ジムカーナドライバーのレース以外の部分が垣間見られるリレーインタビュー第5回 後編ではSHUN選手がロードスターに乗り換えた経緯や今後のジムカーナについて語って頂きました。今回もブリヂストンのWEB会議システムを使ってインタビューを実施していきます。


4-3_優勝3.JPG2018年鈴鹿で優勝後の記念撮影(ユウ選手と)

小林選手(以下:小林):SHUN君はSA2だと弟分的な感じでライバルも気にかけてくれたと思うけど、セッティングのアドバイスをもらったりしてないの?
SHUN選手(以下:SHUN):結構インテグラって前期型と後期型の違い(※SHUN選手が乗っていたのは後期型)とか、個体差もあって、ほかの人のセッティングを真似してもなかなか同じような結果にならなかったんです。なので最終的には1人でやることが多かったです。ただユウ選手には良く聞きましたね。プライベートテストに付き合って頂いたこともありました。
小林:そこで良いモノサシがあって良かったって感じかな。
SHUN:やっぱりユウ選手がインテグラに乗っていたというのは大きくて、当時色々なことを試していたんだと思うんです。
小林:確かに当時色々やっていた気がする(笑)
SHUN:僕が「これ思いついたんですけど」って聞くと、「あぁ~、すでにやったよ」って過去の経験談が出てくるんですよ(笑) ほんと凄いです。
小林:今年はPN1に移籍しますが目標は?
SHUN:まだあまり回数は乗れていなので断言はできないんですけど、先日の練習会で全日本で走っている人と一緒に走る機会があったんですが、そこそこのタイムは出たので、期待はしています。セットアップもドライビングも煮詰めて、まずは安定して入賞できるようにというのが目標ですね。
小林:ゆくゆくの目標は?
SHUN:ジムカーナをやり始めた大学生の時は大学日本一になりたいと思って、そこは達成できたので、(JAF戦でも)やるからにはチャンピオンを目指してやるつもりです。車とタイヤには言い訳が出来ない状態になっているので、あとは自分次第だと思っています。
小林:ところでなんでクルマ乗り換えようと思ったの?
SHUN:結構悩んだんです。インテグラで同じブリヂストンを履いてる人も段々少なくなってしまって、また車両の前期型・後期型の違いなどもあって、同じクラスでも純粋に同じ条件で比較できる人が居なくなって、言い方が難しいんですが、自分に足りない要素がどこにあるのかが計りにくくなった、という事がありました。あとは将来的な事を考えたときに、インテグラという車が旧車の域に入ってきているのでいつかは・・・とは以前から思っていました。そこで、何に乗りたいか?って考えたとき、すぐに「これに乗りたい!」というのは無かったんですけど、でも最初に買った車がロードスターという事もあって、楽しいクルマだったのでいつかはロードスターにまた乗りたいという思いはずっとありましたね。あとは小林選手がインテグラからロードスターにスイッチされて、スッと馴染まれてたのを見て、自分も出来るかもしれないと思えました。じゃあいつ乗り換えるの?って考えたときに、もう乗り換えになんとなく気持ちがいっているんだったら、中途半端な気持ちでインテグラに乗り続けるくらいならスパッと乗り換えちゃった方が良いかな?と思って乗り換えを決めました。
小林:なかなか踏ん切りが良いタイプなんだね。
SHUN:今でもインテグラ乗りたいなって思う事はあるんですけどね(笑) 面白いクルマだったんで。
2019GAFCUPShun.jpg 2019年JAFCUP(インテグラで参戦した最後の大会)


