2戦連続でブリヂストンが表彰台独占! 高橋知己が初優勝をポールトゥウィンで飾る

  • 開催場所:十勝スピードウェイ
  • 開催日:2025年07月12日(土) 〜 2025年07月13日(日)
TOYOTA GAZOO Racing GR86/BRZ Cup 2025 第4戦 プロフェッショナルシリーズ

いまや猛暑は北海道であっても例外ではなく、第4戦の舞台となる十勝スピードウェイも7月に入ったばかりの頃は、30度を超える日々が続いていた。ところがこのレースウィークは、オホーツク海からの寒気が流れ込んだことで気温が下がり、専有走行が行われた11日(金)は雲が厚く垂れ込めたこともあって上着が必要なほど。
12日(土)予選、13日(日)決勝は暖かくなる予報だが、それでも例年より涼しい天候がどう影響するかが気になるところだ。
十勝スピードウェイは、起伏が少ないフラットなコースで、ほとんどのコーナーを短い直線でつないだレイアウトも特徴的。抜きどころが少なく、予選でいい位置につけることが重要になる。


そんな第3戦では、各車の仕上がり具合が推し量れる専有走行直前に衝撃が走った。3戦を終えた時点のポイントリーダーである#7堤優威(ブリヂストン)と、3位につける#1菅波冬悟(DL)が、ともにマシントラブルで走行できなかったのだ。
どちらもスペアカーを用意することになったが、本州からマシンを持ち込む必要があり、翌日の予選に間に合わせることができるのかという不安を抱えつつ、予選当日を迎えることになる。


#160吉田広樹POTENZA RE-10D


なお、専有走行では#89奥本隼士(DL)が1:31.138のトップタイムをマークし、#160吉田広樹(ブリヂストン)が1:31.179で続いた。
今回のエントリーは22台で、そのうち11台がブリヂストンのPOTENZA RE-10Dを装着する。





⚫️予選

予選が行われた12日(土)は日差しに暖かさが戻り、正午を過ぎる頃には気温20度を超えていた。
マシントラブルで出走が危ぶまれた堤と菅波は、両チームとも本州からのスペアカーが間に合い、無事に予選に出走することができた。
しかし今シーズン、すでに3レースを戦ってきたマシンから、急遽スペアカーに乗り換えたことは大きなハンディとなるはず。専有走行で上位を占めた選手の動向とともに、ふたりの予選の走りに注目が集まった。


#88井口卓人#87久保凜太郎


12時35分に15分間の予選がスタートすると、真っ先にコースインしたのが#88井口卓人(ブリヂストン)率いるチームタクティの3台。井口を先頭に、#87久保凜太郎(ブリヂストン)、奥本とアタックし、井口が1:31.884の好タイムをマーク、久保が1:32.309で続く。


#97高橋知己しばらくこの1番手、2番手タイムは変わらず、その後大きな動きがあったのは予選中盤を過ぎてからのことだった。前日の専有走行で3番手のタイムを記録していた#97高橋知己(ブリヂストン)が、クリアラップがとれるタイミングを見計らってコースインすると、1:31.846でトップに躍り出る。


さらに堤がコースイン。レースウィークに好調を維持する吉田も後に続くと、堤が1:31.897と苦境を跳ね返すかのように3番手のタイムをマーク。吉田はこれに続く1:31.939で4番手につけた。一方、堤と同様スペアカーでアタックした菅波は7番手だった。


#7堤優威#160吉田広樹


こうして高橋が初のポールポジションを獲得。ロングのテストもしっかり行いデータ収集も万全とのことだが、POTENZA RE-10Dを装着して戦うのはこのレースが初めてだ。決勝ではこれまで確かな結果を残してきた2番手の井口、スペアカーで3番手につけた堤、好調を維持する4番手の吉田と、歴戦の強者たちのプレッシャーに打ち勝ち、トップを守りきることができるのかに注目が集まった。


