【2024年全日本モトクロス選手権 Rd.4 SUGO大会 IA2クラス】難しい路面状況に適応した横澤拓夢が、2大会連続の両ヒート制覇でポイントリードを拡大！

土日ダブルヘッダー開催だった第2・3戦から6週間のインターバルを挟み、宮城県のスポーツランドSUGOで開催された第4戦は、土曜日は予選がメインで日曜日に決勝のみを実施する、通常どおりのレースフォーマットが用いられた。
その舞台となったのは、宮城県のスポーツランドSUGO。モトクロス以外にもロードレースやトライアル、エンデューロやスーパーモトの全日本選手権を開催している複合モータースポーツ施設で、そのインターナショナルモトクロスコースは2005～2007年に世界選手権を誘致した実績も持つ。コースはふたつの丘にまたがるように設けられ、序盤に待ち受ける上り急こう配の「大坂」をはじめ、土地そのものが持つ起伏を活かした豊富なアップ＆ダウンを特徴とする。また、コース後半の「ヨーロピアンセクション」など、ハイスピード区間も多い。

各クラスの予選が実施された土曜日は、一時的に雨が降ったものの天候は持ちこたえていたが、夜から再び断続的な降雨。このため、決勝レースが繰り広げられた日曜日の朝は、粘土質の路面が前日午後と比べてやや多くの水を含んだ状態だった。とはいえ午前中は雨が小康状態で、徐々にコンディションが回復。路面には走行によって深いワダチが何本も刻まれ、攻略が難しい状況ながら、土に含まれる水分量そのものは昼ごろにベストな状態となった。しかしIA2決勝ヒート2のスタート直前から激しい雨となり、状況は一変。これにより、雨予報を受けてレース時間が5分短縮された25分＋1周の2ヒートが実施されたIA2クラスの決勝ヒート2は、ドライコンディションに近かったヒート1から一転してマディレースとなった。

■決勝ヒート1
スタート直後に数台を抜き、#2 横澤拓夢（Honda,BS）がトップに浮上。4周目までの間に、約4秒のアドバンテージを築いた。スタート直後に2番手を走行していた#13 阿久根芳仁（Kawasaki,BS）は、2番手争いを繰り広げる3台から5～6秒遅れた5番手。その背後には#11 福村鎌（Suzuki,BS）と#5 池田凌（Kawasaki,BS）が迫り、5周目には三つ巴のバトルとなった。6周目、福村が阿久根をパスして5番手。しかしその福村は、翌周に転倒して12番手まで順位を下げた。
トップを快走する横澤は、ランキング争いで最大のライバルとなっている中島漱也（Yamaha,DL）が2番手に浮上した6周目までの間に、リードを約7秒に拡大。レース後半は、このギャップを活かしながら独走を続けた。9周目、5番手を守っていた阿久根が西條悠人（Kawasaki,DL）と池田に抜かれて7番手後退。阿久根は11周目にもひとつ順位を落とした。レースは13周で終了となり、最後まで逃げ切った横澤が勝利。池田は6位、阿久根は8位でゴールした。

■決勝ヒート2
雨が強く降り始める中でスタートしたレースは、#2 横澤拓夢（Honda,BS）のホールショットで幕を開け、阿部晴基（Yamaha,DL）をパスした#6 柳瀬大河（Honda,BS）が2番手に浮上した。しかし柳瀬は、コース中盤でコースアウトして5番手後退。1周目は横澤がトップでクリアした。2周目以降、横澤は後続と3～4秒のギャップを保ちながら周回。2番手の佐々木麗（Kawasaki,DL）から遅れた3番手争いでは、3周目に柳瀬が集団の先頭に立った。
6周目、横澤のリードは約6秒に。同じ周、柳瀬は西條悠人（Kawasaki,DL）に抜かれて4番手に後退した。7周目以降、横澤は佐々木の接近を許し、さらに西條もこの2台に近づいたことから、9周目には三つ巴のトップ争いに。翌周には再び横澤が約3秒のリードを奪ったが、最終ラップとなった12周目に周回遅れを処理する際に失速し、これで佐々木が一時先行した。それでも横澤はすぐに再逆転。最後は佐々木を振り切り、横澤が4連勝を決めた。柳瀬は後続を40秒近く引き離し、4位に入賞した。

●横澤拓夢（決勝ヒート1／優勝、ヒート2／優勝）
「開幕戦でケガした肩も完治し、たくさん練習して大会に臨めたので、決勝のフィジカルコンディションとしては今季でもっともいい状態。それだけに勝つ自信はありました。不安だったのは、サスペンションのセッティングが日曜日朝の公式練習まで決まらずにいた点。ヒート1のスタート前に変更したセッティングが、うまくハマってくれたので助かりました。レース序盤は、中島漱也選手と自分の間に2台のマシンがいることを確認できたので、中島選手が上がってくる前にマージンを確保する走りをしました。
ヒート2は、周回ごとにコースコンディションが悪化する、本当に難しい状況。レース後半は周回遅れも多く、最終ラップで佐々木麗選手に抜かれたのもこれが原因でした。佐々木選手に並び返してからは、深く考えることなくとにかくスロットルを開けました。
タイヤは一貫して前後とも軟質路面用のBATTLECROSS X20をチョイス。ヒート2のリアはマッド用のBATTLECROSS X10でも悪くなかったかもしれませんが、ウェイティングエリアに行くまで雨は降っておらず、コースはベストコンディションに近い状況だったので、無難にX20を選択し、ワイドレンジな特性にも助けられて勝つことができました」