小林:インテグラはインテグラで良いクルマだよね。パワーあって速いし。荷物載るしね(笑)
SHUN:プライベーターにはそれ重要ですよね。
小林:インテグラからロードスターに乗り換えると荷物全然載らないじゃない?
SHUN:乗り換えるにあたって実はそこが一番ネックだったんですけど、よく考えてみたら、インテグラの時に何を一番載せてたのかって考えるとほとんどタイヤなんですよね(通常、10本ものタイヤを積載)。 RE-11S(以下、「11S」)はコンパウンドが2種類あったり、サイズも2種類(※インテグラは前後で使用するサイズが異なる)あったりしたんですが、ロードスターだと1種類なんですね。そう考えると意外とロードスターでも十分積めるなと思って。今も試行錯誤中ですが、荷物と荷物の隙間が空くのが嫌で、何を詰められるかなって考えています。
小林:手持ちの物で絶対入らないものが出てくると思うけど、これだけは持っていきたいものってある?
SHUN:なんでしょう?逆にインテグラの時ってとりあえず積めるから積んで行こうって感じだったので、これだけは!って物が今は思い浮かばないですね(笑)
小林:自分はサービスカー出してくれる人がいるのでそこにてんこ盛りで行くので、部品貸すよ(笑)
SHUN:おぉ!お金だけは持っていくので何かあったときは売ってください(笑)
小林:同じグレードだっけ?
SHUN:同じです。
小林:じゃあ部品共通だから大丈夫だね。
SHUN:同時に壊れなければ平気ですね。
小林:不吉な(笑) ところで11SからRE-12D TYPE A(以下、12D)に変わったけど乗ってみてどうだった?
SHUN:12Dの最初の印象としては、すごく扱いやすいタイヤだなと思いました。実はインテグラで使っていた225幅の11Sが余っていたのでロードスターでも試しに履き比べてみたんですけど、205幅の12Dの方がしっかり応答感もあるしグリップ感も高く感じました。なので新しいタイヤに対する抵抗感はまったくなかったですね。
図1.jpg ロードスターで鋭意練習中
小林:12Dは扱いやすいよね。
SHUN:全日本の会場の路面は荒いところから綺麗なところまで色々あると思うんですけど、去年の12Dを使っている選手の走りを見ていて、「このタイヤは路面への適応力が高いんだろうなぁ」というイメージを持っていたので、乗ってみたらなるほど!という感じでした。
小林:だいぶタイヤのクセもつかんできたって感じ?
SHUN:それしか乗っていないので、クルマのクセもタイヤのクセも含めてそのまま馴染んでるっていう感じですね。
小林:去年の走りをみてると言ってたけど誰の走りが参考になった?
SHUN:もちろん同じマシンに乗ってる小林選手もそうですし、ロードスターの兄弟車の124スパイダーに乗ってる山野選手の走りはインテグラの時からですけど、必ず見て、勉強してます。
小林:話は変わりますが、どうすると若い人がジムカーナに入ってきて盛り上がっていくかな?個人的にはやっている場所が山奥と言うのがひとつネックになっていると思ってて、安全面とかをクリアできればショッピングモールの駐車場でやるとか、D1のようにお台場みたいなに人が集まり易い場所にするとか。そうすれば不特定多数の人にもっと見てもらえるのかな?って思って、そこから興味を持って参加してもらえるとかあると思うので。場所は結構重要かなと思っています。
SHUN:確かにそれはありますよね。友達とかにちょっと見に来てよって誘える感じじゃないですよね・・・。 今年の初めにオートテストの競技が神奈川県藤沢市の街中にある公園の駐車場で開催されて、所属しているチーム・ニュートンランドとしてお手伝いをしたんですけど、まず申し込み開始直後から連絡が殺到し、締め切り後も申込の連絡がくるくらい需要があったみたいなんです。なので、思ってたよりやってみたい人っているんだなって正直びっくりしました。なので会場の問題は大きいと思いましたね。あとは自動車部として学生でジムカーナの活動している人って何百人っているんですけど、その学生が卒業してからどのくらい続けてくれるか?というのも課題だと思っていて、うまく続けられるような仕組みが出来れば良いなぁ~と思っています。
図2.jpg オートテストで指導するSHUN選手


小林;社会人になって辞めちゃう人ってどうしてるのかな?
SHUN:クルマは乗り続けてるけど、競技までは・・・って人が多いと思いますね。キレイさっぱりクルマを乗るのを辞めちゃうって人は意外と少なくて、やっぱりクルマは好きで乗ってるけど、金銭的な理由だったり、時間的な理由で競技をやめる人は少くないと思います。もっと気軽に練習会に出られるような環境があると良いんですけどね。
小林:広島だとスキー場の駐車場とかでパイロンジムカーナ練習会をやっていて、結構若い人とか居るんだよね。競技まではしないけど趣味で楽しむ人がやりやすい場所があれば少しずつ増えてくると思うので。
SHUN:関東だけでなく、全国に潜在的には居るんですよね。
小林:結婚して辞めちゃう人も多いけど、SHUN君は平気?
SHUN:僕の場合、そこに理解がある人でないと結婚しません(笑)
小林:まだまだ続けてくれそうなので安心しました(笑)
SHUN:最後に、なかなか開幕できないもどかしい状況ですが、今は準備出来る時間があると考えて、いつでも開幕を迎えられる状態にしておきます。なので、早くライバルとして認めてもらえるように、まずは小林選手が優勝、僕が2位に入って、ワンツーを決めて・・・
小林:随分控えめだなぁ~「ぶち抜いてやるぜ!」くらいじゃないと(笑)
SHUN:もちろん、心の中では小林選手が「もうSHUNには何も教えたくない」という状態になるくらいにやってやろうと思ってますよ!
小林:望むところです!
SHUN:よろしくお願いします。ありがとうございました。
小林:ありがとうございました。
1_ロードスターの写真.jpg DSC_0203_1.jpg
 【SHUN選手のロードスター】      【小林選手のロードスター】
 SHUN選手が追いついて、この2台のバトルが見れる日も近い?


〈編集部〉
お楽しみ頂けましたでしょうか?次回は若手SHUN選手が長くジムカーナをやっているあのドライバーにインタビューをします。お楽しみに!


【SHUN プロフィール】
全日本ジムカーナ選手権にホンダ・インテグラ(DC2)で参戦。2018年最終戦で全日本初優勝を果たす。2020年からはロードスター(ND)に乗り換えてPN1クラスで参戦。
東京都出身 6月14日生まれ 27歳  実はお酒が大好き(レース前は禁酒します)