【2022年全日本モトクロス選手権 Rd.7第60回MFJ-GPモトクロス大会 レディースクラス】川井麻央が今季2勝目。トップと同点ながらシリーズタイトル防衛を逃すも、有終の美を飾る。

全7戦のスケジュールで競われた今季の全日本モトクロス選手権シリーズは、いよいよシーズン最終戦を迎え、第60回MFJ-GPモトクロス大会が宮城県のスポーツランドSUGOで開催された。

7月に開催された今季第3戦でも使用されたSUGOインターナショナルモトクロスコースは、過去に世界選手権を開催した実績もある、東北モトクロス界の拠点となってきたコース。モトクロス以外にもロードレースやトライアル、エンデューロやスーパーモトの全日本選手権を開催している複合モータースポーツ施設の一角に位置する。ふたつの丘陵部にまたがるようにレイアウトされたコースは、豊富なアップダウンも特徴。9月に大幅改修が施され、7月の全日本開催時と比べてさまざまなセクションがリニューアルされた。ジャンプやリズムセクション、コーナーアウト側のバンクが少なく、全体的にはかなりフラットになった印象。一方で、粘土質の路面には入念に耕しつつ散水が施され、走行によりカタめで深いワダチができたコーナーも多くあった。天候は、各クラスの予選やIBオープンクラスの決勝などが実施された土曜日が晴れで、決勝が開催された日曜日は曇り。ドライコンディションでのレースとなった。

　

レディースクラスは、通常のスケジュールとなる15分＋1周の決勝1レース制。ブリヂストン勢では、#1 川井麻央（Honda,BS）と#4 小野彩葉（Honda,BS）が、トップと14点差ながら奇跡の逆転チャンピオンを諦めることなく決勝のグリッドについた。

■決勝



スタート直後に#1 川井麻央（Honda,BS）がトップに立ったが、#10 箕浦未夢（Honda,DL）を一度先行させ、川井は2番手で1周目をクリア。#4 小野彩葉（Honda,BS）は#3 久保まな（Honda,DL）に次ぐ4番手からのレースとなった。2周目、川井は箕浦をパスしてトップ浮上。3周目以降、川井はリードを拡大していき、4周目終了段階では約6秒リードとなった。2番手争いでは、3周目に久保が先行。3番手に後退した箕浦を、約5秒後方から小野が追った。

4周目、久保がエンストで4番手に後退。5周目には、小野が箕浦のすぐ背後に迫った。このとき、川井は約12秒のアドバンテージを築いて完全に独走状態。小野は箕浦の攻略に手間取ったが、ラスト2周となった7周目に抜いた。そしてレースは、川井が優勝、小野が2位で、ブリヂストンタイヤを履くT.E.SPORT勢がワン・ツー・フィニッシュ。久保はマシントラブルで5位に沈み、川井と久保が同点で並んだが、上位入賞回数の差で川井は惜しくもタイトル防衛を逃した。

●川井麻央（決勝／優勝）
「逆転チャンピオンのためには、自分がまずレースで勝たないことには望みがゼロだったので、優勝に対するプレッシャーから、レース前はかなり緊張していました。レース序盤は箕浦未夢選手にトップを譲りました。彼女がかなりアグレッシブで、一度激しくぶつかったので、ちょっと引いて冷静にレースを組み立てることにしました。箕浦選手を抜いてトップに立ってからは、すぐに後続を離せたので、そういう意味ではかなり楽でしたが、久保まな選手の順位が気になりすぎて走りに集中できないほどでした。久保選手が後退したのも把握できていて、もしやとは思ったのですが……。でも、シーズン序盤を見ていた人には、私が最後にここまで浮上できるとは想像できなかったと思います。それを考えると、まあ良かったのかもしれません。タイヤは軟質路面用のBATTLECROSS X20。このクラスはもうこれ一択という感じですが、硬い路面が露出した区間でも不安はありませんでした。そもそも、荒れて深いワダチもできるコンディションだったので、路面に対する得意意識はありました。チャンピオンは逃しましたが、シーズン終盤に調子を上げられたことには満足しています」