ポールポジションを獲得した高橋知己のコメント
#97高橋知己「このレースにRE-10Dを履いて出場するのは初めてなのですが、十勝に入る直前に富士スピードウェイで試す機会があり手応えを感じていました。
木曜日に十勝へ入ってからも順調にテストをこなすことができ、金曜日の専有走行では3番手のタイムをマークしました。土曜日の予選は、木曜日、金曜日の涼しさから一転して気温も路温もぐっと上がりましたが、いいイメージをそのまま保ちたかったので内圧は前日の専有走行から変更せずに走りました。それが好結果につながったひとつの要因かなと思っています。
RE-10Dのグリップ力やコントロール性に、マシンのセッティングをうまく合わせられたと思いますが、コーナリングの進入でしっかりブレーキングして接地させ、タイヤのたわみをうまく使う走り方をすることが、速さにつながると感じています。
初めて使うタイヤなのでロングのテストもきっちり行いました。決勝は路温状況が気になりますが、準備はしっかりできているので自信を持って臨みたいと思います。
井口選手、堤選手、吉田選手と速いドライバーがすぐ後ろからプレッシャーをかけてくるでしょうが、クリーンな戦いの中で勝ちきれるようがんばります」


予選2位となった井口卓人のコメント
#88井口卓人「予選はチームの3台で真っ先にアタックしようと決めていました。気温が上がったことで前日と同じようなフィーリングを感じることはありませんでしたが、その中でもタイミングよくウォームアップすることができ、うまくまとめられたと思います。
気温が低かった専有走行でも、高くなった予選でも結果を残せたRE-10Dは、さまざまな状況に対応できるタイヤだと感じました。
RE-10Dは、グリップがさらに上がり、より温まりやすくなっています。ウォームアップ中のグリップもよくなっていますね。そういった進化が確実にタイムにつながっていると思います。
十勝スピードウェイは比較的コンパクトなサーキットですから、タイヤの温め方に関してはかなり気を遣います。また今日は7月としてはかなり気温が低かったのでなおさらでしたが、RE-10Dはすぐに熱が入りグリップが立ち上がるので心強いですね。
また、決勝の走りでも、終盤までタイムが安定しているのがRE-10Dの強みなので、確実に総合力がアップしているという印象です。
ポイント争いは堤選手が一歩抜け出しそうな状況ですが、ここで差を縮めておきたいですね」




十勝スピードウェイ
●決勝


決勝レースの行われた13日(日)はよく晴れわたり、レース直前の12時には気温が22度を超えさらに上がる気配。しかしカラッと爽やかで、過ごしやすさを感じる気候となった。
アクシデントなく各車一斉にスタートすると、まずは高橋がミスなくホールショットを決める。2番グリッドの井口もいいスタートを見せたが、それにも増して素晴らしいダッシュを披露し周囲を驚かせたのがスペアカーで戦う堤だった。第1コーナー手前で井口をかわし2番手に浮上。そのままトップを狙うのかと期待が集まるが、しかし1周目のペースは前を行く高橋のほうが速く、1位と2位の差は縮まらない。


決勝レース決勝レース


そのまま高橋が引き離しにかかるのかと思われたが、各車がメインスタンドに戻ってくる直前に黄旗が振られ、セーフティカーが導入された。これは走路外走行(4脱)が起きやすい箇所に設置されたポール状のボラードにマシンが接触し、その一部がコース上に飛散したことによる措置だった。
4周終了後にリスタートとなるが、高橋はここでも冷静に走行しトップを譲らない。堤は高橋を捉えるべく追走するが、7周目あたりから徐々に間隔が広がり、8周を終えたところで高橋と堤の差は1秒あまりとなる。
一方、堤の後方には井口と4番グリッドからスタートした吉田がぴたりと張りつき、三つどもえの2位争いが展開されていた。そして終盤にかけては吉田のペースが他を上回ることがあり、最後まで目の離せない状況が続く。


#97高橋知己チェッカー


最終ラップに入ってもこの状況は大きく変わらず、トップを快走する高橋は周回を重ねるごとに後続を引き離し、最後は3秒近い差をつけて優勝。GR86/BRZ Cupにおけるうれしい初優勝を、見事ポールトゥウィンで飾った。
しかし、後続の3台によるバトルは最後にドラマが待っていた。最終コーナーを立ち上がったところで4番手の吉田が、前を行く井口をイン側から抜き去り3位でフィニッシュしたのだ。


