堤優威が雨の予選、ドライの決勝を制し完全勝利──ブリヂストンが表彰台独占!

  • 開催場所:スポーツランドSUGO
  • 開催日:2025年06月14日(土) 〜 2025年06月15日(日)
TOYOTA GAZOO Racing GR86/BRZ Cup 2025 第3戦 プロフェッショナルシリーズ

予選では、トップからわずか1秒以内にほぼ半数の車両がひしめき合い、決勝でもトップ争いの激しさはもちろん、後方で繰り広げられるバトルまで見応え十分──それがGR86/BRZ Cupの醍醐味だ。


第3戦の舞台は、スポーツランドSUGO。アップダウンに富んだテクニカルコースとして知られ、アクセルを踏んで駆け抜けるコーナーが大半を占める。特に、上り勾配の最終コーナーで発生するGは国内でも屈指の大きさを誇り、タイヤにかかる負荷も非常に高い。


SUGOでの前回開催は昨年5月。今回も気温や路温等のコンディションに大きな差はなかったが、懸念されたのは天候だった。東北地方はまだ梅雨入りしておらず、金曜日の専有走行はドライコンディションを維持、さらにこのオフの期間に路面の改修が施されていた。そうした中で最速タイム、1分34秒177を叩き出したのは#7堤優威(ブリヂストン)。これまでのレコードを1秒以上更新する驚異的なタイムだった。


#7堤優威#34佐々木雅弘


2番手には復調の兆しを見せる#34佐々木雅弘(ブリヂストン)が入り、1分34秒462を記録。以下、1分34秒582の#121蒲生尚弥(ブリヂストン)、1分34秒598の#293岡本大地(ブリヂストン)、1分34秒627の#160吉田広樹(ブリヂストン)と続き、ブリヂストン勢による上位独占の期待が高まる結果となった。


#121蒲生尚弥#293岡本大地


今回のエントリーは28台で、そのうち16台がブリヂストンのPOTENZA RE-10Dを装着する。





⚫️予選

折しも、この土曜日に東北地方の梅雨入りが発表されるという皮肉なタイミングに見舞われた。予報では「予選まではなんとかドライで持ちこたえそう」とされていたものの、朝から小雨がぱらついていたSUGOは、予選を目前にして本降りとなり、路面は完全なウェットコンディションへと変わっていった。


いつ雨量が増減するか読めない状況の中、各車は計測開始と同時にほぼ一斉にコースイン。ドライならアタック1周がセオリーだが、ウェットではタイヤに熱を入れ、グリップを引き出すために周回を重ねる必要がある。過去の例からも、こうしたコンディションでは“走り続けた者勝ち”になることが多い。


#7堤優威最初に1分40秒台に突入したのは堤。計測6周目に1分40秒198をマークすると、蒲生が1分40秒417で続き、#199小林利徠斗(ブリヂストン)が1分40秒749で3番手に。



だが、堤のペースはそこにとどまらず、続く周回で1分39秒192までタイムを縮める。ポールを確信したのか、それを最後に堤はチェッカーを待たずピットへと戻っていった。前戦の予選では、トップタイムを記録しながら終了間際の“黄旗”によってポールを逃した堤。今回は文句なしのパフォーマンスで、開幕戦以来となるポールポジションを手にした。


一方、ライバルたちもアタックを続け、セッション終盤にはタイムの更新が相次ぐ。蒲生が1分39秒378まで詰め寄るも、堤のタイムにはわずかに及ばず2番手に。#88井口卓人(ブリヂストン)が1分39秒390で3番手、クラブマンシリーズからの昇格組・#186佐藤凌音(ブリヂストン)が1分39秒476で4番手と健闘を見せた。


#121蒲生尚弥#88井口卓人


5番手には#123松井孝允(DL)、小林は6番手に後退。序盤にはトップにも立っていた#87久保凜太郎(ブリヂストン)は8番手で予選を終えた。


なお、ポイントリーダーの#1菅波冬悟(DL)は12番手に沈み、堤とのポイント差はわずか3。今回の結果次第では、ランキング首位の入れ替わりも現実味を帯びてきた。


ポールポジションを獲得した堤優威のコメント
#7堤優威「雨のときって、普通は“アウト→アウト→アウト”みたいに、ドライとは違うラインを通るんですけど、今回はドライラインがとてもグリップすることが早めにわかって、みんながまだアウト側のラインを走っているタイミングでドライラインを試したらタイムが出ました。
ただ、ドライラインを使うとグリップはあるんですけど、その分タイヤの内圧が一気に上がってしまうんですよね。たぶん、それに気づいたドライバーもいたと思うんですけど、多くはレイン用の内圧設定で走っているので、終盤は内圧が上がりすぎて、タイムが出しにくくなっていたはずです。
僕自身も『これはもう厳しいな』と感じて、早めにピットに戻りました。路面が舗装され直していたこともあって、こういう状況になったんでしょうね。正直、難しい予選でした。でも、そんな中でポールを獲れたのは、自分のテクニックをしっかり見せられたという意味でも良かったなと思っています。
今週はドライも含めてブリヂストン勢が有利だったので、その結果として上位を独占できたのも良かったですし、僕自身トップを維持できて、そのままウェットでも結果を残せたのはすごくポジティブです。
前回は、もしポールからスタートできていれば勝てていたレースだったので、今回はしっかり逃げ切りたいと思っています」




