace Ubeは変わらずルーティンピット作業と走行が続いた。しかし残り1時間となり、27回目のピットインの#76 AutoRace Ubeがマシントラブル。そのまま動けず、685周でリタイアとなった。

DSC_4350.jpgbe8720e1-2a14-4020-b384-6f1c5a887118.jpg トップ#1 Yoshimuraは残り1時間を超え700周を走破しても快走を続ける一方、23時間33分を過ぎて、2番手#37 BMWが白煙を上げ、ピットイン。#37 BMWはそのまま動けず712周でリタイア。3番手を走行していた#7 YARTが2番手に浮上。残り20分では雨も降り出し、トップ2は給油、ライダー交代もこなし、ラップタイムは2分台まで落とすほど慎重になり、チェッカーまで走り切った。
JG9_0908.jpg #1 Yoshimuraはトップでチェッカーを受け3年連続ボルドール優勝。2位でチェッカーを受けた#7 YARTは合計139ポイントを獲得、2位の#1 Yoshimuraと1ポイント差で年間チャンピオンを獲得した。ボルドール24時間3位にはSSTクラス#9 CHAMPION-MRP-TECMASが入った。
 初めてのヨーロッパメーカーによる年間チャンピオン目前だった#37 BMWは108ポイントで惜しくも3位。4位#11 KWTで83ポイント、6位#5 TSRで69ポイント。年間ランキングもブリヂストン勢がトップ3を独占した。全53チーム中、完走32チームという過酷な24時間レースだった。


レース結果

コース:Paul Ricard

決勝

  • 開催日:2025/09/21
  • 決勝出走:53
  • 完走:32
  • (5.673km x 728laps = 4129.944km)
順位 No ドライバー タイヤ チーム マシン シャシー エンジン 周回数 Delay(Lap) ベストタイム ベストラップ タイム
1 1 G. ブラック /E. マッソン/D. リンフッド BS Bridgestone YOSHIMURA SERT MOTUL GSX-R1000R スズキ 728 6 01:52.559 24:00:51.342
2 7 K. ハニカ /M. フリッツ/J. オハロラン BS Bridgestone YART - YAMAHA YZF-R1 ヤマハ 725 3 260 01:52.903 24:00:57.362
3 9 L. クレソン /B. コバックス/J.O. ヤーニグ/H. スーマー DL CHAMPION-MRP-TECMAS M1000RR BMW 709 19 288 01:54.221 24:01:18.972
4 41 C.リーシュ /石塚 健/K.マンフレディ/D. ポンセ DL Kaedear-Dafy-Rac41-Honda CBR1000RR-R ホンダ 709 19 299 01:55.555 24:02:36.702
5 55 V. スチェット /G. レイモンド/J. ニゴン DL NATIONAL MOTOS HONDA FMA CBR1000RR-R ホンダ 708 20 241 01:55.664 24:02:00.112
6 18 E. デ ラ ベガ /B. ギテット/M. ペリゾッティ/L. シャラメル DL TEAM 18 POMPIERS IGOL CMS MOTOSTORE YZF-R1 ヤマハ 701 27 410 01:55.798 24:01:19.376
7 49 K. カリア /S. サルタレッリ/F. フェローニ/L. ビタリ DL Revo-M2 RSV4 アプリリア 699 29 112 01:54.962 24:01:23.806
8 8 N. トーニ /P. N. ロメロ バルボサ/A. トレド ロメロ PI Team Bolliger Switzerland #8 ZX-10R カワサキ 693 35 3 01:54.647 24:00:58.638
9 53 K. ジェイコブ /M. フェッツ/B. エリオット DL MANA-AU COMPETITION CBR1000RR-R ホンダ 692 36 444 01:57.605 24:00:53.834
10 33 G.アンティガ /D. サンチス マルチネス/M. ゴンザレス ロハス/M. ヴグリネック DL TEAM 33 LOUIT APRIL MOTO ZX-10R カワサキ 692 36 254 01:55.964 24:02:34.927
11 85 M.チョイ /C. ナポリ/M. ティボールト/J. ハルド DL TEAM RACING 85 by A2M2 ZX-10R カワサキ 691 37 378 01:56.733 24:01:29.276
12 113 C.ヘデリン /B. コリオー/N. ヴァスタ DL TEAM 113 VIP MOTO-SPORTING MOTO-DYNOPERF CBR1000RR-RSP ホンダ 691 37 139 01:57.034 24:03:05.024
13 14 M. ヴァシュリン /M. サマド/M. ギルバート DL MACO RACING Team YZF-R1 ヤマハ 676 52 329 01:55.795 24:01:13.186
14 4 H. クレア /R. クルメナッハ/M. レノーディン PI Tati team AVA6 racing CBR1000RR-R ホンダ 670 58 4 01:52.975 24:02:13.509
15 241 W. ウォールアート /G. ブリュヤット/A. クルーゾ DL AG RACING TEAM #241 CBR1000RR-RSP ホンダ 663 65 222 01:57.473 24:01:36.148
16 183 Y. レーツィグ /G. モナヤ/V. ローデル/R. サママ DL Team SLA Honda Toulon CBR1000RR-R ホンダ 661 67 116 01:58.049 24:01:34.086
17 2 J. オリビエ /M. メディーグ/O. ルーアート/L. サッソーネ DL T2C Racing M1000RR BMW 661 67 264 01:58.845 24:02:46.118
18 72 渥美 心 /L. カウチ/D. ダーレ/Q. ルブリエ DL Junior Team LMS Suzuki GSX-R1000R スズキ 661 67 16 01:56.791 24:04:18.437
19 98 M. デレストレ /D. シュバリエ/C. ランブレ BS Bridgestone TEAM PMS99 YAM SERVICE YZF-R1 ヤマハ 659 69 128 01:58.616 24:02:35.856
20 10 C. ジャンティル /T. フューラー/P. J. デュフォー DL INFINITEAM FLAM RACING YZF-R1 ヤマハ 657 71 122 02:02.217 24:00:51.564