予選

　全日本ロードレース選手権の最終戦は恒例のMFJ-GP鈴鹿。JSB1000クラスは2レース制で開催される。チャンピオンは前戦で決定したものの、ランキング2位争いは混戦模様が続いていた。
　木曜日から始まった特別走行。ここでチャンピオン#2 中須賀克行 (YAMAHA,BS)が転倒。体を痛めてしまう。
　予選は土曜日の午前中に行なわれた。雨は降っていないものの路面は濡れており、微妙なコンディションになった。2分7秒863と真っ先に2分7秒台をマークしたのは#3 水野涼 (DUCATI,BS)。#8 岩田悟 (HONDA,BS)が2分7秒911と迫る。
　セッション中盤。2分7秒747とトップに浮上した#2 中須賀が、翌周には2分6秒601とついに2分6秒台に突入。しかし、その途端にマシントラブルに見舞われ、コースサイドで止まってしまう。
　セッション終盤には#31 浦本修充(BMW,BS)が2分5秒440をたたき出してトップ浮上。セッション残り5分でコース復帰した#2 中須賀が2分5秒929をマークして2番手浮上。#31 浦本は最終アタックで2分5秒407とダメ押し。これで#31 浦本がダブルポールポジション獲得と、激しい予選セッションだった。

決勝レース1

　レース1は土曜日の午後に行なわれた。開始直前に雨粒が落ち始める。本格的な雨になるのか、降り止むのか、ピットはタイヤ交換やマシン交換で慌ただしくなる。多くがレインタイヤを装着する中、スリックタイヤを選んだ#2 中須賀だったが、サイティングラップを終えるとピットに戻ってマシンを降りる。
　一方、好スタートを切ってレースをリードしたのは#3 水野。オープニングラップこそ#31 浦本とサイドbyサイドの争いを展開するが、その後は徐々に#3 水野の独走態勢に。
　後方では#8 岩田、#7 津田拓也 (SUZUKI,BS)、#14 日浦大治朗 (HONDA,BS)、#16 渥美心（SUZUKI,BS）、#4 野左根航汰 (HONDA,BS)、#46 阿部恵斗 (HONDA,BS)らの3位争いが激化。2周目に集団トップに立ったのは#8 岩田。6周目には#7 津田が集団の先頭に立ち、#8 岩田は集団後方に後退と順位が激しく入れ替わる。3位争い集団を増えた雨量が襲う。レース後半に集団を抜け出した#7 津田はラスト2周で転倒。
　最終ラップではさらに雨脚が強まり、赤旗が提示されてレース中断、そのまま成立となった。その結果、#3 水野、#31 浦本に続き、#14 日浦が3位表彰台を獲得した。

●水野涼（予選３位／決勝１位）
「レインタイヤはウイークで初めて履いたのが今日の決勝でした。分からない状態でのスタートでしたが、岡山大会で履いて実績のあるタイヤでした。タイヤが暖まってからペースを上げ、後続を引き離すことができました。作戦どおりのレースができたのは天候も味方してくれたからです。ドライコンディションなら厳しいかなという予選の展開だったので、いい形になりました」

決勝レース2

　日曜日は朝から雨。その雨も強まったり弱まったりと難しいコンディションになった。#2 中須賀は、天候と体の状況からチームの判断で欠場。
　水しぶきを上げながらスタートしたレース2。スタート直後は#4 野左根と#31 浦本がポジションを入れ替えながらの激しいトップ争いを展開する。最終シケインでトップに浮上した#3 水野はすぐに逃げの態勢に入る。#31 浦本は背後につけたが、#4 野左根は離されてしまう。
　4周目に#32 中村竜也 (KAWASAKI,BS)が転倒し、セーフティカーが導入される。リスタートは8周目。#3 水野が再び後続を引き離しにかかると、#31 浦本はこれを追い切れない。一時は#31 浦本に2位争いを挑んだ#4 野左根も#31 浦本に離されてしまう。終盤は#3 水野、#31 浦本、#4 野左根がそれぞれ単独で走行。#3 水野は最後までハイペースを保ち、最終戦鈴鹿での3年連続ダブルウインを飾った。

●水野涼（予選3位／決勝1位）
「昨日に引き続き同じタイヤだったので不安もありませんでした。朝のフリー走行で試してセッティングから小変更したところ、さらによくなりました。タイヤには自信があったのでレース序盤から攻めることができました。セーフティカーが入ってリセットされたのが不安でしたが、再開されてからも自分のペースでプッシュすることができました。作戦どおりです。パーフェクトな勝ち方だったと思います」