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●決勝


#7堤優威日曜日のスポーツランドSUGOは、朝から青空が広がり、土曜日とは打って変わって絶好のレース日和となった。スタート時点の気温は26度、路面温度も50度を超え、さらに路面改修の影響も重なり、タイヤには非常に高い負荷がかかるレースが予想された。


注目のスタートで最も鋭く飛び出したのは、2番グリッドから発進した蒲生だった。1コーナーではインから堤に迫るも、逆転には至らず。続くバックストレート、さらに馬の背コーナーでも堤に並びかけたが、ここでもポジションを奪うには至らなかった。堤と蒲生による一騎打ちの背後には、井口と佐藤が続き、1周目の時点で早くも上位4台が後続を引き離す展開となる。


#7堤優威#88井口卓人


その一方で、5番手以降は完全なトレイン状態に。2周目には小林がそこから抜け出し、やがて単独走行に移行。中盤には佐藤がトップ3から徐々に離れ始め、こちらも単独での周回を続けるようになった。
トップ争いは、堤・蒲生・井口の3台による均衡状態が続くなか、10周目には6番手を走っていた岡本がファステストラップとなる1分36秒175を記録。その勢いのまま、岡本は前方の佐藤、小林へと接近していく。
一方、レースをリードする堤が、後続の蒲生に合わせてペースをコントロールしているのは明らかだった。とはいえ、ラスト3周では蒲生が堤をわずかに上回るペースで追いすがり、意地を見せる。しかし堤は冷静に逃げ切り、2023年の第4戦・十勝スピードウェイ以来、実に2年ぶりとなる勝利を手にした。また、タイトル争いのライバル・菅波が今回はポイント圏外に終わったことで、堤はランキング首位に浮上した。


#293岡本大地#186佐藤凌音


2位は蒲生、3位に井口が続き、ブリヂストン勢が表彰台を独占した。さらに、最終ラップには佐藤、小林、岡本の3台がテール・トゥ・ノーズの接近戦を展開。最終コーナーでは小林がわずかにオーバーシュートし、佐藤がその隙を逃さず4位を死守。岡本が5位、小林は悔しい6位となった。


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ブリヂストン勢は表彰台を独占し、トップ10のうち9台がPOTENZAを装着するという“パーフェクト”な結果に。
ドライの専有走行に始まり、雨の予選、そして気温の上がったドライの決勝と、コンディションが大きく変化する中、すべてのセッションで安定して結果を残したことは、高いグリップ性能、優れた耐久性、そして環境変化への柔軟な対応力を備えた、POTENZAの総合性能の証と言えるだろう。


●第3戦ブロフェッショナルシリーズ決勝レースで、優勝した堤優威のコメント
#7堤優威「1周目は少し自分のミスもあったのですが、蒲生選手がクリーンにバトルしてくれて、お互いラインを残しながらのいい勝負ができたと思います。その後は、無理をせずセーブしながらの走行でした。後続との間隔を見ながら、自分のペースでコントロールできたので、展開としてはかなり楽なレースでしたね。
今回はロングランのシミュレーションもしていなかったですし、新しく舗装された路面、そしてこの路面温度の中でタイヤへの負荷は未知数でしたが、慎重に見極めながら走行できたと思います。
内圧も良い範囲で収まっていて、マシンにもタイヤにもトラブルはありませんでした。
去年は勝てなかったので、今回はしっかり結果が出せてよかったです。今年は開幕から調子が良いので、次戦以降もこの流れを維持して頑張りたいと思います」



レース結果

コース:スポーツランドSUGO

[Professional Series]