表彰台
こうして、第4戦は高橋が優勝、2位 堤、3位 吉田とブリヂストン勢が表彰台を独占し、さらに4位に井口が入りPOTENZAの性能を印象づける結果となった。


●第4戦ブロフェッショナルシリーズ決勝レースで、優勝した高橋知己のコメント
#97高橋知己「最後までパフォーマンスを保てるよう、後半勝負のセッティングで臨みました。そのため前半はある程度厳しい展開になることを覚悟していましたが、まずはミスなくスタートしてトップのまま1コーナーを抜けられたのがよかったです。
そして1周目は少しずつ堤選手を離すことができてホッとしたのもつかの間、最終コーナーを立ち上がるとセーフティカーボードが出ていてびっくりしました。
それでも気持ちを切り替え、リスタートしてからも冷静に自分のペースで走ることができました。後半はタイム差を広げてゆとりが出てきたのですが、ミッションに若干の不安を抱えていたので労りながら走行しました。
結果的には作戦通りの展開となったわけですが、ロングのペースに絶対的な自信があったわけではないので、とてもしんどいレースだたったと感じています。
そんな中、RE-10Dは最後までしっかりしたグリップ感があって、タイヤについては何の心配もありませんでした。決勝は予選より気温が上がったものの熱ダレを強く感じることもなく、終盤にリードを広げることができたのは、タイヤのパフォーマンスもひとつの要因かと思います。
昨年はケガをしたこともあってお休みしていましたが、GR86/BRZ Cup プロフェッショナルシリーズには2022年のスタート時から参戦しています。私自身は初勝利ですが、チームとしても9年ぶりの優勝で、これまでお世話になってきたチームのみなさんに恩返しができたことが本当にうれしいですね。また、そうそうたるドライバーがしのぎを削るレースで勝てたことは、大きな自信になります。この結果を糧にして、次戦以降も結果を残していきたいと思います」


●第4戦ブロフェッショナルシリーズ決勝レースで、2位となった堤優威のコメント
#7堤優威「自分でも抜群と思えるスタートを決めることができたので、そのまま勢いにのり井口選手を抜き2位にポジションアップすることができました。マシンは急遽用意してもらったスペアカーですから、足回りのセッティングがしっかり煮詰められていたわけではないのですが、その中で予選からポジションアップして2位を獲得できたことには満足しています。
トップに迫るまではいきませんでしたが、井口選手とはクリーンないいバトルができたと思います。3戦を終えたところでのシリーズランキングは僕がトップで井口選手が2位ですから、ポイント差が縮まらないようここはどうしても2位を守りきりたいとがんばりました。
マシンのセッティングを合わせきれていなかったので、走行中に苦労する部分はあったのですが、そんな中でRE-10Dの優れたグリップ力に助けられました。安定したグリップを発揮するとはいえ、この気温ですと少しずつタレてくるのですが、グリップの前後バランスがよかったため走りやすかったのが印象的でした。
木曜日にマシントラブルが起こったときにはどうなることかと思いましたが、チームのみなさんに助けられ予選、決勝とも無事に走ることができ、ポイント差を広げることができました。残りは3戦で、富士、鈴鹿、そして岡山と続きます。どのサーキットも優勝経験があり比較的得意とするコースなので、ミスなく走ればシリーズチャンピオン獲得に向けていい結果が残せると思っています」



レース結果

コース:十勝スピードウェイ

[Professional Series]