決勝

  • 開催日:2025/06/15
  • 天候:Fine
  • 路面:Dry
  • 決勝出走:28
  • 完走:27
  • (3.587km x 13laps = 46.631km)
順位 No ドライバー タイヤ チーム マシン シャシー エンジン 周回数 Delay(Lap) ベストタイム ベストラップ タイム
1 7 堤 優威 BS Bridgestone CABANA BS GR86 13 21'00.990
2 121 蒲生 尚弥 BS Bridgestone tomicaネッツ兵庫 BS GR86 13 21'01.511
3 88 井口 卓人 BS Bridgestone 東京スバル BS BRZ 13 21'04.070
4 186 佐藤 凌音 BS Bridgestone Star5 AVANTECH GR86 13 21'13.993
5 293 岡本 大地 BS Bridgestone ネッツトヨタ南国 5Zigen GR86 BS 13 21'14.292
6 199 小林 利徠斗 BS Bridgestone COROLLA MIE GR86 13 21'15.362
7 87 久保 凜太郎 BS Bridgestone 千葉スバル BS BRZ 13 21'24.807
8 160 吉田 広樹 BS Bridgestone GR G 浦和美園 IDI BS GR86 13 21'26.749
9 504 冨林 勇佑 DL Eハイドロゲン EXEDY・DL GR86 13 21'33.257
10 17 谷口 信輝 BS Bridgestone K-one 愛知トヨタ GR86 13 21'33.684
11 89 奥本 隼士 DL 栃木スバル DL BRZ 13 21'34.607
12 56 鶴賀 義幸 BS Bridgestone 栃木トヨタT2FACTRY BS GR86 13 21'35.243
13 1 菅波 冬悟 DL OTG 滋賀トヨタ GR86 13 21'39.402
14 76 森川 基雄 BS Bridgestone ウィニング制動屋 NUTEC GR86 13 21'39.548
15 34 佐々木 雅弘 BS Bridgestone 小倉クラッチ BS OTG GR86 13 21'40.403
16 330 平良 響 BS Bridgestone OKINAWA GR86 13 21'43.830
17 97 高橋 知己 DL 神奈川トヨタ ☆ DTEC GR86 13 21'43.913
18 31 青木 孝行 DL ケーエムエス フェニックスDL_GR86 13 21'45.816
19 2 清水 英志郎 DL K-one 愛知トヨタ GR86 13 21'47.138
20 5 井上 尚志 BS Bridgestone レストアパーツBSまんさくGR86 13 21'47.351
21 910 坂 裕之 DL MプランニングDLエンドレスGR86 13 21'48.892
22 8 渡辺 圭一 BS Bridgestone JCS GR 浦和美園 GR86 13 21'49.857
23 70 服部 尚貴 DL OTG DL GR86 13 21'52.008
24 90 翁長 実希 DL OTG 滋賀トヨタ GR86 13 21'59.635
25 550 宗藤 昌太朗 DL 名神タイヤGR86 13 21'59.774
26 60 小河 諒 DL OTG DL GR86 10 16'50.612
27 123 松井 孝允 DL NETZ富山Racing GR86 9 15'03.553
- 98 元嶋 佑弥 BS Bridgestone 神奈川トヨタ ☆ DTEC GR86 4 DNF
[Professional Series]

予選

  • 開催日:2025/06/14
  • 天候:Rain
  • 路面:Wet
  • 決勝出走:28
  • (3.587km)
順位 No ドライバー タイヤ チーム マシン シャシー エンジン 周回数 Delay(Lap) ベストタイム ベストラップ タイム
1 7 堤 優威 BS Bridgestone CABANA BS GR86 7 1'39.192
2 121 蒲生 尚弥 BS Bridgestone tomicaネッツ兵庫 BS GR86 10 1'39.378
3 88 井口 卓人 BS Bridgestone 東京スバル BS BRZ 11 1'39.390
4 186 佐藤 凌音 BS Bridgestone Star5 AVANTECH GR86 11 1'39.476
5 123 松井 孝允 DL NETZ富山Racing GR86 11 1'39.510
6 199 小林 利徠斗 BS Bridgestone COROLLA MIE GR86 10 1'39.623
7 504 冨林 勇佑 DL Eハイドロゲン EXEDY・DL GR86 11 1'39.682
8 87 久保 凜太郎 BS Bridgestone 千葉スバル BS BRZ 10 1'39.741
9 98 元嶋 佑弥 BS Bridgestone 神奈川トヨタ ☆ DTEC GR86 11 1'39.846
10 293 岡本 大地 BS Bridgestone ネッツトヨタ南国 5Zigen GR86 BS 11 1'39.988
11 34 佐々木 雅弘 BS Bridgestone 小倉クラッチ BS OTG GR86 9 1'40.064
12 1 菅波 冬悟 DL OTG 滋賀トヨタ GR86 9 1'40.448
13 56 鶴賀 義幸 BS Bridgestone 栃木トヨタT2FACTRY BS GR86 7 1'40.450
14 330 平良 響 BS Bridgestone OKINAWA GR86 10 1'40.520
15 160 吉田 広樹 BS Bridgestone GR G 浦和美園 IDI BS GR86 7 1'40.725
16 17 谷口 信輝 BS Bridgestone K-one 愛知トヨタ GR86 9 1'40.984
17 31 青木 孝行 DL ケーエムエス フェニックスDL_GR86 10 1'40.998
18 60 小河 諒 DL OTG DL GR86 6 1'41.206
19 97 高橋 知己 DL 神奈川トヨタ ☆ DTEC GR86 9 1'41.271
20 89 奥本 隼士 DL 栃木スバル DL BRZ 11 1'41.396
21 910 坂 裕之 DL MプランニングDLエンドレスGR86 10 1'42.057
22 2 清水 英志郎 DL K-one 愛知トヨタ GR86 8 1'42.299
23 550 宗藤 昌太朗 DL 名神タイヤGR86 10 1'42.549
24 70 服部 尚貴 DL OTG DL GR86 10 1'43.419
25 76 森川 基雄 BS Bridgestone ウィニング制動屋 NUTEC GR86 8 1'43.674
26 5 井上 尚志 BS Bridgestone レストアパーツBSまんさくGR86 10 1'44.857
27 90 翁長 実希 DL OTG 滋賀トヨタ GR86 6 1'45.027
28 8 渡辺 圭一 BS Bridgestone JCS GR 浦和美園 GR86 9 1'45.525