決勝

  • 開催日:2025/07/13
  • 天候:Fine
  • 路面:Dry
  • 決勝出走:22
  • 完走:21
  • (5.091km x 14laps = 71.274km)
順位 No ドライバー タイヤ チーム マシン シャシー エンジン 周回数 Delay(Lap) ベストタイム ベストラップ タイム
1 97 高橋 知己 BS Bridgestone 神奈川トヨタ ☆ DTEC GR86 14 24:27.732
2 7 堤 優威 BS Bridgestone CABANA BS GR86 14 24:30.639
3 160 吉田 広樹 BS Bridgestone GR Garage 浦和美園 IDI BS GR86 14 24:31.053
4 88 井口 卓人 BS Bridgestone 東京スバル BS BRZ 14 24:31.107
5 31 青木 孝行 DL ケーエムエス フェニックスDL_GR86 14 24:36.260
6 2 清水 英志郎 DL K-one 愛知トヨタ GR86 14 24:38.751
7 330 平良 響 BS Bridgestone OKINAWA GR86 14 24:39.024
8 1 菅波 冬悟 DL OTG 滋賀トヨタ GR86 14 24:39.131
9 89 奥本 隼士 DL 栃木スバル DL BRZ 14 24:40.355
10 293 岡本 大地 BS Bridgestone カローラ高知5zigen BS GR86 14 24:40.646
11 98 一條 拳吾 BS Bridgestone 神奈川トヨタ ☆ DTEC GR86 14 24:45.663
12 34 佐々木 雅弘 BS Bridgestone 小倉クラッチ BS OTG GR86 14 24:49.325
13 70 服部 尚貴 DL OTG DL GR86 14 24:51.578
14 17 谷口 信輝 BS Bridgestone K-one 愛知トヨタ GR86 14 24:51.880
15 123 松井 孝允 DL NETZ富山Racing GR86 14 24:53.177
16 87 久保 凜太郎 BS Bridgestone 千葉スバル BS BRZ 14 24:54.383
17 5 井上 尚志 BS Bridgestone レストアパーツBSまんさくGR86 14 24:55.724
18 90 翁長 実希 DL OTG 滋賀トヨタ GR86 14 24:57.626
19 550 宗藤 昌太朗(MUNETO SYOUTAROU) DL 名神タイヤGR86 14 24:58.676
20 60 小河 諒 DL OTG DL GR86 14 25:11.914
21 909 小暮 卓史 DL RECARO DL BRZ 14 25:12.287
- 504 冨林 勇佑 DL エナジーハイドロゲン EXEDY・DL GR86 5 DNF
[Professional Series]

予選

  • 開催日:2025/07/12
  • 天候:Fine
  • 路面:Dry
  • 決勝出走:22
  • (5.091km)
順位 No ドライバー タイヤ チーム マシン シャシー エンジン 周回数 Delay(Lap) ベストタイム ベストラップ タイム
1 97 高橋 知己 BS Bridgestone 神奈川トヨタ ☆ DTEC GR86 2 1:31.846
2 88 井口 卓人 BS Bridgestone 東京スバル BS BRZ 2 1:31.884
3 7 堤 優威 BS Bridgestone CABANA BS GR86 2 1:31'897
4 160 吉田 広樹 BS Bridgestone GR Garage 浦和美園 IDI BS GR86 2 1:31.939
5 31 青木 孝行 DL ケーエムエス フェニックスDL_GR86 2 1:31.977
6 2 清水 英志郎 DL K-one 愛知トヨタ GR86 2 1:32.074
7 1 菅波 冬悟 DL OTG 滋賀トヨタ GR86 2 1:32.093
8 330 平良 響 BS Bridgestone OKINAWA GR86 2 1:32.174
9 504 冨林 勇佑 DL エナジーハイドロゲン EXEDY・DL GR86 2 1:32.273
10 87 久保 凜太郎 BS Bridgestone 千葉スバル BS BRZ 2 1:32.309
11 89 奥本 隼士 DL 栃木スバル DL BRZ 2 1:32.313
12 123 松井 孝允 DL NETZ富山Racing GR86 2 1:32.358
13 293 岡本 大地 BS Bridgestone カローラ高知5zigen BS GR86 2 1:32.394
14 98 一條 拳吾 BS Bridgestone 神奈川トヨタ ☆ DTEC GR86 2 1:32.450
15 60 小河 諒 DL OTG DL GR86 2 1:32.465
16 70 服部 尚貴 DL OTG DL GR86 2 1:32.579
17 17 谷口 信輝 BS Bridgestone K-one 愛知トヨタ GR86 2 1:32.604
18 90 翁長 実希 DL OTG 滋賀トヨタ GR86 2 1:32.625
19 34 佐々木 雅弘 BS Bridgestone 小倉クラッチ BS OTG GR86 2 1:32.770
20 5 井上 尚志 BS Bridgestone レストアパーツBSまんさくGR86 2 1:32.809
21 909 小暮 卓史 DL RECARO DL BRZ 2 1:32.848
22 550 宗藤 昌太朗(MUNETO SYOUTAROU) DL 名神タイヤGR86 2 1:32.876